自由と白式   作:黒牙雷真

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第15話

雷真たちはクラスの女子たちが第三アリーナで代表候補生が模擬戦をしていると聞き、急いで三人は全力で第三アリーナを目指し、途中で箒とも合流した。そして到着すると、そこにはセシリアと鈴がラウラに2対1で押されていた。

 

 

シャル「鳳さんにオルコットさんだ」

 

箒「ラウラ・ボーデヴィッヒも」

 

一夏「何、してるんだ。あいつら?」

 

 

 

 

 

 

鈴「喰らえ!」

 

ラウラ「無駄だ。このシュヴァルツェア・レーゲンの停止結界の前にはな!」

 

 

鈴はセシリアと共に吹き飛ばされて壁にぶつかかるがすぐに体制を直し、甲龍の龍咆をラウラに放つ。しかし、ラウラが右手を前に出すと結界のバリアのような物が生まれ、龍咆の攻撃がラウラに当たる前に爆発する

 

 

鈴「なっ!?」

 

一夏「龍咆を止めやがった!?」

 

シャル「AICだ」

 

雷真「AIC?」

 

箒「そうか。あれを装備していたから龍咆を避け様としなかったんだ」

 

一夏「A、I、C、なんだそれ?」

 

シャル「シュヴァルツェア・レーゲンの第三世代型兵器、Active Inertial canceller」

 

箒「慣性停止能力とも言う」

 

雷真「なるほど、だからか」

 

一夏「ふ~ん」

 

箒「本当に分かっているのか?」

 

一夏「今見た。それだけで十分だ」

 

雷真「なら、いいがな」

 

 

鈴は再び、龍咆でラウラを狙うが地上を滑るように龍咆を回避していく。またはAICで無力化していく。

 

 

鈴「ここまで相性が悪いなんて。でも、実力なら雷真の方が上ね」

 

 

ラウラはシュヴァルツェア・レーゲンから無数のワイヤーブレードを射出して鈴を攻め立てる。そして、ワイヤーブレードは鈴の足に巻き付く。

 

 

鈴「わあっ!!」

 

ラウラ「この程度の仕上がりで第三世代型兵器とは笑わせる」

 

 

ラウラが笑っているが、すぐに今まで攻撃していなかった。セシリアがビット兵器で攻撃し、ラウラの隙を狙う。これにより、ラウラはAICを使うために隙ができた。それをセシリアは見逃さずにスターライトmkⅡで狙う。

 

 

セシリア「動きが止まりましたわね?」

 

ラウラ「貴様もな」

 

 

セシリアはスターライトmkⅡをラウラはレールカノンをお互いに放ち、爆発。そして、ラウラはワイヤーブレードを巻き付けている鈴を引っ張り、セシリアに向けて当てる

 

 

ラウラ「フンッ!」

 

鈴「きゃああああああ!!」

 

セシリア「きゃああ!!」

 

 

鈴とセシリアは勢いよく、ぶつかり合い地面に向けて落下した。

倒れがらも鈴はお返しとばかりに龍咆を撃とうするが……。

 

 

ラウラ「あまいな。この状況でウェイトのある空間圧力兵器を使うとは」

 

 

ラウラはつまらないと言った顔をしながら鈴にレールカノンを放つ。それと同時にセシリアが至近距離でミサイルをラウラに向けて発射

 

 

鈴「ああああ!!」

 

ラウラ「なっ!?」

 

 

ミサイルがラウラに命中し、爆煙があがる。その内に鈴たちは一度距離を取り、ラウラの出方を見る。

 

 

鈴「この至近距離でミサイルだなんて、無茶するわね」

 

セシリア「雷真さんが仰っていましたの、『もし仮に至近距離でミサイルしか武装が使えなくなっても躊躇なく撃て。どんな戦いにもリスクの無い勝利などない』と」

 

鈴「なるほどね、今回はアイツに助けてられたってことね」

 

セシリア「ですわね。けれど、これなら確実にダメージが……」

 

 

ラウラが居た場所の爆煙が止んで行くとそこには……。

 

 

鈴「なっ!?」

 

ラウラ「終わりか?」

 

ミサイルを受けたのにも関わらず、無傷のシュヴァルツェア・レーゲンが佇んでいた。

 

ラウラ「ならば、私の番だな」

 

 

ラウラは脚部の近くにある武装からワイヤーブレードを出し、それを鈴とセシリアの首に巻き付ける。

 

 

鈴「ぐああああ!!」

 

セシリア「ぐううう!!」

 

 

そこからはラウラが行う、鈴とセシリアの蹂躙が始まった。

 

 

シャル「ひどい!あれじゃ、SEが持たないよ」

 

一夏「……」

 

箒「もし、ダメージが蓄積しISが強制解除されれば二人の命に関わるぞ!」

 

雷真「なにっ!?」

 

雷真「ストライク!」

 

シャル「雷真、何を!?」

 

雷真「決まってる、シールドバリアをぶち破るんだよ!だから皆離れてろ!」

 

 

雷真はストライクを起動させて、ランチャーを装備。

アグニをセーフティ状態でラウラに向けて放つ。

 

 

雷真「セーフティとシールドバリアがあるんだ。ボーデヴィッヒのSEは突破しないだろ」

 

 

ラウラは鈴とセシリアを蹂躙することに気が回っていたため、観客席から放れるランチャーストライクのアグニに気がつくのがワンテンポ遅れた。

 

 

ラウラ「なに、があっ!?」

 

 

アグニがラウラに当たると雷真はランチャーからソードに換装する。

 

 

雷真「一夏とシャルルは二人の救助を頼んだぞ!」

 

一夏「お、おい!」

 

シャル「ちょ、雷真!」

 

 

ソードストライクのスラスターを一気に噴かせながらシュベルトゲベールを引き抜き、ラウラに突撃する。その際、左肩にあるマイダスメッサーも一緒に引き抜き、バレないよう体で隠しながらラウラの後ろを大きく回るように投げて置く。

 

 

雷真「ウオオオオオッ!!」

 

ラウラ「またもや、貴様か!」

 

雷真「ハアアッ!!」

 

ラウラ「あまい!」

 

 

雷真の突撃はラウラの専用機、シュヴァルツェア・レーゲンのAICによって止めれてしまう。

 

 

ラウラ「この程度か?」

 

雷真「お目当てはこっちじゃ、ないんだよ!」

 

ラウラ「なに………なっ!?」

 

 

ラウラは鈴とセシリアの首に巻き付けていた。シュヴァルツェア・レーゲンのワイヤーブレードがいつの間に切断されていることに驚いた。

 

 

雷真「だから、言ったろ?お目当てはこっちじゃないって」

 

ラウラ「貴様ぁぁぁあ!」

 

 

ラウラは雷真にしてやられたことに怒り、雷真に向けて至近距離でレールカノンを放ち、命中する。それにより、爆煙が上がる。

そして鈴とセシリアを救助し、介抱しているシャルルは至近距離でレールカノンを受けた雷真に悲鳴をあげる。

 

 

シャル「雷真!?」

 

一夏「安心しろ、シャルル。雷真のストライクはあんな攻撃は通用しない」

 

シャル「え?」

 

 

シャルルは一夏の言っていることが分からないでいた。いくら、SEがあるとはいえ、あんな至近距離で攻撃を受けたら、かなりのダメージが体に受けるはず。

しかし、シャルルの予想は外れた。

雷真がいた場所の爆煙が止むとそこには先ほどのラウラと同じように無傷の雷真が佇んでいた。

 

 

シャル「うそ……」

 

一夏「なっ?だから、言ったろ?」

 

ラウラ「貴様!なぜ、あの至近距離で私のシュヴァルツェア・レーゲンのレールカノンを受けて無傷でいる!!」

 

雷真「悪いな。俺の機体はどの国よりも高性能でな。SEが無くても実剣、実弾は無効化できる装甲で出来てるんだよ」

 

ラウラ「なっ!?そんな………バカな」

 

ラウラ「何故、その様な機体を貴様なんぞが持っている!?」

 

雷真「教える義理はない!」

 

 

レールカノンによりAICから解放された雷真は装備をソードからIWSPに換装して、右手にビームライフル、左手にコンバインシールドのガドリング、レールガン、単装砲、イーゲルシュテルンをフルバーストする。

 

 

ラウラ「舐めるなぁぁぁぁあ!!」

 

 

IWSPのフルバーストで爆煙が上がるが、その中からラウラがシュヴァルツェア・レーゲンのプラズマ手刀を両手共出して、雷真に突撃する。それを雷真は両脇に装備している、試製対艦刀で待ち構える。

 

 

???「両者、そこまでだ!」

 

ラウラ「きょ、教官!?」

 

雷真「遅いですよ。織斑先生」

 

千冬「やれやれ、これだからガキの相手は疲れる。それと黒牙、緊急事態とはいえ。セーフティ状態のアグニを人に向けて撃つのはどうかと思うが?」

 

雷真「すみません。鈴とセシリアの命が危なかったもので……」

 

ラウラ「あの最初の砲擊がセーフティされていただと………?」

 

千冬「模擬戦をするのは構わん。だが、アリーナのバリアまで破壊する事態になられては教師として黙認しかねる。この戦いの決着は学年別トーナメントで着けてもらおう」

 

ラウラ「教官がそう仰っしゃるのなら」

 

 

ラウラは織斑先生の言葉でISを解除する。

 

 

千冬「黒牙、お前もそれでいいなあ?」

 

雷真「自分よりも、一夏なんじゃないんですかね?」

 

千冬「現状では貴様だ」

 

雷真「了解です」

 

千冬「では、学年別トーナメントまで私闘の一切を禁止する。それと黒牙、お前は反省文30枚を明日提出しろ」

 

一夏「なっ!?ちょっと待てよ、千冬姉」

 

千冬「織斑先生だ。なんど言えばわかる?」

 

一夏「雷真は鈴とセシリアを助けるために…………」

 

雷真「一夏!いいから……」

 

一夏「雷真……お前」

 

千冬「それでは、解散!」

 

 

 

 

 

 

 

▽▲▽

 

 

 

 

 

 

 

 

第三アリーナの事件の後、俺たちは鈴とセシリアを医務室に連れて行き、今は喋るくらいまで回復している。

 

 

鈴「別に助けてくれなくてもよかったのに……」

 

セシリア「あのまま続けていれば、勝ってましたわ」

 

二人はそんなバカなことを口にしたので俺は頭にきた

 

雷真「ふざけるも大概にしろよ、お前ら!」ギロリ

 

 

「「「「ッ!?」」」」

 

 

雷真「あのまま、続けていたら勝っていた?あんなボロボロになるまで一歩的に蹂躙されてか?」

 

雷真「どこに勝てる要素がある。もしかしたら本当に死んでいたかもしれないんぞ!」

 

雷真「本当の死の恐怖を知らない奴等がふざけたこと抜かしてんな!シャルル、俺は先に帰る。二人とも少し頭を冷やせ」

 

 

俺はそう言い残し医務室を出る。

 

 

 

 

 

 

▽▲▽

 

 

 

 

 

 

 

 

雷真が激怒して部屋から出て行った後の医務室は空気が重たかった。

 

 

一夏「二人とも、さっきのは流石に雷真が怒るのも俺にも理解できるぞ」

 

シャル「僕もちょっとね」

 

鈴「それは……」

 

セシリア「その……」

 

シャル「雷真は二人のことを思って、あんなに怒ってるだと思うよ?」

 

一夏「そうだな。最初に二人を助けようと動いたのは雷真だったしな」

 

鈴「そう……雷真が」

 

セシリア「雷真さんには、申し訳のないことをしましたわね」

 

一夏「自分が悪いと思うなら、ちゃんと謝らないとな?」

 

シャル「そうだよ。怪我を治しからきちんと謝れば雷真だって許してくれるよ」

 

鈴「そう……ね。そうするわ」

 

セシリア「私もそういたしますわ」

 

 

鈴とセシリアが雷真に謝ることを決めると医務室の中にある薬のビンがカタカタを揺れ始め、医務室の入り口が勢いよく開けられた。入り口から入って来たのは大勢の女子生徒たちだった。

 

一夏「な、なんなんだ?」

 

シャル「ど、どうしたの皆?」

 

「「「これ!」」」

 

シャル「えっ?」

 

 

女子生徒たちが見せたのは一枚のプリント。シャルルと一夏は女子生徒の中から一枚プリントを拝借してプリントの内容を確認する。

 

 

シャル「何これ?」

 

一夏「今月開催される学年別トーナメントでは、より実戦的模擬戦闘を行うため、二人組での参加を必須とする。尚、ペアができなかった者は抽選により選ばれた生徒同士で組むものとする。締め切りは……」

 

「とにかく、私と組もう織斑くん」

 

「私と組んでデュノアくん」

 

一夏「え、えっと……」

 

シャル「ごめんね、皆。僕は雷真と学年別トーナメントに出るから。本当にごめん」

 

一夏「シャルル!?」

 

「なら、織斑くん。私と出よう!」

 

「いや、私と組もうよ!」

 

一夏「た、助けてくれ!」

 

シャル「ごめんね、一夏」

 

一夏「そんな……」

 

 

こうして、医務室での騒ぎは終了した。ただし、一夏とのペアを巡った騒ぎは続いているようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

▽▲▽

 

 

 

 

 

 

 

 

医務室での一件で俺は頭にきていた。それも周りの皆が俺を避けて道を作るほどに…………?

 

 

刀奈「ちょっと雷真。どうしたの?そんな怖い顔して」

 

雷真「ん?刀奈か……。まあ、ちょっとな」

 

刀奈「取り敢えず、私の部屋に来なさい」

 

雷真「なら、そうしようかな」

 

 

刀奈に言われるまま、刀奈の部屋に入る。

 

 

刀奈「はい、お茶」

 

雷真「ありがとう」

 

刀奈「それで、本当にどうしたの?」

 

雷真「ああ、それなんだが……」

 

 

俺は第三アリーナでのことと医務室でのことを刀奈に話した。

 

 

刀奈「なるほどね。雷真が怒るのも無理ないわ。だってアナタは二度も本当の戦争を経験してるもの」

 

雷真「ああ、だから……命を粗末にして欲しくないんだ。それも俺の大切な人や友人なら尚更」

 

刀奈「ねぇ、雷真。アナタ、少し休んでもいいと思うわ」

 

雷真「睡眠ならちゃんと取ってるぞ?取れる内に取るのは軍人の鉄則だ」

 

刀奈「ああ、もう!そうじゃなくて、ちょっとこっちに来なさい!」トントン

 

 

刀奈が示すのは引っ越す前に使っていた俺のベッドだ。刀奈に勧められるまま、刀奈の横に座ると……。

 

 

刀奈「ほら」

 

雷真「うおっ!?」

 

 

俺は刀奈に引き寄せられ、頭が刀奈の膝の上に乗る。所謂、膝枕だ。

 

 

雷真「か、刀奈?」

 

刀奈「何を今さら緊張してるのよ。中学時代にもやってたでしょ?」

 

雷真「一年だけな……」

 

刀奈「あっ、ごめんなさい。私ったら……」

 

雷真「いいよ。でも、心残りはあるけどな」

 

刀奈「雷真……」

 

雷真「本当は刀奈や簪、本音たちと一緒に林間学校、修学旅行にも行ってみたかった…………。それに二年間も皆の誕生日を祝ってやれなかった」ポロポロ

 

刀奈「…………」ナデナデ

 

雷真「ごめん、ごめん、刀奈………君を泣かせて、心配をかけて……本当にごめん」ポロポロ

 

刀奈「いいわよ。貴方が無事で帰ってきて、今は一緒に居てくれるんですもの」ナデナデ

 

雷真「ありがとう」

 

刀奈「どういたしまして」ナデナデ

 

雷真は泣き疲れたのか、いつの間にか眠ってしまった。

 

 

雷真「すぅ~、すぅ~」ZZZZ

 

刀奈「やっぱり、知らず知らずのうちに色々と溜め込んでいたのね。全く、昔から心配をかけるんだから、私たちの旦那様は」ナデナデ

 

雷真「すぅ~、すぅ~」ZZZZ

 

刀奈「雷真…………私は、私たちは貴方を愛しているわ。今も、これからも、ずっとね」チュッ

 

 

 

 

それから、何十分経ったんだろうか?刀奈のお陰で、今まで我慢していた感情の奥底にある物を全て出したら、すごく楽になった。

 

 

雷真「んん~」

 

刀奈「あっ、おはよう、雷真」

 

雷真「おはよう、刀奈。って、今は何時だ?」

 

刀奈「今は、午後の8時くらいよ」

 

雷真「やばっ!シャルルがもう帰ってきてる時間じゃないか。それに食堂だって終わっちゃってるし。一度、部屋に戻るわ」

 

刀奈「それがいいかも。あと、雷真」

 

雷真「なんだ?」

 

刀奈「生徒会の仕事、手伝って」

 

雷真「わかった。暇になったら手伝ってやる。虚さんにも伝えとけよ」

 

刀奈「やった!」

 

 

そして部屋に戻ろうとする。部屋に入るまえにノックをあるテンポでしてから入る。これはシャルルが女の子だってバレないようにするための対策の一つだ。

 

 

雷真「ただいま、シャルル」

 

シャル「遅いよ!何処に行ってたの?」

 

雷真「えっと、刀奈のところにな」

 

シャル「刀奈の?」

 

雷真「そう。それと飯、サンキューな」

 

シャル「ううん。僕が勝ってに雷真と食べようと思って貰ってきただけだから」

 

 

そう、俺とシャルルの勉強机の上には冷めているいるが食堂の料理が置いてあるのだ。

 

 

雷真「なら、俺ができる範囲でシャルルのお願いを聞いてやるよ」

 

シャル「えっ、本当?」

 

雷真「ああ」

 

シャル「なら、僕と学年別トーナメントにペアして出て欲しいんだ」

 

雷真「なんだ、そんなことか。それなら、元々そうするつもりでいたぞ?だから、それはノーカン。他にないなら考えて置いてくれよ?」

 

シャル「うん、ありがとう雷真」

 

雷真「こっちが礼を言う方なんだがな?」

 

シャル「フフフフ、気にしない、気にしない」

 

 

 

シャルルと部屋で夕飯を食べたあと、のんびりしていると俺の携帯が鳴る。それも、こっち側に帰ってきてからお義父さんに貰った、刀奈や簪の介入無しで裏の仕事をやる番号だ。そのため、人がいない屋上に向かう。それと、何故俺が更識の裏の仕事をやるようになったのは、過去に刀奈と簪が誘拐されたのが発端だ。二人を守るために裏の仕事を覚えた。それだけだ。

 

 

雷真「どうしたんですか、"楯無"さん。こんな時間に」

 

更識父『現在、IS学園にいる。ドイツの代表候補生である。 ラウラ・ボーデヴィッヒに関わる案件でね』

 

雷真「ボーデヴィッヒですか?」

 

更識父『そう。その、ラウラ・ボーデヴィッヒの専用機であるシュヴァルツェア・レーゲンにVTシステムが秘密裏に組み込まれている可能性がある、という情報を得た』

 

雷真「なっ!?」

 

 

VTシステム。正式名称、ヴァルキリー・トレース・システム。これは過去のモンド・グロッソ優勝者の戦闘方法をデータ化し、そのまま再現・実行するシステム。パイロットに能力以上のスペックを要求するため、肉体に莫大な負荷が掛かり、場合によっては生命が危ぶまれる代物だ。

 

なのに、何でそんなものをボーデヴィッヒの機体に…………?

 

 

更識父『とにかく、刀奈と簪に危害が及ばないように頼むぞ。義息子よ』

 

雷真「わかりました、お義父さん。今回の案件には今まで通り細心の注意を払います。最悪は自分が介入するかもしれませんが」

 

更識父『わかっている。だが、くれぐれも娘たちを頼むぞ?』

 

雷真「わかってます。それでは」

 

雷真「はぁ~、盗み聞きはよくありませんよ…………虚さん」

 

虚「気づかれていましたか」

 

 

そういって虚さんは物影から出てくる。

 

 

雷真「今回は?」

 

虚「いえ、私の所には何も」

 

雷真「わかりました。では、サポートをお願いします。ボーデヴィッヒの試合時は極力二人から離れないでください」

 

虚「わかりました。若様」

 

雷真「その呼び方は慣れませんね」苦笑

 

虚「それでは、私はこれで」

 

 

その言葉と共に虚さんは闇へと消えた。

 

 

雷真「さてさて、学年別別トーナメントはどうなることやら」

 

 

嫌に丸くて大きな満月を見ながら、その言葉がこぼれた。

 

 

 

 

 

 

 

▽▲▽

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、ついに来ました。学年別トーナメント当時。そして、今俺がいる場所は織斑先生がいる管制棟の中である。

 

 

千冬「それで黒牙、話とはなんだ?」

 

雷真「今はオーブ軍人としてここにいるつもりです」

 

千冬「それはすまなかった。それでは中尉、私に話とはなんだ?」

 

雷真「では、説明します。まだ確信とまでは行きませんが、自分の情報網からドイツの代表候補生である、ラウラ・ボーデヴィッヒの専用機、シュヴァルツェア・レーゲンにVTシステムが秘密裏に組み込まれている可能性があると情報を得ました」

 

千冬「VTシステムだと!?」

 

雷真「はい。仮にもし、そのVTシステムが起動した場合、自分は軍人として教師陣と連携を図り、国家首脳ならびに一般生徒を守ろうと思います。ですので、その許可をいただきたく、ここに参りました」

 

千冬「ふむ…………。わかった」

 

「織斑先生!?」

 

千冬「心配するな。こいつは、黒牙雷真中尉は本物の戦争を二度も生き抜いた強者だ」

 

「そんな……」

 

「黒牙くんが……」

 

「戦争を…………」

 

雷真「では、織斑先生が言っていることが本当か、今この場で全力の殺気を放ちます。殺気に当てられて失神しないでくださいよ?」キュパーン

 

 

目を閉じて、クラス対抗の時と同じように、『殺す』、に意識を集中させる。すると、頭の中の何かが割れて、思考がクリアになる。また、瞳からハイライトが消える。

 

 

雷真「…………」

 

「「「「ッ!?」」」」ゾワリ

 

千冬「どうだ、理解したか?」

 

「は、はい……」

 

雷真「では、自分はいつでも出られる様に待機場に居ますので」

 

千冬「わかった」

 

 

アヴァロン・フリーダムのビーム兵器を実技演習の授業でも使用するかについて

  • アヴァロン・フリーダムの使用禁止
  • アヴァロン・フリーダム ビーム兵器の禁止
  • 別機体のビーム兵器を使用
  • 別の機体を使う
  • 雷真は見学

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