織斑先生に許可をもらい。待機場にて、いつでも出撃できるように備える。
そして、学年別トーナメントの第一試合の対戦カードは、まさかの…………織斑一夏&鷹月静寐vsラウラ・ボーデヴィッヒ&篠ノ之箒、だった。
雷真「初戦から仕組まれたような対戦カードだな。てか、対戦カードを組んだの俺だったわ」
今回の対戦カードは生徒会の仕事で学年別トーナメント対戦カードを決めるために副会長である俺が、遊び半分にペアを書いたカードをシャッフルして、裏の状態で対戦カードを決めたのだ。だから、公平な決め方なのだが…………。
雷真「これでVTシステムが発動したら、どうしよ?」
▽▲▽
その頃、アリーナの中央では第一試合のカードが対面していた。
ラウラ「一戦目で当たるとはな。待つ手間が省けたというものだ」
一夏「そりゃ何よりだ。こっちも同じ気持ちだぜ」
お互いに言い合うと試合開始のカウントが始まる。
『5』
『4』
『3』
『2』
『1』
一夏×ラウラ「「叩きのめす!」」
『0』
まず最初に動いたのは一夏だ。高速でラウラに突撃していく。それをラウラはAICで難なく止める。
ラウラ「開幕直後の先制攻撃か、わかりやすいな」
一夏「そりゃ、どうも。以心伝心で何よりだ」
そんな、子供みたいな言い合いをしているとラウラはAICで止まっている一夏にレールカノンの照準を当てる。
しかし、ラウラがレールカノンを撃つ前に鷹月が一夏の後ろから、ラウラを学園の量産型ラファール・リヴァイヴのサブマシンガン二丁を構えて撃ちながら飛び出てくる。
鷹月「ハアアアアッ!!」
ラウラ「くっ!?」
これにより、ラウラのレールカノンは一夏の頬を少し掠めて外れる。逆に鷹月が放った、サブマシンガンの雨はラウラに着弾する。
また、着弾したことによって一夏の動きを止めていたAICの結界が解ける。こんな絶好のチャンスを雷真による日頃からの特訓をしている一夏は見逃さずに攻撃を入れる。
一夏「ラアアアアッ!!」
ラウラ「ぐぅぅっ!?」
鷹月「まだまだ!」
鷹月はダメ押しとばかりに一夏の攻撃で吹き飛ばされた。ラウラを狙い撃つ。しかし、そこに箒がSEを犠牲に割り込んでくる。
鷹月「篠ノ之さん!?」
箒「私を忘れてもらっては、困る!!」
今度は一夏が箒の相手をするその隙に、鷹月が一度距離を取り、アサルトライフルで箒を狙う。
鷹月「当たって!」
鷹月がアサルトライフルを撃つが箒には当たらなかった。その理由はラウラのISである、シュヴァルツェア・レーゲンの黒いワイヤーブレードを箒が乗る、打鉄に巻き付けて力任せに引っ張る。
鷹月「えっ!?」
一夏「なっ!?」
箒「何をする!」
ラウラ「…………」
ラウラは箒の問いに答えずに一夏に突撃する。その途中でシュヴァルツェア・レーゲンのプラズマ手刀を二本で一夏と近接勝負をする。
それと同時にワイヤーブレードで鷹月にも攻撃する。
箒「ハアアアアッ!!」
箒はラウラに吹き飛ばされたが体勢を持ち直し、一夏に攻撃を仕掛けようとするが、それを鷹月がアサルトライフルからサブマシンガンに変えて抑える。
鷹月「織斑くんの邪魔はさせないよ」
箒「クソッ!」
次に鷹月は一夏に教えてもらった刀との戦い方を元にナイフで刀を受け止め、その隙にサブマシンガンで隙のできた相手に弾丸の嵐を降らせるやり方で、箒の乗る、打鉄のSEをゼロにする。
鷹月「やった!」
箒「ここまでか…………」
一夏「鷹月さん、喜んでないで、次!」
鷹月「あっ、ごめん」
ラウラ「話をするとは余裕だな?」
一夏「へぇっ!雷真と比べたら、お前なんて楽勝だぜ」
ラウラ「この減らず口が!」
鷹月「織斑くん、下がって!」
一夏「おう!」
一夏は鷹月の声で一度、後方に下がる。
ラウラ「逃がすか!」
ラウラは一夏を追撃しようとするが足元に何かが転がってくる。
ラウラ「これは…………グレネード!?」
そう、ラウラの足元に転がってきたのは鷹月が投げたグレネード。ラウラは一夏のことで視野が狭まり周りに気を配ることを疎かにしてしまった。
一夏「サンキュー、鷹月さん」
鷹月「どういたしまして」
一夏「なら、俺も決めないとな!」
一夏は白式のエネルギーを最大にして、
しかし、その動きもAICによって止められてしまう。だが、これは一夏たちには好機となる。AICは停止させるものに意識を集中させる必要があるため、鷹月をAICで止めた場合、鷹月を止めている以外は他のことが疎かになる。
一夏「セヤアアアッ!!」
ラウラ「ガッ!?」
一夏「まだまだ!」
ラウラ「この程度!」
鷹月「私だって」
ラウラ「クソッ!」
一夏「これで終わりだ!」
一夏は最後にSEをギリギリまで使い、零落白夜でラウラを斬り吹き飛ばす。
ラウラ「ぐあああああ!?」
ラウラはアリーナの壁にぶつかり、沈黙する。
▽▲▽
私は負けるのか…………。こんな、奴に……。私が憧れた、あの凛々しく堂々としている教官を変えてしまう。お前が………ゆるせないんだ!織斑一夏……貴様がいなければ!
力が欲しい…………奴を圧倒的に叩きのめす力が!
寄越せ、力を……。比類なき、最強の力を!
▽▲▽
アリーナの壁にぶつかり、ラウラは沈黙していた。しかし、次の瞬間、ラウラの叫びと共にラウラが乗る、シュヴァルツェア・レーゲンがラウラを呑み込み、その形を変えていく。
ラウラ「うああああああ!?」
ラウラ「あああああああ!?」
鷹月「なに、あれ?」
一夏「……」
一夏たちはラウラに起きた現象に驚きのあまり動けないでいる。
~場所はアリーナの待機場に戻り~
雷真「やっぱり、始まったか。織斑先生、出撃の許可を!」
千冬『許可する!』
雷真「了解!ストライク、起動!」
雷真「黒牙雷真、ストライク。行きます!」
俺はエールストライクで一夏たちがいるところに向かう。
雷真「二人とも下がれ!ここからは、俺の仕事だ」
一夏「仕事って……。あれは、なんなんだよ!?」
雷真「話はあとだ。下がれ!」
一夏とボーデヴィッヒが呑み込まれた物を話していると教師陣が避難の放送を流す。
『非常事態発令!トーナメントの全試合は中止。状況をレベルDと認定。鎮圧のため、教師部隊を送り込む』
『来賓、生徒はすぐに避難すること』
警報と共に第三アリーナの防護シャッターが起動していく。
また、ラウラを呑み込んだ、シュヴァルツェア・レーゲンは元の形から黒い打鉄を纏った女性の姿へと変えた。
一夏「あれは雪片…………。千冬姉と同じじゃないか」
雷真「鷹月さん、君だけでも先に下がってくれ!」
鷹月「う、うん」
雷真「一夏、お前も下がれ!」
一夏「俺がやる」
一夏は雷真の言葉を無視し、雪片弐型を構えると黒いISは高速で一夏に近づき、左下から切り上げを繰り出す。
雷真「一夏!?」
一夏「ぐあっ!?」
それにより、一夏が手に持つ雪片弐型が吹き飛ばされてしまい、無防備になる。それを黒いISは追い討ちをかける。それを一夏は咄嗟に左腕を盾にするが、先ほどの零落白夜でSEを限界まで使ってしまい、黒いISの攻撃で白式が解けてしまう。
一夏「ぐぅぅぅぅ!?」
そのまま、再び、一夏に攻撃をしようとする所を
…………。
雷真「バカ野郎、熱くなりすきだ!」
雷真が手に持つ、対ビームシールドで黒いISの攻撃を受け止める。
鷹月「織斑くん!」
一夏「鷹月さん!?」
雷真「鷹月さん、ナイス!」
先ほど、避難したはずの鷹月が一夏を抱えて、雷真と黒いISから離れる。
二人が離れたのに合わせて、雷真も黒いISの武器を跳ね上げさせて一度距離を取る。
一夏「箒、離してくれ!俺がアイツを……」
雷真「『俺がアイツを』なんだよ?そんな状態で戦う気か?」
一夏「アイツは千冬姉の……」
俺はストライクの右腕装甲を外して、一夏の顔面を殴る。
一夏「ガッ!?」
雷真「熱くなって、頭に血が上って、感情的になって、今のお前に何が守れるって言うんだよ!なあ?」
雷真「そんなのじゃ、何も守れないし、かえって守りたいものを危険に晒すだけだ」
一夏「…………」
雷真「頭を少し冷やせ」
一夏「アイツは千冬姉と同じ、居合いの技を使うんだ。アレは千冬姉だけの物なんだ。だから!」
箒「雷真が言っていたように今のお前に何が守れる?白式のエネルギーも残っていない状況で、どう戦う?それに見ろ、一夏。お前がやらなくとも状況は収拾される」
箒は黒いISを指で示す。そこには黒いISを囲むように教員たちがラファール・リヴァイヴを装着して臨戦体制でいる。
一夏「違うぜ、箒。全然、違う。俺がやらなきゃいけないんじゃなくて。これは俺がやりたいからやるんだ!」
箒「ならば、どうすると言うんだ?」
一夏「それは…………」
雷真「全く、やっと頭が冷えたみたいだな。一夏?」
一夏「雷真?」
雷真「SEがあればいいんだろう?なら、ストライクから補給すればいい」
ストライクから一本のコードを抜いて、待機状態の白式に繋ぐ。
雷真「ストライクのコアバイパスを解放。エネルギーの流出を許可」
すると白式に繋いだ、コードが白く光りだす。するとSEだけではなくバッテリーまで白式に送られ、フェイズシフト装甲がトリコロールカラーから灰色に変色し、フェイズシフトダウンを起こす。
雷真「お前が最後を決めろ、一夏。それまでは俺が道を作ってやる」
一夏「えっ?」
箒「雷真、道を作ってやるって、お前のストライクはSEを白式に送っているのだから、もう戦えないだろうが」
雷真「もう、忘れたのか?前のボーデヴィッヒとの戦いで言ったよな?俺のストライクの装甲はSEが無くとも戦えるって」
箒「ということは……」
雷真「それにストライクは元々、SEが無いことを前提に開発された機体だ。だから、装備を換装すれば、SEは使えないが実剣や実弾の無効化はそのままだ」
一夏「ハハハハ、本当に俺はいい友を持ったよ」
雷真「行くぞ、一夏」
一夏「おう!」
雷真「ストライク!」
一夏「白式!」
俺はストライクをエールからソードへと換装する。すると灰色から再び、トリコロールカラーに変わる。一夏はエールストライクから移したエネルギーで白式のSEがMAXの状態で起動する。
雷真「オオオオッ!」
まずは雷真が
雷真「セヤッ!」
それを雷真はシューベルトゲーベルで上手い具合に跳ね上げさせる。
雷真「一夏、スイッチ!」
一夏「これで、終わりだ!」
雷真のかけ声で一夏と立ち位置を入れ換え、一夏はそのまま、零落白夜で黒いISに一閃する。
すると、黒いISが真っ二つに切られ、中から意識を失っている、ラウラが出てくる。
それにより、宿主を失った黒いISはドロドロと溶けていき待機状態に戻る。
雷真「終わったな」
一夏「だな……」
雷真「織斑先生、現時刻をもって状況終了」
千冬『よくやった。それと、教え子を助けてくれたことに礼を言う』
雷真「自分は仕事をしただけです」
千冬『そうか』
こうして、VTシステムの騒動は幕を閉じた。
アヴァロン・フリーダムのビーム兵器を実技演習の授業でも使用するかについて
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アヴァロン・フリーダムの使用禁止
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アヴァロン・フリーダム ビーム兵器の禁止
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別機体のビーム兵器を使用
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別の機体を使う
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雷真は見学