雷真「はっ、はっ、はっ、はっ」
一夏「はっ、はっ、はっ、はっ」
今日も俺たちは早朝のランニングをしている。合宿といえど、特訓は継続してこそ意味があるので、今日は普通ではできない裸足で砂浜ランニングをしている。
雷真「一夏、速度が落ちてるぞ!」
一夏「おう!」
何故、砂浜を裸足で走れるかは、走る前に準備体操代わりに昨日のビーチで遊んだゴミなどを拾い集めたのだ。
雷真「はっ、はっ、はっ、はっ」
一夏「はっ、はっ、はっ、はっ」
雷真「ラスト、一本!」
一夏「ラスト、一本!」
ランニングのあと、部屋に戻ろうと通路を歩いていると、旅館の庭で箒が何やら、地面にささっている謎の物体を見ていた。
一夏「箒?」
そして謎の物体の少し後ろには『ひっぱってください』と書かれてあった。
一夏「なぁ、これって…………」
箒「知らん。私に聞くな」
箒はそう言って何処かへ言ってしまった。
一夏「おい、放って置いて良いのか?」
雷真「なぁ、一夏。これを引き抜けばいいのか?」
一夏「あっ、ちょっ!」
雷真「えいよ」
俺がその物体を引き抜くと…………。空から【ゴゴゴゴゴ】と航空機のような音が聞こえてくる。
てか、これって何かが落下する音じゃあ…………。
そして10秒も経たずに空から大きな人参が降ってきた。
雷真「一夏!空から女の子じゃなくて、大きな人参が降ってきたぞ!?」
???『アハハハ、ウフフ、アハハハ』
俺がいろんな事で戸惑っていると大きな人参から女性の笑い声が聞こえて、声が止むと大きな人参が【プシュー】と音を立てながら二つに割れ。中から絵本の一つである、不思議な国のアリスのアリスの格好をした女性が出てきた。
???「引っ掛かったね、いっくん!ブイブイ」
雷真「…………」
一夏「…………」
一夏「お、お久しぶりです。束さん」
束「うんうん、お久だね~。本当に久しいね。ところでいっくん、箒ちゃんは何処かな?」
一夏「え、えっと……。」
束「あっ、私が開発した、この箒ちゃん探知機ですぐに見つかるよ。じゃあね、いっくん。また、後でね~!」
雷真「一夏、今の女性と知り合いなのか?」
一夏「ああ……。篠ノ之束さん、箒の姉さんだ」
雷真「マジかよ……」
篠ノ之束との邂逅のあと、俺たちの部屋に戻り、汗を流したあとは旅館の朝食を食べてから、今日の合宿本来のカリキュラムを行うのだが、何故か俺たち専用機持ちが織斑先生に呼ばれて集合している。
千冬「よし、専用機持ちはこれで全員揃ったな?」
鈴「ちょっと待ってください。箒は専用機を持ってないでしょ?」
箒「そ、それは……」
千冬「私から説明しよう。実はだな……」
織斑先生がこの場に箒が居ることを説明しようとすると…………。
???「やっほ~!」
「「「…………」」」
???「ち~いちゃ~ん!」
またもや、何処からか不思議な国のアリスの格好をした。箒の姉である、篠ノ之束が崖の上からやって来た。
束「やあやあ!会いたかったよ、ち~ちゃん!」
束「さぁ、ハグハグしよう!愛を確かめよう!」
千冬「五月蝿いぞ、束」
織斑先生は崖から飛んできた、篠ノ之束を片手で鷲掴みしたまま会話をする。
束「相変わらず容赦のない、アイアンクローだね!」
そして、織斑先生のアイアンクローから逃れた。篠ノ之束は岩影に隠れている箒に声をかける
束「じゃじゃ~ん!やあ?」
箒「どうも…………」
束「久しぶりだね~、こうして会うのは何年振りかな~?大きくなったね、箒ちゃん!特におっぱいが……」
箒は篠ノ之束の『おっぱいが』の言葉が頭に来たのか、何処からか木刀を取り出し、篠ノ之束の顔面に突き決める。
箒「殴りますよ!」
束「殴ってから言った!箒ちゃん、ひど~い!ねぇ、いっくん。ひどいよね?」
篠ノ之束は一夏に助けを求めるが……。
一夏「は、はぁ……」
千冬「おい、束!自己紹介くらいしろ」
束「ええ?面倒くさいな……」
織斑先生の言葉に渋々と言った感じでこちらに振り向き、自己紹介をする篠ノ之束。
束「私が天災の束さんだよ~。ハロー!終わり!」
もの凄い、簡単で幼稚園生でもできるほどの自己紹介だった。
鈴「束って…………」
シャル「ISの開発者にして、天才科学者の……」
ラウラ「篠ノ之束」
束「フ、フ、フ~ン」
篠ノ之束はなにやら、意味ありげな笑いをした後、空に向けて指を差し示す。
束「さあ、お空をご覧あれ!」
その言葉で、皆が空を見上げると空からひし形の金属が落ちてきた。
何これ?使徒のラミエルなの?
束「じゃじゃあ~ん!これぞ、箒ちゃん専用機こと、【紅椿】!」
篠ノ之束がリモコンを操作するとひし形の物体は粒子変換され、中から赤いISが出て来た。
束「全スペックが現行ISを上回る、束さんお手製だよ?でも、例外はあるけどね?そこのイレギュラーとか」
篠ノ之束はこちらを睨み付けるが、そんな程度では俺は怯まない。そんなので怯んでいたら"
束「で、紅椿だけど、この天災束さんが作った第四世代型ISなんだよ」
ラウラ「第四世代?」
セシリア「各国がやっと、第三世代型の試験機が出来た段階ですわよ?」
シャル「なのに、もう……」
束「そこがほれ、天災束さんだから。さぁ、箒ちゃん。今からフィッティングとパーソナライズをしようか」
千冬「さあ、篠ノ之。黒牙、お前も手伝え」
雷真「えっ?」
千冬「お前はクラス代表を決めるとき、自分でお前の専用機である、ストライクのOSを書き換え、且つ、各国がやっきになって現在製作しているであろう、マルチロックオン・システムを作り上げた。その能力は束とあまり変わらんだろう?」
束「アハハハ、ち~ちゃん。そこのイレギュラーがそんなこと……」
千冬「現にやっている。そこのメガネをかけている生徒の専用機には黒牙が作った、マルチロックオン・システムが導入されている。それと、コイツはIS戦闘では一度しか本気を出していない」
「「「「えっ!?」」」」
シャル「そうなの、雷真?」
ラウラ「本当か、雷真?」
雷真「……織斑先生の言う通りだ」
織斑先生が言う通り、俺はクラス代表戦の襲撃事件に出て来た、グフとバビの殲滅の時しか、本気、所謂『殺気』を出したことがないのだ。
束「ち~ちゃんがそこまで言うならやってもらうかな?お前、名前は?」
雷真「黒牙雷真。覚えたければ覚えればいい。それと一つだけ質問がしたい」
束「何かな?」
雷真「篠ノ之束。貴女は、ザフト、オーブ、地球連合、そしてロゴスと言う名の軍や組織を知っているか?」
束「知らないよ?なんで、そんなことをこの束さんに聞くの?」
そうか、彼女は白か……。だとなると誰が、あの六機を作り、襲撃させたんだ?
雷真「もしも、貴女がその三つの軍か組織に与して、尚且つ、クラス代表戦の襲撃事件にあの六機を作ったのであれば……。俺はアンタを止めないといけない。最悪は……殺さなければいけなくなる」
俺は篠ノ之束に向けて全力の殺気を放つが、その殺気が少し刀奈たちの方に漏れてしまった。
「「「!?」」」ゾワリ
雷真「戦争をこっちの世界で起こさせないためにも」
千冬「黒牙、殺気を収めろ。皆が呼吸がしづらそうだ」
雷真「すみません」
俺は織斑先生の言葉で殺気を収める。すると、皆、一斉に酸素を求めるように荒い呼吸をする。
「「「かはっ!?」」」」ハアハア
鈴「何……今の……」ハアハア
セシリア「今の感じは……雷真さんが出してたのですか?」ハアハア
ラウラ「まさか、あそこまで濃厚な殺気をだすとは……」ハアハア
一夏「雷真……お前は一体……」ハアハア
束「へ~。お前、少し気に入ったよ。今日から『らっくん』って呼ぶことにしたよ」
千冬「!!」
一夏「!!」
箒「!!」
雷真「ご自由に」
束「それじゃ、らっくん。箒ちゃんのフィッティングとパーソナライズを手伝って」
雷真「織斑先生にも言われたのでやりますよ」
俺は紅椿に近づき、ホロウ・ウィンドウをタイピングしていく。タイピング速度は篠ノ之束とあまり変わらない。
束「箒ちゃんのデータは、ある程度先行して入れてあるから、あとは最新データに更新するだけだね」
鈴「凄い……信じられないスピードだわ……」
ラウラ「そんなスピードに易々とついていく、雷真もなかなかの物だ」
束「ほい、フィッティング終了。らっくんもありがとうね」
雷真「いえ」
束「いや~、らっくんがあんなに私のスピードについて来られるとは、驚きだよ」
束「それじゃ、試運転を兼ねて飛んでみてよ?箒ちゃんのイメージ通りに動くはずだよ」
箒「ええ。では、試してみます」
箒は精神統一をしてから、紅椿で一気に空へ。飛んで行った。
鈴「何、これ、早い!」
シャル「これが、第四世代の加速って、いうこと?」
束「どうどう?箒ちゃんが思っていた以上に動くでしょ?」
篠ノ乃束は頭のウサ耳が通信機になっているのか、手では何も通信機のような物を扱わずに箒と通信をしていた。
箒『え、ええ、まあ……』
束「それじゃ、刀を使ってもみてよ。右のが雨月で、左のが空裂ね。武器特性のデータ送るよ~」
篠ノ之束は再び、ホロウ・ウィンドウを出し、高速タイピングしていき、箒に紅椿の武器データを送信した。
一夏「…………」
空中で急停止した箒は右の刀である、雨月を空の彼方へ振るう。
箒『雨月、いくぞ!』
箒『はっ!』
箒が振るった雨月から無数の紅い光線が空の彼方へ真っ直ぐに飛んでいき、途中に雲の塊があったがそれを簡単に霧散させた。
箒『ほお……』
箒は雨月のあまりの性能にド肝が抜かれ声を漏らした。
そして、篠ノ之束は量子変換してあった、多連装ミサイルを箒に向けてぶっ放した。
束「いいねいいね!次はこれを打ち落としてみてね!」
箒はミサイルを紅椿の飛行速度で回避し、左の刀である、空裂の一振りでミサイルを一掃する。
ラウラ「やるな」
一夏「すげえ……」
束「うんうん、いいねいいね!フハハハハ」
篠ノ之束は箒の乗る紅椿の出来に満足なのか、無邪気な笑顔で笑っている。
箒『やれる!この、紅椿なら……』
真耶「た、大変です!」
いきなり、旅館の方から山田先生の切羽詰まった声が聞こえ、声がする方を向くと、そこにはジャージ姿でこちらに走ってくる山田先生がいた。
真耶「織斑先生!これを……」
山田先生はそのまま、織斑先生に何かの端末を見せる。すると、織斑先生の顔が険しくなった。
千冬「特命任務レベルA、現時刻より対策を始められたし……。テスト稼働は中止だ。お前たちにやってもらいたいことがある」
何やら、不穏な出来事が起こるようだ。
アヴァロン・フリーダムのビーム兵器を実技演習の授業でも使用するかについて
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アヴァロン・フリーダムの使用禁止
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アヴァロン・フリーダム ビーム兵器の禁止
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別機体のビーム兵器を使用
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別の機体を使う
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雷真は見学