自由と白式   作:黒牙雷真

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第25話

何処からか刀奈を目掛けて放たれたビームを対ビームシールドで弾いた雷真はストライクのレーダーで敵機を探すとレーダーには四機の熱源が探知された。

それは…………

 

 

雷真「ガイア、カオス、アビス。それに…………セイバー」

 

 

その四機がハイパーセンサーで目視できる距離まで近付いてくると雷真はセシリア、鈴、ラウラにある指示を出す。

 

 

雷真「セシリア、鈴、ラウラ!イレギュラーだ、例の約束を頼む!」

 

 

そう言って雷真は再び、ストライクのスラスターを一気に噴かし、ガイアたちに向かう。

 

 

セシリア「わかりましたわ……」

 

鈴「分かったわ……」

 

ラウラ「了解……」

 

 

三人は仕方ないと分かっていても、約束を守るために刀奈、簪、シャルロットに抱き付き、自分たちから逃がれられないよう拘束して、戦線を離脱する。

 

 

刀奈「ちょっ!セシリアちゃん!?」

 

簪「鈴!?」

 

シャル「ラウラまで!?」

 

セシリア「申し訳ございませんわ、刀奈さん」

 

鈴「ごめん、簪」

 

ラウラ「すまない、シャルロット」

 

 

刀奈、簪、シャルロットの三人はセシリアたちによる拘束を解こうとするが上手くいかない。

 

 

刀奈「セシリアちゃん、離して!まだ、雷真が!?」

 

簪「そうだよ、雷真がまだ!」

 

シャル「何で、こんなことするのさ!?」

 

セシリア「それは…………」

 

ラウラ「これは雷真の願いだからだ!」

 

刀奈「雷真の?」

 

ラウラ「雷真は出撃する前に言っていたんだ」

 

 

 

 

~回想~

 

 

 

 

 

雷真『三人に頼みがある。もし、イレギュラーが発生したら。俺を置いて、刀奈たちを連れて逃げてくれ。頼む』

 

 

 

 

 

~回想終了~

 

 

 

 

 

 

ラウラ「…………とな」

 

シャル「そんな…………」

 

簪「そんなことって…………」

 

刀奈「いや、いやぁぁぁぁぁ!!」

 

 

ダメ!行かせちゃ、ダメ、絶対にダメよ!今、彼を行かせたら…………帰って来ない気がするから。

 

 

刀奈「雷真!らいしぃぃぃぃぃん!!」ポロポロ

 

 

刀奈は泣きながら雷真の名前を叫ぶが刀奈の目に映るのは新たな未確認機体に一人で挑もうと突撃する雷真の姿だけだった。

 

 

 

 

 

 

▽▲▽

 

 

 

 

~BGM:狂気の果て~

 

 

 

 

 

 

セシリア、鈴、ラウラに刀奈たちを任せた雷真は一人でセカンドステージのエース機に挑んでいた。

 

 

雷真「まずは、刀奈たちから離さないと!」

 

 

雷真はザクやグフ、ザビのような量産型MS(モビルスーツ)が、この世界に存在しているだけでも困惑しているのにも関わらず、今回はセカンドステージのエース機で、尚且つ、ストライクから派生した特殊装甲、VPS(ヴァリアブルフェイズシフト)装甲を持つ機体が四機。

また、その四機の性能はキラ・ヤマトが乗っていた、フリーダムの性能に近付けているため、ファーストステージのストライクとの性能差は明らかである。

 

 

雷真「こっちだ!来い!」

 

 

雷真は、【ガイア】、【カオス】、【アビス】、【セイバー】の四機を刀奈たちと花月荘にいる、IS学園の生徒たちを守るためにかなり離れた場所にある孤島で一人で戦うために誘導する。

 

誘導している際に花月荘に居る、千冬から雷真へ緊急通信が飛んでくる。

 

 

千冬『黒牙!何故、お前だけ此方の帰投ルートから外れている!?』

 

 

雷真「すみません。現在、新たな未確認機体、四機と交戦。それも、よりによって"あちら側(コズミック・イラ)"のエースの専用機です!」

 

 

千冬『専用機だと!?』

 

 

雷真「念のため、四機の内の一機のデータを送ります!」

 

 

雷真は千冬に四機の内のカオスのデータを送ろうとするがカオスとセイバーの二機はMA(モビルアーマー)形態になりビーム攻撃を始める。

 

 

雷真「クソッ!」

 

 

千冬『どうした!?』

 

 

雷真「未確認機体からのビーム攻撃です!すみませんが通信を切ります」

 

 

千冬『待て!黒き……』

 

 

雷真は千冬の通信を一方的に切り、カオスとセイバーからのビーム攻撃を回避、または対ビームシールドで弾きながら千冬へ、カオスのデータを送る。

 

 

雷真「よし!データの送信完了。これで、戦闘に集中できる。けれど、ストライクで何処まで耐えられるか………」

 

 

ストライクのバッテリーはマルチプルアサルトのバッテリーパックは残り4つ。

他に使えるのは、バッテリーしか残ってないソードとオオトリ。それと武装の弾丸が無く、宿に戻る程度しかバッテリーが残っていないIWSP。

 

現在の武装で何処までカオスたちと殺り合えるかを考えていると左方向から三本のビーム、また下からは多数のビームが飛んでくる。

 

 

雷真「次はガイアにアビスのビーム攻撃か!」

 

 

ガイアとアビスのビーム攻撃をバレルロールやスプリットSで回避しながら海面にいるであろうアビスにバルカン砲で牽制しながら孤島に向けてスラスターを噴かす。

 

 

雷真「もう少し!」

 

 

スラスターを全開で飛ばしているが、性能差があるため、次第にカオス、セイバーのビームがエールストライカーパックの両翼に掠り始める。

 

しかし、それだけはなく海中ではMA(モビルアーマー)形態に変形したアビスが雷真の進行する方向に先回りし、海中から海面に出て、3連ビーム砲2門、カリドゥス複相ビーム砲、バラエーナ改2連装ビーム砲が襲ってくる。

 

 

雷真「クソッ、数が多い!?」

 

 

アビスから放たれる、計10門のビームを回避する。しかし、それが罠だとは雷真は直ぐに理解した。何故なら、回避した方向はセイバーの真ん前だからだ。

 

 

雷真「誘い込まれた!?クソッタレェェェェ!!」

 

 

セイバーはMA(モビルアーマー)形態のまま、雷真目掛け、アムフォルタスプラズマ収束ビーム砲2門が放たれた。

雷真は最早回避は不可能、防御してもアムフォルタスプラズマ収束ビーム砲の威力では防ぎ切れないと判断し、ランチャーパックのアグニで完全に相殺出来なくとも逸らすくらいならと思い放つ。

 

 

雷真「ぐぅぅぅぅ!!」

 

 

なんとか二発の内、一発は相殺。しかし、もう一発は逸らしは出来たものの残りがアグニに半分当たり爆発する。その爆発により、バッテリーが削られバッテリーパックが残り3つになってしまった。

 

 

雷真「このまま、じゃあ……」

 

 

続けて、カオスがファイヤーフライ誘導ミサイルを撃ってくる。雷真は誘導ミサイルをイーゲルシュテルンで迎撃。誘導ミサイルはイーゲルシュテルンで爆発し、爆煙が発生する。

 

 

雷真「次は…………」

 

 

爆煙でカオスを見失っていると爆煙の中から大量の実弾の雨が雷真に降り注ぐ。それはセイバーとカオスの武装であるCIWSだ。

 

 

雷真「ヤバイ、装甲が!?」

 

 

あまりのCIWSの量でソードの対ビームシールドでも防ぎ切れずにストライクのバッテリーが急激に減少し、やがてフェイズシフトダウンを起こしてしまった。

だが、それだけならよかったのだが、運が悪いことに先ほどのアグニの爆発でエールストライカーまで被弾したようだ。

 

 

バチバチバチバチ!!

 

 

ボンッ!

 

 

 

雷真「スラスターまで!?」

 

雷真「グアアアアアアアッ!!」

 

 

 

先ほど、カオスとセイバーのビームを擦った際にエールストライカーがおかしくなったのかスラスターが爆発。そして、スラスターが完全停止をしてしまい、雷真は空中で身動きが取れない状態になる。

 

 

雷真「オオトリ!」

 

 

雷真はオオトリを高速切替(ラピッド・スイッチ)ではなく、コールで呼び出し換装する。すると灰色だった装甲が新たな電力を得たことにより装甲の色が灰色からトリコロールカラーに変わる。そして、カオスたちの攻撃網から脱出するために対ビームシールドを構えながらオオトリのスラスターを全開にする。

カオスたちの射程範囲から離脱に成功すると雷真は孤島に向かいながら反撃をする。

 

 

雷真「お返しだ!」

 

 

雷真はオオトリのレールガンとビームランチャーとビームライフルでカオスたちを狙うがやはりセカンドステージとファーストステージの専用機とでは性能差があるためか、なかなか思う様に攻撃が当たらない。

 

 

雷真「当たらない!?」

 

 

カオスたちと攻防を繰り返しながら、なんとか孤島に到着した雷真はアビスを海中ではなく地上に誘うように孤島にある森の中へと入る。

 

 

雷真「よし、このまま」

 

 

それを追いかけるようにガイア、カオス、アビスがMS(モビルスーツ)形態で追撃してくる。セイバーはMA(モビルアーマー)形態のまま空から索敵をしているようだ。

 

 

雷真「何処か身を隠せるところで武装の確認をしたいな」

 

 

雷真は森の中へ入るとオオトリをストレージに戻し、装備をソードへ換装し、木々の陰に隠れながら身を隠せる場所を探す。すると孤島の中央に山があり、その中へと繋がる洞窟入り口を見つけた。

 

 

雷真「行くか」

 

 

スラスターを噴かさずに自力でゆっくりと足音を立てないように歩きながら洞窟の入り口へと足を踏み入れる。

 

ストライクのツインアイで洞窟内を照らしながら奥へと進み。ある程度まで入ったら大きな岩を盾にするようにして腰を落とす。

 

 

雷真「残り武装とSEは…………」

 

 

ホロウウィンドウを出し。現在、使用できる武装を確かめていく。

 

 

雷真「ビーム兵器はバッテリーがあればなんとかなる。大鑑刀はソード、オオトリの二本。ビームシールドはソードとエールで二つ。あとアグニ以外のランチャーパックにガトリング砲にバズーカランチャー。他はオオトリの武装か……。SEは何回も瞬時加速(イグニッション・ブースト)を使ったから残り5割か……」

 

雷真「それにしても、何であの四機があるんだよ。あの四機はキラとシンが墜としたはずだ。なのに、なんで?」

 

雷真「考えられるのは3つ。1つ、俺と同じように"こちら側"から"あっち側(コズミック・イラ)"に行って帰ってきた奴が作り上げたか。2つ、俺のケースとは違い、"あちら側(コズミック・イラ)"から来て作り上げたケース。3つ、元々、この世界にあの四機のデータがあった。」

 

雷真「最後の3つ目は除いていいだろう。けれど残り二つは厄介だな。もしも、これがブルーコスモスやロゴスの奴らだったら……」

 

 

ザクやグフ、バビのみならず、ガイアたちが何故"こちら側"の世界に存在するのかを考えていると洞窟の入り口から爆風が飛んでくる。

 

 

雷真「ま、まさか!?」

 

 

どうやら、雷真の嫌な勘というものは当たるようだ。

爆風の原因は入り口にいるであろう、ガイアたちが山もろとも雷真を押し潰そうと洞窟の入り口にビームを連射しているからだ。

 

 

雷真「無茶苦茶にも程がある!」

 

 

瓦礫で押し潰される前に出口を探し、洞窟から脱出することにした。雷真は洞窟の中央で上から射し込む太陽の光を見つけた。

 

 

雷真「多分、罠だろうな。けれど、今は時間がない」

 

 

バックパックをソードからオオトリに再び換装し、両肩にはソードとランチャーの装備を装備する。所謂、なんちゃってマルチプルである。そして、オオトリのビーム砲を太陽の光が射し込んでいる所へ放ち、そこから外へと出る。

 

けれど、やはりというべきか雷真が開けた場所にはカオス、ガイア、セイバーの三機が待ち構えていた。

 

 

雷真「罠と分かっていたが、嫌な物だな!」

 

 

カオスたちは雷真を捉えるとビームライフルで攻撃する。それに対抗するように雷真もビームライフルやビーム砲、レールガンを撃つ。

 

しかし、いくらファーストステージの機体よりもエネルギー効率が改善されたとはいえ、かなりの数のビームを放っているのにも関わらず、カオス、ガイア、セイバーのエネルギー切れが起こる気配が見えない。

逆にストライクのバッテリーが危険域に入り始めている。

 

 

雷真「いくらなんでもエネルギーの持ちが良過ぎるだろう!?」

 

 

愚痴を溢しながら三機の相手をしているとカオスが何故か今まで使って来なかった、機動兵装ポッドでのビーム攻撃までもが加わる。

 

 

雷真「ドラグーンまで!?」

 

 

ガイア、セイバー、カオス。そして、カオスによる機動兵装ポッドにより、四方八方からのビーム攻撃が雷真を襲う。

 

 

雷真「クソッ、捌き切れない!!」

 

 

ついに完全に囲まれてしまった雷真はガイアたちによるビーム攻撃をもろに受けてしまう。

しかし、ISにはSEがあるため致命傷は避けられたが装甲はフェイズシフトダウンを起こし、バックパックのオオトリは大破してしまい、そのまま海面に向けて落下してしまう。

 

 

雷真「うわああああああ!!」

 

 

しかし、これだけに終わらなかった。何故なら、雷真が戦闘しているのはガイア、カオス、セイバーの三機だけでなく、アビスもいるのだから。

そして、そのアビスは落下している雷真の真下で雷真に全ビーム兵器を向けていた。

また、上空からはセイバーたちがビームライフルと機動兵装ポッドを雷真に向けていた。

 

 

雷真「ダメだ…………避けきれない」

 

雷真「ごめん、三人とも。お前たちとの約束、守れそうに…………」

 

 

雷真が今頃、花月荘に無事に帰還しているであろう、刀奈、簪、シャルロットの三人に最後の言葉を残そうとしているとセイバーたちからビームが放たれる。ビームは雷真が乗る、ストライクに命中する。

 

しかし、命中する際にストライクのツインアイが光り、雷真は意識を失っていく。

また、雷真は意識が薄れ行く中である男の声を聞いた。

 

 

 

 

─今、君には死んでもらっては困るのだよ。

クロキバ・ライシンくん─

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▽▲▽

 

 

 

 

 

 

~少し時間を遡り、花月荘にて~

 

 

 

雷真が単独で作戦領域に残り、刀奈たちだけが雷真から離れ、花月荘へ帰還するルートを飛行していることに気が付いた千冬は雷真に通信を送ろうとする。

 

 

 

千冬「黒牙!何故、お前だけ、此方の帰投ルートから外れている!?」

 

 

雷真『すみません。現在、新たな未確認機体と交戦。それも、よりによって"あちら側(コズミック・イラ)"のエースの専用機です!』

 

 

千冬「専用機だと!?」

 

 

雷真『念のため、四機の内の一機のデータを送ります!』

 

雷真『クソッ!』

 

 

千冬「どうした!?」

 

 

雷真『未確認機体からのビーム攻撃です!すみませんが通信を切ります』

 

 

千冬「待て、黒牙!おい!聞こえているのか黒牙!!」

 

千冬「クソッ!」

 

千冬は苛立ちに任せて通信機を畳に投げつける。すると真耶から雷真によって送られた、未確認機体一機のデータが送られたことを知る。

 

 

真耶「織斑先生!黒牙くんからの未確認機体のスペックデータです!」

 

千冬「直ぐに表示してくれ」

 

真耶「はい!」

 

千冬「いいか!今から表示される機体データはIS委員会に提出するな。そんなことをすれば、戦争が起きるからな?分かったか!」

 

 

「「「「はい!」」」」

 

 

そして摩耶によって表示された未確認機体のスペックを見た千冬たちはあまりの性能に驚きを隠せないでいた。

 

束「何、この出鱈目な性能……」

 

千冬「【ZGMF-X24S カオス】………なっ!?VPS(ヴァリアブルフェイズシフト)装甲だと…………」

 

真耶「先輩!!」

 

千冬「ああ、間違いない。コイツの機体性能はストライクを大きく凌駕している。そんな奴らに黒牙の機体でも通用するはずがない。黒牙の奴め………無茶なことを」

 

 

これから、どうしたものかを考えていると、セシリアたちによって作戦領域から強制的に帰還させられた、刀奈たちが千冬たちの前に現れる。

 

 

刀奈「離して!」

 

簪「そうだよ!」

 

シャル「僕たちは雷真のところへ行かないといけないんだ!」

 

千冬「お前たちが行ったところで黒牙の邪魔だ!!」

 

 

雷真のところへ戻ろうとする刀奈たちを千冬はその一言で一喝する。

 

 

 

 

~BGM:君は僕によく似ている verオーケストラ~

 

 

 

 

刀奈「私たちが雷真の邪魔…………?それはどういうことですか!?」

 

簪「そうです!説明してください!」

 

シャル「織斑先生!」

 

千冬「なら、この機体データを見てみろ」

 

 

千冬は刀奈たちに雷真から送られてきた、カオスの機体データを見せる。

 

 

刀奈「うそ…………」

 

簪「なに…………これ」

 

シャル「こんな出鱈目な性能…………」

 

セシリア「それに私と同じビット兵器に…………」

 

鈴「雷真のストライクの上位互換の装甲だなんて…………」

 

ラウラ「雷真、貴様…………」

 

千冬「これで分かったか?黒牙はお前たちを生かすために今も一人で戦っているんだ!」

 

シャル「そんな…………」

 

簪「私たちのために…………」

 

刀奈「雷真…………」

 

 

千冬から雷真の思いを刀奈たちが聞いた時…………

 

 

 

ピ─────ッ!

 

 

 

………と心電図モニターが心肺停止を示す警告音が聞こえた。

また、それに合わせたかのように刀奈、簪は雷真からもらった太陽と月のお守りが、シャルロットも同じように雷真からもらった星のブレスレットが壊れる。

 

 

「「「えっ?」」」

 

 

刀奈「らい………しん?」

 

摩耶「うそ……………でしょ?」ポロポロ

 

千冬「どうした、真耶!?」

 

真耶「せん……ぱい。ストライクのIS反応…………ならびに…………黒牙くんの生体反応が…………」ポロポロ

 

 

作戦室にいる人員皆が、真耶がこれから言おうとする言葉が自分たちの思っている言葉とは違ってくれと願うが現実はそんなに甘くはない。

 

 

真耶「…………ロストしました」ポロポロ

 

 

「「「「「………………」」」」」」

 

 

まさかの雷真のロストが涙を流す真耶の口から告げられた。

 

 

刀奈「そんな……嘘よ……いや、いや、イヤイヤイヤイヤ、イヤァァァァア!!」

 

簪「お姉ちゃん!?」

 

シャル「刀奈!?」

 

セシリア「刀奈さん!?」

 

鈴「刀奈!?」

 

ラウラ「刀奈!?」

 

千冬「更識!?」

 

 

雷真のロストを聞いた、刀奈は頭を抱えて叫び出し、意識を失ってしまう。それを簪が抱き止める。

 

 

刀奈「雷真が死ぬはずがない………絶対になにかの間違いよ…………」ポロポロ

 

簪「お姉ちゃん…………」

 

シャル「刀奈……」

 

鈴「簪とシャルロットは平気………じゃないわよね」

 

簪「平気ではないよ…………」

 

シャル「僕も雷真が死んだなんて、今でも信じられない。頭の中の整理が付いてないから、今はどういう反応をしていいか分からないだけだよ」

 

鈴「そう……ごめんなさい」

 

簪「織斑先生、私たちは一度部屋に戻ります」

 

千冬「すまない」

 

簪「いえ……」

 

 

刀奈、簪、シャルロットが作戦室から出て行ってから千冬はセシリアたちに一夏が負傷したことを伝えた。

それを聞いた三人は一夏の元へと走りはしなかった。

自分たちよりも今は辛い思いをしている者たちを目の前で見てしまっては走りだしたりはできないでいた。

 

 

千冬「真耶、束。少し、任せる」

 

束「了解」

 

真耶「わかりました」

 

 

千冬は作戦室から出て、海岸にある岩場へと行き。そして…………。

 

 

千冬「クソガアアアアア!!」ドゴン!

 

 

岩に向けて怒りと後悔を合わせた力任せの右拳を打ち込む。それにより岩には罅が入り、右拳からは血が流れ出る。

 

 

千冬「何が世界最強のブリュンヒルデだ!何が最強の女だ!生徒一人すら守れずに死なせてしまう、こんな有り様じゃないか…………」

 

 

千冬は涙を決して流さない。自分よりも涙を流したいはずの二人が理解が追い付かずに涙すら流せなかったのだから。

 

 

 

アヴァロン・フリーダムのビーム兵器を実技演習の授業でも使用するかについて

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