とある宇宙に白い大きな艦が飛行している。それはかつて、二度の戦争で生き抜き、『不沈艦』と呼ばれた大天使。その名は【アークエンジェル】。
その、アークエンジェルの中には二度の戦争で英雄と謳われた青年も乗っていた。
???「もう直ぐだな、カガリ?」
カガリ「そうだな、アスラン。あと、少しでキラやラクスがいる、プラントに到着するな」
アスラン「分かっているとは思うが、今回は遊びでなく……」
カガリ「三度目のユニウス戦争終戦記念式だろう?それくらい、私だって分かっているさ。けれど、少しはリラックスしたいものだ」
アスラン「それは分かるが……。ラクスもあんな体なのに頑張っているんだ。君も頑張ってくれ」
カガリ「あと8ヶ月で私も叔母さんか…………」チラチラ
アスラン「お、俺も、その……子供は欲しいがもう少し待ってくれ。俺も君の仕事を引き継ぐために色々と根回しがだな…………」
カガリ「それも分かってる。アスランが私のために色々と努力してくれていることは」
アスラン「…………」
カガリ「でも、少しだけいいだろう?」
アスラン「カガリ……」
カガリ「アスラン……」
二人は熱い眼差しで互いの瞳を見つめ、そして…………。
【ピピピピピピッ!】
「「!?」」ビクッ
二人は艦内通信を知らせるアラームで咄嗟に距離を取る。
そして、アスランは艦内通信の応答ボタンを押す。
アスラン「はい!アスランです」
マリュー『ごめんなさい、アスランくん。お休み中に』
アスラン「いえ。それで、どうしたんです?」
マリュー『ただ、今後の日程を再確認しようと思って……』
アスラン「そうですか。なら、これからブリッジへ向かいます」
マリュー『なら、お願いするわ』
アスランは艦内通信を切り、カガリに一言言ってからアークエンジェルのブリッジへ向かうと…………。
ミリアリア「艦長!」
マリュー「どうしたの?」
ミリアリア「アークエンジェルのレーダーに突如、熱源を感知」
マリュー「えっ!?」
マリュー「熱源の照合はできる?」
ミリアリア「待ってください。熱源の照合は…………え!?うそ…………でも、そんな…………」
アスラン「どうしたんだ、ミリアリア?」
ミリアリア「熱源の照合…………照合されたのは…………【GAT-X 105】……ストライクです」
「「「ストライク!?」」」
マリュー「待って!ストライクは過去の大戦で大破して、まともに動けるのはないはずよ!?」
ムウ「そうだぜ」
アスラン「いえ、艦長!一機だけ…………もう、一機だけ存在します。けれど…………」
マリュー「まさか!?」
ムウ「おいおい!お前さんが言う、もう一機のストライクってアイツに贈った物じゃないだろうな?」
アスラン「わかりません。なので、ジャスティスで確認してきます。ミリアリアはオープンチャンネルでストライクに呼び掛けてくれ!もしかしたら、アイツかもしれないからな」
ミリアリア「うん、分かったわ!」
マリュー「アスランくん、お願いね」
アスラン「はっ!」敬礼
ムウ「待て!俺も出る」
アスランとムウは急いで更衣室に向かいパイロットスーツを着て、ジャスティスとアカツキが格納されている場所に向かい、自分たちの機体に搭乗する。
搭乗したあとはコックピットに座り、シートベルトを締め、機体の電源を入れる。入れたあとは機体をカタパルトに移動させる巨大アームによってカタパルトへ移動させられる。
その際、管制官のミリアリア・ハウの通信が入る。
ミリアリア『アスラン……』
アスラン「どうした?ミリアリア」
ミリアリア『それがアークエンジェルからストライクに呼び掛けても応答がないの。だから…………』
アスラン「なら、俺たちが近づいて直接連絡を取ってみる」
ミリアリア『ありがとう。どうか、私の義弟を…………ライシンをお願い』
アスラン「わかった」
ミリアリアの義理の弟であり、アスランの友である、雷真のことを話し、通信を切るとミリアリアにより管制のアナウンスが聞こえてくる。
ミリアリア『APUオンライン。カタパルト接続』
今まで機体を掴んでいた巨大アームはカタパルトの真上に行くと機体をカタパルトに接続するために機体を放す。すると放した影響でコックピットが少し揺れる。
ミリアリア『各パワーフロウ正常。進路クリア。インフィニット・ジャスティス。発進、どうぞ!』
アスラン「アスラン・ザラ。ジャスティス、出る!」
ミリアリア『続いて、アカツキ。発進、どうぞ!』
ムウ「ヨッシャーッ!ムウ・ラ・フラガ。アカツキ、出るぞ!」
◇◆◇
アークエンジェルが発進した。アスランとムウは突如、レーダーに現れたストライクの元へと急ぐ。
ムウ『アスラン』
アスラン「何ですか、フラガ一佐」
ムウ『本当に、あのストライクにライシンが乗ってると思うか?』
アスラン「俺はそう思います。何故なら、アイツは別の世界からやって来て、そして…………帰って行った。だから、今回も、何らかの影響でこちら側に来てしまったんだと思います」
ムウ『…………』
アスラン「目標まで、あと7kmです」
ムウ『了解!』
二人とストライクの距離が5kmまで近づくと、ジャスティスとアカツキのメインカメラにストライクを目視できた。
しかし、メインカメラによって捉えられたコックピットのモニターに映し出されたストライクは…………。
アスラン「これは………」
ムウ『こりゃ…………ひでぇや……』
まさに、胴体……コックピット以外の部分がビーム兵器か何かで大破させられ、装甲もフェイズシフトダウンしている状態だった。
アスラン「ライシン…………」
アスラン「こちら、オーブ連合首長国、第二宇宙艦隊アークエンジェル所属のアスラン・ザラだ。ストライク、聞こえるか?聞こえているなら、応答してくれ。繰り返す」
アスランが二度、繰り返した時にストライクから微かな声が聞こえてきた。その声は…………
雷真『アス…………ラン?』
ムウ『坊主!?』
アスラン「ライシン、お前なのか?」
しかし、それを最後に雷真の声が聞こえなくなった。それに気づいたアスランは雷真が何かしら負傷をしており、気を失っているので返答が出来ないのではないかと考えた。
アスラン「クソッ!フラガ一佐、至急ストライクを回収し、帰投します」
ムウ『索敵は任せろ!』
アスラン「お願いします。こちら、ジャスティス。アークエンジェル、応答願います」
アスランはムウと雷真を連れて帰投しながらアークエンジェルに通信を行う。
マリュー『こちら、アークエンジェル。どうしたの?アスランくん』
アスラン「目標のストライクと接触。パイロットはクロキバ・ライシン中尉と判明。ならびに中尉は負傷している模様。至急、格納庫に救護班を!」
マリュー『えっ!?』
マリュー『わかったわ。救護班を急がせて!』
アスラン「持ち堪えてくれよ、ライシン……」
◇◆◇
アスランとムウは、アスランがマリューに救護班を頼んだ後、急いでアークエンジェルに戻り、ボロボロになったストライクから雷真を収容する。
その際、義理の姉である、ミリアリアも格納庫に来ていた。
アスラン「ライシン!おい、ライシン!」
ミリアリア「ライシン!ライシン!」
雷真「…………」
アスラン「早く、担架を!」
ストライクから回収され担架に乗せられた雷真はそのまま、アークエンジェルの救護室に運ばれた。
そして、救護室の医者が見たのは…………。
医者「これは酷い…………全身、傷だらけじゃないか!」
パイロットスーツではなく、アンダーウェアのような物を着た雷真の身体にはあちらこちらに火傷や切り傷のような物があった。
幸い、出血はしてはいなかったが至るところがボロボロだった。
医者「それに、この衣類はなんだ?パイロットスーツと違うようだが…………取り敢えず、これを脱がさないと」
医者は雷真が着ていたISスーツを上半身だけ脱がし、アークエンジェルでできる、最大限の処置を施すことにした。
ミリアリア「先生、ライシンは!ライシンは大丈夫なんですか!?」
医者「今のところは呼吸、心肺共に正常だよ。けれど、かなり無茶をしたようだね」
ミリアリア「ライシン……」
アスラン「ミリアリア、君はライシンに付いていてくれ。艦長には俺から話しておくから」
ミリアリア「ありがとう、アスラン」
その後、ミリアリアはずっと雷真の側に居ることになった。そして、アスランは格納庫で何故、雷真がこんなにもボロボロの状態だったのかを知るために格納庫にいるマードック曹長にストライクの戦闘データを抽出してもらうことにした。
その結果…………。
マードック「おいおい、マジかよ……。誰か至急、艦長とフラガ一佐とアスランを呼んで来てくれ!」
「は、はい!」
マードック「こいつはヤベェ物がデータに残ってやがる」
マードックはストライクの戦闘データを見て、これは自分の手には余る物だと直ぐに理解した。
マードックが部下にマリュー、ムウ、アスランの三人を呼び寄せ、三人が集まった。
マリュー「それでマードック曹長、私たちを呼んだのは何かしら?」
マードック「それなんですがね……今、先ほど、ストライクの戦闘データを抽出したんですがヤベェ物が映っていて……」
ムウ「ヤバイ物?」
マードック「これでぇさ」
ストライクからデータを抽出する機械のモニターに映しだされたのは…………。
マリュー「これは…………!!」
ムウ「マジかよ……」
アスラン「バビ、グフ、ザク…………それに、ガイア、アビス、カオス、セイバー……!?」
アスランたち三人は雷真が乗っていた、ストライクがこんなボロボロになる理由は理解できたが、何故、ZAFTの機体が雷真の世界にあるのかが理解できないでいた。
マードック「まさか、こんな物が映ってるとは思わなくて……俺の手にはちょっと……」
アスラン「このデータのコピーをお願いします」
マードック「わかった」
アスラン「それから艦長。このことはキラに伝えます」
マリュー「ええ、その方がいいわ。お願いね、アスランくん」
アスラン「はい」
マードックから戦闘データのコピーをもらって、アスランはブリッジに向かい、キラへと連絡を取ることにした。
アスラン「こちら、オーブ連合首長国、第二宇宙艦隊アークエンジェル所属のアスラン・ザラです。プラント、至急、キラ・ヤマト指揮官にお伝えしたいことがあります」
『こちら、プラント。少々、お待ちください』
プラント側の担当者に待たされること10分、プラント側から通信が来た。
キラ『もしもし、アスラン、どうしたの?いきなり、軍事回線で連絡してくるなんて……』
アスラン「それが、かなりヤバイ案件でな」
キラ『どういうこと?』
アスラン「アイツが……ライシンがまた"
キラ『ライシンが!?』
アスラン「ああ。それでライシンが乗っていたストライクなんだが……この有り様だったんだ」
アスランはジャスティスのデータと格納庫に収容されているストライクのデータをキラに送った。
キラ『これは!?』
アスラン「これだけじゃないんだ、キラ」
続いて、アスランはストライクの戦闘データを再び、キラの元へ送った。
キラ『この機体…………でも、なんで?この機体たちは、僕やシン、それにバルトフェルトさんが……』
アスラン「ああ、わかっている。セイバーはキラが、アビスはシンが、カオスはオーブ軍が墜としたはずだ。それにガイアはバルトフェルト隊長の機体だ」
キラ『なら、どうして……』
アスラン「それはわからない。だが、ライシンは再び元の世界に帰るはずだ。だから、俺たちにできることは……」
キラ『ライシンに、僕やアスランの様に守るための【剣】を託すことだね』
アスラン「ああ。だから、俺はあの機体をライシンに託すべきだと思う。前にラクスからお前の伝言を聞いた様にアイツも何かしたいのに出来ないのが一番辛いだろうからな」
キラ『僕もそれは思うよ。僕の方でもあの機体の手続きはしておくよ。プラントに着いたら、また連絡をちょうだい、じゃあ』
アスラン「わかった」
それを機にアスランとキラは互いに通信を切る。
◇◆◇
アスランがキラと通信をしている頃、救護室では…………。
【ピトッ……ピトッ……ピトッ……ピトッ……ピトッ】
雷真「んん…………あ、れ?」
ミリアリア「ライシン?ライシン!」
雷真「ミリ……アリア?」
ミリアリア「よかった、目が覚めたんだね!もう、心配したんだから!」
雷真「俺は確か…………」
雷真は今まで自分が何をしていたのかを思いだすと、脳裏にガイアたちとの戦闘の記憶がよみがえる。
雷真「はっ!ガイアたちは…………グッ!!」
雷真はガイアたちのことが気になり、勢いよくベッドから身体を起こそうとすると全身に鈍い痛みが走り、身体を抱き抱えてしまう。
ミリアリア「ダメよ、動いちゃあ!」
雷真「ぐぅぅぅ……」
そんな雷真をミリアリアは優しくベッドに寝かせる。
ミリアリア「今は安静にしてなさい。貴方の身体は全身ボロボロなんだから」
雷真「それより、何でミリアリアが?」
ミリアリア「ここはアークエンジェルの救護室よ」
雷真「アークエンジェル?だとしたら、俺は、また…………」
ミリアリア「そう、コズミック・イラに帰ってきたの。こっちは貴方が元の世界に帰ってから3年の月日が経ってるわ」
雷真「ってことは……コズミック・イラ77年か……」
ミリアリア「そうなるわね。ところでライシン、貴方は何であんなにボロボロだったの?それにガイアって、確かZAFTの……」
???「それに関しては私たちも聞きたいわ」
ミリアリアがガイアたちのことを雷真に聞こうとすると救護室の入口からアークエンジェルのクルーの声が聞こえた。
雷真「艦長?それにフラガ一佐にアスラン、まで……」
ムウ「よう、坊主。元気……なわけないか」
雷真「ええ、今の状態では」
マリュー「そんな状態で悪いのだけれど。できれば、ライシンくんのストライクに記録されていた、ZAFT軍の
雷真「いえ、今で大丈夫です。ミリアリア、悪いけどの身体を壁に寄り掛からせる形にしてくれるか?」
ミリアリア「うん、わかった」
アスラン「俺も手伝おう」
ミリアリアとアスランによって身体を起こした、雷真は深呼吸をしてからストライクに記録されていた。バビ、グフ、ザク、ガイア、カオス、アビス、セイバーのことについて語りだした。
雷真「まず、最初にZAFTのバビとグフと会敵したのは俺の世界にあるISの学校でクラス代表トーナメントがあった日なんだ」
ムウ「ISって確か……」
アスラン「元々、宇宙空間の行動を目的とした。パワードスーツだったな」
雷真「はい……それで、何故か分からないけど、IS学園を奇襲してきた、バビとグフを俺がストライクで三回、警告通信を行ったんですが応答がなく、やむをえず…………撃墜した」
アスラン「パイロットは?」
雷真「それが全機とも無人機だったよ。ソードストライカーの大艦刀で串刺しにしたけど血飛沫が出なかったんだ」
アスラン「そうか……なら、ザクやガイアたちも」
雷真「ああ。ザフトのイザークが元々乗っていた、イザーク専用のザクファントムも、ストライクの戦闘データを見ていると思うから分かるように、あれも無人機だ。それにガイアたちも変形できるから無人機だ」
マリュー「そう…………ありがとう、ライシンくん。今はゆっくり休んでちょうだい。それとアークエンジェルは現在、プラントに向けて航行中よ」
雷真「わかりました」
話が終わると再び、ミリアリアとアスランに身体をベッドの上に寝かせられ、雷真は眠りにつく事にした。
アヴァロン・フリーダムのビーム兵器を実技演習の授業でも使用するかについて
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アヴァロン・フリーダムの使用禁止
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アヴァロン・フリーダム ビーム兵器の禁止
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別機体のビーム兵器を使用
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別の機体を使う
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雷真は見学