自由と白式   作:黒牙雷真

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第36話

  

 

 

一夏「デヤアアアアッ!!」

 

鈴「セヤアアッ!!」

 

 

夏休みが開けて二学期初めての戦闘訓練の授業。

現在、アリーナで一夏は鈴の専用機である甲龍の龍咆を掻い潜り、近接戦闘を仕掛ける。やがて、互いに近接戦闘となり得物で激しくぶつかり合う。

 

そして、鍔迫り合いになると一夏は第二形態移行(セカンド・シフト)したことにより白式の左腕に追加され多機能武装腕《雪羅》の射撃モードで荷電粒子砲を鈴に向けて放つ。

 

そんな、二人を地上から雷真はいつもの面子で眺めている。

 

 

刀奈「ねぇ、雷真。この模擬戦どちらが勝つと思う?」

 

雷真「一夏の負け」即答

 

シャル「即答なんだ………」苦笑

 

セシリア「即答でしわね」苦笑

 

雷真「だって、あのバカは白式が元々、燃費が悪いって分かってて、新しく追加されたこれまた燃費が悪い武装の荷電粒子砲をバカスカと撃ってるからだ。てか、零落白夜を外し過ぎだ!」

 

刀奈「うんうん」

 

 

それと刀奈。頷いてるなら、教えてやれよ。

 

 

 

 

 

と専用機持ちに一夏の欠点を教えていると戦闘終了のブザーが鳴る。模擬戦の結果はやはり鈴の勝ちのようだ。

 

 

鈴「一夏。アンタ、バカスカと荷電粒子砲を撃ち過ぎなのとエネルギーの使い過ぎよ。もっと効率を考えなさいよ。ただでさえ、甲龍は燃費の安定性が第一に設計されてるんだから」

 

一夏「そんなこと言っても、第二形態移行(セカンド・シフト)してから前のよりもSE消費が多いんだよ」

 

鈴「なら、尚更よ」

 

 

と二人は白式のエネルギー効率の話をしながら、此方に戻ってくる。

 

 

雷真「お疲れ」

 

鈴「ありがとう」

 

一夏「サンキュー」

 

 

千冬『次、黒牙とボーデヴィッヒ』

 

 

と織斑先生から指示が飛んでくる。

 

 

「「了解!」」

 

 

なので、返事をしてなら直ぐに首にかけている待機状態のフリーダムに『起動』と念じるとゼロコンマでフリーダムを俺の身体に纏う。

 

 

雷真「黒牙雷真、フリーダム。行きます!」

 

 

地面を少し蹴るようにしてからPS(フェイズシフト)装甲を起動させてスラスターを噴かし、一気に高さ50mほどまで飛翔する。

また、少し遅れてからラウラのシュヴァルツェア・レーゲンが飛翔してくる。

 

 

ラウラ「やはり、お前のフリーダムは驚異的な速さだな」

 

雷真「フリーダムの特性は高速機動と多種多様な射撃武装だからな」

 

ラウラ「なるほどな。しかし、今度は勝たせてもらうぞ、雷真!」

 

雷真「ああ、かかってこい!」

 

 

 

夏休みの訓練でフリーダムの操作に慣れるため幾度となく、専用機持ちと模擬戦闘を繰り返した。

戦績は一夏、箒、セシリア、鈴、シャルロットには被弾無しで全勝。他の三人は最初の内は数発被弾したが、全勝。

 

 

 

ラウラ「撃てーっ!」

 

 

ラウラは戦闘開始のブザーと同時にシュヴァルツェア・レーゲンのレールカノンを撃ってきたので後退しながらラミネートアンチビームシールドを構えて防ぎながら、ラミネートビームシールドの横に付いているガンポートにルプスビームライフルの銃身を差し込み、ビームを撃つ。

 

 

(※以後、ラミネートビームシールドと省略。by作者)

 

 

 

ラウラ「防ぎながら、撃ってくるとは!?」

 

雷真「そう簡単にはやれないさ」

 

ラウラ「まだまだーっ!」

 

 

俺からのビームをラウラは地面を滑るようにして回避行動をしながら、ワイヤーブレードを射出してくるのでそれを全て回避する。

 

 

ラウラ「やはり、レールカノンとワイヤーブレードではフリーダムを捉えられないか…………ならばっ!」

 

 

ラウラはレールカノンとワイヤーブレードだけではフリーダムの機動性を抑えられないと分かるとプラズマ手刀を両腕手首から出し、ワイヤーブレード6機全てを射出して近接戦闘を仕掛けてくる。

 

 

雷真「今度は近接戦闘か…………受けて立つ!」

 

 

俺はラウラのワイヤーブレードを避けながらルプスビームライフルを後ろ腰へマウントし、ラミネートビームシールドを上へ高く放り投げてから両腰にあるラケルタビームサーベルを二本とも引き抜き、ラウラに応戦する。

 

 

ラウラ「ハアアアアッ!!」

 

雷真「デヤアアアアッ!!」

 

 

ラケルタビームサーベルとプラズマ手刀がぶつかり合うとガキィンッという音を立てながら火花を散らし、鍔迫り合いになる。

 

 

ラウラ「くっ…………パワーで押される」

 

雷真「ラウラにしては、珍しく愚策に出たな?」

 

ラウラ「はっ………!」

 

 

ラウラは俺の言葉であることを理解したのは、前に一夏にやった戦法。ストライクやフリーダムのようなMS(モビルスーツ)型には頭部に近接防御機関砲が搭載されている。故に、鍔迫り合いになるほどの至近距離に居れば、間違いなく近接防御機関砲の餌食だ。

 

 

 

ラウラ「くそっ!」

 

雷真「逃がしてやるほど、俺は甘くないっ!」

 

 

直ぐに鍔迫り合いから後退しようとするラウラだが、そんなことをさせる俺ではなく。フリーダムの実弾兵器である近接防御機関砲ピクウスとクスィフィアスレール砲二門を連射して、一気にシュヴァルツェア・レーゲンのSEを削っていく。

 

 

ラウラ「このままでは!?」

 

雷真「ラウラ」

 

ラウラ「なんだ!」

 

雷真「前ばかり気にしてるのはいいけど頭上注意な」

 

ラウラ「はぁ?」

 

ラウラ「ぐはっ!?」ガゴンッ!

 

 

 

説明しよう。今、ラウラに何が起きたかというと、少し前に俺はラケルタビームサーベルを抜く前にルプスビームライフルを後ろ腰へ、ラミネートビームシールドは空へと投げた。

そして、先ほどピクウスとクスィフィアスレール砲二門の攻撃をラウラは被弾しながら回避し続けていた。ここまでは、良い。

 

しかし、ラウラは知らず知らずのうちに俺の射撃によってラミネートビームシールドの落下地点へと追い込まれ、SEが心許ないままお笑いのように頭上から盥ではなく、対ビームシールドが落ちてきたのである。

 

そして、ラミネートビームシールドを頭から受けたラウラは頭を押さえてしゃがみ込んでいる。でも、模擬戦とはいえ、俺は優しくはない。

 

 

ラウラ「いっっっっ!?」

 

雷真「ラウラ」

 

ラウラ「今度は、なんだ!?」

 

雷真「チェックメイト」

 

ラウラ「へ?」

 

 

ラウラが頭を押さえている間に俺はルプスビームライフルを右手に持ち、クスィフィアスレール砲二門、バラエーナプラズマ収束ビーム砲二門をハイマットフルバーストの構えを彼女の眼前に向ける。

 

 

ラウラ「こ、降参だ」

 

雷真「お疲れ様でした」

 

 

 

 

 

 

実戦訓練の授業が終わると俺と一夏は、今となっては俺たち男子専用となったアリーナのロッカールームでISスーツから制服に着替えている。

 

 

一夏「はぁ~。やっぱり、白式の燃費が今後の課題だよな」

 

雷真「それだけじゃないぞ、一夏」

 

一夏「え?」

 

雷真「お前はまだ雪羅の使い方が分かってない」

 

一夏「分かってない?なら、教えてくれよ」

 

雷真「いいけど、俺から教えてやれるのは戦闘のやり方だけ。使い方は自分で覚えろ。人のやり方を真似ると何処かで自分に合わなくなるからな」

 

一夏「…………」

 

雷真「それと夜、寝る前とかに目を瞑って白式に語りかけてみろよ。なにか、応えてくれるかもしれないぞ?」

 

一夏「語りかける…………」

 

雷真「あと俺から言えることは、『攻撃は最大の防御』ってことだけ」

 

一夏「攻撃は最大の防御……」

 

雷真「ヒントは教えた、あとは自分で考えろ。それと早くしないと織斑先生の出席簿が脳天に落ちるぞ」

 

一夏「へぇ?」

 

 

一夏は雷真の言葉でロッカールームに備え付けられているデジタル時計を見ると時刻は8時30分。アリーナから校舎まで距離は全力疾走で約10分。

 

故に、制服に着替えていない一夏は遅刻が確定した。

 

 

一夏「うわあああ!?」

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 

千冬「それでは、デュノア。ラピッド・スイッチの実演をしろ」

 

シャル「はい!」

 

 

シャルロットは織斑先生の指示に従い、教卓の前まで行き。両腕だけリヴァイブを部分展開させて、射撃武装をアサルトライフル、サブマシンガン、ショットガンと高速切替(ラピッドスイッチ)していく。

 

 

千冬「このように、ラピッド・スイッチは普通の武装切替よりも早いため、瞬時に格闘・射撃・防御といった必要な場面に合わせて切り替えることができる」

 

千冬「ちんたらと武装を切り替えていたら、黒牙のような射撃精度が異常なほど高い奴に撃たれる。それと先ほど必要な場面に合わせて切り替えると言ったが、特に良い例があるのでその映像を見てもらう」

 

 

織斑先生は教卓から一つのリモコンを手に取り、教卓に向けてリモコンのボタンを押すと黒板にある映像が映し出された。

それは…………。

 

 

千冬「これは黒牙の第一次形態の時のIS、ストライクだ。このストライクは、ストライカーパックと呼ばれる換装システムで必要な場面に合わせて、近接・遠距離・高速機動と武装を切り替えることができる」

 

「「「「おおおおお!!」」」」

 

 

雷真「(一応、許可は出したけど。まさか本当に授業で使うとは…………。)」

 

千冬「この様に黒牙はこの換装システムをラピッド・スイッチを使い瞬時に換装している」

 

 

次に映し出されたのは授業や放課後の特訓、タッグトーナメントで撮影されたと思われるストライクの戦闘時の物だった。やがて、エール、ソード、ランチャー、IWSP、オオトリと色んなストライカーに換装している映像が終わる。

 

 

千冬「なので、諸君も必ず覚えるように」

 

 

「「「「「はい!」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

本日のカリキュラムが全て終わり、放課後になったのでいつもの一夏の放課後特訓に行こうとすると、何故かセシリアに呼び止められる。

 

 

セシリア「雷真さん、少しよろしいですか?」

 

雷真「分かった。歩きながらでいいか?」

 

セシリア「はい」

 

雷真「で、話って?」

 

セシリア「刀奈さんから臨海学校の時に雷真さんがビット兵器でもないのにビームを偏向射撃(フレキシブル)させたと聞いたので」

 

雷真「なるほど。それと、一夏に負けたのがそんなにも悔しかったか?」

 

セシリア「はい。イギリス代表候補生としてのプライドが…………」

 

雷真「なら、俺は?」

 

セシリア「雷真さんには、実力的に勝てないと臨海学校より前に思い知らされましたから」

 

雷真「あははは。それ…………」

 

 

 

何ともフォローできないや。

 

 

セシリア「ですから、よろしければ私に偏向射撃(フレキシブル)のご教授をお願いしたいのですわ」

 

雷真「……分かった、協力しよう」

 

セシリア「本当ですの!?」

 

雷真「ああ、本当だ。代わりにセシリアに頼みたいことがある」

 

セシリア「頼みたいこと、ですの?」

 

雷真「ああ。それじゃ、今日は二人だけで特訓するか。一夏の度肝を抜いてやろうぜ?」

 

セシリア「はい!」

 

 

 

てな、感じで俺とセシリアは二人だけで特訓するために刀奈に一夏の特訓の指示を任せ、俺たちは別のアリーナで特訓することにした。

 

 

雷真「まずは、セシリアのビット稼働率を見せてくれ」

 

セシリア「わかりました」

 

 

セシリアによって、ブルー・ティアーズのビット兵器の稼働率を見せてもらうと45%だった。しかし、これでも良く伸びた方なのだろう。前はビット兵器を使用しているとセシリア本人が動けなくなり、そのデメリット克服のため、日々鍛練を積んだ結果、ビット兵器を二つまで使用しながら自身も移動できるまでに成長した。

 

 

雷真「セシリアはさ、偏向射撃(フレキシブル)のイメージは出来てたりするのか?」

 

セシリア「いいえ、全く。雷真さんがやるまでは机上の空論と…………」

 

雷真「そうか。なら、一か八か、俺がブルー・ティアーズのビット兵器で偏向射撃(フレキシブル)をやってみる」

 

セシリア「へぇ?ちょっ、お待ちなさい!雷真さん、貴方、ビット兵器の適性はあるのですか!?」

 

雷真「確か……先週のメディカルチェックでビット適性がCからA+に上がってたかな?だから、多分、平気だろう」

 

セシリア「……はぁ~、わかりましたわ」

 

 

セシリアは何か諦めたような溜め息を吐いてからビット兵器のアンロックをする。そして、ビット兵器をフリーダムに接続するとブルー・ティアーズのビット兵器について色々と分かった。

 

 

雷真「よし、行けるな」

 

セシリア「では、お願いしますわ」

 

雷真「了解」

 

 

スラスターを噴かせて、ある程度まで飛翔すると射撃用のIS型ドローンを出現させてからビット兵器を操る。

何回か試し撃ちでIS型ドローンを撃ったら今度はビット兵器を全て操りながら俺も高速移動する。

 

 

雷真「意外と難しいな。でも、なんかストライクフリーダムに乗ってるみたいで、キラになった感じだな」

 

 

ビットを操作している雷真を見て、セシリアは呆れたように言葉を溢す。

 

 

セシリア「分かってはいましたが………四機全てを操りながら、あんな高速で移動するなんて」

 

 

ビット操作に慣れると今度はビット兵器も合わせて全てのフリーダムの射撃武装と共にハイマット・フルバーストをする。

 

 

セシリア「凄いですわ…………」

 

雷真「それじゃ、セシリア。そろそろ、偏向射撃(フレキシブル)をするから良く見ててくれよ?」

 

セシリア「わかりましたわ!」

 

 

ハイマット・フルバーストを撃ち終わると今度は偏向射撃(フレキシブル)をするためドローンにランダム回避をさせる。

 

 

雷真「行動パターン、算出、行けるっ!」

 

雷真「当たれぇぇぇえっ!!」

 

 

セシリアから借りたビット兵器のレーザーを山なりに撃ったり、左右に湾曲させて撃ったりと色々の偏向射撃(フレキシブル)をやって見せた。

 

 

セシリア「これが、偏向射撃(フレキシブル)……」

 

 

IS型ドローンを全て偏向射撃(フレキシブル)で撃ち墜とし終わるとセシリアに参考になったかを確かめる。

 

 

雷真「どうだ?見本にはなったか?」

 

セシリア「はい、それはもう。凄く」

 

雷真「なら、良かった」

 

セシリア「ところで、雷真さんが私に頼みたいこととは一体?」

 

雷真「それは一夏と射撃型の基礎行動の特訓に付き合ってほしい」

 

セシリア「そんなことで、よろしいのですか?」

 

雷真「ああ」

 

セシリア「わかりました。この、セシリア・オルコット。その申し出、謹んでお受けしますわ」

 

雷真「よろしくな」

 

セシリア「はい!」

 

雷真「あっ、それとセシリア」

 

セシリア「なんですか?」

 

雷真「早く偏向射撃(フレキシブル)を撃ちたいなら、お前のISであるブルー・ティアーズに語りかけて、そして信じろ」

 

セシリア「語りかけて、信じる」

 

雷真「それだけだ」

アヴァロン・フリーダムのビーム兵器を実技演習の授業でも使用するかについて

  • アヴァロン・フリーダムの使用禁止
  • アヴァロン・フリーダム ビーム兵器の禁止
  • 別機体のビーム兵器を使用
  • 別の機体を使う
  • 雷真は見学

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