自由と白式   作:黒牙雷真

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第37話

セシリアとの特別訓練をした翌日。現在は、早朝の特訓をしている。

 

 

一夏「雷真、セシリア。もう一度頼む!」

 

雷真「あいよ」

 

セシリア「わかりましたわ」

 

 

特訓内容は俺が二人羽織のような形でスラスター翼以外を展開している一夏に覆い被さりながらフリーダムで『シューターフロウ』を行いながら一夏に射撃型戦闘の間合いの取り方を感覚的に覚えさせるやり方。

 

前までは射線上から逃げる特訓と近接戦闘の特訓だけだったが、一週間前の夜に"楯無さん"からある情報を聞いて、それを"()()()"に伝えたら悠長にやってはいられないと言われたので、この特訓をすることにした。

 

 

雷真「セシリア、準備はいいか?」

 

セシリア「いつでも」

 

雷真「それじゃあ、GO!」

 

 

俺の合図で、セシリアは俺と円を描くように飛行し回転速度を合わせながらブルー・ティアーズのメイン武装であるスターライトmk-Ⅲを構える。

 

 

雷真「一夏、構えろ」

 

一夏「おう」

 

 

一夏に指示を飛ばして《雪羅》を構えさせる。また、姿勢制御のデータは白式に後で送る。

 

 

雷真「射撃開始!」

 

 

この、合図で二人は己が射撃武装を撃ち合う。当然、それは当てる気で撃つので互いに相手の弾が当たらないように緩急を付けて円状飛行を止めないように回避する。

 

 

セシリア「流石は雷真さん。まったくと言っていいほど円状制御飛翔(サークル・ロンド)を崩しませんわね。それに比べて、一夏さんは…………」

 

雷真「良く狙え、一夏!」

 

一夏「分かってる!」

 

 

セシリアは向かい側で飛行と回避行動は全てを行う雷真と、射撃のみを行うが何発も明後日の方向へ荷電粒子砲を撃つ一夏。ここまで想い人と友人の実力の差を見せつけられると、少し深い溜め息を吐く。

 

 

雷真「セシリア、済まないがビット兵器を二機共使いながらシューター・フローを続けてくれないか?」

 

セシリア「…………わかりましたわ。ブルー・ティアーズ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから、8時まで射撃型の特訓を続けたら刀奈たちが作ってくれた朝食用の弁当を食べてから教室へ向かう。そして、SHRが終わるとなんと、一限の授業を半分使用して全校集会を行うことになった。その内容は学園祭である。

 

そして俺は現在、ステージ裏に来ている。何故、来ているかは夏休み開けから生徒会副会長になったからである。

 

 

雷真「刀奈、そろそろ時間だ」

 

刀奈「分かったわ」

 

 

先ほどまで、事前に自分で書いた集会でのセリフを下書きした紙を読んでいた刀奈に一声かけてから、ステージの幕をあげるよう放送委員の女子に赤のペンライトを振り、合図を送る。

 

 

刀奈「それじゃあ、行ってくるわね」

 

雷真「おう、行ってらっしゃい」

 

 

刀奈に『行ってらっしゃい』を言うと放送委員の女子からアナウンスが流れてから堂々とした態度でステージの上にある学校のスピーチ台の前に進み、全校生徒を見据える。

 

 

刀奈「やあ、みんな。おはよう」

 

刀奈「さてさて、今年は私もピカピカの一年生として色々と立て込んでいてちゃんとした挨拶がまだだったね」

 

刀奈「知っている人も居ると思うけど、私の名前は更識刀奈。貴方たち生徒の長よ。以後、よろしく」

 

 

と、かるーく挨拶を終わらせると本題の学園祭の話になり、刀奈の奴はニヤリと生徒たち笑みを浮かべるとなんと学園祭に特別ルールなる物を設けやがった。それは────

 

 

 

 

『各部対抗男子争奪戦』

 

 

 

 

────である。

 

まぁ、内容は部活動、クラスの催し物で、どれが一番良かったか、全校生徒に投票させて。一位に輝いた部活動に男子を1ヶ月貸し出すというものだ。無論、これには生徒会も含まれる。

 

俺と一夏的には、面倒なことを、と思った。

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

放課後の特別HRにてクラスごとの出し物を決めるため、どこのクラスもわいわいと声が聞こえてくる。

 

 

一夏「えーと……うちのクラスの出し物の案ですが…………」

 

 

クラス委員長の一夏が学園祭で出す。1年1組の催し物の案について言い悩んでいる。

その理由は…………。

 

 

 

【織斑一夏&黒牙雷真のホストクラブ】

 

【織斑一夏&黒牙雷真とポッキーゲーム】

 

【織斑一夏&黒牙雷真と王様ゲーム】

 

 

…………と案は出ている。

 

 

一夏「全部却下!」

 

女子「「「「ええええー!!」」」」

 

一夏「アホか!誰が嬉しいんだ、こんなもん!」

 

 

一夏がそう叫ぶと複数の女子がそれに反論する。

 

 

女子「私は嬉しいわね。断言する」

 

一夏「え?」

 

女子「そうだそうだ!女子を喜ばせるために義務を全うせよ!」

 

一夏「はぁ?」

 

女子「織斑一夏と黒牙雷真は共有財産である!」

 

女子「「「「そうだそうだ!」」」」

 

一夏「………くっ!山田先生、ダメですよね?こういう企画は」

 

真耶「えっ!?わ、私ですか!?」

 

 

どうやら、山田先生も女子と同じ考えだったのか一夏の話にワンテンポ遅れて反応した。

 

 

山田「え、えーと…………わ、私はポッキーなんか良いと思いますよ?」

 

 

ダメだ。この副担任。頬を赤く染めて欲に堕ちてやがる。

 

 

一夏「と、とにかく普通の意見をだな!」

 

ラウラ「なら、メイド喫茶はどうだ?」

 

 

なんと、あのラウラの口から『メイド喫茶』などと出たことに1組全員が驚く。

 

 

一夏「ら、ラウラ?」

 

ラウラ「客受けはいいだろう。それに飲食店は経費の回収が行える」

 

シャル「うん。いいんじゃないかな?雷真と一夏には執事か厨房を担当してもらえばオーケーだよね。刀奈も生徒会長としてどうかな?」

 

刀奈「そうね。最初の3つの案が出ていれば、流石に私としても許可を出せない物もあるし。ラウラちゃんの意見は生徒会長としても賛成ね。雷真は?」

 

雷真「それに関しては刀奈と同じだ。最初は皆の意見を聞くことに徹していたが、もしも、最初の3つの案が催し物として申請を出されたら即、却下しているところだ」

 

ラウラ「なら、メイド喫茶で決まりだな」

 

 

ラウラの案により1組は『御奉仕喫茶』に決まり。1組の女子はウキウキと学園祭の準備に取り掛かる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クラス会議が終わったあと、これまた習慣と化した一夏の放課後特訓が始まる。内容は今朝のメニューを一人で行えるようにバルーンの周りを延々と回るだけ。

 

 

雷真「一夏、姿勢が少し右に傾いてる、姿勢を直せ。それと速度も落ちてる」

 

一夏「くそおおおおっ!」

 

 

俺は一夏の円状制御飛翔(サークル・ロンド)をフリーダムのハイパーセンサーで確認しながら、学園祭までに終わらせないといけない書類を終わらせる。

 

また、刀奈の奴は学年別トーナメントのあとに文句があるなら『何でもいいから私に勝て!』と言ったのと学園祭の特別ルールが原因で色々な部活動で文句がある生徒とバトル中である。

 

他のメンバーは学園祭の手伝いや別のアリーナで自己特訓だ。

 

 

雷真「よし、これで終わり」

 

 

アリーナに持ってきていた、約5日はかかる書類が終わったのでケータイを取り出して本音に電話する。

 

 

本音『もしもし~、ライライ?』

 

雷真「書類が終わったから、次の書類をアリーナまで持ってきてくれ。もちろん、お前の分もな」

 

本音『わ~い!ライライ、ありがとう~』

 

雷真「ったく、なんで俺がお前の分まで処理しといけないんだよ。本音」

 

本音『ごめ~ん』

 

雷真「次からはちゃんと処理しろよ?でない………」

 

本音『でないと?』

 

雷真「簪に言って、お前のお菓子を書類が全て終わるまで没収」

 

本音『そんな~、ひどいよ~!』

 

雷真「それが嫌なら、ちゃんと書類の処理をしろ」

 

本音『は~い』

 

 

覇気を感じさせない返事を聞いてから通話を切り、視線を一夏に向ける。

すると、また姿勢が崩れてたり、速度が落ちているので何度か注意をする。約30分の間にある程度まで、一夏がマニュアルで姿勢制御を続けていると観覧席に大量の書類を持った本音がやって来ていた。

 

 

本音「お~い、ライラ~イ」

 

雷真「おう。一夏、15分休憩だ」

 

一夏「分かった」

 

 

一夏に休憩の指示を出してから観覧席へと向かう。

 

 

雷真「これがさっき言ってた書類な」

 

本音「じゃあ、こっちが新しい書類ね」

 

 

終わった書類は本音に渡して、新しい書類を受け取り、ペラペラと少し書類を流し読みをしていると、あることに気づいた。

 

 

雷真「なぁ、本音?」

 

本音「な~に?」

 

雷真「なんで、こんな赤ペケが付いてるんだ?えぇ?」

 

本音「それは…………」

 

雷真「お菓子没収な」

 

本音「そんな~!」

 

雷真「なら、生徒会室に戻って5日前の書類から確認して直せ!それとも"おばさん"に言いつけたほうがいいか?」クロイエガオ

 

本音「頑張ります」("`д´)ゞ

 

 

おばさん……つまり、本音と虚さんのお母さんに言いつけると言ったら本音の奴は敬礼をして、普段では出さないような速度で生徒会室へと走って行った。

 

 

一夏「副会長も大変だな?」

 

雷真「いや、事務作業ならそうでもないさ。異世界に居た時はこんな処理の何倍もの量をやっていたからな」

 

一夏「マジか!?」

 

雷真「ああ。あっち側(コズミック・イラ)に居たときはシステムの調整、OSの切り替え、弾薬やエネルギーの補給、やらなんやらと色々な種類の書類を処理したもんだ」

 

一夏「すげぇな……」

 

雷真「まぁな、これでも軍人なんでな」

 

 

 

 

休憩が終わるとアリーナの使用限界時間まで一夏にマニュアル操作で円状制御飛翔(サークル・ロンド)を続けさせる。

そして特訓が終わり、寮の自室に向かうと部屋の前で何故か箒が待っていた。

 

 

雷真「箒?」

 

箒「少しいいか?」

 

雷真「ああ。なら、お茶を出すから中で聞こうか」

 

 

そうして、箒を俺の部屋と招き入れた。

 

 

雷真「ほい、緑茶」

 

箒「すまない」

 

雷真「そんで、用件は?」

 

箒「頼みがあってだな」

 

雷真「頼み?」

 

箒「私も鍛えてほしいのだ」

 

雷真「ほう。それは何のために?」

 

箒「もう、臨海学校の時のようなことが無いように、己を戒めるためだ」

 

雷真「なるほど。誤ちを繰り返さないためにも力の使い方を学びたいと」

 

箒「うむ…………」

 

雷真「箒はさ、紅椿をどう思ってる?」

 

箒「どう……とは?」

 

雷真「紅椿を信頼しているのかいないのか」

 

箒「……」

 

雷真「まずは、そこを軽く考えろ。それと、特訓は俺ではなく、刀奈、簪、シャルロットに頼め。アイツらも専用機持ちだからな」

 

箒「刀奈たちにか?」

 

雷真「ああ。万が一にも、俺が箒にラッキースケベのようなアクシデントが起きると婚約者三人の背後から般若が出るからさ」

 

箒「な、なるほど。しかし、お前たちは本当に仲が良いな。女三人と一人の男が恋人になってイザコザとかはないのか?」

 

雷真「なくはないけど。その時は両者の意見や要求を紙に書いてお互い突き合わせて、妥協できるところは妥協して。出来ない物はチェスや将棋といった平和的なゲームで決着をつけてる」

 

箒「なるほど。一夏と違って、雷真は優柔不断でないのだな」

 

雷真「いや、俺は端から見れば十分に優柔不断だろ?婚約者三人も居るし」

 

箒「そうかもな。それでは、相談も終わったことだし、私はお前の婚約者三人の元へ行くとしよう」

 

雷真「刀奈たちは、俺から連絡を入れておくよ」

 

箒「そうか?それは有難い」

 

雷真「じゃあ、また明日」

 

箒「ああ。また、明日」

 

 

 

アヴァロン・フリーダムのビーム兵器を実技演習の授業でも使用するかについて

  • アヴァロン・フリーダムの使用禁止
  • アヴァロン・フリーダム ビーム兵器の禁止
  • 別機体のビーム兵器を使用
  • 別の機体を使う
  • 雷真は見学

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