自由と白式   作:黒牙雷真

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第38話

一夏の射撃型戦闘と特訓を始めて、はや一週間が経過した。その間に、一夏は何とかマニュアル操作で安定した円状制御飛翔(サークル・ロンド)を習得した。

 

 

雷真「大分、安定してきたな。次はそのまま、シューター・フローの円軌道から瞬時加速(イグニッション・ブースト)または二段階瞬時加速(ダブル・イグニッション)を使い。敵の後ろから、ゼロ距離で荷電粒子砲を撃つことを想定した特訓な」

 

一夏「はぁ!? 瞬時加速(イグニッション・ブースト)ならまだしも、この状況から二段階瞬時加速(ダブル・イグニッション)をやれってか!?」

 

雷真「やらないと大切な奴を守れないぞ。それとも、守ることを諦めるか?」

 

一夏「…………いや、皆を守れるならやる!」

 

雷真「よし。じゃあ、見本を見せるからちゃんと見ておけよ?」

 

一夏「おう!」

 

 

一夏にシューター・フローからの状態からの瞬時加速(イグニッション・ブースト)で奇襲するやり方を見せるためにフリーダムで実践する。

 

 

雷真「行くぞ?」

 

一夏「ああ」

 

 

右手にルプスビームライフルを、左手にはラケルタビームサーベルを構え、円状制御飛翔(サークル・ロンド)をする。

そして、ある程度の飛行速度に到達したら、フリーダムのスラスターの角度をマニュアルで変化させてから一気に瞬時加速(イグニッション・ブースト)で練習用のバルーンに接近して、少し掠る程度の距離を通り過ぎる。

 

しかし、掠るだけでもビームサーベルでは致命的な威力を持っているのでバルーンが割れる。

 

 

雷真「あっちゃ~。数mmズレたか………」

 

一夏「何が、数mmズレたんだ?ちゃんと攻撃は当ててるじゃないか」

 

雷真「本当は割らないで終えるつもりだったんだよ」

 

一夏「マジか………」

 

雷真「バルーンが割れちまったから、メニューを変更して実戦形式でやるぞ」

 

一夏「分かった」

 

 

それから、俺たちはフリーダムと白式で円状飛翔をしながら、円状制御飛翔(サークル・ロンド)からの瞬時加速(イグニッション・ブースト)を行うことにした。

 

しかし、始めたはいいが、一夏はシューター・フローからの瞬時加速(イグニッション・ブースト)が上手くいかないようで、何度も墜落している。上手く成功する時は、ラミネートアンチビームシールドで攻撃を防いだり、ラケルタビームサーベルで攻撃をいなしたりする。

 

また、俺が使う武装は近接防御機関砲ピクウスとラケルタビームサーベル、ラミネートアンチビームシールドだけである。

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから二週間が過ぎて。今日はいよいよ学園祭当日。IS学園は色々な企業や国が開発しているISの試験運用場のため、機密保持のため他の高校と違って一般公開はしていない。

 

その代わりに、IS学園の生徒たちに招待チケットを一枚発行して、家族や友人などに渡して学園に招待するらしい。他には国や企業、軍等のお偉いさんがやってくる。

 

そして、現在。1年1組にて、御奉仕喫茶の仕事を俺は全うしている。

 

 

女子「はい。これ、8番テーブル」

 

雷真「了解」

 

 

最初は二人で執事をやることになっていたのだが、それだと二人が休憩に入ったら売れ行きが落ちるとのことで、午前は俺で、午後は一夏となった。

 

 

雷真「お待たせしました。こちら、サンドイッチのAセットが2つとバルトフェルトブレンドが2つに御座います。ご注文の品は以上でしょうか?」

 

女子「は、はい……。//////」

 

雷真「それでは、お嬢様方。ごゆっくりとどうぞ」ペコリ

 

 

お客様二人に一礼してから次の料理をテーブルへと運ぶ。そして、運び終わると入り口の方からご指名が入る。

 

 

女子「黒牙くん、ご指名入りました」

 

雷真「了解」

 

 

はぁ~。これで何回目だろうか。分かってはいた、いたけれども!朝の9時からスタートして、今は11時。その間に何回、いや、何百回。ご指名を受けた?

 

 

雷真「お待たせしました。お嬢様……って簪じゃないか」

 

簪「来ちゃった」テヘヘ

 

 

簪は少し恥ずかしそうに言った。

 

 

雷真「では、お席にご案内します」

 

簪「うん」

 

 

お客様として我がクラスへ来た、簪をテーブルへと案内をし、メニューを出す。

 

 

簪「ねぇ、雷真。何か、オススメとかある?」

 

雷真「そうですね。自分としては、このバルトフェルトブレンドがオススメですよ」

 

簪「バルトフェルト………?それって確か………」

 

 

簪がストライクのデータでバルトフェルトさんのことを知っていたのか、バルトフェルトブレンドの名前について話そうとした時、後ろからメイド姿の刀奈と本音がやってきた。

 

 

刀奈「あら、簪ちゃんじゃない」

 

本音「ほんと~だ~、かんちゃんだ~」

 

簪「お姉ちゃんに本音」

 

雷真「刀奈、生徒会の方は平気なのか?」

 

刀奈「ええ。どこかの異世界戻りの軍人さんが大幅にバッファーを持たせてくれたお陰様でね。あとは午後の演劇だけよ」

 

雷真「それは良かった」

 

簪「異世界戻りの軍人って…………それって、雷真のことだよね?」

 

刀奈「もちろん。本来は本音が処理しないといけない書類5日分を2時間足らずで処理するし。挙げ句には、本音を脅して働かせるわで、此方としては大助かりだけど」

 

本音「いや~、私もあの時だけは、めちゃくちゃ頑張ったよ~」アハハハ~

 

 

と呑気に喋っていると…………。

 

 

シャル「そこ、喋ってないで手伝ってよ!それと雷真、あとが詰まってるから早くして!」

 

雷真「す、すまん」

 

雷真「そんな訳でゆっくりして行ってな」

 

簪「うん」

 

 

シャルロットに注意された俺は、お嬢様方の『執事とゲーム』や『執事へのご褒美セット』や『執事とツーショット』などなど、やはり執事が関連するオーダーが飛んでくる。

 

 

女子「黒牙くん、四番テーブルで『執事へのご褒美セット』で~す」

 

雷真「四番テーブルって簪じゃんか」

 

 

『執事へのご褒美セット』を持って、簪が座っている四番テーブルに向かうとそこにはソワソワとしている簪がいた。

 

 

簪「…………」ソワソワ

 

雷真「お待たせしました」

 

簪「!!」ビクンッ!

 

雷真「こちら、『執事へのご褒美セット』でございます」

 

 

とセットをテーブルに置いて、簪の隣へと座る。

すると、ソワソワしていた簪はセットから冷やしたポッキーを一本取り、それを俺に向けてくる。

 

 

簪「雷真……あーん」

 

雷真「あーん」モグモグ

 

簪「美味しい?」

 

雷真「お嬢様が食べさせてくれるので、とても美味しいです」ニッコリ

 

簪「はうっ!?///////」

 

 

マニュアルの通りにポッキーを食べさせてもらったあとに、『どう?』と聞かれたので笑顔で『お嬢様が食べさせてくれるので、とても美味しいです』と言ったら簪は顔と耳を真っ赤に染めて俯いてしまった。

 

 

雷真「おい、今更、恥ずかしがるなよ。今よりも恥ずかしいことを昔も今もしてるだろう?」

 

簪「でも……さっきのは、ズルい。///////」

 

雷真「何がズルいんだよ?」

 

簪「ぅぅぅぅ……。/////」

 

 

そのあと簪は恥ずかしさのあまり、『執事へのご褒美セット』を俺にはくれず全て自分で食べて、自分の教室へ帰ってしまった。

まぁ、自分で食べないで人にあげるのは損をしているから自分で食べれば納得だ。

 

簪とのやり取りを終えたあと、何組かお客様に対応していると鷹月さんから声がかかる。

 

 

鷹月「黒牙くん。織斑くんと交代して休憩していいよ」

 

雷真「あれ、もうそんな時間か?」

 

 

教室の時計を確認すると時刻は既に12時になっていた。

 

 

雷真「じゃあ、お言葉に甘えて」

 

鷹月「婚約者三人と学園祭を回るといいよ」

 

雷真「鷹月さんは一夏と回れたのか?」

 

鷹月「う、うん……まぁね」

 

雷真「そうか。じゃあ、まずは誰と回るかな?」

 

 

そう口にすると刀奈とシャルロットが俺の悩みに答えてくれた。

 

 

刀奈「そのことなら心配いらないわ。既に順番は決まってるから」

 

雷真「刀奈にシャルロット」

 

シャル「午前のシフト、お疲れ様」

 

雷真「ああ。それで順番は?」

 

刀奈「順番はシャルロットちゃん、私、簪ちゃんの順よ」

 

雷真「了解」

 

シャル「じゃあ、行こう。雷真」

 

雷真「ああ」

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

という訳でトップバッターのシャルロットとまず最初に来たのは『料理部』だった。生徒会の仕事で料理部の出し物の内容は知ってはいたけど意外と賑わっている。特に主婦の方が多い。

 

 

雷真「シャルロットが来たかったのは、ここか?」

 

シャル「うん。更識のお屋敷に行ってから、日本の伝統料理にチャレンジしてるんだ」

 

雷真「へぇー、そうなのか。まぁ、シャルロットも刀奈や簪と同じで料理はうまいもんな」

 

シャル「ありがとう」

 

 

シャルロットは更識の実家に戻って以来、刀奈や簪、虚さんに何故か日本料理を教えてもらい、その味見役を俺と本音が担当したのである。

 

 

雷真「色々とあるな」

 

シャル「そうだね」

 

 

一言で言えば、料理部の中はデパ地下のお惣菜売り場のような感じになっている。和・中・洋のお惣菜は多種多様である。それとお手軽価格だ。

 

 

雷真「おっ、豚の角煮じゃないか」

 

シャル「豚の角煮?」

 

雷真「豚の角煮は豚ばら肉を使った煮込み料理なんだ」

 

シャル「これは雷真の好物なの?」

 

雷真「ああ!ガキの頃に、お義母さんが作った豚の角煮を楽しみにしてたっけな」

 

シャル「豚の角煮は、雷真にとって思い出の料理なんだね」

 

雷真「そうだな。もう、4年くらい豚の角煮を食べてないな」

 

シャル「そっか、雷真は行方不明から戻るまでは………」

 

雷真「そういうことだ。だから、今度、刀奈か簪に作ってもらうことにするさ」

 

シャル「じゃあ!僕が作ったら、雷真は食べてくれる?」

 

雷真「もちろん、食べるよ。楽しみにしてるな」

 

シャル「うん!楽しみにしててね」

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

雷真「刀奈はここか?」

 

刀奈「そうよ」

 

 

刀奈と来たのはなんと、『写真部』だった。

ここの出し物の内容は確か……コスプレ撮影だったような。

 

 

雷真「で、ここで何を撮るんだ?」

 

刀奈「それは、勿論。コスプレよ」

 

雷真「ですよね…………」

 

 

今度も、てな訳で執事服から普通の高校生が着るような学ランに着替えさせられて撮影所に行くと、そこにはメイド服から女性教師の格好でメガネをかけた刀奈が待っていた。

 

 

雷真「えーっと……これは……」

 

刀奈「遅いわよ、黒牙くん。補修の時間に遅刻よ」

 

雷真「…………」チラリ

 

俺はカメラマンとしているのか定かでない。新聞部部長の黛薫子先輩に視線を送ると親指を立てて、グッジョブのサインをしてくる。

 

 

薫子「…………」(´∀`)b

 

 

このことから撮影が終わるまでは逃げられないことが確定した。

 

 

刀奈「先生の話を聞いてるの、黒牙くん?」

 

雷真「刀奈、お前な………」

 

刀奈「違うでしょ。私を呼ぶ時は、更識せ・ん・せ・い、でしょ?」

 

 

刀奈は教師の役にすっかり入っているのか、ノリノリで人差し指を俺の鼻先にチョンとやるので少しイラッと来たので、少し仕返しをすることにした。

 

 

雷真「ねぇ、更識先生」

 

刀奈「なにかしら?」

 

雷真「先生って、綺麗で可愛いよね」机ドン

 

刀奈「ふぇっ!?//////」

 

雷真「だから、俺が食べてもいい?」

 

刀奈「え、えっと……それは……。//////」アセアセ

 

俺もイケナイ生徒役として、やり切ることにしたので刀奈を撮影セットとして用意された中学とかで使われる机に押し倒す。そして、止めに刀奈の耳元へ顔を近づける。

 

 

雷真「このまま、めちゃくちゃにしてもいいよね?先生」ボソボソ

 

刀奈「きゅぅぅぅぅ……。///////」プシュ~

 

 

止めを刺すと刀奈はアニメの様に顔を真っ赤に染めて目を回してしまった。それを見た俺は、一度、刀奈から離れて周囲の生徒を確認すると皆、顔を赤くして鼻を押さえていた。

 

 

雷真「どうです、先輩。おいしいシーン、だったでしょう?」

 

薫子「ご、ごじぞうざまでしゅ(ご、ごちそうさまです)」鼻押さえ

 

雷真「それは良かった」

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

雷真「簪が見たいのは吹奏楽部?」

 

簪「変?」

 

雷真「なんか簪が吹奏楽部を見るなんてイメージがな。昔から見ていたから、こう……模型部とかかなってさ」

 

簪「それはもう見たから。吹奏楽部に来たのは、お姉ちゃんから雷真がピアノを弾けるって聞いたから」

 

雷真「なるほど、それでか」

 

 

てな訳で簪が聴きたがっているので吹奏楽部でピアノを借りることにした。

そして、吹奏楽部の教室に入ると閑古鳥が鳴いているようで部長さんだけが部屋の真ん中でぼーっと楽器を手入れしていた。

 

 

雷真「こんにちは」

 

 

部長さんに一声かけると、ハッとした表情で此方に気付く。

 

 

部長「おお!おお!やっと8人目のお客さんだ!それも今度は織斑くんに続いて黒牙くんまで、写真撮っていいかな?」

 

雷真「いいですけど。俺たちの前に一夏が来てたんですか?」

 

部長「うん。セシリアさんと一緒にね」

 

雷真「あー、なるほど」

 

部長「それでそれで、黒牙くんは何を体験する?織斑くんはホルンを体験したけど、黒牙くんはワイルドにエレキギターとかどう?」

 

雷真「いえ。簪が俺のピアノを聴きたいと言ってるので俺はピアノで」

 

部長「へぇー、黒牙くんってピアノが弾けるんだ」

 

雷真「ええ。前にある人から教えてもらったので」

 

部長「じゃあ、お手並み拝見と行こうかな」

 

雷真「そんなに上手くありませんけど、それでいいならどうぞ」

 

 

部長さんに許可を得たので部屋にある、グランドピアノを借りて、ラクス・クラインの大名曲である『水の証』を奏でていく。

 

 

雷真「…………」

 

部長「これは長々」

 

簪「綺麗な曲…………」

 

 

そして、『水の証』を奏で終わると入り口の方から部長さんと簪以外にも拍手する何処かの組織の制服を着て、帽子を深くかぶり顔を見せない、二人の客人がいた。

 

 

???「まさか、こんな場所で彼女の歌が聞けるとは」

 

???「そうですね。私も彼女の、ラクス・クライン嬢の曲を聞いたのは宇宙で彼女を保護していた時以来です」

 

雷真「!?」

 

 

その二人の会話を聞いた俺は直ぐにグランドピアノから離れて簪と部長さんを守るように前へ出て警戒心を最大にまで上げる。

 

 

簪「雷真?」

 

雷真「アンタら、何故ラクス・クラインのことを知っている!!」

 

???「支部長!私が最初から申し上げたように、やはり彼は警戒してしまったではありませんか!?」

 

???「いやはや、ここまで警戒されるとは思ってなかったのだかな。すまない、脅かすつもりはなかったのだがね」

 

雷真「一体、アンタらは誰で、何者なんだ。答えろっ!!」

 

 

俺がそう質問すると帽子をかぶった二人は自分の正体を明かすように帽子を頭から取った。

 

 

雷真「なっ、貴方たちは!?」

 

 

アヴァロン・フリーダムのビーム兵器を実技演習の授業でも使用するかについて

  • アヴァロン・フリーダムの使用禁止
  • アヴァロン・フリーダム ビーム兵器の禁止
  • 別機体のビーム兵器を使用
  • 別の機体を使う
  • 雷真は見学
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