自由と白式   作:黒牙雷真

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第43話 人物設定有り

色々とあった学園祭の翌日。俺は振替休日を使って、一人でとある場所に来ている。

その、とある場所とは、『モーニング・グロー』と呼ばれる会社だ。

 

元々、この会社は経営危機により廃業が決まりそうな所を偶然、お義父さんが助け、資金援助を行う代わりに会社の敷地を何割か『更識』の人間が使えるようにするという条件で今も経営は続いている。

 

そして、その『更識』の人間。正しくは刀奈、簪、本音、『表の更識』の人間でなく、俺や虚さんとその部隊の人間といった、『裏の更識』が使えるようになっている特別区画の格納庫へ俺は進んでいく。

特別区画の格納庫に繋がる扉の前に立つと、扉に搭載されているセンサーが自動的に起動し色々と個人認証のチェックを受ける。

 

チェックは、指紋、網膜、等々。生体に関する色々なチェックを受ける。何せ、この扉の奥には世間にはまだ、公表できないモノがあるからだ。

 

やがて、チェックが終わると扉が開き、中はエレベーターとなっている。

因みにだが、このセンサーを搭載されている扉はラミネート装甲で作られている。

 

 

雷真「…………」

 

 

エレベーターの『ORB』と書かれたボタンを押すと、エレベーターはそこへ向かうように動き出す。

 

そして、目的の区画に到着してエレベーターの扉が開くと、そこには約50人くらいの白衣を着用した、30~50代くらいの男女がいそいそと何かISのような物を製造していた。

 

今度こそ、目的の区画へ入ると特別区画の格納庫にいるハロが俺の名前を叫ぶ。すると段ボールの中に、色々な機材を詰め込んで運んでいる一人のメカニックが俺を見つける。

 

 

ハロ「ラァァァイシン!」

 

 

「え?あっ、雷真さん!」

 

「え?」

 

「雷真さん?」

 

「雷真の旦那?」

 

 

その、一人の一声で今まで必死にIS擬きをいじっていた人々が手を止め。此方を向いて、俺の名前を呼んだ。

 

 

雷真「よう。皆、ご苦労様」

 

???「おはようございます。若様」

 

雷真「おはよう、シノブ。今日はこっちに来ていたのか」

 

 

俺の事を、『若様』と呼んだ男。名前は彰島シノブ。

この男は、俺の部隊の武装研究、及び、諜報班のリーダーを務める男だ。

 

 

シノブ「はい。若様は、例の武装の確認ですか?」

 

雷真「いや。昨日、またIS学園が未確認ISに襲撃を受けてな」

 

シノブ「なっ!?」

 

雷真「その際、撃破した未確認ISの残骸を持って来たんだよ。それに簪の試作品も受け取りに来た」

 

シノブ「そうですか。では、その未確認ISを改修されるのですか?」

 

雷真「ああ。出来れば、『アストレイ』に転用させようと思っている」

 

シノブ「アストレイに、ですか?」

 

雷真「回収した残骸は、俺のフリーダムやストライク、アストレイと同じ、この世界と違う、別の世界の技術で作られてた機体だ」

 

シノブ「まさか…………」

 

雷真「近い未来、戦争が起きる可能性がある。それに、未確認機の数が多かった。まさか、四十機も来るとはな」

 

シノブ「よ、四十…………!?」

 

雷真「それで、アストレイの状況は?」

 

シノブ「あっ、はい。アストレイは、現在、若様が作られた、オリジナルを元に、量産を進めていますが、なにぶんISとは違って完全な宇宙戦闘を目的とした機体ですから、今だに四機が精一杯です」

 

雷真「となると、オリジナルを含めてアストレイの数は計五機。秘密裏のなか、一ヶ月で四機とはやるな。なら、残骸を活用してくれ」

 

シノブ「わかりました。それと、アキトが例の武装が約六割が完成したとかで一度、来て欲しいそうです」

 

雷真「分かった。それじゃ、残骸を置いてから俺はアキトがいる、第5格納庫へ行く」

 

 

フリーダムの拡張領域(バススロット)から105ダガーの残骸を、開けた場所に取り出すと俺の話を聞いて105ダガーの残骸が気になって仕方ないメカニックの集まりが瞳をキラキラと輝かせながら見ている。

 

 

「オオオオッ…………」

 

「これは、初めて見るタイプの武装だ」

 

「こっちは雷真さんのISにあった武装だ」

 

「て、ことは新しいビーム武装を触れるのか!?」

 

「これはテンションが上がるわ!」

 

「私、雷真さんのスカウト受けて良かった」

 

 

今更だが、ここにいる白衣を着用したメカニックたちは七割が男性、三割が女性だ。主に男性のメカニックの方は、男だからという理由でISの研究所からリストラされた、能力はあるのに職を失った人たちだ。

 

女性のメカニックは、偶然、集まった。メカニックオタの人たちだ。

 

残骸を取り出し終えた後、アキトが待っている、第5格納庫へとハロと共に向かう。

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

雷真「おーい、アキトー。来たぞ」

 

アキト「…………」カチャカチャ

 

雷真「聞いてない感じ?」

 

アキト「…………」カチャカチャ

 

 

第5格納庫に入ると、そこには全長約3mはある縦長のウェポンアームが二本、左右に並べられている後ろで全長約6mはあるデカイ飛行ユニットをカチャカチャといじっている男。彰島シノブの弟の彰島アキトに話をかけるが、集中しているのか俺の声が聞こえていないようすだ。

 

アキトは昔から何かに没頭すると周りの声や音が頭からシャットアウトされてしまう性格。故に、コイツは研究員として配属したのだ。

 

 

それから30分…………。

 

 

 

アキト「ふぅ…………」

 

雷真「やっと満足が行ったか?」

 

アキト「え?」

 

 

アキトが飛行武装をいじるのを止めるの待ち、手が止まったところで声をかけると、鳩が豆鉄砲を食らったような顔で此方を向く。

 

 

アキト「ら、雷真さん!?」

 

雷真「そうです。私が雷真です」

 

アキト「す、すみません。雷真さんに頼まれた《ミーティア》のエンジン部の配線に少し気になった部分がありまして………」

 

雷真「気にしないでいい。で、俺を呼んだのは?」

 

アキト「はい。それは、ミーティアのウェポンアームが完成したのとドッキングシステムを確認したくて」

 

雷真「ドッキングシステムの確認なら、フリーダムとドッキングさせればいいか?」

 

アキト「はい、お願いします」

 

雷真「了解」

 

 

アキトに頼まれた通りに、フリーダムを起動させて、ミーティアとドッキングさせる。すると、ミーティアのシステムや武装の詳細などがフリーダムに流れてくる。

 

 

雷真「フリーダム、ミーティアとのドッキングを確認。FCS接続。エネルギー配分開始」

 

雷真「メインシステムは大方完成してるな。あとは、マルチロックオン・システムの調整と火器のエネルギー配分。他にはドラグーン・システムにビーム兵器の試しとテスト飛行くらいか…………」

 

雷真「アキト、そっちの方はどうだ?」

 

 

少し離れた所で液晶が縦に2つ、横に3つ並んでいるコンピューターを全て見ながら、ミーティアのフリーダムとの接続状況を確認するアキトに声をかける。

 

 

アキト「そうですね………。ドッキング状態は正常。FCSも正常に稼働をしてます。エネルギー配分はそちらで調整してもらえば大丈夫ですし。パワーセル・エクテンダーも稼働は良好」カタカタ

 

アキト「他には…………」

 

雷真「ミーティアのドラグーン・システムはどうなってる?」

 

アキト「すみません。ドラグーン・システムはまだ調整が終わってません」

 

雷真「なら、そっちは俺がやるからアキトは他の方のチェックと調整を頼む」

 

アキト「わかりました」

 

 

アキトに他のチェックを任せてた俺は、ミーティアをストライクのオオトリやインパルスのシルエットシステムのように、ドッキングさせる機体が離れていてもミーティアを誘導させるためのドラグーン・システムのプログラムを調整する。

 

 

雷真「誘導信号をフリーダムのコアに設定。誘導信号の周囲5kmに敵影を補足時は自動迎撃システム設定。単独、マルチロックオン設定。フリーダムとのドラグーン・システムをリンク」カタカタ

 

雷真「他には…………」カタカタ

 

 

それからはアキトと共におやつ時になるまでミーティアの調整を行っていた。

ある程度、作業が終わると今まで集中していた所為か今頃になって身体が栄養を求めて腹の虫を鳴かせた。

 

 

雷真「アキト、少し遅いが飯にしよう」

 

アキト「は、はーい」

 

 

第5格納庫から出た俺たちは、『モーニング・グロー』を出て近場のラーメン屋に行くことにした。

 

 

雷真「ちわーす、二人でお願いします」

 

「お好きなお席へ、どうぞ」

 

 

店員に促されるまま、窓辺の席へと座った。

 

 

雷真「どれにするかな………」

 

アキト「あの、雷真さん」

 

雷真「なんだ?」

 

アキト「失礼を承知で聞きますが、ぶっちゃけ美人の婚約者が三人もいるって、どんな感じなんですか?」

 

雷真「そうだな…………一言で言えば。大変だな」

 

アキト「大変?」

 

雷真「ああ。惚れた女が三人もいて、尚且つ、ゆくゆくは自分の妻になるんだぞ?なら、そのうち子供も生まれるだろう」

 

アキト「あっ…………」

 

雷真「だから、大変なんだよ。今は両の手で守れる。けれど、この先、俺にはもっと守るべき奴が増える」

 

アキト「雷真さんは凄いですね。到底、15の学生には思えませんよ」

 

雷真「まぁな。あの空白の二年間で色々とあったから、その影響が大きいな。それより、お前はどうなんだよ?」

 

アキト「僕ですか?」

 

雷真「兄貴のシノブは、来年には結婚するだろう?」

 

アキト「はい。元、大学の同じゼミ生で刀奈お嬢様の部隊の人だそうです」

 

雷真「大学のゼミで、それに刀奈の部隊の人間か……。少女漫画のようなあるあるだな」

 

 

刀奈の部隊といっても、俺や虚さんの用な裏の仕事をメインでするような部隊ではなく。刀奈や簪の部隊は主に二人を陰ながら護衛するための部隊だ。

まぁ、俺が側にいる時は心配も少ないのだが……。

 

 

アキト「それなら、雷真さんだって少年漫画のあるあるじゃないですか!?」

 

雷真「"あんなの(更識姉妹誘拐)"がホイホイあってたまるか!?今だから思うが、あの時の俺は無謀な特攻をしたもんだ」

 

雷真「それにあの時は、やれるとか、助けられるとか、ヒーローに憧れたとかじゃないんだよ。ただ、刀奈と簪を助けたい。それだけが頭の中を一杯にしたんだ」

 

アキト「ただ、助けたいから……。やっぱり、雷真さんは凄いですね」

 

雷真「って、話が逸れた感じがするが、アキトは気になる奴かといないのか?」

 

アキト「居ますけど…………」

 

雷真「それで、誰なんだよ?」

 

アキト「アストレイ部署の子持ちの一般人です…………」

 

雷真「…………」( ゚д゚)ポカーン

 

雷真「ちょ、ちょっと待て!お前、まさか子持ちが好みなのか!?」

 

アキト「ち、違いますよ!?僕が気になったのは、その人がアストレイをいじる笑顔なんですよ」

 

雷真「ほうほう」

 

アキト「でも、僕は『更識』の黒牙部隊の一員です。そして、彼女は一般人なんですよ。それに………」

 

雷真「大切な人を守れないと思うと怖いか?」

 

アキト「はい…………。僕たちは、いつ、死地へ向かってもおかしくありませんから」

 

雷真「ふむ…………」

 

 

ここでしばらく考えることにした。アキトの好きな女性はアストレイの開発部署に所属する人で、アキトはその女性がアストレイをいじっている笑顔が好きと来た。

なら、アキトをアストレイのテストパイロット候補に選ぶか…………?

 

これはあとで考えよ。

 

 

雷真「取り敢えず、お前の気持ちは分かった。今は飯にしよう」

 

アキト「はい」

 

 

アキトの恋話を一度切り上げ、本来の目的であるラーメンを店員に注文して30分くらいで食べ終わり、第5格納庫に戻り、大まかなプログラムの調整を終えたあと。俺は入り口のエレベーターがある格納庫から簪の試作品を持って、門限になる前にIS学園へと帰ることにした。

 

 

 

 




人物設定



《彰島シノブ》(あきまじまシノブ)


イメージキャラ:シン・ヒュウガ・シャイング


年齢:28


作中設定

黒牙部隊の諜報・開発班のリーダー。実質、雷真の懐刀である。
また、過去に隠密作戦中に敵の罠に嵌まり。死ぬはずだったシノブを雷真が助け。その後は、雷真に忠誠を誓っている。

また、婚約者あり。




《彰島アキト》(あきまじまアキト)


イメージキャラ:日向アキト


年齢:22


作中設定


兄のシノブとは違い。アキトの役割は兄が隠密作戦で不在の時に開発班の副リーダーとして活動。
一つのことに集中すると回りの音が聞こえなくなるところを見込まれ、雷真に開発班に抜擢された。


また、フリー。

アヴァロン・フリーダムのビーム兵器を実技演習の授業でも使用するかについて

  • アヴァロン・フリーダムの使用禁止
  • アヴァロン・フリーダム ビーム兵器の禁止
  • 別機体のビーム兵器を使用
  • 別の機体を使う
  • 雷真は見学

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