自由と白式   作:黒牙雷真

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第46話

真耶「はい、それでは皆さーん。今日は、ここ第六アリーナで高機動について授業をしますよー!」

 

 

一夏の誕生日プレゼントの購入とシャルロットとのプチデートから数日。一組の副担任である山田先生の声が第六アリーナに響き渡る。

 

 

真耶「この第六アリーナは中央タワーに繋がっていて、高機動実習が可能であることは先週の授業で言いましたね?」

 

 

山田のその言葉に一組一同は頷く。

 

 

真耶「それでは、まず、専用機持ちの皆さんに実演をしてもらいましょう!」

 

 

そう言って山田先生が手を向ける先には一夏とセシリアが居た。

 

何故、俺ではないのかと言うと、俺の技術は他の一般生徒では到底一年や二年そこらではマスターできない代物だと言われたからだ。

流石に生き残るために身に付けた技術を簡単にこなされては此方としても困る。

 

 

真耶「まずは、高機動パッケージの『ストライク・ガンナー』を装備したオルコットさん!」

 

 

セシリアの専用機であるブルー・ティアーズの高機動パッケージ『ストライク・ガンナー』は、通常時に使用できるビット兵器が全て使えなくなる代わりに、その分ハイスピード&ハイモビリティを得られる装備らしい。

 

要はストライクフリーダムがミーティアとドッキングしてスーパードラグーンが使えなくなったみたいな感じか……。

 

 

真耶「続いて、通常装備ですが、スラスターに全出力を調整した仮想高機動装備にした織斑くん!」

 

真耶「この二人にアリーナを一周してきてもらいましょう!」

 

 

一他の生徒たちが二人に『がんばれー!』と応援の声をかけると一夏とセシリアは軽く手を挙げて応えた。

 

そんな二人を見ていると幼馴染である本音から声がかかる。

 

 

本音「ねぇ、ライライ」

 

雷真「なんだ?」

 

本音「どうして、おりむーが選ばれてライライが選ばれてないの~?」

 

雷真「織斑先生に止められたんだよ」

 

本音「へ?」

 

雷真「『お前の飛行技術は他の一般生徒では真似できん。なら、素人の織斑とある程度経験があるオルコットで実演は十分だ』とさ」

 

本音「あー、確かにライライの技術は他の生徒だと真似できないね~」

 

雷真「そういうことだ。だから、早く元の列に戻れ。織斑先生が睨んでるぞ」

 

本音「へ?」

 

千冬「…………」ジロリ

 

本音「ひやあ~~!!」

 

 

とぼとぼした足取りだが、織斑先生の出席簿が脳天に落ちる前に本音は元の列へと戻って行った。

本音が列に戻ると白線の上で一夏とセシリアが構える。

 

 

真耶「二人とも、準備はいいですか?」

 

一夏「大丈夫です」

 

セシリア「いつでも」

 

真耶「それでは、…………3、2、1、GO!」

 

 

山田が持っていたフラッグを振り下ろすと、それを合図に一夏とセシリアの二人は一気に飛翔し、直ぐに空気の壁を破り音速へと到達する。

 

 

 

雷真「なかなかに早いな」

 

 

二人の飛行速度にホヘーと見ながら感想を言うと隣にいる刀奈が口を開く。

 

 

刀奈「まぁ、セーフティを解除したフリーダムと比べたら。それは、()()()()よね」

 

雷真「セーフティを解除すれば、な」

 

刀奈「その口振りだと、大会当日はセーフティをかけたままなの?」

 

雷真「ああ。流石に緊急事態でもないのにセーフティを解除するのは危ないからな」

 

刀奈「まぁ、そうよね。動力は核で、セーフティを解除すればエネルギーの出力はストライクの四倍ですものね」

 

雷真「そういうこと。フリーダムかジャスティスが一機あれば、一国を簡単に滅ぼせるからな」

 

刀奈「やらないでよ、雷真」

 

雷真「さぁな。それはこの国、いや、この世界次第だな」

 

刀奈「この世界って…………」

 

雷真「俺が大切だと思っている《花》に手を出さなければ、俺は平和を望むさ。けれど、俺の大切な《花》を散らすようなことをすれば俺は自分自身ですら、何を仕出かすか分からない」

 

刀奈「ねぇ、その花って、もしかして…………」

 

雷真「おっ、二人が帰ってきたぞ」

 

 

俺は刀奈の話を遮り、一夏とセシリアの所へ向かう。

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

雷真に《花》のことについて聞こうして、遮る様に雷真が一夏くんとセシリアちゃんの元へ行くのを見送ったあと。私は一人で先ほどの《花》について直感的に感じた物を考えることにした。

 

 

 

刀奈「《花》を散らさなければ、か…………」

 

刀奈「それって、私たちのことよね。きっと…………」

 

 

直感的に感じた《花》という言葉が私と簪ちゃん、シャルロットちゃん。それに本音や虚ちゃんのことを示していると思った。

 

 

刀奈「…………」

 

シャル「どうしたの、刀奈?」

 

刀奈「シャルロットちゃん…………。さっき、雷真と話してたんたけど……。その中で、雷真がフリーダムとジャスティスっていう機体があれば、一国を滅ぼせるって話になって」

 

シャル「なかなかに物騒だけど、あり得そうな話だね」苦笑

 

刀奈「それで、雷真にやらないように言ったら、この世界が雷真の大切な《花》を散らさない限りは、雷真はそんなことをするつもりはないと言ってたけど…………」

 

シャル「けど?」

 

刀奈「もしも、仮に散らすようなことをすれば。雷真自身、何を仕出かすか分からないと言っていたわ」

 

シャル「途中で出てきた《花》って、もしかしかて……僕らのこと?正確には、僕や刀奈、簪、本音、虚さんのことを示してるよね?」

 

刀奈「やっぱり、シャルロットちゃんも分かっちゃうわよね……」

 

シャル「そりゃね……」

 

刀奈「今さらだけど、私たち、国家代表や国家代表候補生は雷真からしたら足手まといなのかもしれないわね……」

 

シャル「……」

 

刀奈「私は、あのMS(モビルスーツ)型のISが初めて現れてから4度も雷真にMS(モビルスーツ)型のISから守られた。その度に、雷真が一人で全て何とかしてきた……」

 

刀奈「クラス対抗、臨海学校、学園祭。この、全てのイベントの中で私たちが直接、MS(モビルスーツ)型のISと対峙してきたのは量産機と雷真が居ない時の専用機だけ。完全に量産型の方しか相手をしていないわ」

 

シャル「言われてみれば……そうだね」

 

刀奈「つい、私たちにもMS(モビルスーツ)型のISがあればな……って思っちゃうのよね」

 

シャル「僕もそれは思うけど………雷真の過去を思うとね」

 

刀奈「そうよね……」

 

 

雷真は異世界で身寄りの無い自分を家族として優しく迎え入れてくれた異世界の義理の姉や友人たちのためにストライクに乗り、銃を手にした。

誰も大切な人を殺させないようにと…………。

 

 

刀奈「…………」

 

シャル「…………」

 

 

二人で雷真の壮大な過去のことを思い出してると一夏くんたちの所にいる雷真から声がかかる。

 

 

雷真「おーい、刀奈、シャルロット!これから、ラウラと一飛びして来ようと思うんだが、一緒にどうだ?」

 

刀奈「私は行くけど。シャルロットちゃん、どうする?」

 

シャル「無論、行くよ!」

 

刀奈「なら、行きましょう」

 

シャル「うんっ!」

 

 

今はまだ、私は雷真に守られるだけの存在でしかないのかもしれない。けれど、いつかは雷真の隣や背中を任せられる存在になれたら嬉しい。それがダメなら………戦いから帰ってきた彼を癒してあげられる、そんな存在でありたい。

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

ラウラと一飛びすることになったので、フリーダムのヘッド装甲以外を展開してから、少し離れている所で何やら真剣な話をしている、刀奈とシャルロットの二人に会話が終わったところで声をかけた。

 

そして、二人の返答は『一緒に飛ぶ』との応えが来た。

 

 

雷真「一夏、お前はどうする?」

 

一夏「そうだな………。俺はフリーダムの動きを参考にしたいから見てるよ。フリーダムのウィングスラスターは白式のウィングスラスターと少し似てるからな」

 

シャル「だったら、ダイレクト・ビューを使えばいいよ」

 

一夏「ダイレクト・ビュー?」

 

ラウラ「簡単に言えば、視界情報の共有化。ようは、雷真が見ている物を一夏にも共有できるという物だ」

 

一夏「へぇー。そんなのがあるのか」

 

雷真「えーっと、これか!一夏、通信チャンネルを205に設定してくれ」

 

一夏「おう」

 

雷真「それじゃあ、流す程度で行くか」

 

 

俺、刀奈、シャルロット、ラウラの四人は、それぞれのペースで第六アリーナのコースを駆ける。

 

 

雷真「一夏、どうだ?」

 

一夏『やっぱり、フリーダムの方が速いな』

 

雷真「まぁ、フリーダムは別格だからな。それじゃあ、速度上げるぞ」

 

一夏『まだ上がるのかよ!?』

 

雷真「ハイマットモードにすればなっ!」

 

 

ダイレクト・ビューで見ていると一夏にプライベートチャンネルで感想を聞きながら、中央タワーの外周に近づくとフリーダムのウィングスラスターを広域展開のハイマットモードへと移行し、左に90度回転してタワーの外壁を這うように飛行する。

 

 

シャル「うそっ………そんな体勢で飛行するなんて!?」

 

ラウラ「どこが流す程度だっ!?」

 

雷真「いや、流してるぞ? まだ、セーフティをかけて6割ほどだ」

 

刀奈「セーフティをかけて、これが6割……。それをいとも簡単に手足のように制御するなんて…………」

 

 

「「「やっぱり、規格……外……」」」

 

 

雷真「解せぬ……」

 

 

第六アリーナと中央タワーの外周を一周してきたあと、地上に降りてフリーダムの調整をする。

 

 

雷真「ん~……今のままでもいいんだが、どうするかな?」

 

雷真「フリーダムはこれと言って弄る必要もないし。かといって、追加パッケージのミーティアはまだ調整中だし。仮にあったとしても小回りが効かないからな……」

 

 

フリーダムの調整に悩んでいると自分の専用機の調整が終わった刀奈とシャルロットがやって来た。

 

 

刀奈「雷真、何を悩んでるの?」

 

雷真「フリーダムの調整をな。今のままでも平気なんだが、今回は少しでもイベントを楽しもうと思って調整を考えているんだが……」

 

シャル「そっか!雷真は今まで機体の調整って言ったら戦闘がメインだったから、イベントが目的で調整するのは初めてなんだね?」

 

雷真「そういうことだ」

 

刀奈「でも、キャノンボール・ファストは高速機動戦闘を想定したレースなのだから、そのままでいいんじゃない?」

 

刀奈「でないと日頃の仕返しができないわよ」ボソッ

 

雷真「聞こえてるからな、刀奈」

 

刀奈「な、なんのことかしら?」プイッ

 

雷真「負けず嫌いも程々にしろよ」

 

刀奈「むぅ…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、本日のカリキュラムが終わり。夕食も終えて自室にいると更識の機密回線から俺の携帯に通話が来た。

 

 

雷真「俺だ。どうした、シノブ」

 

シノブ『若様、亡国企業(ファントム・タスク)を追わせている諜報班より報告です。キャノンボール・ファストで亡国企業(ファントム・タスク)の工作員が単独で奇襲をかけるとの事です』

 

雷真「イベント事で一般人に紛れて会場の観客席から奇襲する気なのか?」

 

シノブ『如何なさいますか?』

 

雷真「亡国企業(ファントム・タスク)だけなら、俺や刀奈たちで事足りる。しかし、亡国企業(ファントム・タスク)以外の介入があったら一般人の避難誘導を任せる」

 

シノブ『避難誘導だけですか?』

 

雷真「アストレイはまだ早い」

 

雷真「それと"天使"と"翼"を急がせろ。アストレイが間に合っても"天使"と"翼"が間に合わなければ宇宙に敵がいたら手札が少なすぎる。仮にブースターを使っても、数が居たら対処ができなくなる」

 

シノブ『御意っ!』

 

 

シノブとの通話を切ると俺は窓辺にある椅子に座り込む。

 

 

雷真「"天使"と"翼"が完成するまで何もなければいいが…………」

 

 

 

 

 

アヴァロン・フリーダムのビーム兵器を実技演習の授業でも使用するかについて

  • アヴァロン・フリーダムの使用禁止
  • アヴァロン・フリーダム ビーム兵器の禁止
  • 別機体のビーム兵器を使用
  • 別の機体を使う
  • 雷真は見学
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