自由と白式   作:黒牙雷真

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次回でアンケート締め切りです。




第48話

 

 

 

 

 

 

~BGM:閃光の果てに~

 

 

 

 

 

レース開始のブザーの音で各自、自分の機体のスラスターを噴かし、一気に加速する。すると、最初のストレートをあっという間に抜け、弧を描くような第一コーナーに差し掛かり全員、練習通りに機体をコーナーに合わせてカーブさせる。

 

また、第一コーナーで最初に仕掛けてきたのはセシリアだった。それにより、セシリアを先頭に列が出来上がる。

 

順番は、セシリア、一夏、俺、箒、鈴、ラウラ、刀奈、シャルロット、簪の順だ。

 

 

セシリア「このまま行きますわよ!!」

 

鈴「させないわよっ!」

 

セシリア「来ましたわね、鈴さん!」

 

 

鈴はセシリアと並ぶように瞬時加速(イグニッション・ブースト)で加速し、両肩部の衝撃咆を前方にいるセシリアに向けて連射する。

その、空気の弾丸を放たれたセシリアは、それを回避しようと横にロールして回避。回避に成功するが回避によって減速してしまった隙に鈴が爆発的な加速でセシリアを抜き去る。

 

 

セシリア「くっ!やりますわね!」

 

鈴「へへん!おっそーい!」

 

 

鈴はセシリアを抜いたことに勝ち誇ったような笑みを浮かべるが人間、『勝った!』と思った時が一番の隙ができる。故に鈴は今まで自分の背後をべったりと張り付いていた影に気が付かなかった。

 

 

ラウラ「フッ、甘いな」

 

鈴「なっ………ラウラ!?」

 

 

鈴の背後に張り付いていたラウラに驚き、直ぐに衝撃咆を構えるが、それよりも先にラウラがシュヴァルツェア・レーゲンの大口径のリボルバー・キャノンをコンマ差で早く放ち、直撃とまでは行かないものの、高速機動状態での被弾はコースラインから逸らせるには十分だ。

 

 

雷真「展開が早いな…………よっと!」

 

 

一位に躍り出たラウラは後方にリボルバー・キャノンを連射しながら牽制とリボルバー・キャノンを放つ時の衝撃を勢いに変えて加速しているようだ。それを最小限の動きで回避する。

 

 

一夏「三人に負けてられるか!」

 

シャル「二人ともお先に」

 

 

一夏が動こうしたタイミングでスラスターの出力を上げたシャルロットが俺たちの前に出て、そのまま第二コーナーへと突っ込む。

 

 

一夏「なっ、シャルロットまで!?」

 

シャル「キャノンボール・ファストはタイミングが命だからね。それじゃあ」

 

雷真「いやー、白熱してるな」

 

一夏「呑気に言ってる場合か!?」

 

まぁ、俺もトップを狙っているがまだ勝負にはでない。出る時は、海上に設置された、急角度な、つづら折りカーブをイメージしたコーナーだ。五回に渡る、つづら折りカーブは必ず減速をする必要がある。

 

しかし、俺はそれを減速することなく突破する秘策がある。

 

そして、つづら折りカーブに入るストレートに入ると背後から赤いレーザーが飛んで来た。赤いレーザーと言えば、一人しかいない。

 

 

雷真「箒だな」

 

一夏「これは………箒か!」

 

箒「悪いが先に行かせてもらおうか!」

 

一夏「そう簡単にいくかよ!」

 

 

一夏は雪羅のビームクローで紅椿の赤いレーザーの斬撃を弾きながら追尾する。俺は、一夏が弾いた残りのレーザーの斬撃を機体を回転させたり、ウィングスラスターを動かして最小限の動きで回避する。

 

 

雷真「そろそろかな」

 

 

レーザーの斬撃を回避していると海上の第3カーブに設置されている5つのポイントが浮かぶつづら折りカーブが見えてきた。なので、ここでセーフティをかけている状態のままでフリーダムのスラスターを先ほどより強く噴かし、ウィングスラスターもハイマットモードに移行する。

 

すると、あっという間にラウラとシャルロットの隣へ並ぶ。

 

 

一夏「なっ、雷真!」

 

箒「は、速い!」

 

シャル「うそっ……さっきまで一夏たちと後ろで!」

 

ラウラ「くっ………先ほどまで全開ではなかったのか!?」

 

雷真「誰がそんなことを言った。それと、先に行くぜ?」

 

ラウラ「させるか!」

 

シャル「行かせないよ!」

 

 

ラウラとシャルロットの二人が俺を先に行かせない様に両サイドから挟み込むが、俺はフリーダムを海面ギリギリまで降下させて右腰のラケルタビームサーベルを引き抜き、ビーム刃を出し海面に叩き付け、海水を蒸発させて煙幕に使う。

 

 

シャル「水蒸気の煙幕!?」

 

ラウラ「小癪なっ!」

 

雷真「さぁ、追い付いて来いよ!」

 

 

海水の煙幕によって二人が減速するのをよそに、俺はフリーダムを180度前後を入れ替え、バックするような構えのまま、つづら折りのカーブに入り。高速機動モードでもエムとの戦闘で既に試しているので何の躊躇なく個別連続瞬時加速(リボルバー・イグニッション・ブースト)をカーブに合わせて連続で行う。

 

 

シャル「また、あんな体勢で!」

 

ラウラ「まだ、余裕があるということかっ!」

 

箒「くっ…………紅椿!」

 

一夏「俺は、雷真に追い付くんだ!」

 

 

シャルロットとラウラは俺の体勢に驚きながらもつづら折りカーブに入る。箒は紅椿の装甲を展開させて爆発的な加速を見せ、一夏は、俺に追い付くんだと叫びながら白式のスラスターを全開で噴かす。

 

 

雷真「悪いな。俺は、レースでも手を抜く気はないんでな」

 

 

加速してくる四人には悪いが俺もセーフティを掛けているとはいえ、全力でレースに挑んでいるので手を抜くことはしない。なので、四人の足元……正確には四人の約3m先の海面にフリーダムのルプスビームライフルとバラエーナプラズマ収束ビーム砲を向けて放つ。

 

 

シャル「やばっ!?」

 

ラウラ「チッ!」

 

箒「これはっ!?」

 

一夏「うわあああっ!!」

 

 

ルプスビームライフルとバラエーナプラズマ収束ビーム砲の今回の主な目的は当てるのではなく。四人の視角の妨害と姿勢を崩させること。

 

簡単に説明するとビームにより蒸発した水蒸気で視角の妨害。もしくは、真下から蒸発する水蒸気の勢いで姿勢を崩させることが目的なのだ。

 

それにより、シャルロットとラウラは視角が遮られ。箒と一夏は、真下からのなんちゃって水蒸気爆発で姿勢が崩れコースアウト。

 

 

雷真「よし。妨害成……ん?」

 

雷真「あれは……刀奈か!?」

 

 

シャルロット、ラウラ、箒、一夏の妨害が成功しつづら折りのコーナーを抜けると後ろから紅椿とは違う、赤い閃光が今までにない爆発的な加速で近づいてくる。

 

その正体は刀奈が乗る。霧纏の淑女(ミステリアス・レイディ)が専用パッケージである『オートクチュール』と呼ばれる赤い翼のユニットを装備して超高出力モードの『麗しきクリースナヤ』を発動した状態である。

 

 

 

刀奈「ハァ~イ、雷真♪待たせたかしら?」

 

雷真「やっぱり、刀奈も奥の手を隠してたか」

 

刀奈「そうよ♪それにしても、まさか個別連続(リボルバー・)瞬時加速(イグニッション・ブースト)までマスターしているとは驚きだわ」

 

雷真「個別連続瞬時加速(リボルバー・イグニッション・ブースト)を使って、あるMS(モビルスーツ)の動きを真似たかったんだよ」

 

刀奈「へぇ~、それも含めて後で今日のことを聞きましょうか」

 

雷真「分かってるよ。それと、鈴とセシリア、簪は?」

 

刀奈「鈴ちゃんとセシリアちゃんは簪ちゃん特製のミサイルにやられてたわ」

 

雷真「アハハハハ。簪もやるな」

 

刀奈「それにもう来るわよ」

 

雷真「みたいだな」

 

 

刀奈と簪の話をしていると通常状態の霧纏の淑女(ミステリアス・レイディ)とは違う、甕覗色をした機体が加速してくる。その正体は間違いなく、簪だ。

 

簪は何と、後方に春雷を連射しながらそれを追加の推進力としてラウラと同じやり方で加速してくるのだ。

 

 

簪「追い……付いた!」

 

雷真「簪も来たか」

 

刀奈「フフフ。これでお馴染み三人が揃ったわね」

 

簪「二人が相手でも……負けない!」

 

刀奈「私だって!」

 

雷真「俺だって!」

 

 

「「負けるつもりはない!!」」

 

 

そこからは俺、刀奈、簪の三者で最後のカーブの前のロングストレート区間まで一歩も譲らない飛行を続けている。ロングストレートの中間に差し掛かろうとした時、後ろから複数のビームやレーザー、レール砲やらが飛んでくる。

 

 

刀奈「皆、必死ね」

 

簪「最後まで諦めたくないのは皆、一緒だから」

 

雷真「それにしても撃ち過ぎじゃないか?」

 

刀奈「そうね。少し鬱陶しわね」

 

雷真「よし。二人とも、合わせてくれ」

 

簪「何をするの?」

 

雷真「そんなのは簡単。後ろの奴らを蹴散らす!」

 

刀奈「いいわね、それ!」

 

簪「のった!」

 

雷真「それじゃ、ラストのカーブに入ると前の会社提供の看板が残り3つになった時に一斉に射撃武装をぶちかます」

 

刀奈「OK!」

 

簪「分かった」

 

雷真「それじゃあ、行くぞ!」

 

 

最後のカーブまで会社提供の看板が残り4つに差し掛かると、俺は脚部スラスターを強めに噴かせ、減速させずに逆さまの状態になりながらハイマット・フルバーストの構えを取る。

 

刀奈は右手に蒼流槍を左手には拡張領域(バススロット)から超高圧水弾ガトリングガンの『バイタル・スパイラル』を振り返らずに構える。

 

簪も春雷と山嵐を振り返らずにマルチロックオンの体勢に入る。

 

 

雷真「3」

 

刀奈「……」

 

雷真「2」

 

簪「……」

 

雷真「1」

 

雷真「てぇっ!」

 

 

俺の合図でフリーダムのハイマット・フルバーストと刀奈の蒼流槍の実弾とバイタル・スパイラルの超高圧水弾。簪の荷電粒子砲とストライクのデータからヒントを得たのか山嵐のミサイルをアレンジして中身を普通の爆薬ではなく、対空榴散弾頭に中身を変えているようでミサイルが開くと中からは弾丸の嵐。その三人の全射撃武装のフルバーストが後続に放たれた。

 

そして、最終カーブを抜けてゴールまでの最終ストレートに入ると後方から機影は見当たらないのにコースに沿うよう俺たちに青いレーザーが5つ、追尾してくる。

 

 

雷真「もしかして、あれはブルー・ティアーズの偏向射撃(フレキシブル)か!?」

 

刀奈「土壇場で偏向射撃(フレキシブル)を物にするなんて!?」

 

簪「さすがはセシリア」

 

雷真「………。(仕方ない。ここは花を持たせるか)」

 

 

尚も追尾してくるブルー・ティアーズの偏向射撃(フレキシブル)と思われる青いレーザーを迎撃するためにフリーダムの体勢をつづら折りカーブの時の様にバックする構えをして、ルプスビームライフルで一つずつ青いレーザーを撃ち落としていく。

 

それにより、秒差ではあるが先頭では姉妹揃ってゴールラインを通過したアナウンスが流れる。

 

 

雷真「本当に、この土壇場で偏向射撃(フレキシブル)を習得するとはな。恐れ入る」

 

 

こうして、一年生専用機持ち組のレースは幕を閉じた。

リザルト結果は…………

 

 

1位、更識刀奈・更識簪

 

3位、黒牙雷真

 

4位、シャルロット・デュノア

 

5位、セシリア・オルコット

 

6位、織斑一夏

 

7位、凰鈴音

 

8位、ラウラ・ボーデヴィッヒ

 

9位、篠ノ乃箒

 

 

…………というリザルト結果になった。

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