自由と白式   作:黒牙雷真

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第51話

雷真「それじゃあ、一夏。シューター・フローから二段階瞬時加速(ダブル・イグニッション)をやってみろ」

 

一夏「おう!」

 

 

Nダガーの襲来から翌日。色々と悩んだが今は一夏を強くすることに専念することにした。

そして現在、早朝特訓にて学園祭前から始めていた。円状制御飛翔(サークル・ロンド)のシューター・フロウから瞬時加速(イグニッション・ブースト)または二段階瞬時加速(ダブル・イグニッション)を使用した。ゼロ距離荷電粒子砲を叩き込む特訓の最終確認。

 

ターゲットは無論、俺とフリーダムだ。

 

 

一夏「いくぜ!」

 

雷真「ああ」

 

 

一夏は精神統一をした後、俺の周りを 円状制御飛翔(サークル・ロンド)し始めたので、いつも通りルプスビームライフルを少し甘めに撃つ。

すると、一夏はちゃんとシューター・フローでビームを回避しながら二段階瞬時加速(ダブル・イグニッション)の機会を伺っていた。

 

 

一夏「ここだっ!」

 

雷真「………。(物にしたな)」

 

一夏「ウオオオオッ!!」

 

雷真「でも、俺に当てるにはまだ早いっ!」

 

 

背後から一夏が二段階瞬時加速(ダブル・イグニッション)を使い。後ろから迫ってくることを知らせる危険アラームが鳴るが、ハイパーセンサーを使って一夏との距離を計算しながら、回避行動を取る。

 

 

一夏「なにぃぃぃぃ!?」

 

雷真「ほら、驚いてないでガードしろ」

 

一夏「しまっ………!」

 

雷真「はい。ワン・ロスト」

 

一夏「ぐっ」

 

 

その回避行動は、一夏の攻撃をフリーダムの脚部スラスターを強く噴かせながら、能動性空力弾性翼を活用してバク宙返りで回避。そして、そのまま一夏の背後を取りながら、右腰のラケルタビームサーベルを引き抜き、ビームサーベルの切っ先を一夏の眼前に突きつける。

 

 

雷真「回避されたくらいで集中力を切らすなよ。俺じゃなくても墜されるぞ。サイレント・ゼフィルスのパイロットとかな」

 

一夏「…………サイレント・ゼフィルス」

 

雷真「でも、ゼロ距離荷電粒子砲の特訓はクリアだな」

 

一夏「おっしゃ!」

 

雷真「それじゃあ、次の特訓に入るけど少しいいか?」

 

一夏「なんだよ?」

 

雷真「学園祭の亡国企業(ファントム・タスク)MS(モビルスーツ)ISの襲撃に伴い、各専用機持ちのレベルアップを図るために、来月に全学年合同の専用機持ちによるタッグマッチトーナメントを行うことになった」

 

一夏「へぇー、そうなのか」

 

雷真「そこで、お前には簪とペアを組んでもらう」

 

一夏「は?いや、雷真が簪さんと組めばいいだろう?」

 

雷真「いや、俺じゃあダメなんだよ」

 

一夏「雷真じゃあダメ?」

 

雷真「一夏は簪の専用機が何処で作られていたか知ってるか?」

 

一夏「いや、全然」

 

雷真「簪の専用機を作っていたのは、一夏、お前の白式を作っていた『倉持技研』なんだよ」

 

雷真「この意味が、お前には分かるか?」

 

一夏「えっとー。つまり、雷真は俺と簪がペアになることでお互いの専用機を作った企業が同じだから専用機の調整とかがしやすくなると?」

 

雷真「それだけじゃない。簪の専用機は俺たちの所為で遅れていた。本来なら、クラス対抗戦には完成していたはずだ。それを覚えて置いてくれ」

 

一夏「それって俺たちじゃなくて、俺の所為だろう?なら、簪さんに謝らないと」

 

雷真「そうだな。それじゃあ、特訓の話に戻すぞ」

 

一夏「お、おう!」

 

雷真「今度の特訓は瞬時加速(イグニッション・ブースト)からの派生技であり。この間のレースで俺が使った、個別連続瞬時(リボルバー・イグニッション)加速(・ブースト)の特訓だ」

 

一夏「リボルバー・イグニッション・ブースト…………」

 

雷真「それに加えて、お前にはあるMS(モビルスーツ)の動きを覚えてもらう」

 

一夏「MS(モビルスーツ)の?」

 

雷真「ああ。お前の白式の一撃必殺の零落白夜と併用したらラウラクラスは倒せるようになるだろう」

 

一夏「ラウラたちに勝てるかもしれない。よし、やるよ!俺!」

 

雷真「その意気だ。では、原理の説明だが。個別連続(リボルバー・)瞬時加速(イグニッション・ブースト)は名前の通り。個別に瞬時加速(イグニッション・ブースト)を連続的に使う技だ」

 

雷真「白式は燃費が悪いから何度も使えないが、ここぞという時の起死回生にはなる」

 

一夏「なるほど」

 

雷真「じゃあ、お手本を見せるから良く見ておけよ?」

 

一夏「おうよ!」

 

 

一夏にエムにやったデスティニーの劣化版の動きを見せるためにルプスビームライフルとラミネートアンチビームシールドを後ろ腰にマウントしてからフリーダムの拡張領域(バススロット)に収納してある。ソードストライカーのシュベルトゲーベルを取り出す。

 

 

一夏「それって、ストライクの剣?」

 

雷真「…………」

 

 

シュベルトゲーベルを取り出すとフリーダムのウィングスラスターを開き、ハイマットモードにしてからシュベルトゲーベルを正眼に構え、一気にメインスラスターとウィングスラスターを噴かす。

 

そして、ある程度の速度に到達すると一回目の瞬時加速(イグニッション・ブースト)が切れる前のタイミングで瞬時加速(イグニッション・ブースト)を連続で行い、個別連続瞬時加速(リボルバー・イグニッション・ブースト)でデスティニーの動きと似た動きをする。

 

 

一夏「す、スゲェ…………」

 

雷真「どうだ?もしも、これと零落白夜を併用しながらやったらどうなるかイメージはついたか?」

 

一夏「ああ。本当に必殺技だな。こりゃ」

 

雷真「次、個別連続瞬時加速(リボルバー・イグニッション・ブースト)を使った応用技だ」

 

一夏「まだ、あるのかよ……」

 

雷真「取り敢えず、構えろ」

 

一夏「分かった」

 

 

 

互いにある程度、距離を開け得物を構える。

 

 

雷真「それじゃあ、一夏は正面から瞬時加速(イグニッション・ブースト)で攻めて来てくれ」

 

一夏「分かった」

 

雷真「よし、じゃあ…………GO!!」

 

 

俺と一夏はある程度距離を開ける。そして、一夏は雪片弐型を構えて瞬時加速(イグニッション・ブースト)を行う。それと同じタイミングで俺もシュベルトゲーベルを構えて個別連続瞬時加速(リボルバー・イグニッション・ブースト)を行う。

 

 

一夏「ウオオオオッ!!」

 

雷真「…………」

 

 

互いに距離がミドルレンジに迫ると一夏は雪片弐型を振り当たる瞬間にハロの中にあったデータにデスティニーがジャスティスの『ビームキャリーシールド』に複合されている『グラップルスティンガー』を躱したように俺もフリーダムの起動力と個別連続(リボルバー・)瞬時加速(イグニッション・ブースト)を使用してグルリと回転させ回避しながら白式のSEを削る。

 

 

一夏「嘘だろう、この距離で!?」

 

雷真「これが個別連続瞬時加速(リボルバー・イグニッション・ブースト)MS(モビルスーツ)の動きを合わせた技だ。初めてやられてどうだった?」

 

一夏「何かこう…………軽かった、って感じかな?」

 

雷真「軽かった、か……」

 

一夏「普通は回避されると、『回避された!』って思うけど。今のは、霧を切ろうとしてるというか、なんというか…………」

 

雷真「そこまで感覚で掴んだか。さっきの動きは本来、ミラージュコロイドを使った動きが元なんだ」

 

一夏「ミラージュコロイドって、この間の姿形が見えなくなる奴のか?」

 

雷真「ああ。いっそ、一夏にデスティニーのデータを見せた方がいいか」

 

一夏「デスティニー……?」

 

雷真「そう、【ZGMF-X42S デスティニー】。さっき言ったMS(モビルスーツ)のことだ」

 

 

本来は見せるつもりはなかったのだが、Nダガーが出現したことと俺が所持しているカオスたちのことを考えるとMS(モビルスーツ)を製造している奴らは、十中八九、ハイパーデュートリオンエンジンをこちら側でも製造が可能なのだろう。

 

 

一夏「なんだよ………これ。残像?」

 

雷真「これは高機動時にミラージュコロイドを纏うんじゃなくて周囲に散布することで残像を作っているんだ。これにより、視覚的や電子的にも敵を撹乱できる」

 

一夏「雷真は、コイツと戦ったことはあるのか?」

 

雷真「あるが、負けている」

 

一夏「えっ!?」

 

雷真「言い訳にしかならないが、当日の俺の機体は量産機からワンオフ機としてオリジナルにチューンアップした機体だからな」

 

一夏「どんな機体なんだ?」

 

雷真「当日の俺の機体は【MBF-06 シルバーアストレイ】だ」

 

 

一夏に当日、C.E.72年のユニウス条約以降に俺のワンオフ機としてカガリから渡された最新型のアストレイ。【MBF-06 シルバーアストレイ】のデータを見せた。

 

 

一夏「これが、シルバーアストレイ……白金のMS(モビルスーツ)

 

雷真「装甲は普通のアストレイと違って、ラミネート装甲だ。他には、ストライカーパックを装備できるように背部を改造してあるんだ」

 

雷真「それでも、デスティニーとは機体スペックの差が大き過ぎて演習でも10回中2回勝てればいいほうだ」

 

一夏「雷真でも八回も負けるのかよ」

 

雷真「そりゃそうさ。なんせ、デスティニーはフリーダムよりも高性能。それに加えてパイロットはZAFTのエース級だぜ?そんな奴に、一般兵の俺が楽勝なわけないだろう」

 

一夏「もしも、そんな奴らが俺たちの世界に居たら。どうなってた?」

 

雷真「そうだな。強さで計るのであればら俺が知ってる強者たちが仮に、この世界に来ていたとしたら俺は多分、上から六番目くらいじゃないか?」

 

 

俺の頭にはキラ、アスラン、シン、ムウ、劾の顔が浮かんだ。

 

 

一夏「五人も上がいるのかよ……」

 

雷真「まぁ、そんなもんさ。お前だって、俺がいなくても下から数えた方が早いだろう?」

 

一夏「くっ」

 

一夏「そ、そうだけど…………」

 

雷真「そんなことよりも、特訓の話に戻すぞ。さっきも言ったが個別連続瞬時加速(リボルバー・イグニッション・ブースト)瞬時加速(イグニッションブースト)を個別に連続させる技だ。そのため、瞬時加速(イグニッション・ブースト)を三回以上連続させる必要がある」

 

雷真「だから、当分の間の早朝特訓は白式のスラスターを個別に動かして連続的に噴かすことをメインにした特訓にする。いいな?」

 

一夏「おう!」

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

一夏の初めての個別連続瞬時加速(リボルバー・イグニッション・ブースト)の特訓を開始し、早朝特訓の終わりまで続けたあと、一度寮に戻り。朝食を食べて、授業を受ける。二限の休み時間になると、何故か写真部のエースであり二年生次席の黛薫子先輩がやって来た。

 

 

薫子「やっほー、織斑くん。それに黒牙くんに篠ノ之さんも」

 

一夏「あれ、どうしたんですか?」

 

薫子「いやー、ちょっと三人に頼みがあって」

 

箒「頼み?私たちにですか?」

 

薫子「うん、そう。あのね、私の姉が出版社で働いてるんだけど、専用機持ちとして三人を独占インタビューさせてくれないかな?あ、ちなみにこれが雑誌ね」

 

 

そう言って黛先輩が取り出しのは、ティーンエイジャー向けのモデル雑誌だった。

 

 

一夏「えっと、あのー、黛先輩?この雑誌って、ISと関係なくないですか?」

 

雷真「いや、一夏。刀奈や簪、シャルロットから聞いたんだがな。普通は専用機持ちってのは国家代表と代表候補生なんだ。他には、企業のテストパイロットとかだな。だから、俺たちがイレギュラーって訳だ」

 

一夏「なるほど。でも、今の俺と雷真は日本の仮の代表候補だろう?」

 

雷真「そうだな。ハルバートンさんのご厚意で俺たちを日本代表候補(仮)にしてもらっているな。で、国家代表と候補生はタレントや国家公認のアイドル的なこともするんだ。現に、夏休み中に刀奈と簪はその責務で曲録りしに行ってたしな」

 

薫子「捕捉すると、主にやる仕事はモデルだけどね。でも、国家によっては、黒牙くんが言ってた二人みたいに歌ったり、他には、俳優業なんかもあるみたいだけど」

 

一夏「へぇー、みんな大変だな」

 

箒「呑気に言っているようだが、一夏。一応、お前も代表候補なのだぞ?もしかしたら、お前にも白羽の矢が立つかもしれんぞ」

 

一夏「え?マジ?」

 

雷真「可能性としては無くもないな」

 

 

そんな話をしていると偶然、俺たちの話を聞いたのか鈴が此方にやってきた。

 

 

鈴「なによ、一夏。アンタ、モデルやったことがないわけ?」

 

雷真「いやいや、鈴。数ヶ月前まで一般人だった一夏に『モデルやったことがないわけ?』って言う方が可笑しいだろが」

 

鈴「うっ。た、確かに………」

 

 

鈴に注意したあと、鈴に国家代表と代表候補生がどの様なモデルをしているのかを実際に見せてもらった。

 

 

一夏「へぇ~。なかなかいいじゃん」

 

鈴「ふふん。そうでしょう、そうでしょう。で、こっちのは去年の夏の…………」

 

 

鈴は、尚も一夏に自分のモデルデータを見せていると休み時間が終わりを告げチャイムが鳴り響いた。

 

 

薫子「織斑くんに黒牙くん、今日は剣道部に貸し出しよね」

 

雷真「ええ。そうですけど」

 

薫子「じゃあ、また放課後に来るから。バイバイ!」

 

 

そう言って黛先輩は颯爽と教室から出ていった。また、黛先輩と入れ替わる形で織斑先生がやって来た。

 

 

雷真「…………」

 

鈴「でねでね、こっちが…………」

 

雷真「鈴、後ろ!左右に回避!」

 

鈴「!?(ダメ、間に合わない!)」

 

 

俺の声で鈴は咄嗟に頭上で腕をクロスして防御態勢を取る。

そして…………。

 

 

 

─────バシンッ!

 

 

 

鈴「~~~~ッ!!」

 

千冬「ほーう。今、咄嗟に回避するのは出来ないと判断し、防御姿勢を取ったか。少しはやるようになったな、小娘」

 

鈴「あ、ありがとうござます」涙目

 

 

鈴は何とかクロスガードで織斑先生によって頭上から振り下ろされた出席簿を防ぎ。その代償に両腕を赤くさせながら織斑先生から褒め言葉をもらった。

 

 

千冬「しかし、休み時間が終了を知らせるチャイムが鳴っているのに他クラスにいるのは感心せんな。とっと自分のクラスへ戻れ」

 

鈴「は、はい…………」涙目

 

 

織斑先生の注意を頂いた後、鈴は自分のクラスと帰って行った。

 

 

千冬「それでは、これより近接格闘戦における、効果的な回避方法と距離の取り方の理論講習を始める」

 

 

 

 

 

アヴァロン・フリーダムのビーム兵器を実技演習の授業でも使用するかについて

  • アヴァロン・フリーダムの使用禁止
  • アヴァロン・フリーダム ビーム兵器の禁止
  • 別機体のビーム兵器を使用
  • 別の機体を使う
  • 雷真は見学

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