自由と白式   作:黒牙雷真

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第55話

姉さんの専用機を調整した翌日。前から頼まれていた、俺、一夏、箒の独占インタビューの日だ。

また、一夏と箒がセットなので、俺のパートナーとして刀奈が同行。勝手に日本代表である刀奈がインタビューやモデル等をしたら面倒なことになるのだが、そこは俺と一夏、箒がいるからお咎めなしとのこと。

 

 

雷真「それじゃあ、全員集まったことだし行くか」

 

刀奈「そうね。二人は大丈夫?」

 

一夏「ああ」

 

箒「問題ない」

 

 

一夏と箒の二人からも了承が得られたので学園の正門からモノレールの改札へと足を運ぶ。その際、もはや無意識に刀奈が抱きついてくるように手を繋ぐ。

 

 

一夏「…………」

 

箒「………」

 

雷真「どうした?」

 

刀奈「二人とも?」

 

一夏「いや、なんでもないんだ」

 

箒「そうだ、何にもないんだ……」

 

 

二人が何故か知らんがアタフタとし始めたので自分たちの周りをよく確認する。

 

 

雷真「なるほど……刀奈」

 

刀奈「なに?」

 

 

刀奈に一度声をかけてから腕をほどき、手を前に差し出す。

 

 

雷真「少し肌寒から、手を繋がないか?」

 

刀奈「あぁ………ありがとう、雷真」

 

 

今度は指を絡めて恋人繋ぎで刀奈が腕に抱きついてくる。その後は、箒のために一夏に声をかける。

 

 

雷真「一夏、お前も男なら女の子を泣かすなよ?」

 

刀奈「箒ちゃん、頑張っ!」

 

一夏「え、えーっと、箒」

 

箒「にゃ、にゃんだ!?」

 

一夏「俺たちも手を繋がないか?」

 

箒「お、お前がそう言うのであれば………」

 

 

俺たちのやり取りを見て、二人はぎこちないながらも手を繋ぐことができた。これで箒も報われてくれると嬉しいのだが。

 

 

雷真「それじゃあ、改めて行くとするか」

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

渚子「どうも、私は雑誌『インフィニット・ストライプ』の副編集長をやっている黛渚子よ。今日はよろしく」

 

雷真「始めまして、黒牙雷真です」

 

刀奈「ご存じだとは思いますが、日本代表の更識刀奈です」

 

一夏「あ、どうも。織斑一夏です」

 

箒「篠ノ之箒です」

 

 

受付の人に今日のことを話して案内されたのは、取材を行うための部屋で、なかはわりと広かった。

また、イメージでは、個室で行われるのかと思ったら、普通にオープンスペースだ。

 

 

渚子「それじゃあ、さっそくだけれど。インタビューから始めましょうか。そのあとで写真撮影ね」

 

 

そう言って渚子さんはペン型のICレコーダーを懐から取り出し、スイッチをONにする。

 

 

渚子「それじゃあ、最初の質問いいかしら? 男子二人は、女子校に入学した感想は?」

 

一夏「いきなりそれですか………」

 

雷真「来るとは思っていたが………」

 

渚子「だってぇ、気になるじゃない。読者アンケートで君たちへの特集リクエスト、すっごく多いのよ?」

 

 

勝手にそんな面倒で迷惑なアンケートをするんじゃない。

 

 

一夏「えーと………使えるトイレが少なくて困ります」

 

渚子「ぷっ!あはははは! 黒牙くんは?」

 

雷真「一夏の答えと合わせて、風呂場があまり使えなくて困ります」

 

一夏「それは確かに!」

 

渚子「あははは! 妹の言ってこと、本当なのね!『異性に興味がないハーレム・キング』と『現ハーレム・キング』って!」

 

一夏「ハーレム・キングって………」

 

雷真「俺は現に、ハーレムを作ってしまった身だから何とも言えない………」

 

渚子「いいわね。そのキングダムへの入国許可証はないの?」

 

一夏「貴女は弾ですか!」

 

雷真「入国証が欲しければ、織斑千冬教諭に挑んで勝てれば手に入りますよ」

 

渚子「それは難易度が高過ぎないかしら!?」

 

渚子「さて、それじゃあ、篠ノ之さんにはお姉さんの話を────」

 

 

渚子さんが箒に篠ノ之束のことを聞こうとすると箒はガタッと音を立てながら立ち上がる。

 

 

渚子「………ディナー券、いらないのかしら?」

 

箒「うっ!」

 

 

ディナーチケットを餌にされた箒は犬のように渚子さんの指示に従った。

 

 

渚子「いい子ね。うふふ、素直な子って大好きよ。それで、お姉さんから専用機をもらった感想は?どこかの国家代表候補生になる気はないの?日本は嫌い?」

 

 

いきなり3つの質問を箒へ、捲し立てるように言い放った。

 

 

箒「紅椿は、感謝しています。………今のところ、代表候補生に興味はありません。勧誘は多いですが。 日本は、まあ、生まれ育った国ですから、嫌いではないです」

 

渚子「オーケー、オーケー。じゃあ、次にこの四人の中で一番強いのは?」

 

 

「「「雷真です」」」

 

 

渚子さんの質問に三人が同時に即答した。

 

 

 

渚子「そ、そう………黒牙くんは、そんなに強いんだ」

 

刀奈「国家代表である私ですら、まともに一撃を入れられませんから」

 

箒「それに加えて、一年専用機持ちで4対1で挑んでも雷真に一撃も当てられずに負けますから」

 

一夏「本当、雷真って千冬姉か束さん並に戦闘技術とプログラミングとか色々と規格外だよな」

 

雷真「一夏、人を化け物みたいにいうんじゃねぇ。明日の朝練、覚えて置けよ」

 

一夏「ひぃぃぃぃぃ!?」

 

渚子「黒牙くんが一番強いなら、次は織斑くん?」

 

箒「いいえ。 雷真の次は刀奈です。その次は他の一年専用機持ちです。一夏は下から四番目くらいです」

 

一夏より下の専用機持ちは、箒、セシリア、鈴の三人である。

 

 

渚子「そうなの? それはマズイわねー。 女の子くらい守れないと、ヒーローになれないわよ?」

 

一夏「別にヒーローじゃなくていいですよ………。俺は単なる一兵卒で」

 

渚子「黒牙くんは?」

 

雷真「ヒーロー云々はともかく、この両の手で守れるだけの大切な人は必ず守りたいですね」

 

渚子「おっ、いいわね、そのセリフ。 映画でも撮りましょうよ」キリッ

 

 

たった今、この人から黛先輩のお姉さんだと分かる瞬間を垣間見た。

 

 

渚子「それじゃあ、まずは織斑隊長、戦場での心得をどうぞ」

 

一夏「えっ!?え、えーと………」

 

 

一夏は一度、チラリと此方を見てから視線を箒の方へと向けた。

 

 

一夏「仲間は俺が守る!」

 

渚子「うん、いいわね! 次は、黒牙隊長、どうぞ」

 

雷真「そうですね………。では一言だけ」

 

渚子「どうぞ」

 

雷真「その手に銃を持つ者たちに問おう……。『力はただ力、多く望むのも愚かなれど、むやみに厭うのも愚か。守るための力が・・・、今必要ならば銃を取れ、心のまま、お前たちが定めた守る者たちのために………』」

 

渚子「深いわね」

 

 

かつて、ウズミ様がカガリにアカツキと共に残した遺言を渚子先輩に話した。

 

 

渚子「そういえば、刀奈ちゃん。生徒会長なんだって?」

 

刀奈「はい、そうです」

 

渚子「薫子が男子二人が新聞部に来ないって愚痴ってたわよ」

 

刀奈「それは来るのを待ってもらうほかありませんね。公平を期した、くじ引きで選出してから二人を貸し出してますから」

 

渚子「ああ、それなら仕方がないわね。薫子は、昔からくじ運がないから。福引きを二十回やって全部ティッシュだった時は半泣きになってたわね」

 

一夏「いやいや………」

 

雷真「二十回、全部、ティッシュって………」

 

 

そんなこんなで雑談混じりのインタビューは終了。次は写真撮影だ。

 

 

渚子「それじゃあ、地下のスタジオに行きましょう。更衣室があるから、そこで着替えてね。そのあとメイクをして、それから撮影よ」

 

一夏「え? 着替えるんですか?」

 

渚子「うん。スポンサーの服を着せないと私の首が飛ぶもの」

 

そういいながら、首チョンパのジェスチャーをする。

 

 

渚子「それじゃあ、行きましょう」

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

刀奈たちと別れて男性用の更衣室に入ると巨漢の男性が更衣室で待っていた。

 

 

???「あら、貴方たちが織斑くんに黒牙くんね?」

 

一夏「ど、どうも、織斑一夏です」

 

雷真「黒牙雷真です」

 

???「私は、アルフォース・リューバト。アルと呼んでちょうだ~い」

 

一夏「は、はぁ………」

 

雷真「………。(絶対に○イだっ!この人!?)」

 

アル「とりあえずは、このスーツに着替えてちょうだ~い」

 

一夏「わ、わかりました」

 

雷真「りょ、了解」

 

 

アルさんから渡されたカジュアルスーツに私服から着替えようとすると、何故か知らないが尻の辺りを凝視されているような感覚に襲われ無意識に尻に力が入ってしまう。この視線がアルさんでないことを祈りたい。

 

着替えが終わるとアルさんとそのサポーターさんが俺たちに軽くメイクをしてもらう。

 

 

アル「すみませ~ん、遅れました~。織斑一夏くんと黒牙雷真くん、入りま~す」

 

一夏「うーん、なんかこれ変じゃないか?」

 

雷真「初めて着るうちはそんな風に感じるが、そのうち慣れる。心配するな」

 

一夏「そういう、雷真は普通に着こなしているような?」

 

雷真「まぁ、色々と俺も立場上、スーツとは違うが正装を着る場面があったからな」

 

一夏「なるほどな」

 

 

一夏と二人でスーツの話をしていると俺たちを待ち兼ねていた渚子さんが此方にやってくる。

 

 

渚子「あら、似合ってるわね。十代の子のスーツっていうのもいいわねぇ」

 

 

渚子がそう興奮した声をあげると撮影ブースで待っている、刀奈と箒が此方を向く。

 

 

箒「あ、一夏………」

 

一夏「箒………」

 

刀奈「雷真、スーツ姿、なかなか似合ってるじゃない」

 

雷真「そういう刀奈だって、水色のワンピース似合ってるじゃないか」

 

刀奈「ありがとう」

 

 

お互いに衣装を褒め終わり、会話がない一夏と箒の方へと視線を向けると二人とも顔を赤く染めて固まっていた。

 

 

雷真「おい、一夏。男なら、今の女性に一言ないのかよ?」

 

一夏「お、おう」

 

一夏「箒、その………よく似合ってる。可愛いぞ」

 

箒「か、かわっ───!?//////」

 

 

一夏が素直に箒のワンピース姿を褒めると撮影の準備が出来たのか渚子さんから声がかかる。

 

 

渚子「はーい、それじゃあ撮影を始めるわよー。時間も押してるから、サクサクいっちゃいましょう!」

 

 

そこからは渚子さんの指示の下、色々なポーズを俺は刀奈と、一夏は箒と、撮影することになった。

ポーズの内容は互いに見つめ合って、刀奈と箒が俺と一夏の首に手を回すポーズだったり、ソファーに座って俺と一夏が刀奈と箒の肩を抱いて、引き寄せるポーズだったり、等々。

 

 

 

渚子「んー、なんか物足りないわね」

 

一夏「そんなことを言われても………」

 

雷真「仕方がない。刀奈、手伝ってくれ」

 

刀奈「いいわよ」

 

雷真「渚子さん、霧吹きはありますか?」

 

渚子「あるけど、何に使うの?」

 

雷真「まぁ、渚子さんにとっては利益になることなので安心してください」

 

渚子「わかったわ。黒牙くん、君に任せる」

 

雷真「ありがとうございます」

 

 

スタッフの方から霧吹きを借りて、俺と刀奈の前髪を霧吹きで少し湿らせて、雨に濡れた髪を演出する。

 

そして、髪のセットが完了すると刀奈を壁際に追いやるように動いてもらい、右手で刀奈の左手首を伸ばすように掴み、左手は刀奈の顔の少し横に置く。

 

所謂、壁ドンです。

 

最後は、自分の顔を刀奈の顔に近付けて、あと少しでキスが出来てしまいそうな距離にまで近付ける。これで完了。

 

よく、ドラマとかである、雨に降られて壁ドンするカップルの完成だ。

 

 

渚子「いいわー!いいわよー、二人ともっ!!」

 

刀奈「流石に、これは恥ずかしいわね」

 

雷真「なら、これでどうだ?」

 

 

 

 

──────チュッ

 

 

 

刀奈「えっ………?」

 

雷真「少しは恥ずかしくなくなっただろう?」

 

刀奈が「恥ずかしい」というので一時的だが、恥ずかしいという感覚を消すために刀奈の額に優しくキスを落とす。すると、少し間を置いてから俯いてプルプルと震えだす。

 

 

 

刀奈「………」プルプル

 

刀奈「………バカ。//////」

 

雷真「刀奈の可愛い顔が見たくなってついな」

 

刀奈「こんなのどこで覚えたのよ?」

 

雷真「お義母さんの日記」

 

刀奈「ってことは………」

 

雷真「お義父様も同じことをお義母さんにやったってことだな」

 

刀奈「はぁー、今度は別の意味で恥ずかしくなったわ」

 

雷真「アハハハハ」

 

刀奈「笑いことじゃないわよ」

 

 

いつの間にか二人の世界に入り込んでいると渚子さんから声がかかる。

 

 

渚子「薫子から聞いてたけど、二人はやっぱり、そういう間柄なんだ」

 

雷真「ええ。とある事情で刀奈を含めて、三人の婚約者がいます」

 

渚子「そ、そう………。でも、美味しいシーンをありがとう」(´∀`)b

 

雷真「どういたしまして」

 

 

こうして無事に撮影は終了した。

アヴァロン・フリーダムのビーム兵器を実技演習の授業でも使用するかについて

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