自由と白式   作:黒牙雷真

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第56話

撮影が終わり、更衣室で着替えていると隣に居る一夏が先ほどから着替えがまったく進んでいないので声をかける。

 

 

一夏「………」

 

雷真「一夏? おい、一夏!」

 

一夏「な、なんだ?」

 

雷真「早く着替えろよ。刀奈と箒を待たせる訳には行かないだろう」

 

一夏「そ、そうだな」

 

 

我に返った一夏は、慌ててスーツから私服へと着替える。着替えが済み、更衣室を出るとちょうど隣の女性用更衣室から私服姿の刀奈と箒が出て来ていた。

 

 

雷真「ちょうどだったか」

 

刀奈「そうみたいね」

 

一夏「………」チラチラ

 

箒「………」チラチラ

 

雷真「二人とも意識し合ってるな」

 

刀奈「それは、雷真があんなことをするからでしょう!? 私だって、恥ずかしかったんだから……」

 

雷真「悪かったよ。今度、埋め合わせするから」

 

刀奈「必ずよ?」

 

雷真「わかってる」

 

 

刀奈と少し話をして、視線を一夏たちに向けるが、今だに意識し合って固まっている二人。

 

 

雷真「あー、二人とも、夕飯はどうする? 寮の食堂も帰る途中で閉まるし」

 

一夏「そ、そうだなー、なら今日は外食して帰ろうぜ?」

 

刀奈「たまには、いいかもね」

 

箒「………」モジモジ

 

一夏「箒もそう思うだろう? 箒?」

 

箒「えっと、そのだな………行きたい店があるのだが………」

 

一夏「箒の行きたい店か………。俺は構わないけど、二人は?」

 

雷真「どうする、刀奈?」

 

刀奈「そうね……。お邪魔でなければ私たちも同席していいかしら? ダメなら別のお店に行くけれど?」

 

箒「いや、出来れば二人にも一緒に付いて来てほしい」

 

雷真「わかった」

 

刀奈「わかったわ」

 

箒「ありがとう、二人とも」

 

 

本日の夕飯は箒の行きたい店ということで、箒が案内する中、俺は携帯で織斑先生に念のため事情を説明。万が一のことがあったら、俺が責任を取るということで了承してもらった。

 

そして、着いたのは『針葉樹の森』。日曜日のディナータイムが雑誌に載るほどの人気のお店ということで席は全て満席。

 

 

一夏「どうする?二時間待ちって書いてあるし……」

 

雷真「これだけ人気の店だと予約客で、二時間よりも待たされる可能性があるぞ?」

 

箒「うぅぅ………こんなはずでは……」シュン

 

刀奈「大丈夫よ、箒ちゃん。こんな時は、優しい優しい、白の騎士様に頼みましょう?ね?」

 

 

刀奈は箒を慰めつつ、『白の騎士様』と言いながら一夏に視線を向けて、圧力ある笑顔で「何とかしろ!」と言っているようだ。

 

 

一夏「俺!?」

 

一夏「じゃ、じゃあ、知り合いのお店で良ければ………でも、ここからだとちょっと歩かないといけないんだけど、それでもいいか?」

 

箒「あ、ああ………任せる……」

 

一夏「会長と雷真もいいか?」

 

刀奈「ええ、大丈夫よ。でも、ちょっと歩く分、料理は期待していいのよね、一夏くん?」

 

一夏「味は俺が保証するよ」

 

雷真「現状、俺は三人の保護者扱いなので付いていくよ」

 

一夏「保護者?どういうことだ?」

 

雷真「流石に門限が過ぎていて、尚且つ外食するんだ。織斑先生に電話を一本入れて、実年齢的に俺が保護者として何かあれば責任を持つことになっているんだ」

 

刀奈「だから、さっき歩きながら電話していたのね?」

 

雷真「そういうこと」

 

箒「用意がいいなぁ」

 

雷真「報・連・相は大事だからな」

 

一夏「確かに」

 

 

現状の説明をしたあと、二十分ほど歩いて、目的の店に着いた。

 

 

一夏「ここだ」

 

箒「う、うん?」

 

雷真「五反田食堂………まさか、ここって弾の店か?」

 

一夏「当ったり~!」

 

 

俺と一夏とのやり取りを見た箒は、ロマンチックでオシャレな店だと期待していたのか、ガックシと肩を落とす。

何より、相手は一夏だ。ロマンチックでオシャレな店を期待する方が間違っている。

 

 

一夏「ちわーすっ!」

 

弾「お?一夏じゃねぇか?」

 

雷真「よう、弾」

 

弾「雷真まで、どうしたんだ?」

 

刀奈「こんばんは、弾くん」

 

弾「刀奈さんまで?どういうことだ?それにそっちは………一夏の彼女か!?」

 

一夏「なんで嬉しそうな顔をすんだよ、お前は」

 

弾「いや、別に……で、彼女なのか!?」

 

箒「か、彼女っ!?/////」

 

一夏「違うっつーの。中学の時に話しただろう?幼なじみだよ。ファースト幼なじみ。っていうか、この間の俺の誕生日のときに会ってないのかよ」

 

弾「馬鹿野郎、お前。虚さんからメアドを聞き出すのがどんだけ大変だった思って………」

 

一夏「虚さんがどうしたって?」

 

弾「な、なんでもねぇよ。それで、あー、なんだっけ?しののさん?」

 

箒「篠ノ之箒だ」

 

弾「ふむふむ。あ、俺は五反田弾だ。よろしく」

 

箒「あ、ああ」

 

弾「それじゃあ、お好きな席へ、どうぞ。注文が決まったら呼んでくれ」

 

 

弾に案内されたテーブル席で、俺が一夏と、刀奈が箒と向かい合う形で座り、早速メニューを見る。

 

 

雷真「(ふむふむ、生姜焼き定食に麻婆豆腐定食、焼き鮭定食、青椒肉絲定食等々。中華系の定食が多い様だが………やはり、若鳥の唐揚げ南蛮漬け定食が気になる)」

 

一夏「雷真と会長は何を頼むんだ?」

 

雷真「俺はこの、若鳥の唐揚げ南蛮漬け定食だな」

 

刀奈「私は、鯖味噌定食にするわ」

 

一夏「箒は?」

 

箒「そうだな………ここのオススメはなんだ?」

 

一夏「どれも美味いけど、あえて勧めるなら魚系かなぁ。………あ、特にこのカレイの煮付けとか本当に美味いぞ」

 

箒「そ、そうか。ふむふむ………」

 

 

箒はメニューを眺めながら、ふと何かを思い出したかのように一夏に顔を向けた。

 

 

箒「一夏。そ、そのだな。今、料理の練習をしているのだが、良ければ今度試食をしてもらえないだろうか………?」

 

一夏「へぇ、そうなのか。箒も料理上手いもんな。ありがたく食べさせてもらうぜ」

 

箒「そ、そうか!そうか………。うん………うん!」

 

一夏「さてと、俺は焼き魚フライの盛り合わせ定食にしようかな。箒は?」

 

箒「え!?え、えっと、私は………」

 

 

先ほどの試食をしてもらうことに一夏から了承が得られたことに喜んでいて、自分の食べる品を決めていなかった箒は慌ててメニューを見直す。

 

 

一夏「ああ、この業火野菜炒め定食っていのもいいぞ。なにせ看板………いや、鉄板メニューだからな」

 

箒「そうなのか。では、それにするとしよう」

 

 

全員メニューが決まったので一夏が弾を呼ぶ。

 

 

一夏「おーい、弾ー。注文いいか?」

 

弾「ほいほい」

 

一夏「俺が焼き魚とフライの盛り合わせ定食、雷真が若鳥の唐揚げ南蛮漬け定食、会長が鯖味噌定食、箒が業火野菜炒め定食で」

 

弾「ん、了承。じゃあちょっと待っててくれ」

 

 

伝票をぱぱっと書いた弾は、それを厨房へと持っていく。すると、そこで五反田食堂の店主であり、弾の祖父である厳が一夏に気づいた。

 

 

厳「ん?一夏じゃねぇか!」

 

一夏「あ、どうも。お邪魔してます」

 

厳「おう。で、なんだなんだ、お前も巷でいうダブルデートっていうのか?」

 

一夏「違うって、厳さん。三人とも、この人は弾の祖父で名前は厳さんだ」

 

 

一夏が紹介してくれたので此方も自己紹介をすることにした。

 

 

雷真「黒牙雷真です」

 

刀奈「更識刀奈です」

 

箒「篠ノ之箒です」

 

厳「おう。五反田厳だ」

 

 

自己紹介が終わると厳さんは家に繋がってると思われる入り口から母屋にいるであろう蘭を叫び呼ぶ。

 

 

厳「おーい!蘭!おーい!」

 

蘭『なにー?』

 

厳「店に来い! 今すぐにな!」

 

蘭『なんでー?』

 

厳「いいから来い!」

 

 

厳さんが蘭を呼ぶと二分ほどで母屋から蘭が出て来た。

 

 

蘭「おじいちゃん、何? 私、宿題やってたんだけど………って、ええっ!?」

 

蘭「い、一夏さん!?」

 

一夏「よっ、蘭」

 

蘭「…………」

 

 

一夏を見た蘭は視線を下に向けて行き、自分の服装を確認する。次に一夏に視線を戻したあと、その視線を刀奈と箒に向けると次第に耳まで赤くして、叫びながら玄関を飛び出した。

 

 

蘭「わあああああんっ!」

 

一夏「………なんだあ?」

 

刀奈「彼女も災難ね」

 

雷真「恋する乙女としては、最悪のエンカウントだろうな」

 

 

一夏は、蘭の言動に首を傾げ、そんな一夏を見つめる箒が暗い表情半分と蘭を心配する表情半分という顔を俺と刀奈は見逃さなかった。

 

また、蘭と入れ替わるように弾や蘭と同じ髪色をした女性が出てきた。

 

 

???「あら?あらあら?一夏くん、隣にいるのは彼女?」

 

一夏「蓮さん、違いますってば」

 

蓮「そうなの。よかった」

 

 

ニコッと微笑む蓮に釣られて、一夏もよくわからないまま笑みを浮かべる。

蓮の登場から10分後、お出かけ着にエプロンという、よくわからない格好の蘭が出てきた。

 

 

蘭「い、いらっしゃいませ。一夏さん、黒牙先輩、更識先輩、篠ノ之先輩」

 

一夏「あれ?なんだ、蘭。 着替えてきたのか?」

 

蘭「え、ええ、まあ………」

 

刀奈「一夏くん、女の子には色々とあるの。だから、あまり女の子の秘密を詮索するのは紳士としていただけないわよ」

 

雷真「これ以上、詮索したらハイマット・フルバーストの回避演習を早朝特訓に加えるぞ?わかったな?」ギロリ

 

一夏「ヒィっ!?」

 

一夏「わ、わかった」

 

 

マナーがなっていない一夏に少し睨み付けながら早朝特訓の話をすると、一夏は顔を青くしながらブンブンと首を縦に振った。

 

 

厳「おい、蘭! 料理できたから運べ」

 

蘭「わ、わかってる! 大声出さないでよ、おじいちゃん」

 

 

どうやら、料理が出来たらしくカウンターに置かれた料理を受け取った蘭は、プイっと厳にそっぽをむく。

すると厳はその行動で蘭が怒ったと理解し、弾を責めるが、怒った原因が自分だと分かっていないようで、弾と二人でワアーワアーと叫んでいる。

 

 

蘭「い、一夏さん、お待たせしましたっ」

 

一夏「おお、ありがとう」

 

蘭「こっちは、黒牙先輩の若鳥の唐揚げ南蛮漬け定食です」

 

雷真「ありがとう」

 

蘭「こっちが、更識先輩の鯖味噌定食です」

 

刀奈「ありがとう、蘭ちゃん」

 

蘭「最後が篠ノ之先輩の業火野菜炒め定食です」

 

箒「……ありがとう」

 

蘭「えっと………お久しぶり、です」

 

箒「ああ。久しぶりだな」

 

蘭「………」チラチラ

 

蘭「(黒牙先輩と更識先輩の関係は前に聞いたから分かるけど、一夏さんと篠ノ之先輩が一緒にいるってことは………もしかして、ダブルデート、なのかな……。だとしたらいやだなぁ……)」

 

 

そんなことを考えながら蘭は、挙動不審になっていると一夏が口を開いた。

 

 

一夏「蘭? どうかしたか?」

 

蘭「は、はい!? ど、どうもしてないですよ!?」

 

雷真「いや、その………見られてると視線が気になって食べ難いんだが………」

 

蘭「あっ、す、すみません! 失礼しましたっ」

 

 

俺の言葉で蘭はダッとダッシュでカウンターアタックに戻っていった。そんな蘭を不思議そうに一夏と箒だけが眺めながら俺たちはテーブルに備え付けられている割り箸入れから割り箸を取って割り、料理に手をつける。

 

 

雷真「おっ、これ美味いな」

 

刀奈「こっちの鯖味噌も味が染みてて美味しいわよ」

 

雷真「じゃあ、交換しないか?」

 

刀奈「いいわねぇ。私も南蛮漬け定食、少し気になってたから」

 

雷真「よし、交渉成立」

 

 

俺と刀奈はお互いにメインのおかずとなる唐揚げと鯖をお互いのお皿に分け、お互いに頬張り、堪能する。

そんな俺たちを一夏は、自分の事のように喜んでいる表情をしながら箒にも感想を聞く。

 

 

一夏「箒はどうだ?美味いだろう?」

 

箒「確かに美味いな。醤油の味付けが特にいい」

 

一夏「だよな、美味いよなぁ、それ」

 

箒「た、食べてみるか?」

 

一夏「いいのか?それじゃあ早速────」

 

 

そう言って一夏が箒の皿に箸を伸ばそうとすると、箒がわざとらしく咳払いをする。

 

 

箒「た、食べさせてやろう………」

 

一夏「え?なんだって?」

 

箒「た、食べさせてやると言ったんだ!」

 

一夏「お、おう……。//////」

 

 

箒の言葉に顔を顔を赤くしながら一夏は、取り敢えず頷いた。それを見た箒は、自分の箸で肉と野菜をつまみ、左手を添えて一夏の口へと運ぶ。

 

 

箒「あ、あーん………」

 

一夏「あー………」

 

 

一夏が箒の箸につままれた料理を食べようとした時、俺は蘭から視線を感じたのでそちらを向くと、そこには絶望しきった顔で、目の端に大粒の涙を溜めていた蘭を見た。

 

 

 

 

 

 

 

アヴァロン・フリーダムのビーム兵器を実技演習の授業でも使用するかについて

  • アヴァロン・フリーダムの使用禁止
  • アヴァロン・フリーダム ビーム兵器の禁止
  • 別機体のビーム兵器を使用
  • 別の機体を使う
  • 雷真は見学
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