自由と白式   作:黒牙雷真

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第5話

 

一夏との試合が終わり。待機所に戻り、刀奈たちに労ってもらったあと、更衣室でISスーツから制服に着替え、通路に出ると……。

 

 

千冬「黒牙、話しがある」

 

雷真「分かりました」

 

 

織斑先生と自販機がある場所で話しをする。

 

 

千冬「ほれ」

 

雷真「ありがとうございます」

 

 

織斑先生から今さっき自販機で買った。スポーツドリンクを投げ渡される。

 

 

千冬「黒牙。お前、さっきの二人の試合をどう思う?」

 

雷真「そうですね。正直に言うと死にます」

 

千冬「ほう」

 

雷真「あんな動きじゃ、何も守れはしない。あんなんじゃ、却って仲間を死なせかねない」

 

千冬「やはり、お前は……。本物の戦争というものを知っているようだな」

 

雷真「ええ、まあ」

 

千冬「お前が何を思っているかは私には分からない。けれど、あまり考え込むなよ」

 

雷真「はい」

 

千冬「それとお前のISを少し預りたい」

 

雷真「分かってます。流石に全身装甲の機体で、尚且つ、ビーム兵器に換装システムが搭載されているISは俺が使っているストライクだけですから」

 

千冬「性能を調べたら直ぐに返却する」

 

雷真「わかりました」

 

 

その後、約30分くらいだろうか。織斑先生に呼び出しを受けストライクを受け取る時、織斑先生の顔が窶れているようにみえた。その後、直ぐに真剣な目に変わった。

 

 

 

千冬「黒牙、お前はこの【GAT-X105 ストライク】を前から知っているようなことを更識から聞いたが本当か?」

 

雷真「ええ、本当です。ですが、この先を説明するは、少し待ってもらえませんか?この先の話しは婚約者である、刀奈にさえ話していませんから。決意が固まったら、その時に必ず話します」

 

 

その時の千冬は雷真の瞳から深い哀しみの色を見た。

 

 

千冬「わかった。だが、できるだけ早く、話してくれ」

 

雷真「わかりました」

 

 

 

 

 

クラス代表の決闘から翌日、ISを使用した授業を受けている。

 

 

千冬「では、これよりISの基本的な飛行操縦を実戦してもらう。織斑、オルコット、黒牙それと更識、試しに飛んでみろ」

 

一夏「……」

 

セシリア「分かりましたわ」

 

刀奈「行くわよ、雷真」

 

雷真「ああ」

 

 

試合と同じくように首に掛けてある羽の首飾りに意識を集中させてストライクを起動させる。今回は直ぐに飛行できるようにエールストライクの状態で起動させる。

 

刀奈も自前の扇子に着いているアクセサリーに意識を集中させて、外装が少ない刀奈の専用機である。第三世代機、霧纏の淑女(ミステリアス・レイディ)を起動させる。

 

雷真、刀奈、セシリアは難なくISを起動させたが一夏は……。

 

 

 

一夏「よし!んん、あれ?」

 

千冬「早くしろ!熟練したIS操縦者は展開まで1秒とかからないぞ」

 

一夏「集中……。来い、白式!」

 

 

やはり一夏には即時展開は難しい、音声認識で白式を展開した。

 

 

一夏「できた」

 

千冬「よし、飛べ!」

 

 

織斑先生の号令でセシリアたちは一気に上空へ上昇する。

 

 

セシリア「はい!」

 

刀奈「はい!」

 

雷真「了解!」

 

一夏「よーし」

 

 

一夏は見よう見真似で刀奈たちの動きを真似しようとするが決闘の時以外、ISを動かしたことが皆無な一夏はあちらこちらに飛んでいく。

 

 

一夏「うわああああ!?」

 

雷真「やっぱり、こうなったか。セシリア、一夏のことを任せていいか?」

 

 

雷真はプライベートチャンネルでセシリアに繋ぎ。一夏のことを任せる。

 

 

セシリア「分かりましたわ」

 

雷真「すまないな」

 

 

セシリアとプライベートチャンネルで話しているのを刀奈はヤキモチを焼いたのか。刀奈もプライベートチャンネルを繋いでくる。なので、頭部だけストライクの装甲を外し刀奈と顔を合わせる。

 

 

刀奈「何を話してたの?」

 

雷真「あ?セシリアに一夏のことを頼んだよ」

 

刀奈「ふ~ん。それと、いつからオルコットさんのことを名前で呼ぶようになったのかしら?」

 

雷真「なんだ、ヤキモチか?それなら、安心しろ。セシリアの狙いは一夏だ」

 

刀奈「ならいいけど」

 

 

刀奈はまだ拗ねているようだ。

 

 

雷真「わかった。今度の休みに二人で何処か行こう」

 

刀奈「本当!?」

 

雷真「ああ」

 

刀奈「やった!」

 

 

刀奈はデートができることが嬉しいのか声が弾んでいた。

 

 

雷真「そう言えば、デートするのも約2年ぶりか

……」

 

 

実際は4年ぶりですが……。

 

 

刀奈「そうね。雷真が家の庭で見つかってからは、貴方の体の精密検査や精神カウンセリングとかで入院生活だったしね」

 

雷真「その節は本当にご心配をおかけしました」

 

刀奈「なら、デートは雷真持ちでね」ニコ

 

雷真「ま、マジか!?」

 

 

 

刀奈とのデートの話しをしていると下にいる織斑先生から通信がくる。

 

 

千冬『そこのバカ夫婦!惚けてないで授業に集中しろ!』

 

 

「「は、はい!」」

 

 

それといつの間に一夏とセシリアも雷真たちの後ろにいた。

 

 

一夏「待たせたな」

 

雷真「いんや、素人なんだ仕方ないだろ」

 

セシリア「雷真さんはIS操縦は初めてではないのですか?」

 

雷真「ISはそうだが、似たような物はかなり動かしたことがあるからな」

 

刀奈「へ~え、そうだったんだ」

 

 

千冬『織斑、オルコット、黒牙、更識。急降下と完全停止をやってみせろ』

 

 

「「「了解!」」」

 

 

刀奈「誰から行くの?」

 

雷真「できれば、先に二人にやってもらいたい。お手本がないと分からないからな」

 

セシリア「分かりましたわ。それでは私から、お先に」

 

 

セシリアは一気に急降下して行き、滑るように完全停止をしてみせた。刀奈も同様に一気に急降下、完全停止をしてみせた。

 

 

一夏「上手いもんだな」

 

雷真「それじゃ一夏。俺も先に行くぜ?」

 

一夏「おう」

 

雷真「それと一夏」

 

一夏「なんだよ?」

 

雷真「俺の真似は絶対にするなよ?」

 

一夏「へ?」

 

 

雷真はISの基本システムであるPICを切り。電源が抜けたように真っ逆さまに急降下する。それを見た、一夏、セシリア、刀奈が声を上げる。他の生徒たちも同様に声を上げる。

 

 

一夏「お、おい!?」

 

セシリア「雷真さん!?」

 

刀奈「雷真!?」

 

「「きゃあああああ!?」」

 

 

そのまま地面スレスレまで降下したらエールストライカーのスラスターを噴かせ、そのまま織斑先生たちがいるまで滑るように移動し、逆さまのままで完全停止する。

 

 

千冬「黒牙、頭部の装甲を外せ」

 

雷真「わかりました」

 

 

織斑先生に言われた通り、頭部の装甲だけ外し顔を見せると…………。

 

 

千冬「このバカ者が!誰があんな危険な急降下と完全停止をやれと言った!!」バシン!

 

雷真「イッテエエエエエ!?」

 

 

織斑先生のお怒りと出席簿での下からスイングという、お仕置きを受けました。その時の痛みでストライクが展開状態から待機状態に戻ってしまい、宙に浮いていた雷真は頭から地面に落ちる。

 

 

 

雷真「グエッ!?」ドサ

 

雷真「いてててて」

 

 

だが、それだけ済めばいいのだが……。

 

 

刀奈「…………。」プルプル

 

 

刀奈が無言でプルプルと震えながら、こちらにやってくるではありませんか。

その時の俺の心境は……。

 

あっ、やっちまった!(゜ロ゜;)

 

 

である。

そして、刀奈が顔を上げると泣きながら俺に突撃してくるのだ。それも無意識なのか毎度鳩尾にくるのだ。

 

 

刀奈「バカああああ!!」ポロポロ

 

雷真「グハッ!?」

 

刀奈「バカ、バカ、バカ!あんな危ない操縦をして。見てるこっちの身にもなりなさいよ」ポロポロ

 

 

ああ、やっぱり。俺が行方知らずの二年間で刀奈は少し脆くなってしまったのか……。これは俺の責任だな。

 

 

本音「そうだよ、ライライ。お嬢様を心配させちゃだめだよ~」

 

雷真「すまん、心配かけた」

 

刀奈「本当よ」

 

本音「もし、次にお嬢様とかんちゃん、どちらかを泣かせたら……。」

 

雷真「泣かせたら?」

 

本音「あの"呼び方"を学校でするからね?」ギロリ

 

雷真「ちょっ、それは勘弁だ!?それと何で簪まで、この話しに出てくるんだよ!?」

 

 

あの"呼び方"とは、俺が刀奈の婚約者であるため、従者の本音と虚さんは形式上、俺の従者にも成る訳で……。更識が参加するパーティーでは俺のことを"若旦那様(わかだんなさま)"か"若様(わかさま)"と呼ぶのである。

 

 

本音「はぁ~。やっぱり、ライライは気付いてなかったのか~。お嬢様は気付いてました?」

 

刀奈「それはもちろん!だって双子だもの」

 

 

刀奈は本音の質問に答えながら、何処からか扇子を出して開き。扇子の真ん中には『意識疎通』と書かれていた。

 

 

雷真「ところで、他のみんなは?」

 

「「あっ」」

 

 

辺りを見渡すと、皆から暖かい目で見られ。俺と刀奈は、一気に顔が熱くなるのを感じた。

 

 

雷真「//////」

 

刀奈「//////」

 

本音「ひゅ~う、ひゅ~う!熱いね、二人とも」

ニシシシ

 

 

本音が俺たちのことを冷やかしていると……。少し離れて場所から……【ドゴーン!!】と音ともに何かがグラウンドに落下した衝撃が来た。

 

 

雷真「な、なんだ!?」

 

 

音と衝撃の原因はどうやら一夏が完全停止ができずに落下速度を誤り、グラウンドに向かってダイブしたことにより起きたものらしい。

 

 

箒「一夏!」

 

真耶「織斑くん!大丈夫ですか?」

 

 

一夏が落下したであろう場所は土煙が上がっており、それが止むと地面に首を突っ込み、それを引き抜こうと必死にもがいている一夏がいた。

 

 

雷真「刀奈、少し行ってくる」

 

刀奈「ええ」

 

 

俺は再びストライクを起動させて、必死にもがいている一夏に念のため声をかける。

 

 

雷真「一夏、引き抜くぞ?」

 

一夏「んん!んん~!」

 

 

声が届いたのか片手のハンドサインで"すまない"を表したので、一夏を優しく引き抜く。

 

 

雷真「そうっれ!」

 

一夏「ぷは~!?助かったぜ、雷真。さっきのは死ぬかと思ったわ」

 

雷真「死ななくて良かった。白式に感謝しろよ」

 

一夏「そうだな」

 

 

逆さまの一夏を優しく降ろし、刀奈と下へ戻る。何故、戻ったかは一夏のことを想っている女性陣のとばっちりを受けたくないからです。

はい、(o・ω・o)

 

それから一夏はグラウンドに穴をあけた罰として自力でグラウンドを整備するはめになったみたいだ。

 

ドンマイ、一夏。

 

 

 

 

 

 

 

アヴァロン・フリーダムのビーム兵器を実技演習の授業でも使用するかについて

  • アヴァロン・フリーダムの使用禁止
  • アヴァロン・フリーダム ビーム兵器の禁止
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  • 別の機体を使う
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