タッグマッチトーナメントまであと残り3日。今日は前に師匠から要請があった、対
雷真「数は全て揃ってるか?」
シノブ「ええ。確か、全部で30枚ですよね?」
雷真「そうだ」
シノブ「まさか、IS学園に対ビームシールドを配備することになるとは………」
雷真「俺だって思ってなかったさ。もっというなら、この世界にストライクを含めて
シノブ「若様のためにも、原因が早く分かればいいんですが………」
雷真「お前たちは良くやってくれている。だから、あまり自分を責めるな」
シノブ「はい………。そういえば、虚ちゃんのアストレアの具合はどうですか?」
雷真「そうだな………。基本操作は心配はないが、ストライカーパックがちょっと………特にランチャー、IWSPが扱いづらいそうだ」
シノブ「やはりそうですか。ガンバレルの方は?」
雷真「それは、カオスから第2世代ドラグーン・システムを転用してあるから対処済みだ」
シノブ「カオスのシステムですか………」
二人でアストレアの話をしていると対ビームシールドが特殊トラックに搬入し終わったようで、アキトから声がかかる。
アキト「雷真さん、兄さん。対ビームシールドの搬入終わったよ。それに、ミーティアの方も」
雷真「それじゃあ、行こうか」
シノブ「御意」
シノブとアキトは対ビームシールドのミーティアを乗せたトラックの運転席に座り、俺はビートチェイサーで後ろから護衛する。万が一に襲撃があっても、この特殊トラックは簡単には破壊されない。何故なら、トラックのコンテナにはラミネート装甲と対ビームコーティングを施してあるからだ。俺たちの技術を欲しがる国や企業、組織なんかは山ほどいる。特に軍事関連の企業は特にだ。そんな奴らから物資を守るために対応策は惜しまないようにしている。
そんな説明をしたが、襲撃も何もされずに無事にIS学園へと到着した。そして、警備員に入校証と俺の顔パスで入校して、そのまま専用エレベーターで機密区画へと向かい、俺たちを出迎えた織斑先生や教頭と合流。
シノブ「こちらにサインを………」
教頭「わかりました」
雷真「これで、少しは対抗策ができたな。本当なら、織斑先生と山田先生に
どうしても、
最初は臨海学校から帰って来たときにフリーダムの動力源をハイパーデュートリオンエンジンに変えようか迷ったが可能性の域を出なかったから考えてはいたが実行はしなかった。また単純に怖かったのだ。ハイパーデュートリオンエンジンを搭載したフリーダムで演習中に操作を誤り、刀奈たちを傷付けてしまわないか………。
アキト「雷真さん、ミーティアを降ろしますからフリーダムの起動をお願いします」
雷真「わかった」
ミーティアはまだ、フリーダムへインストールをしていないため、この場でインストールを行う。
雷真「フリーダム、起動。アキト、頼む」
アキト「分かりました」
フリーダムをミーティアを積んだトラックの前に展開し、アキトにあとは任せる。ミーティアを積んだトラックは、コンテナ自体が整備場と化しているため、場所さえ用意できれば修理などもできる。
千冬「黒牙、この追加パッケージは確か………クラス代表の時の………」
雷真「ええ。あの時に見せた、フリーダムとジャスティスと合体していた。ZGMF-X用アームドモジュール、ミーティアです」
千冬「これが………」
雷真「一応、織斑先生にはミーティアの詳細を見せておきます」
千冬「なっ……!?」
雷真「驚きますよね。このミーティアとフリーダムが合体すれば、擬似的ではあるけれど戦艦と同等以上の戦力になるんですから」
千冬「まさか、これをタッグマッチトーナメントで使うつもりか?!」
雷真「いえ、流石に俺もそこまで鬼畜ではありませんよ。単に念のためって奴ですよ」
千冬「………」
アキト「雷真さん、インストール終わりました」
雷真「ご苦労様。俺はこのまま授業に向かう。二人は、ドッグに戻ってくれ。あっ、それとシノブ。これを頼む」
シノブ「これは?」
シノブに渡したのは一本のUSBメモリー。
雷真「このメモリーに入っている機体を作成してくれ。ただし、エンジン部は空洞にしておいてくれ」
シノブ「若様が言うのであれば分かりました」
シノブに渡したUSBメモリーには、“
◇◆◇
学園に対ビームシールドを納入してから3日が過ぎ。今日は、専用機持ちタッグマッチトーナメント開催日である。そのため、俺たち生徒会は全員、ステージ上に並んでいる。
虚「それでは、開会の挨拶を更識刀奈生徒会長からしていただきます」
姉さんがそう言って、司会用のマイクスタンドから一本下がる。
本音「ふあー………。ねむねむ………」
雷真「本音、もう少しだけ頑張れ」
一夏「そうだぜ。てか、教頭先生が睨んでるから」
本音「ういー………」
まったく、本音は相変わらず朝が弱い。そのため、小学校時代は俺か姉さんが背負って学校に行くことがしばしば。それに便乗して刀奈や簪もたまに背負わされたこともしばしば………。そんなことより、また教頭先生が睨んでいらっしゃる。
刀奈「どうも、皆さん。今日の専用機持ちのタッグマッチトーナメントですが、試合内容は生徒の皆さんにとってとても勉強になると思います。しっかりと見ていてください」
此方も相変わらず圧倒的な存在感を醸し出している。
刀奈「まあ、それはそれとして!」
刀奈「今日は生徒全員に楽しんでもらうために、生徒会である企画を考えました。名付けて『優勝ペア&準優勝ペア予想応援・食券争奪戦』!」
一夏「んなっ!? それ賭けじゃないですか!」
雷真「安心しろ、一夏。既に根回しはしてある」
一夏「ら、雷真?」
そうさ、これくらいの催し物をやるくらいは許可してもらわないと。我が部隊が独自に生産している対ビームシールドを学園に提供したんだ。金目の物目当てなら、各国のIS委員会に売った方が金になるが、今回のタッグマッチトーナメントの俺のパートナーである、姉さんのアストレアと共に許可してもらったのである。
刀奈「それに賭けじゃありません。あくまで応援です。自分の食券を使ってそのレベルを示すだけです。そして見事優勝ペアと準優勝ペアを当てたら配当されるだけです」
一夏「そ、それを賭けって言うんです! 雷真、お前から何か言ってくれよ………」
雷真「一夏、刀奈がこうと決めて止めさせるのは至難の技だ。一応、手段はあるが俺はやりたくない。何故なら、絶対に刀奈を泣かす自信があるからだ」
本音「それにおりむー、全然生徒会に来ないから~、私たちで多数決取ってすすめましたぁ」
一夏「くっ………。そりゃ確かに最近は生徒会に行ってなかったけど………!」
雷真「諦めろ、一夏」
一夏「………」ガックシ
一夏が諦めて頭を垂れると刀奈が対戦発表をする。因みに、俺のパートナーは生徒会長の刀奈でさえ知らない。これは、師匠に頼んでやってもらった。所謂、サプライズです。
刀奈「では、対戦表を発表します!」
そう言って大型の空間投影ディスプレイが刀奈の後ろに現れる。
──────────
第1試合
織斑一夏&更識簪
VS
篠ノ乃箒&更識刀奈
──────────
第2試合
凰鈴音&セシリア・オルコット
VS
ラウラ・ボーデヴィッヒ&シャルロット・デュノア
──────────
第3試合
黒牙雷真&布仏虚
VS
フォルテ・サファイヤ&ダリル・ケイシー
──────────
と表示され、刀奈も一度振り返ると即座に此方を見た。また、本音も姉さんが俺のパートナーだと知らなかったので声を上げてしまう。
刀奈「!!」バッ
本音「お姉ちゃん!?」
雷真「………」ニヤリ
虚「………」ニッコリ
その後、我に返った刀奈が開会式を終わらせた。当然、問い詰められるが試合を楽しみにしていろと残して姉さんと二人で専用ピットに向かうことにした。
◇◆◇
雷真「いやー、見物だったな。あの刀奈の慌てよう」
虚「確かに………。それに加えて、私はお嬢様に親の仇でも見るように睨まれたけど………」
雷真「あー、それはごめん。あとで、俺が何とかしておくから」
虚「お願いね」
雷真「分かってる。それと話が変わるけど、姉さんにコレを持っていてほしい」
虚「これは………鍵? それも二つ?」
雷真「それは、俺の部屋の鍵とある物を取り出すための鍵だよ。もし今後、俺に何かあったら刀奈たちにその鍵で開けて中身を渡してくれ。頼む」
虚「そんな縁起でもないことを言われても困るけど、受け取っておくわ」
雷真「ありがとう、姉────」
ズドォオオオオンッ!!!
雷真「なんだ!?」
突然、地震が起きたかのように大きな揺れが襲う。しかし、それで終わりではなく何度も連続的に続く振動にただ事ではないと思い、織斑先生に緊急チャンネルで通信する。
雷真「織斑先生、この揺れは一体………」
千冬『襲撃だ』
虚「襲撃!?」
雷真「数と識別機体は?」
千冬『数は6、識別機体はクラス代表の時の強化無人機体だ』
雷真「なら、アイツらでも対応できます。俺たちもフリーダムとアストレアで出ます!」
織斑先生にそう言いながら、フリーダムを瞬間展開してピットの外から入ってきた赤い未確認ISに向かってルプスビームライフルを何の躊躇無く胴体部へと撃ち、未確認ISは木っ端微塵に爆散させる。
千冬『頼む!』
雷真「了解!」
織斑先生との通信を切り、各専用機持ちに緊急チャンネルで通信を行う。
雷真「各専用機持ち、聞こえるか? 黒牙雷真だ。現在戦闘中の未確認ISは見ての通り無人機だ。よって、破壊して構わない。ただし、流れ弾で避難中の生徒に被害が出ないよう、アリーナ内での破壊を主にしてくれ」
『『『『『了解!』』』』』
専用機持ちに作戦を伝えたあと、俺と姉さんは他の専用機持ちのバックアップに向かうため出撃する。また、姉さんは俺が通信している間にアストレアを展開していたようだ。装備は、高速機動のエールだ。
雷真「黒牙雷真、フリーダム。行きます!」
虚「布仏虚、M2アストレア。出ます!」
フリーダムとアストレアでピットを飛び出してから姉さんに“若“として命令を出すことにした。
雷真「姉さんはシャルロットたちの援護を! 俺は鈴とセシリアの方へ向かう」
虚「御意!」
姉さんに命令を出したあと、フリーダムのスラスターを噴かして、鈴とセシリアの機体反応がある地点へ向かう。そして、二人をハイパーセンサーで見つけると未確認ISがセシリアにビームを放つ前にセシリアの前に
(※以後、ラミネートシールドと省略。by作者)
雷真「セシリア、大丈夫か?」
セシリア「ええ、雷真さんのお陰で何とか………」
鈴「一体なんなの、コイツらは………!」
セシリアと鈴、二人と合流すると姉さんから通信が入る。
雷真「どうした?」
虚『此方の未確認ISは撃破。それとどうやら、この未確認ISにはSEを阻害する機能があるようです。その影響でシャルロットお嬢様の右腕に火傷が………』
雷真「なに!?」
シャル『大丈夫。ほんの少し火傷しただけだから』
ラウラ『すまない。私が先走ったばかりに………』
クソッ!シャルロットにストライクの対ビームシールドを回収せずにそのまま持たせておくべきだった。シャルロット自身、フランス製のエネルギーシールドを持っているからとたかをくくっていた………。
雷真「分かった。ラウラは自分をあまり責め過ぎるな。シャルロットのためにも………」
ラウラ『すまない』
雷真「シャルロットはあとで医務室で治療してもらえ」
シャル『うん、そうする』
雷真「姉さんはシャルロットたちと引き続き他の専用機持ちのバックアップを頼む」
虚『御意!』
姉さんと通信を切ると距離を詰めてくる未確認ISの顔面に回し蹴りを決め、ルプスビームライフルで撃ち抜き破壊する。
雷真「これで全部か………。二年と三年の先輩はなかなかに強敵だな」
ビーム兵器も持たないのに簡単に未確認ISを破壊してみせたのをフリーダムのハイパーセンサーでしっかりと捉えていた。
【MBF-M2 アストレア】
M1アストレイとセカンドステージMSとの性能差を考え、C,E75年に試案。その翌年には、基本配備とされたM1アストレイの後継機。
ハロの中にあった、そのデータを元にシノブとアキトがアストレイの素材と105ダガーの残骸を使って製作。
性能はザクファントムと同等。
【装甲】
ラミネート装甲
【システム】
ストライカーパック
【ストライカー】
『エールストライカー』
『ジェットストライカー』
『ソードストライカー』
『ランチャーストライカー』
『IWSP』
『ガンバレルストライカー』
『ドッペルホルンストライカー』
105ダガーの残骸から使えそうなストライカーだけを厳選し、アキトとシノブが修理したストライカーパック。
【武装】
『頭部防御機関砲イーゲルシュテルン』
ストライカーやアストレイと同じ、防御機関砲。
『対装甲コンバットナイフ アーマーシュナイダー』
ストライクと同じ、コンバットナイフ。
『高エネルギービームライフル』
ストライクと同じ、ビームライフル。
『ラミネートシールド』
原型はストライクやアストレイと同じ物だが、材質は対ビームコーティングが施されたラミネート材質を使用した、ラミネートアンチビームシールド。
『ES01 ビームサーベル』
ストライクやアストレイのバックパック無しでは近接ビーム兵器が装備できないという欠点をなくすために、105ダガーの残骸から105ダガーと同様に両腰に搭載されたビームサーベル。
アヴァロン・フリーダムのビーム兵器を実技演習の授業でも使用するかについて
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アヴァロン・フリーダムの使用禁止
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アヴァロン・フリーダム ビーム兵器の禁止
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別機体のビーム兵器を使用
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別の機体を使う
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雷真は見学