ピピピッ!ピピピッ! ピピピッ!
雷真「ん………? 朝か」
雷真「よっこいしょ………痛てて」
フレイの思念体と出会い、医務室から退院した翌日。目覚ましの音で目を覚まし、身体をベッドから起こすとその拍子でまだ身体に痛みが走る。
現状の俺の容態はまだ、あばら骨の右が二本、左が四本、皹が入ったまま。右腕に関しては塗り薬を塗ったあとにガーゼと包帯でグルグル巻きにされて、左腕はナノマシンのお陰で完治。足の方は、左足にギプスをつけているため歩行は松葉杖や車椅子。右足は左腕同様にナノマシンで完治している。
雷真「まだ、身体が悲鳴をあげるな………」
簪「ん? 雷真!?」
雷真「おう。簪、おはよう」
ベッドから起き上がると、朝一のシャワーを浴びて、寝間着から制服に着替え終わってシャワールームから出てきた簪がいた。何故、簪がいるかは俺の身体が現状、一人で動くのに色々と苦労するからである。
簪「起き上がるなら呼んでよ! まだ、怪我は治ってないんだから!?」
雷真「いや、お前シャワー浴びてたし………」
簪「それでもだよ!」
雷真「すみません」
簪「分かればいいよ。包帯、新しくする?」
雷真「頼めるか?」
簪「待ってて」
そう言って簪は、シャワールームで洗い桶にお湯を溜める。続いてタオルを持ってきて、巻いている包帯を外し、お湯に浸けたタオルで身体を拭き、塗り薬を塗って包帯を新しく巻いてもらった。
雷真「ありがとう、簪」
簪「どういたしまして」
雷真「今度は、着替えをしたい。部屋を出てくれるか?」
簪「うん」
簪に部屋を出てもらい、その間に、俺はシノブへと携帯で電話をする。
雷真「もしもし、シノブ。俺だ」
シノブ『おはようございます。若様』
雷真「フリーダムの状況はどうだ?」
シノブ『現在、急ピッチで修理作業を行っています。現状では、53%修理が完了。早くて数日。遅くとも、来月までには修理を完了させます』
雷真「すまないな」
シノブ『いえ。これが私どもの仕事ですから。なにより、主君が丸腰なのは見逃せませんから』
雷真「あと、“天使”と“翼”の状況は?」
シノブ『両方とも完了しています。あとは、乗組員の操作演習を頻繁に行い、実戦を行うだけです』
シノブ『ですが、本当に大丈夫なのですか? 若様が行ってらした異世界のデータとはいえ、この世界の機材で単独大気圏突破が可能な戦艦など………』
雷真「心配はいらない。ハロの中にあったデータの艦には何度も乗っているし、大気圏突入も体験した」
シノブ『………………若様がそこまで仰るのであれ私は』
雷真「昔からすまない」
シノブ『いえ、あの日、敵の罠に嵌まった私を助けていただいたお陰で、私は今日もこうして生きていられるのです。それに、私は若様に忠誠を誓った身ですから』
雷真「お前が、俺の部下でよかったよ」
シノブ『勿体なきお言葉』
雷真「それでは、そろそろ人が来るから切る」
シノブ『御意』
シノブとの通話を切ったあと、少し手間取りながらも何とか寝間着から制服に着替えることができた。着替えが終わると松葉杖で身体を支えながら部屋を出て、食堂へと向かう。
雷真「簪、お持たせ」
簪「ううん。ちゃんと着替えできたんだね」
雷真「何とかな」
簪「もしも、出来なかったら一夏を呼んでくるつもりでいたから」
雷真「あー、確かに。一夏に手伝ってもらえば、楽に着替えができるな」
簪「でしょう?」
雷真「そうだ。今日のカリキュラムは知ってるか?」
簪「確か、今日は身体測定があったはず」
雷真「………身体測定?」
簪「うん。でも、雷真はそんな状態だから後日になるだろうけど」
雷真「だよな………」
二人で本日のカリキュラムの話をしていると、あっという間に食堂に着いた。因みに、食堂に行く間の道中で俺の身体を見た生徒たちが皆一様に驚きの顔を隠せないでいた。
簪「雷真、何食べる?」
雷真「そうだな………ビーフカレーで頼む」
簪「ビーフカレーね。私は何にしよう………」
簪が朝食のメニューに悩んでいると、先に来ていた刀奈、シャルロット。それと姉さんに、珍しく早起きな本音が来た。
刀奈「おはよう。雷真、簪ちゃん」
シャル「おはよう。雷真、簪」
虚「おはようございます。雷真、簪お嬢様」
本音「おは~。ライライ、かんちゃん」ポワポワ~
雷真「おう、おはよう。皆」
簪「おはよう」
刀奈「それで、雷真。身体の方は大丈夫? 車椅子持ってくる?」
雷真「大丈夫だ。安静にしながら一週間の間、夜にナノマシンを投与していれば完治するんだから、心配するな」
刀奈「そうだけど………」
シャル「雷真、流石にあの時の雷真を見てしまうと心配になるのは仕方がないよ。それに、雷真が死ぬかもしれない恐怖に襲われたのは、これで二回目だし」
雷真「そ、それは………」
シャル「まっ、雷真が生きていたから僕たちは一安心したけどね」
雷真「すまなかったな」
改めて、五人に心配をかけたことに謝罪の言葉を述べてから簪が食堂のおばあちゃんから俺のビーフカレーと自分の天ぷらそばを持ってやってきた。
簪「お待たせ」
雷真「ありがとう、簪」
簪「ううん。雷真には何度も助けられてるから、これくらい平気」
簪が合流して六人で座れる席を探していると一夏たちの姿が目に入った。また、どうやら一夏たちは俺たちのために席を取っていてくれたようだ。
一夏「おーい、雷真!」
雷真「おー!」
一夏たちとも合流して、一夏ハーレムズの隣の席へ腰を下ろす。そうすると意外と立っているだけでも体力が削られていることを実感するが出来るだけ刀奈たちに心配をかけたくないので顔には出さない。
◇◆◇
朝食を食べ終わり、身体測定の時間になったのだが何故か身体測定係に俺と一夏が選ばれているのだ。まぁ、誰の仕業かは予想できるし理解もできる。
そんなわけで、俺は諦めを悟りながら測定室の椅子に一夏と座って待っていると山田先生がやって来た。
真耶「すみません。織斑くん、黒牙くん。もう直ぐ、皆さん来ますからね。はい、これメジャーです」
笑顔でメジャーを俺たちにメジャーを渡す山田先生に一夏が尋ねる。
一夏「山田先生、これは一体どういうことですか?」
真耶「どうって、身体測定ですけれど? 無人機襲来及びラウ・ル・クルーゼ襲撃事件を受けてISスーツの強化を図るために、より厳密な測定が………」
一夏「それは分かっています! 問題はそこではなくて、なんで測定係が俺たちなんですか!?」
真耶「私もどうかと思ったんですが………生徒会の決定事項ということだったので」
一夏「なっ!?」
雷真「やっぱり………」
一夏「何を考えているんだ、この学園は!」
雷真「仕方ない。山田先生、より厳密な測定を取るために提案があるのですか、いいですか?」
真耶「なんでしょう?」
雷真「事前に簪から身体測定があると聞いて、もしかして男である俺たちが測定係になるのではと思い、年頃の女子が俺たちに素肌を晒すわけにはいかないとあるものを持参しました」
真耶「あるもの?」
雷真「俺が趣味がてらに作成した物で、簡易身体測定スキャナーと言ったところでしょう。ほれ、一夏」
一夏「おお!サンキュー、雷真」
雷真「この、小型リモコンから照射される光を受けるとCTスキャンをしたような精密なデータがこっちの端末に転送されます。なので、メジャーは必要ありません。データは、山田先生がしっかり管理してくださいね?」
真耶「それなら、他の子も安心ですね」
よし。山田先生から了承を得られた。これで勝てる。てか、今さらだが刀奈とシャルロットは俺が他の女子の身体測定をしてもいいのだろうか? または、自分たちが一夏に測られて何とも思わないのだろうか?
あっ!今思えばアイツらの出席番号って………とそんなことを考えていると測定の時間になったようで続々とクラスの女子たちが入ってくる。
相川「あー、織斑くんに黒牙くんだ!」
谷本「えぇ!? 本当に織斑くんと黒牙くんが測定するの?」
本音「やっほー、おりむ~にライライ。かっちゃんの秘策炸裂だね~」
雷真「本音よ。そんなことを先読みできない俺だと思うか?」
本音「ううん、全然。ライライならもう対処法を見つけてるでしょ~」
雷真「ああ。もちろんだ」
真耶「はーい、皆さん、お静かに~。これからする測定はISスーツのための厳密な測定ですから、体に余計なものは着けないでくださいねー」
真耶「あっ、でも体操服は着用しておいてくださいね。黒牙くんが皆さんのために画期的な物を用意してくれましたから」
山田の説明で女子たちの視線が一斉に俺の方に集まるが普通に説明すると共に一夏に実演させる。
雷真「じゃあ、まずは出席番号一番の相川が体操服になって一夏の前に立ってくれ」
相川「はーい」
相川「できたよう!」
雷真「よし。次に一夏の前で立って、目を瞑ってくれ」
相川「はーい」
雷真「一夏、さっき渡したリモコンのボタンを押して黄緑の光で相川の頭から足までスキャンしてくれ」
一夏「お、おう」
一夏は言われた通り、リモコンのボタンを押して黄緑の光で相川の頭から足までスキャンする。
雷真「山田先生、そっちの端末に相川の測定データは来てますか?」
真耶「はい、来てますよ!相川清香さん、バスト………」
相川「真耶ちゃん先生、そんなことを此処で言わないでッ!」
真耶「すみません。私としたことが………」
雷真「ま、まぁ取り敢えず。これで女子たちが素肌を晒さずに測定ができるわけだ」
それからは淡々とリモコンの光を照射して測定を行っていく。
一夏「ふぅー、無事に終わった………。一時はどうなるかと思ったよ」
雷真「お疲れ、一夏」
一夏「おう」
◇◆◇
測定と午前の授業が終わり昼休み。
セシリア「ショックですわ。ウエストが5mmも増えているだなんて………」
鈴「私も体重増えてたのよねぇ………。胸囲は変わらないのにッ」
箒「体の緩みは心の緩み! 稽古時間を増やさねば!」
ラウラ「私は身長が少し伸びた。それ以外は変わらない」
刀奈「私も少し体重が増えたけど、そこまで気にしないわね」
簪「私も」
シャル「僕は少し気になるかも………」
セシリア「何故、お二方は体重が増えたのにも関わらずお気になさらないのですか?」
刀奈「それは雷真が10代の女性は体重が増えるは自然の摂理だからと教えてもらったからよ」
簪「私も」
シャル「僕もその内容を聞いたけど、少し気を付けておこうかな………お菓子とか食べてるし」ボソッ
鈴「自然の摂理?」
刀奈「そう。まだ、10代の私たちの体重がある程度増えるのは子孫を残すための身体を作るため。つまり、子供を産みやすくするための身体にしようとしているのよ」
箒「なるほど!」
刀奈「だから、気にし過ぎるのも良くないということ。それに、私たちは太ってしまったのなら雷真にダイエットを手伝ってもらえばいいのよ」
ラウラ「例えば、どのようなものなのだ?」
刀奈「そりゃあ、[バキューン!]とか、[バキューン!]とか………あとは[バキューン!バキューン!]なんかもいいかも」
雷真「ブハッ!」鼻血ブー
一夏「雷真!?」
一夏「誰かティッシュ! 雷真が鼻血出したぞ!!」
刀奈「まぁ、私たちは近い未来そういうことするから今更よね」
簪「////////」プシュ~
シャル「///////」プシュ~
箒「は、破廉恥だぞ!刀奈!//////」
セシリア「そ、そうですわ!//////」
鈴「刀奈、アンタ! 雷真が居るからって言っていいことと悪いことがあるでしょうが!?///////」
ラウラ「何をそんなに慌てているのだ? それより[バキューン!]とはなんだ?」
刀奈「それはねぇ………ゴニョゴニョ」
ラウラ「!!」
ラウラ「あ、あわわわ………きゅぅぅ」プシュ~
刀奈「あら、可愛いい」フフフ
アヴァロン・フリーダムのビーム兵器を実技演習の授業でも使用するかについて
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アヴァロン・フリーダムの使用禁止
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アヴァロン・フリーダム ビーム兵器の禁止
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別機体のビーム兵器を使用
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別の機体を使う
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雷真は見学