自由と白式   作:黒牙雷真

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第68話

《side雷真》

 

 

雷真「………」ソワソワ

 

 

アストレア四号機を見たあと、フリーダムの元に戻り、珈琲を飲みながらフリーダムを見ていると戦士としての勘が何かが起こるという前兆を知らせてくる。

 

 

シノブ「若様?どうかなさいましたか?」

 

雷真「いや………俺の中の勘が、何かが起こると知らせているんだ。その何かが分からないんだ」

 

シノブ「若様の勘は、昔から当たりますからね。四号機の調整を急がせます」

 

雷真「頼む」

 

 

何だ?何が起こるんだ?もしかして、刀奈たちに何かあったのか?いや、刀奈たちにはあの四機を渡してある。だから、心配はいらないと思うが………。

 

そんな考えが頭の中でグルグル回っていると一人の部下が慌てた様子で此方にやって来た。

 

 

部下「わ、若様!」

 

雷真「どうした?」

 

部下「あ、IS学園が襲撃を受けています!?」

 

雷真「なにっ!?」

 

部下「それだけではなく【ZGMF-X23S セイバー】の起動も確認されました!」

 

 

部下のその言葉を聞いた途端に脳内に、大切な“花”である三人が俺の名を呼ぶ声が聞こえた。また、その声はとても弱々しくて、すがるような声音だった。

 

 

雷真「シノブ!フリーダムで出るッ!」

 

シノブ「ですが、若様!フリーダムは出力が!?」

 

雷真「スペックで劣るなら技量で何とかするだけだ!」

 

 

急いでフリーダムに乗り込み、空間ウィンドウとホロウキーボードを出現させ、今まで以上に高速でシステムを調整する。

 

 

シノブ「若様が出られる!緊急用ハッチを開け!」

 

部下達「「「「御意!」」」」

 

 

シノブの指示で、この場にいる部下たちは慌てて緊急用ハッチを開くためにシステムを弄る。

 

 

部下「ハッチ、開きます!」

 

シノブ「よし。若様!」

 

雷真「ああ!」

 

 

機密ドックの格納庫は万が一のために何処からでも出撃できるように海の外へと繋がる通路がある。そして、その通路へと突入するためのハッチが開くと、一気にフリーダムのスラスターをセーフティ無しの全開で噴かす。

 

 

雷真「黒牙雷真、フリーダム!行きます!」

 

 

セーフティを解除した状態のフリーダムは、やはりシノブの言うとおりクルーゼと戦闘していた時よりも飛行速度が格段に落ちていた。それでも、並みのISよりかは速いが、今はそんな些細なことは気にしては居られないと意識を切り替える。

 

直線状にIS学園まで飛行しているとレーダーに白式の反応が表示された。どうやら、一夏も何かしらを感じ取ったのか研究所を抜け出してきたようだ。

 

なので、プライベートチャンネルで一夏にコンタクトを取ることにした。

 

 

雷真「こちら、IS学園所属のフリーダムだ。白式、聞こえるか?一夏!」

 

一夏「こちら、白式。聞こえてるぜ、雷真」

 

雷真「お前も何かを感じたのか?」

 

一夏「ああ。誰かは分からないけど、頭の中で誰かが俺の名前を呼ぶ声が聞こえたんだ。雷真は?」

 

雷真「それも同じだ。加えて、織斑先生に渡していた、【ZGMF-X23S セイバー】が起動するの確認した」

 

一夏「ってことは、千冬姉が戦っているということか!?」

 

雷真「だから、そう言ってんだろうが」

 

 

IS学園まで残り数キロの距離に到達するとフリーダムから学園内部の状況を確認するために監視カメラに接続するが、やはりハッキングされているためか、学園管理システムに映るカメラの映像は砂嵐状況だった。

 

加えて、織斑先生に渡しているセイバーとは別に刀奈に渡してたアビスがフリーダムのレーダーに表示された。これにより、アビスのとある保護システムが作動したということがわかった。

 

それは、強制的にVPS(ヴァリアブルフェイズシフト)装甲を起動させながら操縦者を保護するというものだ。このシステムが作動したということは刀奈の身体に危害が及びそうになったということである。保護システムの作動条件は、操縦者の身体に殺傷能力がある何かが操縦者の20cm未満までの距離に近付いたら作動する様に設定してある。

 

本来なら専用ISがあるため、このシステムが作動したのは何らかの理由でISの操縦者保護システムの作動が遅れたためか、アビスの保護システムが作動したようだ。

 

 

雷真「刀奈が危ない!? 一夏、俺は先に突入する!」

 

一夏「ちょっ、雷真!?」

 

 

フリーダムのレーダーに表示されているアビスの反応を頼りに、刀奈が居るであろう施設の少し離れた地点にフリーダムのバラエーナ収束ビーム砲を放ち、壁を破壊して内部に突入する。

 

 

雷真「刀奈、無事か!?」

 

刀奈「ええ。お陰様で」

 

雷真「はぁ………」

 

アビスに乗って、無事な刀奈を見て安堵の息を吐く。

 

 

刀奈「でも、アビスがあるんだからそこまで心配する必要はなかったんじゃないかしら?」

 

雷真「それでも、心配なものは心配なんだよ」

 

一夏「あー、二人とも?イチャイチャする前に、この状況をどうにかするのが先じゃないのか?」

 

 

遅れて突入してきた一夏の声で現状を思い出す。

 

 

雷真「あっ、わりぃ………」

 

刀奈「あら、ごめんなさい」

 

一夏「ところで、会長。皆はどこに?」

 

刀奈「そうよ、皆が危ないの!一緒に付いてきて!!」

 

雷真「わかった」

 

一夏「案内をお願いします」

 

 

刀奈が先導したオペレーションルームとやらに到着すると、そこには簪と姉さんが焦ったようにキーボードをタイプしていた。

 

 

刀奈「簪ちゃん!」

 

簪「お姉ちゃん!? それに、雷真に一夏も!?」

 

雷真「簪、状況は?」

 

簪「現在、このIS学園は何者かの攻撃によって無力化。コントロールを奪還するために電脳世界にダイブした皆も同じく何かしらの攻撃で無力化」

 

雷真「救出方法は?」

 

簪「皆と同じようにISコア・ネットワークで電脳世界にダイブする他は………」

 

雷真「なら、俺と一夏でダイブする」

 

 

もうこれ以上、刀奈や簪、姉さんまでも電脳世界にダイブして無力化されても困る。なら、俺たちでダイブした方がいい。何より、俺の勘がそう叫んでいる。

 

 

雷真「行くぞ、一夏!」

 

一夏「何がなんだが分からないが、わかった!」

 

 

俺たちはフリーダムと白式を待機状態に戻し、シャルロットたちが眠っている部屋と入り、ベッドのような物に身体を預ける。

 

すると、目の前にカウントダウンが現れ、カウントダウンがゼロになるとフリーダムを展開する感覚に似た感覚とフワッとした感覚と共に電脳世界へとダイブした。

 

 

 

 

 

 

雷真「ここが電脳世界………」

 

一夏「目の前にある扉は………5つ」

 

雷真「シャルロットたちが突入した扉と見て間違いないな」

 

 

電脳世界にダイブして、意識が覚醒するとそこには5つの白い扉だけが存在し、それ以外はただの広い空間だった。

 

 

雷真「簪、扉の中に突入する際に注意事項とあるか?」

 

 

念のため、こういう電脳世界でヒロインが囚われていると偽物の自分や架空のモンスターなんかが障害物となり襲いかかってくるケースを俺は小説で読んだことがある。

 

 

簪『注意事項としては、雷真と一夏の偽物がシャルロットたちの世界にいるみたい。だから、同じ人物が二人もいたらシャルロットたちの脳に負担がかかる』

 

雷真「わかった。なら、変装するのが一番か。簪、オーブ製のパイロットスーツとヘルメットを二人分用意してくれ」

 

簪『わかった』

 

 

簪が返事をしたあと、15秒ほどでオーブ製のパイロットスーツとヘルメットが目の前に出現したので、着替えるのたが、一夏は初めてパイロットスーツを着るので少し手間取っていた。

 

 

一夏「き、着にくい………」

 

雷真「これは、慣れるしかないな」

 

 

手伝いながら何とかパイロットスーツを着ることが出来た一夏を確認したあと、再び、簪にあるものを出してもらうことにした。

 

 

雷真「簪、俺にガバメントと弾を、一夏には刀を用意してくれ」

 

簪『わかった』

 

 

またもや15秒ほど待つと目の前に横長のテーブルが現れ、その上に俺用のガバメントと一夏用の刀が乗せられていた。

 

ガバメントを手に取ると一発だけマガジンに装填してからスライドを引く。そのあとに一度マガジンを取り出し、マガジンに七発、弾を入れてから再び、ガバメントに装填する。

 

 

雷真「よし。一夏、準備は出来たか?」

 

一夏「………」

 

雷真「一夏?」

 

一夏「いや、前に千冬姉に渡された時の刀よりもコイツは軽く感じるんだ」

 

雷真「そうか」

 

雷真「だがな、一夏。これだけは忘れるな。身近に有るもので、人は簡単に殺せることを。そして、人を殺すということは、殺される覚悟を持つということを」

 

一夏「………」

 

雷真「簪、シャルロットのいる場所に繋がる扉を教えてくれ」

 

簪『右から四番目の扉だよ』

 

雷真「了解」

 

 

ヘルメットを被ってから四番目の扉を開けて、中へと突入した。扉の中へ突入すると、そこは何処かの豪邸の庭園の中に、俺は立っていた。

 

それを認識すると、即座に手入れをされている植木に身を隠す。隠したら、まずは辺りを観察して防犯カメラやタレット、何かが無いかを警戒する。

 

 

雷真「取り敢えずは、レーザーセンサーや熱センサーの様なものはないな」

 

 

警戒はそのままに庭園から屋敷までを最短ルートで移動し、屋敷の外壁に身体を寄せる。

 

 

雷真「庭園から屋敷のルートに防犯システムが存在しない。何故だ?」

 

雷真「考えても仕方がない。まずは、シャルロットを探さないと」

 

 

あまりにも防犯対策が手薄なのに疑問を抱きながら、硝子越しではあるが部屋の中を確認して、シャルロットを探す。すると、五番目の部屋を確認するとそこにはシャルロットの生着替えを眺める“俺”が居た。

 

確かに外見は俺だ。だが、しかし、それは偽物の俺なのである。偽物の俺がシャルロットを辱しめている。それも生着替えをさせているのだ。それを理解した途端、言い表しようもない黒い感情が俺の頭を染めた。その感情に身体を預け、ガバメントを偽物の俺へ、何の躊躇もなく顔面に連射する。

 

 

雷真「死ね、糞野郎が。俺の女に手を出すな」

 

 

ガバメントから放たれた弾丸は一直線に偽物の俺の脳天へと突き刺さり、偽物の俺は断末魔を上げながら粒子となって消滅した。それを確認したら、シャルロットがいる部屋へと突入する。

 

 

雷真「シャルロット、無事か?」

 

シャル「だ、誰!?」

 

雷真「おいおい、またかよ……。これで、どうだ?」

 

 

臨海学校の時と同じように、警戒心を向けられるシャルロットにオーブ製のヘルメットを脱ぎ、顔を見せると「えっ?」みたいな顔をされた。まぁ、仕方がないだろう。

 

 

シャル「え、えええっ!? だ、だって今、雷真はそこで………」

 

雷真「そいつは偽物だ。お前は、ハッキングした奴の手口に嵌まったんだよ。それにしてもシャルロット、そんなに俺に攻められたいのか?」

 

シャル「へ?」

 

シャル「ち、違っ!?/////」

 

 

シャルロットは、顔を真っ赤にして否定しようとするが偽物の俺を排除したことによりシャルロットの空間から元の扉が存在する空間へと飛ばされた。

 

また、空間が変更されて、まず目にしたのは………。

 

 

雷真「………」

 

シャル「………」

 

一夏「………」ブツブツ

 

鈴「///////」

 

 

赤面している鈴の膝下まで降りているライムグリーンの横縞模様のパンツを両手で掴んで、ブツブツと呟いている一夏の姿だった。

 

そんな二人を唖然と見ていると隣にいるシャルロットがアワアワと慌てだし、その物音で鈴が此方へと顔を向けた。すると、赤面していた顔が真逆の青へと変色した。

 

 

鈴「な、ななななっ!?」

 

雷真「うん。なんか、ごめん」クル

 

シャル「僕もこれは流石にまだ………」クル

 

一夏「ら、雷真にシャルロット!?てか、シャルロット、その格っ………ぐえっ!」

 

 

鈴が何か言う前にくるりと身体を180度と回転させながら、一夏がシャルロットの格好について何か言う前に弾切れのガバメントをノールックパスで思い切り投げる。

 

 

雷真「簪、シャルロットに服を」

 

簪『わかった。それから、鈴のパンツを見たことに関して、あとでお姉ちゃんと一緒にお仕置き』

 

雷真「………はい」

 

 

男として役得だとは思えた反面、お仕置きが確定した。けれど、何とかシャルロットと鈴を救出することに成功した。あとは、セシリア、ラウラ、箒だけ。

 

だが、さっきのシャルロットの空間を考えるに偽物に反映させる人物は、彼女たちが好意を向ける男性ではないのだろうか?そうなると、俺はもうお役御免になるのだが………。

 

 

 

アヴァロン・フリーダムのビーム兵器を実技演習の授業でも使用するかについて

  • アヴァロン・フリーダムの使用禁止
  • アヴァロン・フリーダム ビーム兵器の禁止
  • 別機体のビーム兵器を使用
  • 別の機体を使う
  • 雷真は見学
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