雷真はパーティーから抜け出し整備室に行くと整備室の明かりが廊下に漏れていた。
雷真「誰かいるのか?」
雷真「失礼しま~す」
誰か居ると思い。一応、挨拶をしながら整備室に入ったのだが誰もいない、もぬけの殻のようだ。
雷真「誰かが明かりを消し忘れたのか?まあ、いいや」
明かりのことは放って置き。整備用のカタパルトにストライクを起動させて待機させる。
雷真「さっきの刀奈との模擬戦でストライクをランチャーからエールに換装するタイムラグが問題になることがわかったから、あとはそれを無くすためにOSをいじれば」
雷真「ストライクの換装接続タイムを1秒から0.05に書き換えて。よし、やってみるか」
雷真はキーボードでストライクの換装システムのOSを書き換えて実験するがやはり、タイムラグが発生してしまう。
雷真「駄目か……。そうだ、どこかにISの高速武装交換をする動画とかないかな」
雷真のストライクは今は
雷真「あった!えっと名前は
雷真「この
それから約1時間ほどOSを書き換えて
???「…………真」
???「……雷真」
???「ねぇ、雷真ってば!」
雷真「うおわっ!?」
雷真はあまりにも
雷真「なんだ、簪か……驚かすなよ」
簪「簪か……じゃないよ!何度も呼んだのに」
雷真「それは悪かったな」
簪「それで雷真はどうしてここに?」
雷真「今日の放課後に刀奈と模擬戦をしたんだが、途中でストライクの換装が間に合わなそうになったから、その対策だ」
簪「ふ~ん。ところで、その模擬戦はどっちが勝ったの?」
雷真「俺だ」
簪「えっ?えええええ!?」
雷真「どうしたんだよ?そんなに驚いて」
簪「いやいや、普通は驚くよ!だって、お姉ちゃんはIS学園史上で最も最速で生徒会長になったんだよ?それなのに、雷真はそんなお姉ちゃんに勝っただなんて………」
雷真「だからか、あんなに悔しがってたのは」
簪「本当に雷真は色々と無茶苦茶というか出鱈目というか…………。はぁ~、止めた、気にしてる私の方が疲れちゃうもん」
雷真「ところで簪はなんで整備室に?」
簪「それはね、私の専用機がまだ出来てないからなの」
雷真「はあ?」
雷真「ちょっと待て。なんで日本代表候補生である簪の専用機が完成してないんだ?日本代表である刀奈の
簪「ううん。お姉ちゃんの専用機は元々ロシアの専用機をベースに作ったの。ロシアで開発されていた第三世代機のプロトタイプが破棄されるところを日本が無理やりロシアと交渉して戦闘データ以外を提供してもらった後に虚さんや本音、私と力を合わせて完成させたの」
雷真「なら、簪の専用機が急ピッチで開発させるはずだろう?」
簪「本当はそのはずだったんだけど、イレギュラーが発生したんだよ」
雷真「イレギュラー…………まさか!?」
簪「雷真も気付いたみたいだね。そう、本来ならあり得ない、一人目の男性操縦者の出現。もっと正確に言うなら織斑一夏の発見によって、開発されるはずだった私の専用機が後回しにされて、織斑一夏の専用機である、あの白式が完成したの」
雷真「…………」
簪「それも運が悪いことに私の専用機を開発している企業と織斑一夏の専用機を開発した企業は同じ企業なんだよ」
雷真「そんなことって……」
簪「正直、なんで私がこんな目に合わないといけないの、って思ったよ。でも、泣いてる私を何も言わずに真っ先に慰めてくれたのは雷真だった。本当のヒーローみたいに何も言わずに慰めてくれた」
雷真「えっ?」
簪「今でも覚えてるよ。額から血を流しながら傷だらけでボロボロな状態で私たちを助けてくれたこと。あの時の雷真は、まさに私が憧れる大好きなヒーローみたいだった。だから、そんな私の大好きヒーローが近くにいるのに織斑くんを恨んだら、その人に嫌われちゃうから」
雷真「ちょっと待て、簪。俺はヒーローなんかじゃ……」
簪「いや、待たない!だって、これが最後のチャンスかもしれないから。だから、ちゃんと聞いてお願い」
雷真は簪の赤い瞳から真剣さが見て取れたので頷くことしかできなかった。
簪「すぅ~、はぁ~。よし」
簪は下を向いて深呼吸をしてから、何やら決意をして、そして顔を上げ、こちらの正面を向くと、彼女の瞳は少し潤んでおり、頬も少し赤くなっているように見える。
そんな簪の顔を見た瞬間、雷真は胸の奥が【ドクン!】と跳ねた。
簪「えっとね……その私、ね」
雷真「お、おう」
簪「私………雷真のことが好き!五年前のあの時からずっと雷真が好きだったの、けれど付き合ってとは言わない」
雷真「…………」
簪「だって、だって……雷真には……お姉ちゃんが……刀奈がいるから」ポロポロ
雷真「…………」
簪を泣かせてしまった。俺の所為で簪を泣かせてしまった。刀奈と同様に簪を守ると決めたのに……なのに俺は………。
簪「だから、答えはいらない。答えを聞いたら、今よりも辛くなって、きっと刀奈に当たっちゃうから」ポロポロ
雷真「…………」
簪「だから、これでいいの。胸の奥にしまってた思いを打ち明けて、スッキリしたから」ニコ+ポロポロ
バカやろ……。そんな泣きながら無理な笑顔を作っても説得力なんてねぇよ。
簪「ごめん私、先に出るから、戸締まりとかよろしくね!」タタタタ
簪は俺の横を走って通り過ぎ、整備室を出て行こうとするが………。
???「待ちなさい、簪ちゃん」
整備室の入り口から先ほどまで一緒に居た女性の声が聞こえた。
簪「なんで……お姉ちゃんがここに」
雷真「刀奈」
刀奈「さっきの話し、聞かせてもらったわ」
簪「そっか……聞かれてたんだ」
刀奈「やっと勇気を出せたわね、簪ちゃん」
簪「でも……」
刀奈「雷真、IS学園にくる前にお父さんは何て言ってたか覚えてる?」
雷真「それは……」
~回想~
更識父「ああ、雷真君。ちょっと待ってくれ」
雷真「なんですかお義父さん」
更識父「何、刀奈と簪のことを頼んだよ。と言いたかっただけだよ」
雷真「わかってます」
~回想終了~
出発前のお義父さんとの会話を思いだした。
もし、その言葉が俺の解釈通りなら…………
刀奈「どう、わかった?」
雷真「刀奈、お義父さんのあの言葉はそういう意味で解釈していいのか?」
刀奈「さあ、ね?私はさっき食堂でも言ったけど雷真に任せるわよ」
雷真「わかった」
俺は今だ、俺たちのやり取りを理解していない簪に近づき、正面で話しをする。
雷真「簪」
簪「なに、雷真?」
雷真「これは俺の意思だから、言わせてもらう。所謂、エゴってやつだ」
簪「…………」
雷真「更識簪さん」
簪「…………」
雷真「俺は……簪も刀奈も同じくらい好きです」
簪「へっ?」
雷真「だから、俺と結婚を前提に付き合ってください」
簪「えっ?うそ………でも、そんなことは」ポロポロ
刀奈「普通は出来ないわね。けど、雷真は今では世界で貴重な存在よ?なら、やり方によっては
"
簪「本当にいいの?刀奈も本当に?」
雷真「俺から結婚を前提としたお付き合いを申し込んでいるんだがな?」
刀奈「この私が簪ちゃんが雷真の好きだってことを分からないとでも思った?」
簪「ありがとう、二人とも。ありがとう」ポロポロ
刀奈「それじゃ、私たち二人の未来の旦那様から好きである証拠を見せてもらうおうかしらね」
刀奈は艶かしく唇を人差し指でなぞる。その行動だけで雷真は刀奈が示す証拠とやらが理解できた。
雷真「わかったよ。ただし、簪からな」
刀奈「わかってるわよ。待たせた分、しっかりと証拠を残してあげなさい」
雷真「わかった。簪、目を閉じて」
簪「う、うん」
雷真は簪の前に立ち、優しく簪の肩に手を乗せる。手を乗せる際、簪の体がビクッと動いたのは無視する。
雷真「いくぞ」
雷真の合図で簪は少し顎をあげる。これにより、雷真と簪の顔はちょうど良い角度で交わる。
雷真「んっ……」
簪「んっ……」
今はただ唇と唇を当てるだけで終わり。
簪「しちゃった、ね」ニコリ
雷真「ッ!?。/////」
やはり、簪と刀奈が双子だからなのか。今の簪の笑顔が初めて刀奈とキスを交わした時によく似ていたが少し違う。
刀奈「雷真、何をそんな初々しい反応をしてるのよ」
雷真「す、すまん。さっきの簪の笑顔が初めてキスをした刀奈の顔に似ていたから」
刀奈「バカ……。/////」
簪「フフフフ」ニコニコ
刀奈「それじゃ、私の番ね」
雷真「わかってるよ」
刀奈も簪と同じように正面に立ち、優しく肩に手を置き顔を近づけキスを交わすが…………。
雷真「んっ、んふ……!」
刀奈「んっ、んむ……あむ…ぷはっ!」
腕を首の後ろに回されて、まさかのディープキスをやられるとは思わず雷真も目を白黒させてしまう。
刀奈「ごちそうさま」
雷真「か、刀奈、お前」
刀奈「フフフフ、二年と半年ぶりのキス。美味しかったわよ。ら・い・し・ん♥️」
こいつ、マジでお義母さんの血が一番濃いんじゃないかと疑いたくなる。それの理由は何とお義父さんが大学生の時、二つ上であるお義母さんに言い寄られた結果。お義父さんが四年のころに刀奈と簪がお腹に出来て結婚したそうだ。
簪「お姉ちゃんがエッチい」
雷真「はぁ~。ところで簪の専用機の話しなんだがストライクの中にある戦闘データを流用できないか?」
簪「多分できると思うけどいいの?」
雷真「大切な婚約者が困ってるんだ。いいに決まってる」
簪「う、うん、ありがとう。/////」
こうして、新たに雷真の婚約者に簪が加わった。
また、簪の専用機を担当していた企業である倉持技研が、ミスターKと名乗る男により破産一歩手前までにされていたり、極秘にしていた情報が日本政府に渡り家宅捜索をされたそうだ。
今回は簪の告白でした
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雷真は見学