一夏とパーティーと簪が婚約者に加わった、翌日。朝、時計は時刻を5時30分と示している。
雷真は朝早くから起き、特訓をする。
これは、コズミック・イラのなごりで早朝特訓をしてしまうのだ。一種の職業病だ。
そして、雷真は1025号室の前にいる。扉の前でノックを三回する。すると寝間着なのか?浴衣姿の箒が出てくる。
箒「こんな朝早くに何の用だ?雷真」
雷真「昨日、一夏が強く成りたいから特訓してくれと頼まれてな。だから、早朝特訓だ。」
箒「なにっ!?」
雷真「箒、声を落とせ」
箒「す、すまない。それで、私も付いて行っても構わないか?」
雷真「ああ。第三者の目からの意見も特訓に必要だからな。取り敢えずは一夏を起こすから、入っていいか?」
箒「どうぞ」
雷真「お邪魔します」
箒に招き入れてもらい、ベッドの中で眠っている一夏を起こす。
雷真「一夏、起きろ。早朝特訓するぞ」
一夏「ん、雷真?何でいるんだ?」
雷真「昨日、お前が言ったんじゃないか。強く成りたいんだろ?」
一夏「そうだった!?」
一夏は昨日のことを思い出して、バッという効果音が鳴りそうな勢いでベッドから飛び起きる。
雷真「起きたなら、早くISスーツと動きやすい服に着替えろ」
一夏「わ、わかった。雷真はエントランスで待っていくれ」
雷真「了解」
一夏に言われるまま、エントランスで一夏と箒を待っていると、ジャージ姿の織斑先生に出会った。
千冬「黒牙か、早いな」
雷真「いえ、これはもう習慣なので」
千冬「いい心掛けだ。一夏もお前を見習ってほしいものだ」
織斑先生がそんなことを愚痴っていると……。
一夏「誰が雷真を見習えって?」
千冬「い、一夏!?」
織斑先生はこんな朝早くに一夏が起きているのに驚いているようだ。
一夏「おはよう、千冬姉」
箒「おはようございます。織斑先生」
千冬「お、おはよう」
雷真「それじゃ、まずは軽く準備体操してから4キロのマラソンな。制限時間は10分だ」
(作者も10分で4キロ走れちゃいます)
一夏「10分で4キロ!?」
千冬「ほう?」
雷真「あっ、織斑先生」
千冬「なんだ?」
雷真「ISとアリーナの使用許可をいただけませんか?」
千冬「何のためだ?」
雷真「一夏が昨日、強く成りたいから特訓してくれと頼まれまして」
千冬「なるほどな。許可しよう」
雷真「ありがとうございます。では、さっそく」
雷真はストライクを出さずに対ビームシールドだけを出現させて、それを担ぐ。
雷真「よ~し、マラソン始め!」
雷真は対ビームシールドを担ぎながらタッタと走っていく。対ビームシールドの総量は約60Kgはあるのだが、それを軽々と担ぎながら走る雷真はいかに……。
一夏「す、すげえ」
箒「本当だな」
4キロのマラソンが終わると一夏はゼハゼハ、と息切れしながら倒れ、箒も流石に10分で4キロはキツイようで息が切れている。雷真はというと全く息が切れていない。
また、織斑先生だが、まだ走るとのことで別れた。
雷真「うっし。今から30分休憩だ。休憩が終わったらISの特訓に入る」
一夏「ま、マジか……」
箒「雷真は凄いな……。毎日、こんな特訓をしてるのか?」
雷真「そうだな~。行方不明になる前は刀奈の家で両手足に10kgの重りを着けて走ってたけどな」
箒「そうか」
雷真「ほれ、二人とも」
一夏「さ、サンキュー」
箒「すまない」
一夏と箒に渡したのは簡易食。所謂、10秒チャージのようなものだ。それから休憩が終わり、アリーナでISの特訓に入る。
▽▲▽
雷真「ほら、またロックオンされてるぞ。射線から逃げろ!」
一夏「クソォォォオ!」
今、行っている特訓は一夏を俺がエールストライクで追いかけ、ビームライフルのロックオンから逃げる特訓だ。
かつて誰かが、『当たらなければ、どういうことはない』と言ったようにそれを実現させるためにやっている。
雷真「また、速度が落ちてるぞ。蜂の巣に成りたいのか!」
一夏「キツイ」
雷真「今からはロックオンだけじゃなくて実際に撃っていくからな。当たるなよ?」
一夏「へぇ?」
雷真「行くぜ!」
一夏「うわああああああ!?」
雷真はギリギリ掠るところを狙って一夏にビームライフルを撃っていく。ギリギリとはいえSEは確実に削れていく。
一夏「クソッ、このままじゃあ」
一夏はあることを思い出した。それはクラス代表決定戦で雷真がやってのけたビームを弾く。それを零落白夜でも、やれるのではないかと考えた
一夏「一か八かだな。けど、何もしないで殺られるよりはましだ!」
一夏は高速移動しながら零落白夜を発動し、ビームライフルから放たれるビームを弾いた。
雷真「へぇ~」
一夏「おっしゃ、いける!」
雷真「なら、ちょっとギアを上げようか」
一夏「えっ?雷真さん、今ギアを上げると仰いました?」マッサオ
雷真「その通りだ、一夏」ニヤリ
一夏「あ、あ、あ、うわあああああ!!」
今回は容赦なく、完全に相手に当てる感覚でビームライフルの照準を合わせて、トリガー引いていく。
雷真「ほら頑張って、知恵を絞って!」
▽▲▽
一夏の早朝訓練の話しを聞き付けたセシリアは刀奈と共に雷真たちが居るアリーナに来ていた。そこで目にしたのは地獄絵図。
セシリア「刀奈さん、貴女のフィアンセは鬼か何かですの?」
刀奈「ああなった雷真は、私も久しぶりに見たかも」
セシリア「久しぶりということは前にも?」
刀奈「ええ、調子に乗って私と双子の妹の簪ちゃんにしつこくナンパをしてきた男を笑顔でね」
セシリア「あー、なるほど。容易に想像できましたわ」
▽▲▽
あれから、一夏の雷真による特訓が始まって早二週間が経ち。現在、早朝特訓を終えた一夏は教室の自分の席でボロボロの状態で突っ伏している。
一夏「…………」ボロボロ
本音「おりむ~、大丈夫~?」
一夏「のほほんさん、君にはそんな風に見える?」
本音「ううん、ぜ~んぜん。だって、特訓の相手があのライライだもん」
一夏「のほほんさんは雷真と長い付き合いなのか?」
本音「うん。私とお姉ちゃん、それにかっちゃんにかんちゃんはライライとは幼馴染なのだ!」
本音との会話の後はチラホラとクラスのメンバーが教室に入ってくる。その中の何人かがクラス対抗戦の話しをしている。
「もう直ぐ、クラス対抗戦だね」
「そうだ。二組のクラス代表が変更になったって聞いてる?」
「ああ。なんとかっていう転校生に変わったのよね?」
一夏「転校生?今の時期に?」
鏡「うん、中国から来た娘だって」
セシリア「フン!私の存在を今さらながら危ぶんでの転入かしら?」
雷真「それはないだろ。だったらなんで入学当時に来ない?大方、一夏か俺のデータ取りだろう。お偉いさん方はそんなことしかしないからな」
一夏「なるほどな。でも、どんなやつだろうな?強いのかな?」
雷真「どんな相手だろうが気を抜くなよ。気を抜いて恥さらしな負けた方をしたら、特訓内容を地獄にしてやる」
一夏「わ、わかった」ダラダラ
鷹月「でも今のところ専用機を持ってるのは一組と四組だけだから余裕だよ」
一夏「いや、雷真の言葉通り俺は余裕だなんて思わないことにするよ」
と一夏がいうと……いきなり教室の前の扉が開く。
???「そこの女子の情報古いよ。二組も専用機持ちがクラス代表になったの。そう簡単には優勝できないから」
一夏「鈴?お前鈴か?」
鈴「そうよ!中国代表候補生、凰鈴音よ。今日は宣戦布告に来たってわけ」ビシッ!
とまあ、漫画で出てくる。ライバル的なやつのセリフを言ってみせた。一夏の知り合いらしい、中国代表候補の凰鈴音がこの学園にやって来たみたいだ。
鈴「アンタね、二人目の男性IS操縦者ってのは」
凰はこちらにやってきて、俺にそう問うてきた。
雷真「ああ、そうだ。既にそちらから自己紹介があったから俺だけ言わせてもらう。黒牙雷真だ。俺のことは雷真で構わない」
鈴「こっちも鈴でいいわ」
そうして、互いに握手をする。
雷真「なぁ、鈴。そろそろ、自分の教室に戻ったほうがいいぞ」
鈴「どうして?」
雷真「一組の担任が織斑先生なんだよ」
鈴「うげっ!?それは本当?」
雷真「本当だ。あと40秒で来るぞ」
鈴「ヒイイイ!?」
鈴は悲鳴のような声を上げながら教室を出ていくが何かを忘れたのか戻ってくる。
鈴「一夏、このあと昼休みに話しがあるから、じゃあ!」
一夏「……………」
雷真「なんか嵐みたいなやつだな?」
一夏「まあ、良いやつだよ」
鈴との邂逅のあとは授業は普通に終わり。しかし、途中で何回か一夏は織斑先生の出席簿アタックを受けて頭から湯気を出していた。
そして、昼休み。今日は一夏たちと食堂で食べることにしたので途中で鈴とも合流した。
一夏「にしたもビックリしたぜ。お前が二組の転校生とはな。連絡をくれりゃ良かったのに」
鈴「こっちだって代表候補生として忙しいのよ。アンタと違って」
一夏「なんだよ、その言い方。それとお前、まだ千冬姉のことが苦手なのか?」
雷真「そうなのか?あんなに優しいのに」
鈴「雷真、アンタのその感覚を疑うわ」
雷真「いや、俺はあれより酷いのを知ってるからな」
雷真の頭には戦闘訓練と言う名の地獄。それもコズミック・イラの伝説の二本の剣、"ストライクフリーダム"と"インフィニットジャスティス"によるいじめが脳裏でよみがえった。
刀奈「雷真、戻ってきなさい。後ろが詰まってるわよ?」
雷真「す、すまん」
刀奈の声で半年しか月日が経っていないが、コズミック・イラのことがひどく懐かしく感じていた。
そして、席に着くと一夏は鈴と二人で、それに付いて来た輩は集まって座っている。
俺と刀奈は普通に二人で座っている。また、あのクラス代表決定パーティー以降から簪も俺たちと一緒に食べるようになった。
簪「ごめん、待たせちゃった?」
雷真「いや、そんなことはないぜ。ほら、簪のオムライスも取ってあるから」
刀奈「そうよ、簪ちゃん」
簪「ありがとう、二人とも」
そして三人で食事に感謝をする。これは俺がコズミック・イラで宇宙から地球に降りた際に、北アフリカ砂漠でアークエンジェルやストライクの補給物質を提供してくれた人達を見て思ったことだ。どれだけ自分たちが裕福な生活を送ってきたのか。どれだけ住みやすく、安全な環境に置かれていたのかを実際に体験すると、その有り難みが酷く、重く、大きく、感じてしまったのだ。
雷真「それで簪。専用機の調子はどうだ?」
簪「うん、雷真からもらったストライクの戦闘データが役に立ってるよ。特にランチャーストライクと【GAT-X102 デュエル・アサルトシュラウド】、【GAT-X103バスター】がね」
雷真「ああ、そいつらか」
コズミック・イラ71年の時に敵として戦ったGATシリーズのうちの二機。デュエルは白髪でプライドが高い性格のイザーク・ジュール。バスターは金髪で外見からしたチャラそうだが芯があるディアッカ・エルスマン。
そして雷真がストライクに搭乗して互いに命のやり取りをした相手だが、第二次ヤキンドゥーエ攻防戦後は良き友として仲を深めた二人だ。
簪「でも、あんなIS見たことがないけど。どうやって、あの戦闘データを手に入れたの、雷真?」
雷真「それは、ごめん。まだ、話せない。刀奈にも同じことを言ってるけど、あの二年間に関わる話は決心が着いたら話すから待っていてくれ」
簪は刀奈の方を見ると真剣な顔で頷く。しかし、その瞳には悲しみの色が混ざっていたことを簪は見逃さなかった。
簪「わかった。お姉ちゃんと一緒に雷真の決心が付くまで待ってるね?」
雷真「悪いな」
簪「ううん。だってヒーローはいつも、色んな感情が葛藤するから、それが落ち着くまでは待たないと」
雷真「ありがとう」
アヴァロン・フリーダムのビーム兵器を実技演習の授業でも使用するかについて
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アヴァロン・フリーダムの使用禁止
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アヴァロン・フリーダム ビーム兵器の禁止
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別機体のビーム兵器を使用
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別の機体を使う
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雷真は見学