輝きがほしい比企谷八幡   作:SHSH

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第十六話

「なにはともあれ、まず呼び方を変えようよ!」

 

 そう声高に提案しているのは、右に座する高海さん。

 

「それって、つまり…どういうこと?」

 

 と、流れるように質問しているのが、左に座する渡辺さん。

 そして、対面に座する俺は、ただ黙ってパンを咀嚼している。ゆえに思う

 

(これ、…俺要る?)

 

 昼休みに入り、二人がご飯を食べながらスクールアイドル部について話しているのだが、全く会話に入るタイミングが見当たらない。どうしたもんかと考えあぐねていると…

 

「比企谷君もそう思うでしょ?」

 

 突然話を振られる。

 漸く俺のターンか、待ちわびたぜ。ここで一発ビシッと決めてやろうじゃないか。

 

「確かに、一理ある」

 

 まるで、話を一言一句聞き漏らしていないかのような反応。その実、どうしようか考えていたせいでほぼ聞いていなかったのだが。

 

「でしょ!じゃあ、これからは名前で呼んでね!」

 

 

 

「…ん?」

 

 思わず声が出てしまった。名前で呼んでね?それはつまり、あれか、下の名前で呼べということなのか。

 ……無理だろ。会って二日の女の子を下の名前で呼ぶなど、神様仏様が許してもこの八幡が許さない。

 

「た、確かに一理あるとは言った。けどそれは飽くまで一理に過ぎない。他にもやりようはあると思うんだ」

 

 そう、やりようはある。…というか、スクールアイドルの話してるんじゃなかったのか。

 

「そんなことないよ!やっぱり仲良くなるには名前で呼び合うのが一番だよ!…八幡君!」

 

 

 なん…だと…!?

 …"八幡君"、なんて甘美な響きだろう。その言葉を耳にするだけで脳が幸せの鐘を鳴らす…っておい、チョロ過ぎるだろ俺!

 悔しくも内心喜びながら必死(笑)の抵抗を続ける。

 

「だ、だとしても仕事をする上で大事なのは仲が良いことじゃない。適度な距離感と、仲が悪くないことなんだ。」

 

 それに…と続けようとする俺を、二つの可愛らしい瞳が静かに、だが確かに訴えかけてくる。そんなこと言わないで仲良くなろうよ、と。

 

「い、いや、だから、その…ね?」

 

「…八幡君は仲良くなりたくないの?」

 

 高海さんが上目遣いで聞いてくる。これはわざとやっているのだろうか、あざとい。

 

「そういうわけじゃないけど…」

 

「じゃあ、名前で呼んでよ」

 

「うっ…」

 

 観念しよう。し、仕方なくなんだからね!勘違いしないでよ!…俺のツンデレは気持ち悪いな、やめよう。

 

「…千歌さん」

「呼び捨てでいいよ!」

「なっ!……ち、千歌」

「うん、よろしい!」

 

 ご満悦の笑みを浮かべる彼女の隣で、もう一人の女の子が、俺の目を見てこう言った。

 

「…八幡君、私は?」

 

 …またしても上目遣い、やはりわざとなのだろうか…、だとすれば女の子って怖い。

 

「よ、曜…」

「えへへ//」

 

 くっ…照れるな、笑うな、はにかむな!好きになっちゃうだろうが!

 …はぁ、やっぱり女の子って怖いな。




これはイチャイチャの兆しが見えますね…
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