「ということで、スクールアイドル部を作ろうと思います!」
「それはいいんだが、創部するには部員が五人以上必要なんだろ?当てはあるのか?」
女の子を名前で呼ぶことになったお昼休みも、今は昔。一日の授業が終わり放課後になった現在、俺と千歌は教室でスクールアイドル活動について相談し合っていた。ちなみに、曜は水泳部へと行ってしまった。去り際に"ヨーソロー!"と言いながら敬礼をしていたが、どういう意味だったのだろうか。帰ったらググろう。
「フッフッフ…、ないから勧誘するんだよ!」
ないのか…、"フッフッフ"に強キャラ感出てたから、あるのかと思ったよ。
「まぁ、勧誘するなら一年生か。ニ、三年生は既に部活に入ってるだろうしな」
「うん、そうだね。」
でもね…と千歌が続ける。
「いま現在、確実にどの部活にも入っていない二年生の女の子がいるんだよ」
「…桜内か」
「そう!流石八幡君!分かってる~」
と言いながら、肘でつついてくる。
当たってる、当たってるから//……肘が。いや、当ててんのか。
「桜内なら、まだ教室にいるから誘ってきたらいいんじゃないか?」
先程まで桜内を質問攻めにしていた数人も、聞くことがなくなったのか、いつの間にかいなくなっている。つまり、今がチャンス!
「よし!じゃあ、誘ってくるね!」
「おう」
誘いに行った千歌を自分の席から見守る。
"誘いに行ってきたら"とは言ったものの、果たして桜内がスクールアイドルをやると言うだろうか?彼女はピアノから逃げてきたと言っていた。そんな彼女が別の何かに打ち込もうとする姿が想像出来ない。
遠目に見ていると、千歌が桜内に手を差し出していた。
「一緒にスクールアイドルやりませんか?」
千歌の声が教室内に響く。気付けば教室は俺達三人だけになっていた。
「…ごめんなさい!」
「…え?なんで…」
「私地味だから、スクールアイドルなんてキラキラしたものは出来ません!」
失礼します!と付け加えて足早に去っていく桜内。その後ろ姿を見つめる千歌の背中はどこか哀愁を帯びていた。
すると、徐に千歌がこちらを振り返り、自信満々にこう言った。
「いける!」
どこが!?…背中の哀愁はなんだったんだ。
「あれは…いけるのか?」
「うん!桜内さんは絶対に押しに弱いよ!」
あー…無理矢理押し通すのか。成る程。
「…とはいえ、程度は弁えろよ」
そう軽く忠告すると
「分かってるって!」
満面の笑みでこう返してくる。いや、それ分かってない時の笑顔だよね…
「あ、それと一年生も勧誘しなきゃ」
「そうだな、明日の朝、校門で勧誘してみたらどうだ?」
「いいね!それ採用!じゃあ、明日の朝八時に校門に集合ね!」
「おう」
では、さらば!と走り去っていく千歌。ここで、ある事に気付く。
『明日の朝八時に校門に集合ね!』
『おう』
『おう』
『おう』
「oh…」
明日の早起きが決まった瞬間であった。