昼休みに入り俺は行動を始める。今朝の事から、生徒会長はスクールアイドルに対して強い反感を抱いていることがわかった。…多分。というか、そうでもないとあそこまで頭ごなしに創部を拒否することに説明がつかない。そこで、真偽を確かめるべく俺は教室を後にしようとする。
「あっ、八幡君。どこ行くの?お昼一緒に食べようよ」
席を立ったところで千歌に止められてしまう。
「ん?ああ…いや…」
言葉に詰まる。本当の事を言うべきか否か。僅かな逡巡の末、結論が導き出された。
「…ちょっと、トイレに」
「あっ、そうだよね。…ごめん」
一先ず生徒会長の事は黙っておくことにした。それより、なんで地雷踏んじゃったみたいな顔してるの?トイレ行くだけだよ?…実際には違うけど。
「じゃ、じゃあ、いってきます」
「う、うん、いってらっしゃい」
変なことを言ってしまった…なんだよ"いってきます"って、しかもお見送りまでされてしまった。…まぁいい、そんなことより情報収集だ。三年生に聞き込みをしに行こう。急いては事を仕損じるというからな、落ち着いてゆっくり事に取り掛かろう。…が、トイレと言ってしまった以上あまり時間をかけすぎるのは悪手だ。ほら、おトイレマンとか呼ばれたくないし。
彼女がそんなことするはずはないと信じながらも、気が付けば俺は駆け出していた。
(あそこが三年生の教室…)
そう、この先へ進めば先輩達の巣窟が待っている。とはいえ、無策で突入する訳にはいかない。唯一の男子生徒という自覚を持って行動しなければ、大混乱は避けられないだろう。つまり近くを通りかかった三年生に聞くしかないな、うん。
作戦が決まり、物陰に身を潜めていると背後に気配を感じ、急いで振り返る。
(誰だっ!?)
なんだ気のせいか…。別に後ろめたい事をしている訳じゃないんだ、怯える必要もないか。と思い、前に向き直る。…すると
「何してるの?」
「うわっ!…びっくりした」
突然目の前に顔が現れ、喫驚する。
「ごめんね、驚かせちゃった?君は…比企谷君だよね?」
青いポニーテールをした凛々しい顔立ちの三年生が尋ねてくる。
「…そうですけど、なんで名前を?」
「唯一の男子生徒だからね、みんな知ってるんじゃない?」
そっか、良かった…不審者として指名手配されてるかと思った。ほらこの顔見たら110番とか。
「それよりこんなところで何してるの?確か二年生だったよね?」
…マズイな、本来俺から声をかけに行く予定だったのだが。あろうことか、物陰に潜んでいたところに声をかけられてしまった。ただ歩いてるだけならまだ良かった。"物陰に潜んでいた"、それが余計に不審者らしさを際立たせていた。
…さて、どうするか。いっそのこと正直に質問した方が身の潔白を証明できるのではないだろうか。…よし
「あの、聞きたいことがあるんですけど…」
「え?なに?」
「この学校にスクールアイドル部ってありませんでしたか?」
青いポニーテール…一体何浦さんでしょうか