放課後になり、それぞれが部活へと向かい始める。今日のところは生徒会長からの呼び出しは無かったようだ。
「あっ、八幡君!スクールアイドル部の人は生徒会室に行くのようにって先生が言ってたよ」
…呼び出しはあったようだ、いつの間に。それと、まだスクールアイドル部なんて部活は存在していない。
「なんの用だろうね?」
曜が千歌に疑問を投げ掛けるが、千歌がアホ毛でハテナマークを作っているのを見る限り理由は聞いていない様だ。…どうせ聞くことになるんなら先に言っておくか。
「生徒会長はスクールアイドルがお気に召さないらしい。だからスクールアイドル部も作らせたくないんだと」
「えっそうなの?…ていうかなんで八幡君がそのことを?」
曜が軽いジト目で俺を見る。
「…まぁその…なんていうか、朝の勧誘の後、生徒会長に声をかけられたんだよ」
そこからの事をかいつまんで説明していると、千歌が急に距離を詰めてくる。
「…なんで、なんですぐに言ってくれなかったの!?」
「えっ、いや、なんでって…」
「…むぅー」
頬を膨らませ、怒りを露にする千歌。
「…ごめん、一人でなんとかしようと思ってた」
千歌達に話がいく前に生徒会長を説得しようという腹積もりだったのだが、いかんせん呼び出しが早すぎた。
「……」
数秒見つめ合う。
「千歌?」
「…そっか、色々考えてくれてたんだね」
「え?あぁ、うん、色々と…」
色々考えていただけで、何をしたわけではないけど。
「なら今回は特別に許してあげる」
「あ、ありがとうございます」
「でもっ!次からは、ちゃんと私達にも相談してね。同じスクールアイドル部の仲間なんだから」
人差し指を俺に突き付け、ニコッと笑いかけてくる。だがその目は真剣そのものだ。
「…分かった、善処する」
「じゃあ、指切りしよ」
「お、おう」
触れ合う小指と小指、握手ですらないこの行為に一体何の効力があるのだろうか。こんなちんけな儀式で約束を守らせようなど
「嘘ついたら針千本のーます」
…前言撤回、約束絶対守る。針千本なんて飲めるわけがないだろ。
指切ったの掛け声で小指を離す。
「絶対だからね!」
「わ、分かってるよ…」
念押しから逃れようと目を逸らすと、ある人物が目に入る。
「あのさ、スクールアイドル部の仲間が…」
「ん?何?」
そして、出口へと向かう一つの影を指差しながらこう告げる。
「音も立てずに帰ろうとしてるけど、…いいのか?」
「…え?」
「あーっ、梨子ちゃん!ダメだよ帰っちゃ!今から生徒会室にみんなで行くんだよ!?」
「うっ……、わ、分かってるわよ、千歌ちゃん」
桜内がひきつった笑みを浮かべている。スクールアイドルやるんじゃなかったのか?
「じゃあ、一緒に生徒会室へレッツゴー!」
「ちょ、千歌ちゃん!?」
桜内の手をとり、勢いよく教室を飛び出す千歌
「…じゃあ、私達も行こっか」
「…そうだな」
引きずられて行く桜内を眺めながら、曜と俺はその後を追いかけた。