もしかしたらあったかもしれない、そんな未来   作:サクサクフェイはや幻想入り

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第八話 

ファーストコンタクトは悪かったものの、挨拶を済ませれば布仏先輩も気にしないようにしたのか、サンドイッチを食べきり仕事に戻る。 俺も自己紹介を済ませ食べ終わったのだから退出しようとしたが、許さない人がいた。 更識会長だ

 

「あら? もう行っちゃうの?」

 

「昼飯は食べ終わりましたから。 それに、部外者がいたら邪魔になるでしょ?」

 

不思議に思って聞いたのだが、何故か更識会長に不思議そうな顔をされた。 布仏先輩を見れば、頭を抱えていた。 あぁ、本当に苦労してるんだなぁ

 

「虚ちゃん、彼は邪魔?」

 

「いえ、邪魔ではないですが...... はぁ......」

 

「邪魔じゃないそうよ」

 

ため息を聞こえないふりしているのか、それとも聞こえなかったのか、更識会長は椅子に座るように促す。 たぶん後者なんだろうなと思いながら、布仏先輩に軽く頭を下げさっきまで座っていた席に腰を下ろす

 

「それで、何かお話でも?」

 

「もう、せっかちな子は嫌われるわよ?」

 

「元からこんな容姿ですので、どうでもいいです」

 

更識会長からの軽口を受け流し、本題に入るように伝える。 そうすれば、つまらなそうな顔をするが、すぐに表情を切り替える

 

「それじゃあ、真面目な話。 君は今、どういう立場かわかってるかしら?」

 

「どういう意味でしょう?」

 

「君が今、自分の状況を正しく理解しているかの確認よ」

 

自分の状況を正しく理解しているかの確認。 そんなことをいきなり言われてもわかるわけないのだが、多分相当やばい状況なのだろう。 あの学園長が信頼を置いている人なのだから、たぶんそっち系の人なのだろうから。 いきなりこんな話をされたにもかかわらず、布仏先輩が動揺していないところを見るとたぶん布仏先輩もそっち系の人なのだろう。 冷静に考えつつ、思い当たることを言う

 

「いきなり言われても困りますが、邪魔な()()()として、女性利権団体に狙われている。 そう考えたほうがいいですかね」

 

「えぇ、それはもちろんよ。 他は?」

 

「ほか?」

 

流石にこれしか思いつかなかったのだが。 一人目はあの織斑千冬の弟なのだ、女性権威の象徴としている織斑千冬の弟を狙うはずがない。 だから一人目は唯一の例外。 そして俺は邪魔な存在、消そうとか考えているのだろうが、それだけじゃない?

 

「どの国も貴方をサンプルとして狙っている、ということよ」

 

実験動物(モルモット)、というわけですか」

 

まぁ、ありえない話ではない。 俺は一人目みたく、後ろ盾はない。 ()()()()、とつくが。 ならどこの国でも貴重な男性操縦者として、欲しいに決まっている。 起動試験をしてからすぐにIS学園に保護されたが、そう言う背景だったのか。 情報を必要以上に漏らさないというのもあったのだろうが。 IS学園がこうやって動いている以上、日本が守ってくれるなんて甘い考えは捨てなければならないな。 まぁ、男性操縦者二人も独占なんて、他の国が許さないからなのだろうが

 

「なるほど、IS学園は一応どこの国、企業も手出しできない中立地帯みたいなところですからね」

 

「確実に安全、とは言い難いけど一応は安全だもの」

 

「それで、結局何が言いたいんですか更識会長」

 

「学園内で目立つようなことをしないでほしい、これが私の言いたいことよ」

 

結局何が言いたいのかわからずストレートに聞いてみると、おかしなことを言われた。 学園内で目立つようなことをしないでほしいって、元からしていないしする気もないのだが......

 

「してもいないし、するつもりもありませんよ?」

 

「それならいいけど」

 

流石に冤罪でっちあげられたらどうしようもないが、少なくとも自分から何かするつもりはない。 大体、中学時代もそうだったしな

 

「一応私たちもフォローするつもりだけど、問題を起こしたら一発でアウトだから。 そこらへん、肝に銘じておいて頂戴」

 

「わかりました」

 

まぁ、そうなるよなと思いつつ、話は次の話題に移る

 

「それじゃあ、真面目な話はここまで!次は、白い閃光になるまでの話が聞きたいなー」

 

扇子を口元に持っていき口元を隠すが、楽しそうにしているのがまるわかりである。 と言っても、特に語るつもりはないし受け流す

 

「ノーコメントで」

 

「えー、つれないわねー」

 

ぶー、ぶー、と文句を垂れているが、それ以上聞かないようだ。 分別のある人で良かったと思う一方、分別あったらそもそも会話に出さないかとも思った。 すると、今まで黙っていた布仏先輩が口を開く

 

「そう言えば、貴方に少し聞きたいことがあります」

 

「はい、何でしょうか?」

 

「あの純白の打鉄、貴方が試験の時に乗った機体だって聞いているんですが」

 

「えぇ、そうですが」

 

今日朝のHRに少し遅れた原因は、直った打鉄を取りに行っていたからだ。 と言っても、学園長から渡された打鉄のスペックは、最早別機体と言っても過言ではないものになっていたが。 さて、あの純白の打鉄を知っているということは、布仏先輩も改修に加わったらしい。 お礼を言わなければ。 その前に、布仏先輩が何かを聞きたそうにしているので、そちらをこたえるのが先だが

 

「何をすれば、たった十分乗っただけであんな風になるのですか?」

 

「・・・・・・」

 

まぁ、予想はできた質問だ。 何をすればあんな風になったのか、答えは簡単で普通に乗った。 それしかないのだが、布仏先輩はそれでは納得しないだろう。 俺がどう言おうか考え黙っている間も、真剣な表情で見てくる

 

「まず前提条件として、俺の乗り方は今の競技用として行われているISの操縦と全く違う、それを覚えておいてください」

 

「・・・・・えぇ、分かったわ」

 

納得いかないような顔だが、一応は飲み込んでくれたようだ

 

「俺の動きは、過去のビルドファイターズでホワイトグリントに乗っていた時の動きをしていました。 もちろん、機体のスペック的に無理なQBやOBなどは抜きにして。 反応は遅いし、最高速度も高速戦闘をしていた俺には遅すぎた。 だから、打鉄自身にかかっているリミッターを解除して、速度を強引に上げた結果、あの状態になりました」

 

「待ちなさい。 リミッターを解除してと言ったけど、そんなことが可能なの?」

 

「可能ですよ。 実際、俺は解除して戦ってましたし」

 

更識会長が待ったをかけるが、実際俺はリミッターを解除してああなっていたのだから、信じるしかない。 だが信じられないのは、布仏先輩で

 

「ありえないわ。 たとえリミッターを解除して高速戦闘をしたとしても、身体が耐えられるはずが......」

 

「それについては、更識会長が誰よりも知ってるんじゃないですか? 身をもって体験したわけですし」

 

俺の言葉に布仏先輩が更識会長の方を向くが、更識会長は静かにうなづくだけ。 まぁ、イグニッションブースト発動して、その真横をQBで通り抜けて、後ろから二段QBで追いつかれているのだから、信じるも信じないもない。 そして、更識会長が頷くことにより、驚きを隠せない布仏先輩。 まぁ、普通の競技用としてやっているIS戦を見てたら、そんなものはあり得ないと思っても仕方ないことだけどな。 特に思うことはなく、俺は席を立ちあがる。 扉に手をかけ、出ようとしたところで思い出す

 

「あ、そうだ、布仏先輩」

 

「・・・・・・何かしら?」

 

一応ショックから立ち直ったようだが、少し呆然としている布仏先輩に声をかける

 

「打鉄の件、改修ありがとうございました。 おかげで少しは乗りやすくなりました」

 

そう言って俺は、生徒会室を後にした。

 

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