もしかしたらあったかもしれない、そんな未来 作:サクサクフェイはや幻想入り
疲れた。 俺の昼休みが始まってすぐの感想だった。 女子の態度は平常運転(ひそひそ声での誹謗中傷など)、担任も問題あては今日も絶好調だったのはいつものことだが、それにプラスされた出来事があった。 一夏のクラス来訪だ。 何故か、何故か一夏は休み時間になると、俺に話しかけに来る。
『なんで二回言ったの?』
白の言葉は無視をする。 クラスもそんなに近いわけじゃないのだが。 それのおかげで、女子からは質問攻めにされた。 ここで内容を一部抜粋しようと思う
「何でアンタみたいなのが、あの織斑君に話しかけられるのよ!」
「どうやって織斑君にすり寄ったの?」
「はっ!? まさか織斑君をダシに千冬様に近づくつもりじゃ!?」
等々、あることないこと言われた。 ていうかさ、その思考回路に脱帽だよ俺は。 呆れを通り越して、逆に感心するよ。 俺が丁寧に説明をすれば、何故か認めない。 どないせいっちゅうねん。 そして原因の一夏だが、周りからの視線を感じないのか俺と暢気に話している。 視線を感じて周りを見るも、大部分の女子はすぐに視線を逸らすので首をひねるばかり。 おかげで俺は、嫉妬の視線と陰口にさらされ疲れた。 そしてお昼なのだが、俺に休みはないらしい
「黒夜、こっちだ!」
「一夏!大声で呼ぶな!」
俺のことを目ざとく見つけ、大声で呼ぶ一夏。 そんな一夏を注意する篠ノ之だが、その篠ノ之も大声である。 注目を集めないはずもなく、俺は内心ため息をつく。
『悪気がないのが一番厄介だね!』
白の言う通りである。 まぁため息をついた理由はもう一つ、篠ノ之の存在だ。 俺に厳しい視線を向けてくるのだ。 邪魔されて気分が悪いのか、それとも大会のことを言われたくないのか。 たぶん両方だろうが。 それにしても、今度からは食堂ではなく、購買にしよう。 まぁ、購買も食堂を通らないといけないのだが。 断るわけにも行かず、俺は片手をあげ一夏に合流する。 朝と同じように対面に腰を下ろせば、一夏が俺のメニューを覗いてくる
「お、うどんセットなのか」
「まぁ、美味そうだったからな」
見た目が美味そうというのもあったが、速く食べ終わるという利点もある。 まぁ食べ終わったところで、一夏が逃がしてくれるとは思えないが。 手を合わせて、食べ始める
「黒夜は授業の方はどうなんだ、ついていけてるのか?」
「まぁ、そこそこはな」
「そっかぁ...... やっぱ必読って書いてある教本を読んだからか?」
「? あぁ」
何を言ってるんだろうか、こいつは。 授業なんかはISもある分分かりにくいが、一般科目もある。 ちゃんと勉強していれば分かりそうなものだが、何なのだろうか? 少し意味が分からずに首をかしげていれば、そんな俺の様子を見かねてか、織斑が周りを確認すると、顔を近づけてくる。 いや、近けぇよ
「実は俺、必読って書いてある教本、捨てちゃってさ」
「・・・・・・」
どうやったら捨てられるのだろうか。 仮にも学校から配布された教本だ、別にしといたりするだろ。 それじゃあなくても、表紙にでかでかと必読と書いてあったのだ、捨てるはずがない。 呆れた表情をしていたのだろう、織斑が少し怒ったふうに言ってくる。 顔を近づけたままで
「な、何だよその呆れた表情。 俺だって、やっちまったかなとか思ったけど」
「・・・・・・わかってるならいい」
俺はため息をつきつつ、一夏の顔を俺の顔から離すように顔面を押す。 すると一夏も抵抗することなく、顔面を離す
『なんで興奮すると顔を近づけてくるのかな?』
『ホモだからだろ』
『そっか!』
納得してほしくなかったが、白は納得してしまったようだ。 まぁ、勘違いされても仕方ないと思う。 というよりも、篠ノ之も篠ノ之だ。 周りでひそひそ話されているのだから、一夏の方を注意したっていいはずだ。 自分だけ涼しい顔して、味噌汁を飲んでいるようだが。 自分だけ他人のふりとはいい度胸だった。 結局その後も一夏の相手をさせられ、休み時間いっぱいまで喋っているのだった。
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「整備箇所はほとんどないようですね」
「そうなんですか?」
「えぇ」
放課後、昨日の試合のことを更識会長から聞いたのか、布仏先輩が声をかけてきた。 俺も放課後は基本暇なので(練習したくてもできないとも言うが)、二つ返事で了承した。 ちなみに予約だが、昨日の帰りがけに取った。 一週間後になるが、何もしないよりましだろうということで。 そんなわけでいざ整備となったのだが、ISを展開して布仏先輩に見せてみるも、そんな言葉をいただいた
『まぁ、昨日の模擬戦、ほぼ被弾してないし。 そもそも、あのくらいの被弾なら整備しなくても問題ないしね。 超小型スラスターに関しても、黒夜無理しないように使ってたから問題なし!』
白に聞くも、布仏先輩と同じ様な返事が返ってきた。 なるほどねー
「あの出力なのに、ぶつけた後とかもないなんて......」
「まぁ、リミッターを解除していないですし、そもそもあのくらいのスピードならよそ見してても操れますから」
「・・・・・・」
考え込むような布仏先輩だが、俺は何か変なこと言っただろうか?
『あのスピードでピンピンしてるほうがおかしいんだよ!』
そんなこと言われても困る。 ホワイトグリントなんかもっと速いしQBとかと比べれば、圧も大したことないし。 本当なら整備の仕方とかを教わりたかったところなのだが、真剣な様子で考え込んでいる布仏先輩の邪魔をしては悪いと考え視線を周りに向ける。 今の時期、学校の機体の整備で忙しいらしく空きがないということで、席を外しているこのところを間借りさせてもらったのだが、その子のISに目が行く
『あのIS気になるの?』
『んー、まぁ、打鉄やホワイトグリント、それにラファールぐらいしか見たことないからな。 そりゃあ気にならないと言ったらうそになる』
白と会話しながら、誘われるようにISへと歩いていく
『このISの名前は打鉄弐式。 山嵐、周りに浮いているミサイルポットの事だけど、そのミサイルポット六機八門からなる合計四十八発のミサイルと背中に搭載されている荷電粒子砲二門からなる機体なんだ。 近接武装は薙刀』
『四十八発かぁ...... 重腕さんには遠く及ばないけど、ミサイルが主武装って時点でどこか彷彿とさせるな』
そんな風に思いながら、打鉄弐式と呼ばれるISを撫でようとすると
「触らないで!」
後ろから鋭い声がした。 振り向いてみれば、水色の髪が特徴的で眼鏡をかけた女生徒がいた。 どこか更識会長と似ているが、姉妹か何かだろうか? 疑問に思いながら手を引っ込める
「君のIS?」
「そう、だから勝手に触らないで」
何処か気が立っているのか、ずんずん歩いてくるとISを守るように立ちはだかる眼鏡女子。 うーむ、まぁ勝手に触ろうとしたのはまずかったな。 反省だ
「勝手に触ろうとしてすまなかった。 確かに、自分のものを他人に触れられるのは嫌だな。 大事にしているのなら、なおさら。 すまなかった」
頭を下がれば、とたん困惑したような雰囲気になるが気にせず頭を下げ続ける
「簪様......」
「虚さん? どうしてここに......」
ようやく、再起を果たしたのか布仏先輩の声がしたが、どうやら俺のことではないらしい。 目の前の眼鏡女子は、どうやら布仏先輩の知り合いのようだ。 というか、俺挟んでシリアスな空気はやめて。 しかも謝ってる状態だから、頭上げるに上げられないから。そんな俺の困惑をよそに、話は進んでいく
「それは、彼の機体の整備に」
「整備? え? 何で純白?」
いやあの、驚くよりも俺のことを気にしてください。 頭下げっぱなしだから、辛いんですよ? しかもその機体、俺のだし
『眼中にないって感じだね!』
やかましいわ
「原因は不明ですが、何故かこうなったんです......」
「純白...... Unknownさんみたい」
「っ!?」
今この眼鏡女子はなんて言った? 心臓の鼓動は早くなるが、ここは冷静に。 何故、その名を知っているのか。 どうもこの学園に通っている女子は、ビルドファイターズのプレイヤーは少ないようで話にも上がらなかった。 まぁ、何年も前のゲームだから上がらなくても不思議ではないのだが
「そのぉ、簪様、そろそろ彼のことを......」
「彼? あっ......」
あっ...... って言ったぞこの子
『あっ...... って言われたね』
結局その日は何とも言えない空気になり、そのまま解散となった。 一つの謎を残して。 余談だが、勝手に触れようとした件は許してもらえた