もしかしたらあったかもしれない、そんな未来 作:サクサクフェイはや幻想入り
「コアに意識があるのは授業とかで聞いて知っていたけど、実際に喋るのは......」
「初めて、というわけか。 俺の場合、最初からこんな感じだからな」
「あはは、まぁ君は
「白」
「はいはーい」
いらないことまで喋りそうな白を静止しつつ、簪さんとのほほんさんを見る。 まぁいまだに驚きなどから立ち直れていないのか、ポカンとしたままだが。 だが関係ないとばかりに、白は話を進める
「それで弐式のコアがなんて言っているかだっけ? まぁ、弐式もというより、僕以外のコアはみんなシャイだからね、話はしないけどね。 でも、利用されているのには気にしていないみたいだよ。 そもそも、IS自体色々な思惑に利用されているからね、いまさらそんなこと気にしないよ。 ちなみに弐式のコアがなんで利用されているか知っているかと言うと、簪プログラミングとかの時独り言多いみたいだよ?」
「待て待て待て、お前そんなにお喋りだったか? というか、要点だけ喋れ、話が脱線しまくってる」
今度は別に意味でポカンとする二人だが、そこまで白のマシンガントークがすごかったのだ。 俺との時はそこまで喋るわけじゃないのだが、鬱憤が溜まっているのだろうか? 白は俺が注意すると、別に気にした様子もなくそのまま話に戻る
「ともかく、弐式のコアは別に気にしてないって話。 それどころか、速く一緒に空を飛びたいと思ってるみたい。 あ、でも、空を飛ぶなら左足のスラスター関連の配線、組み直したほうがいいよ? 下手すると、飛行中に爆発なんてこともあり得るから」
「えっと、うん、わかった......」
言いたいことも言い終えたのか、白はそれっきり黙る。 うん、部屋の中が何とも言えない空気だが、どうしてくれるんだ白
『ガンバ!』
まぁ、確かにこれ以上白から言うことはないか。 この状況を何とかするべく、俺は口を開く
「あぁ、それと。 弐式のコアが心配していたらしい、毎日朝早くから夜遅くまで付きっ切りでプログラミングを組んでいたりしていたらしいな。 伝えるのはそれくらいか」
「・・・・・・ぐすっ」
「かんちゃん......」
ぐずりだした簪さんを安心させるように抱きしめるのほほんさん。 俺は手持ち無沙汰だが、流石にガン見するほど腐っちゃいない。 視線を、天井に向ける。 女の子の部屋だからな、下手に見回すとマナーにかかわるところだからな。 それから数分後、ようやく声がかかる
「もう、大丈夫」
「・・・・・・」
簪さんを見れば、目元は少し腫れているが、少しつきものが落ちたような感じだ。 のほほんさんも、少しうれしそうだ
「貴方のおかげで、少し気が晴れた。 ありがとう」
「・・・・・・どういたしまして」
「私からも、ありがとっ!」
お礼を言うなら白の方なのだが、白は別にと言いそうだし、素直に受け取っておいた。 さて、話も終わったわけだし、そろそろ消灯時間も近づいてきた。 お暇しようと声をかけようとすれば、白が思い出したかのようにしゃべり始める
「そうだ!簪ってさビルドファイターズやってたんだよね!」
「う、うん。 やってたけど?」
「プレイヤーネームは? 教えてよ!」
これまたストレートに聞きおって...... そう言えばのほほんさんから聞いてはいたが、プレイヤーネームまでは聞けなかったんだっけな。 まぁ、別に断ってもいいのだが、真剣に悩んでいる様子だ。 俺としても知りたいが、無理に聞き出そうとは思っていなかった。 だが、簪さんは答えた
「うーん、まぁいいかな? 弐式の事も教えてもらったし。 私のビルドファイターズの時のプレイヤーネームは重腕。 使っていた機体は、ヘビーアームズのカスタム機。 そこに飾ってあるのが、その時使っていた機体」
その言葉を聞いた瞬間、俺は金づちで頭を殴られたかのような衝撃に襲われた。 彼女が、簪さんが重腕? 指さした方向を見れば、最後の、あの最後の世界大会決勝時の、ヘビーアームズが飾ってあった。 あぁ、なるほどなるほど
「ククッ」
「シロクロ?」
「白石君?」
二人とも戸惑ったように名前を呼ぶが、そんなものは入ってこない。 思わず漏れた笑いだったが、それは喜びから来るものだった
「あはは!こんな事ってあるんだね!まさに運命ってところかな、戦う宿命にあった、みたいな!」
「そうかもな」
「え?」
「えぇー......」
俺が白の言葉に同意しながら眼鏡をはずすと、何故か戸惑う簪さんと信じられないようなものを見たのほほんさん。 だが、俺は気にせずに改めて自己紹介をする
「初めまして、それとも久しぶりかな重腕さん。 ここではあえて名乗らせてもらうよ、かつてホワイトグリントを駆り、世界大会二連覇。 プレイヤーネーム、Unknownです」
「うそ......」
簪さんが驚く中、白からの補足が入る
「本当だよ。 だからこそ、黒夜の乗る打鉄のカラーリングは白にしたんだもの」
「え? え?」
話について行けないのほほんさんはひたすら戸惑うだけだったが、段々と事態が飲み込めてきた簪さんは驚いたような顔から、挑むような顔になる
「まさか、こうやって会えるとは思えなかったUnknownさん」
「こっちもだよ、重腕さん。 さて、気が変わった。 君には今すぐにでも専用機を完成させてほしい。 機体は違うが、あの時の再戦、したいからね」
「あの時の、世界大会決勝の?」
「そう」
その話が出た途端、簪さんの表情が曇る。 どうしたのだろうか?
「どうかしたのか?」
「ISとビルドファイターズは違う」
「確かに勝手は違うが、操作系統は同じだ」
「ヴァーチャルとリアルは違う」
「あぁ、何だそんなことか」
確かに、あのゲームの動きができるかと言われれば否と答えるだろう、普通の人なら。 だが
「できる」
俺は言い切る。 なぜなら、楯無先輩との試合で俺は証明しているからだ
「ゲーム内の動き、完全とはいかないができる。 俺はそれを証明した」
「証明?」
「あぁ、楯無先輩との試合で」
その瞬間、部屋に何とも言えない空気が漂ったが、俺はそれを気にせずに話しかける
「気になるなら、楯無先輩に聞いてみるといい」
「・・・・・・百歩譲ってできるとして、当時の設定がない」
苦し紛れの発言だが、これも否である
「いや、ある。 実際、俺は有澤さんに当時の設定をISに組み込んでもらってる。 ラインアークのみんなが、作ってくれた。 簪さんも連絡を取ってみるといいんじゃないかな、昔のチームに」
「・・・・・・」
黙ってしまう簪さんだが、その瞳は迷っていた。 いつもの俺なら無理に背中を押すことはしないが、俺はもう一度、いや、何度でも重腕さんと戦いたいのだ。 一種の賭けだが、俺はかけることにした。 眼鏡を装着しつつ、俺は簪さんに背を向ける
「君がISにこだわるのならそれでいい、ぬるま湯の中に浸かっているといいよ。 だがもし、君があの時の、重腕としての戦いを望むなら、昔の仲間に連絡を取ってみるといい。 君にはその権利がある。 あぁそれと、君のISの腕は知らないけど、重腕としての腕なら楯無先輩よりもはるかに格上だよ」
「っ!? 待って!!」
扉に向かって歩き始める俺の背に、簪さんから声がかかる。 振り向けば、どこか不敵に笑う簪さんの姿が
「確かに、私にそう言えば火をつけることができる。 それをわかっててやったでしょ?」
「さて、どうかな?」
「ふふっ。 ありがとう、迷いが断ち切れた」
「楽しみに待ってるよ、君との再戦」
扉を閉め、早歩きで部屋に向かう。 鍵で扉を開け、同居人を無視しベッドにダイブする
「あぁ、やっちまった......」
さっきの自己紹介を思い出し、その後のセリフの数々を思い出し、一人で悶絶していた