もしかしたらあったかもしれない、そんな未来 作:サクサクフェイはや幻想入り
俺は今、いや、俺たちは今アリーナに来ていた。 俺たちと言うのは、三組全員という意味だ。 どうも、他のクラスもまばらだが人は来ているようだ。 一応授業中のはずなのだが、まぁいいか。 何故俺たち三組がアリーナにいるかと言われれば、俺が一夏に誘われたからだ。 朝、昼、夜と一緒にご飯を食べ、休み時間も前ほどの頻度ではないが遊びに来る一夏。 その時に、クラス代表の話になったのだ。 俺は半場強制的に決まったわけだが、一夏の方はまぁ、何だ、不幸な事故とでも言えばいいのか。 一夏も俺と同じ様に推薦されたらしいのだが、それに反発した女子がいたようだ。 それが今回の相手、イギリス代表候補生セシリア・オルコット。 その時の様子を一夏が怒っていたように言っていたが、ほとんど聞き流しておいた。 だって、興味ないし。 それで、その時言い合いになって決闘になったらしい。 意味が分からん。 なので、楯無先輩に教えてもらった。 簡単に言えば、癇癪を起した子供の喧嘩という認識だろうか。 先に喧嘩を売ってきたのはセシリア・オルコットで、どうも男子を馬鹿にするついでに日本を馬鹿にしたらしい。 それで、一夏がセシリア・オルコットの国、イギリスを貶めるような発言をした。 まぁ、そうなる前に担任が止めればよかったのだが静観していたらしい。 売り言葉に買い言葉、ヒートアップしたところで担任がようやく止めたようだ。 それで今回のISバトルになったらしい。 なんというか、そんな私利私欲に使っていいのかと思うのだが、教師が許可したのだからいいらしい。 ウチの担任も、授業一コマ潰して観戦に来たくらいだし。 普通の学校なら考えられないが、IS学園は自由らしい。 このことを学園長に言ったら、頭を抱えていた。 なんというか、ご愁傷様です
「シロクロはどっちが勝つと思う~?」
「さてな、二人と同じクラスじゃないし、ISに乗ってるのも見たことないから」
話しかけてきたのは、のほほんさん。 クラスの女子と距離を置きたくて反対側に座ったのだが、何故か一組の観客席からも離れている俺のところまできてわざわざ座ったのだ。 気を使ってクラスの方は良いのか、と聞いたのだが友達に言ってきたから大丈夫だそうだ。 違う、そうじゃないのだが言っても無駄なのは経験則的にわかっているので好きにさせておいた。 その時、アリーナのカタパルトから、ISが飛び出してくる。 青を基調とした機体のようだ
『白、情報はあるか?』
『もちろん!』
白に聞けば、早速情報が表示される。 ブルーティアーズ、イギリスの第三世代型IS。 射撃を主体とした機体で、第三世代兵器「BT兵器」のデータをサンプリングするために開発された実験・試作機。 兵装は、レーザーライフルであるスターライトmkⅢ、遠隔無線誘導型の武器で、相手の死角からの全方位オールレンジ攻撃が可能なブルーティアーズ。 このブルーティアーズだが、換装装備によっては機体に接続することでスラスターとしても機能する。 装備数は6基で、4基はレーザー、2基はミサイルを撃つことができる。 最大稼働時にはビームの軌道も操る、要は曲げることができる。 接近戦用の武装、インターセプト。 これがブルーティアーズの情報だった
『まぁ、一応ISは競技として広まってるからね。 武装の情報とかならこんなに詳しくはないけど、ある程度なら載ってたりするよ? 興味があるなら僕に聞くか、自分で調べてね』
『わかった』
白にお礼を言いつつ、試合に集中するとしよう。 いまだ一夏は出てきていないが、試合前の情報収集だ。 この戦い、どちらが勝利しても俺といつか当たることになるのだ。 ここでの勝負は、大事な情報となる。 気になるのは、何故一夏がそんな大事なところに俺を招待したのかということと、ISに乗って
「セッシーは準備万端なのに、おりむーは来ないね~」
「機体の準備に...... ってそれはないか。 訓練機は常に整備されているって話だし。 あー、そう言えば一夏には専用機が与えられるって話だったか。 それの輸送が遅れてるんじゃないか?」
「? 何でそんなこと知ってるの~」
「噂でもちきりだし、それに楯無先輩が部屋で書類とにらめっこしてたからな」
隣に座った時にお菓子をせがまれ、持っていた飴(たくさんの種類が入った一袋)をあげたのだが、それを食べ終え次のお菓子に入っていたのほほんさんが聞いてきた。 あぁ、ここ数日一緒に行動が増えたからわかっていたが、布仏先輩が心配していたのもわかるというものだ。 なんて、考えながら答えを言う。 ここ数日、何かと忙しそうにしていた楯無先輩。 理由を聞いてみれば、学園に入ってくるある積み荷に関することだった。 何故楯無先輩がとも思うが、忘れてはならないのが彼女の家の役職だ。 裏工作を実行する暗部に対する対暗部用暗部「更識家」の当主。 その積み荷が織斑一夏、ひいてはIS学園に入ってくるものなら彼女の出番ということだ。 毎日書類で大変そうだったので、紅茶を出したり甘いものを出したりしていたが。 そんな風に話していれば、セシリア・オルコットが出てきたカタパルトの反対側から一夏が出てきた
『白』
『ちょーっと、待ってねー。 よし、これだよ』
機体名は白式。 それ以外情報なし
『ちょっと待て』
『初運転の機体だし、仕方ないよー』
そう言うことなら、仕方ない、のか? 疑問は残るが、アリーナ内を見る。 白式、という機体の割にはカラーリングが白くないが。 一夏が出た瞬間、あがる歓声。 上がったのはもちろん、三組の方からだ。 その勢いに他のクラスの人達、主に一組の方が驚いていた
「わー、凄いねー」
「その棒読みはやめたほうがいい。 まぁ、
「シロクロも~、そう言う発言は控えたほうがいいかもよ~?」
のほほんさんの方を向けば、何時もの笑顔ではなくどこか悪戯っぽい笑顔だった。 そんな表情もできるのかと思いつつ、目の前を見据える。 試験以外のIS起動は初めて、初めて乗る機体で上手く飛んでいる一夏に感心しつつ、分析を開始する。 最初から武器、剣を展開しているところを見ると主兵装のようだが、射撃戦主体のセシリア・オルコットとどう戦うのか見ものだった。 まぁ、やり方はいくらでもあるが、一夏がどう戦うかは未知数だ。 まっすぐな性格から、真正面から突っ込んでいきそうな予感はするが。 剣を展開しているということは武器の展開が不得手と言うわけではないと思うが。 俺が分析をしていると、のほほんさんが話しかけてくる
「Unknownとしてはどうなのかな?」
「・・・・・・どこまで広がってるんだ、それ」
思わず苦い顔になってしまったのは仕方ないと思う。 まさかこんなところで呼ばれると思ってなかったし、周りには俺のせいで人がいないので安心だが
「う~んと、私とお姉ちゃん、後は楯無お嬢様、後かんちゃんだけかな?」
「まぁ、いいのか?」
真面目な様子ののほほんさんに、少しほっとする。
「始まるみたいだな」
「そうだね~」
周りが少し騒ぎ始め、見ればセシリア・オルコットがライフルを構えていた
「見せてもらおう、お前の持つ力」