もしかしたらあったかもしれない、そんな未来 作:サクサクフェイはや幻想入り
一方的になるかと思われた試合だが、一夏は健闘していた。 初弾、不意打ち気味に撃たれたレーザーを見事によけ、セシリア・オルコットに切りかかる。 流石に避けられると思ってはいなったのか虚を突かれたセシリア・オルコットだったが、一瞬で立て直し優雅によける。 一夏の攻撃は大振りだったため、大きく隙を見せるがセシリア・オルコットは距離を開けることに専念したようだ
「ふーん」
「? どうしたのシロクロ」
「いや」
「つまらなそうだねぇ~」
「試合に集中したほうがいいぞ、のほほんさん」
何が面白いのか、俺の顔をじっと見てコロコロ笑うのほほんさん。 俺が試合に集中するように言えば、返事をして試合を見るのを再開する。 勝負に動きはなく、一方的なワンサイドゲームだ。 近づけばライフルの餌食になり、離れても攻撃手段がない。 まぁ、ブレオンで行くしかなかったとしても、選んだのは一夏だ、どうにかしてほしいものだ。 おかげで、ウチの女子連中が機嫌が悪い。 女尊男卑思考の連中だが、織斑一夏は特別。 そんな思考連中ばっかりだ、一夏が負けているのは当然面白くない。 だが、相手はイギリス代表候補だ。 文句が言えるはずもない。 今も、何も関係もないこちらを睨んでくる始末だ。 俺は何もやっていないのだがな。 試合が動いた。 と言っても、一夏が逆転できたということではなく、一方的なワンサイドゲームが終わりを告げようとしていた、という意味だ。 セシリア・オルコットはついに、そのISの名前の由来である主兵装、ブルーティアーズを使ったのだ。 四基の遠隔操作端末によるオールレンジ攻撃。 一夏は翻弄されているが、俺には見飽きた光景だ。 たった四基じゃ少なすぎる、それが俺の感想。 まぁ、ブルーティアーズ、つまりはファンネルだが、あれには適正がないと使えないらしい。 いや、正確に言うなら、適性があっても、使いこなせるかどうかは別問題らしい。 ファンネル自体、操縦者の集中力がいるようで、さっきからブルーティアーズを使っているセシリア・オルコットは止まっている。 まぁ、ブラフと言う可能性もないことはないのだが、何度も撃墜できるところを見逃している、いや、ライフルすら構える素振りがないところを見ると、ブラフではないだろう。 かといって、本選で当たる場合油断する気もないが。 ついに一夏の足が止まり、ブルーティアーズは一夏めがけて一斉射される
「よく見えない」
『へぇ......』
のほほんさんは試合の結果が気になるようだが、俺は白の感心したような声が気になった
『白?』
『ん? いやね、凄いご都合主義だなーって。 嫌いじゃないけど、物語の中だけだと思ってたよ』
白の意味深な言葉に、俺は目を凝らし煙の方を見る。 煙が段々晴れていき、そこに居たのは、白いISを纏った一夏の姿だった。 翼の形状や、色味が変わっているがどういうことなのだろうか?
『
『形態移行ってやつだったか?』
形態移行、搭乗者のデータ入力である初期化と、それによって機能を整理する最適化を行うことで搭乗者に最もふさわしい形態にする。 最初の設定が完了するのに大体30分前後掛かり、その結果起きる最初の形態移行を一次移行と呼ぶ。装甲の形状なども若干変化し、それによって初めてIS搭乗者の専用機となる。 だったか。 つまり一夏は、初期設定で今まで戦っていた、と
「へぇ、やるじゃない、それなりには、さ」
「シロクロ、シロクロ。 すごく悪役っぽいせりふ言ってるところ悪いけど、無表情で言われたら不気味だよ?」
隣でのほほんさんがなかなか心に来ることを言ってるが、聞こえないふりをしておく
『聞こえなかったみたいだから、録音しておいたよ!後で、たっぷり聞いてね!あとあと、その無表情も録画しておいたから!』
『オウ、死体蹴りやめーや』
容赦ない白に反論しつつ、試合の続きを見る。 さっきより、多少は動きの良くなった一夏だが、やはりブレオンのため被弾を重ねる。 どうやら一夏もブルーティアーズとセシリア・オルコットの穴に気が付いたらしく、攻めに転じている。 ブルーティアーズを次々破壊され焦るセシリア・オルコットだが
「慢心、だな」
「?」
「見てれば分かる」
試合前に相手の情報を集めていたのかわからないが、アレは調子に乗っている。 確かに、ブルーティアーズを
「・・・・・・知ってたの?」
「このくらい、調べれば載ってる情報なんだろ?」
あえて視線をのほほんさんの方に向けず、俺は試合の結果を見る。 いったん距離を離されはしたが、同じ手は食らわないと必死に食いつき、そして
「「・・・・・・」」
セシリア・オルコットを追い詰め、その刀、雪片二型、そのワンオフアビリティである零落白夜を振るう。 だが、当たる直前でブザーが鳴り響く
『勝者、セシリア・オルコット!』
会場内が何とも言えない雰囲気に包まれる。 俺は試合も終わったので、立ち上がる
「あれ? 行っちゃうの~?」
「試合は終わったからな」
すたすたと歩き、観客席を後にする
『いやー、最後のすごかったねー』
今にも笑いだしそうな白だが、俺は正直がっかりしていた。 一夏はしょうがないにしても、イギリス代表候補でもあるセシリア・オルコットがあの程度とは
『まぁ、黒夜と比較はやめといたほうがいいよ』
『そんなものは分かってるさ』
「まぁ、何にせよ」
外に出て、アリーナの方を振り返る
「なかなかやるじゃない」