もしかしたらあったかもしれない、そんな未来   作:サクサクフェイはや幻想入り

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第二十一話

「カンパーイ!!」

 

にぎやかになる食堂、所々で弾んだ声が聞こえる。 食堂の一角を貸し切り、一夏のクラス代表就任おめでとう会が行われていた。 俺もなぜか一夏本人に招待され、この場にいるわけだが場違い感が半端ない。 たぶん呼ばれていないのだろうが、一組以外の女子や上級生もちらほらいる。 そう言う人から刺さるのだ、視線が。 一組の女子は比較的そんなものではないのだが、それ以外の女子がね...... なので招待されはしたが、俺は出来るだけはじっこでパーティーの邪魔にならないようにしていた。 しているのだが、一夏がちょくちょく声をかけてくる

 

「よう!楽しんでるか?」

 

「あぁ、大丈夫だ。 主役なんだから、端っこの俺まで気にしなくてもいいぞ?」

 

「何言ってるんだよ、同じ男子だろ!」

 

何て言って肩を組んでくる一夏だが、俺のテンションはダダ下がりだ。 一組の女子はまだいい、黄色い声で騒いでいるだけだから。 いや、それも嫌なのだが。 だが問題は一組以外の、特に女尊男卑思考の連中だ。 俺の事殺さんばかりに睨んでるし、実際殺すとかちらほら聞こえる。 いつから世紀末になったのだろうか? 物騒なことこの上ないのだが。 このように一夏が絡んでくるため、俺は落ち着けない。 時々わざと俺のことを学校から追い出そうとしてやってるのかと勘繰ってしまうが、一夏の場合純度百パーセントの善意でやっているから質が悪い。 しかも本人は鈍感で、視線には気が付いていない。 思いっきりため息をつきたくなるが、我慢する。 そういえば

 

「なぁ一夏、聞きたいことがあるんだが」

 

「なんだ?」

 

「何で一夏がクラス代表なんだ?」

 

「「え? 今更!?」」

 

なんか一組の女子たちが、声をそろえて言っているが気になったものは仕方ない。 そもそも、同じクラスではないのだ。 昼間と言うか、午後から試合をやってその日の放課後にいきなり呼ばれたのだ、理由を聞く暇があるはずがない。 一夏に理由を聞けば、困ったような顔をして理由を教えてくれた

 

「いやまぁ、勝負には負けたんだけどな? セシリアが俺に経験を積ませるとか何とかで、辞退したんだ」

 

セシリア、ねぇ...... ついこの間まで、オルコットと呼んでいたはずなのだが。 戦いを通して友情でも芽生えたか?

 

「一夏さん、ここにいらっしゃったのですね」

 

「人気者だな、一夏」

 

件のセシリア・オルコットと、少なくとも俺が見かけたときはいつも一夏と一緒に居る篠ノ之箒だった。 というか、セシリア・オルコットとは友情以上のものが芽生えたらしい。 まぁ、一方的なもののようだが。 そして篠ノ之箒、男と話しているだけで人気者とはどういうことなのだろうか。 そこのところ、詳しく教えてほしいものである

 

「あら? 貴方は」

 

「・・・・・・初めましてセシリア・オルコット嬢。 ()()()の白石黒夜です」

 

「そうですの、貴方が二人目の。 一夏さんがあんなに熱い方でしたから二人目も、と思いましたが...... いえ、第一印象で決めるのは失礼ですわね。 初めまして白石黒夜さん、オルコットで結構ですわ」

 

「でわ、オルコットさんで。 こちらも白石でも黒夜でもどちらでも構いません」

 

小声で言ったつもりだろうが、こっちは耳がいいからばっちり聞こえている。 勝手に期待するのは結構だが、失望してそれを本人のせいにするのはどうかと思う。 まぁ、事を荒立てることもないし聞こえないふりでいいだろう。 自己紹介が終われば、話も終わりさっさと中心の方に一夏を連れていく。 やっと静かになった

 

「ふっふっふ~」

 

「満を持して登場みたいな感じで来てるけど、気付いてるからね」

 

一夏たちが中央に戻ると、少し離れたところで見守っていたのほほんさんがテクテクこちらに歩いてくる。 一応気が付いていたことを言うと、自信満々な表情から不満げなものに変わる

 

「ぶーぶー!そう言うのは気が付いてても、言わないのが優しさってものだよ~」

 

「それは悪かった」

 

そう言いつつ、適当なケーキを切り分けのほほんさんの前に置けば、瞳を輝かせてケーキを食べ始めた

 

『この子ちょろすぎない?』

 

『お前も大概だろうが』

 

白の言うことには同意するが、白も大概なので一応言っておいた。 そんな上機嫌でケーキを食べていたのほほんさんだが、ひそひそ話で俺の悪口が聞こえた瞬間、一瞬動きが止まった。 すぐにケーキを食べる作業は再開されたが

 

「他人のこと貶めないと居られないなんて、可哀想な人たちだねー」

 

「のほほんさんて、意外と毒吐くよな」

 

毒を吐いた時に表情を伺うと、笑顔だった。 まぁ、何時もののほほんとした笑顔ではないが。 この頃一緒になることが多くなりわかったことだが、のほほんさん意外に毒吐くのだ。 しかも笑顔で。 少し天然なところがあるのでアレだが

 

「毒なんて、失礼しちゃうなー。 私は、思ったことを言っただけだよ~?」

 

「それが悪意なしだったら、ね?」

 

紅茶を飲みつつ、眉をひそめる。 別に学食の紅茶がまずいわけではないのだが、一度布仏先輩の紅茶を飲むとどうしても味を比べてしまう。 それほど美味しいのだ、布仏先輩の淹れる紅茶は。 ちなみにこの会話、俺は紅茶を飲みながら、のほほんさんはケーキを食べながら行われている。 他人に聞かれる心配はない。 俺の周りに集まるもの好きはそんなにいないし、二人とも表情を崩さずに行っているため怪しまれない。 どっちにしろ、祝いの席でやることではないが

 

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~簪視点~

 

今日も弐式のプログラミングをして、食堂へと向かっていた。 あの日、白石君と話してから弐式のプログラミングの調子がいい。 なんとなくだけど、弐式と心を合わせてるからなのかな。 ビルドファイターズの頃のスポンサー、アナハイム・エレクトロニクス社に連絡を取ってみたら、ISへの参入予定はなかったけど私の機体、弐式だけは開発を手伝ってくれるらしい。 機体の方をいじると不都合が出るかもしれないということで、パッケージとして追加装備を作ってくれるという話もした。 これなら、世界大会の時のリベンジができるかもしれない。 かすかに希望は見え始めた

 

「あれ?」

 

食堂に着くと、少し騒がしい。 そちらを見ると、女子が集まっていた。 中心を見ると、そこには一人目の男性操縦者が。 前までの私なら彼を見たら怒りの一つでもわいてきたけど、今は彼には興味がない。 私が考えるのは、白石君との再戦だけ。 でも、一つ気がかりなのはあのゲームと同じ動きができるか。 白石君はできると言っていたけど、私は半信半疑だ。 一応、アナハイム社には昔の設定データがあるらしいのでそれもアップデートという形で弐式に組み込んで貰えるようにはなった。 白石君はお姉ちゃんと話せばわかると言っていたけど...... やはり、少しためらってしまう。 長年、避けてきた姉だ。 なのだが

 

「お姉ちゃん?」

 

食べるものを確保して、席を探そうかと思ったら、何故かこそこそしているお姉ちゃんを発見した。 その視線を追うと、白石君と本音の姿が。 意味が分からない、意味は分からないが、その姿を見てか、今までの考えが一気に馬鹿らしくなった

 

「お姉ちゃん、何してるの......」

 

「か、簪ちゃん!?」

 

私が声をかけると、お姉ちゃんはとっても驚いた様子でこっちを振り向いた。 顔は驚きから変わり、何故か目を合わせてくれない。 そんな姿を少しおかしく思いながら、近くの席に二人で腰掛ける。 私はうどんを食べているけど、お姉ちゃんは手持ち無沙汰らしく、手がせわしなく動いていた

 

「ねぇ、お姉ちゃん」

 

「な、何かしら?」

 

「白石君と戦ったってホント?」

 

「・・・・・・本当よ」

 

瞬間、お姉ちゃんの雰囲気が変わった。 さっきまでのおどおどしてるようなお姉ちゃんじゃなくて、私が恐れた(私が憧れた)お姉ちゃんに。 今でも少し怖いけど、でも

 

「どう、だった?」

 

「とんでもない強さよ」

 

勇気を出して聞いてみた。 とんでもない強さ。 お姉ちゃんにそう言わしめる彼から、ビルドファイターズ時代の私ならはるかに格上、そう言われた時のことを思い出す

 

「その時のデータって、ある?」

 

「・・・・・・」

 

無言で差し出されたデータ。 それを受け取り、見てみる。 そこには、確かにビルドファイターズの時のように、動く白い機影があった。 中には、あのホワイトグリントも。 そっか、証明したって言ってたけど、本当に

 

「お姉ちゃん」

 

「なに、簪ちゃん?」

 

「ありがとう」

 

「っ!?」

 

お姉ちゃんが私を見て何に驚いたのかわからないけど、でも白石君ができたんだから、私も出来なきゃならない。 覚悟は決まった。 ちょうど食べ終わり、トレーを持ち立ち上がる

 

「お姉ちゃん」

 

「・・・・・・何かしら?」

 

「弐式が、打鉄弐式ができたら、私と戦って」

 

私はお姉ちゃんに挑むことにする。 そして、彼に。 その言葉を残し、私は食堂から出ていく

 

~簪視点 end~




最後はちょっと、無理やりになったかな(ボソッ
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