もしかしたらあったかもしれない、そんな未来   作:サクサクフェイはや幻想入り

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第二十五話

待ちに待ったクラス対抗戦の朝、俺は何時ものように楯無先輩と武道場に居た。 まぁ別に待ってはないけどね、クラス対抗戦

 

「いよいよ今日ね、クラス対抗戦」

 

「そうですねー」

 

「学食デザート半年無料券待ってるから!」

 

「いやあげませんよ?」

 

「いけずー!」

 

頬を膨らませながらふざけたことを言う楯無先輩に相槌を打ちつつ、今日のことを考える。 相手は簪さんだが、適度に相手をしよう。 簪さんも本気で来るとは思えないし。 一応戦う前に本気でやらないと宣言したから大丈夫な、はず

 

「そもそも、俺が本気を出さないって知っているでしょ?」

 

「それもそうねー」

 

本気を出さないのを知っているからか、とたんに興味を失くした楯無先輩は立ち上がり、道具をまとめる。 俺はもうまとめ終わっているので、楯無先輩を待つ形だ。 道具もまとめ終わり、武道場から歩き出す

 

「そう言えば楯無先輩は今回のクラス対抗戦、参加するんですか?」

 

「参加したいのは山々なんだけど、運営とか警備の方も回らなくちゃならないからね、不参加よ」

 

「まぁ、そうなりますよねぇ......」

 

参加したらしたで、実力差がありすぎてつまらない試合になりそうだが。 そもそも学園最強である楯無先輩を倒している時点で、俺と対等に戦えるのは転校のため実力が分からない中国代表候補と簪さんだけだ。 まぁ、中国の方にはあまり期待はしていない。 今でこそ強くなってきている楯無先輩だが、最初の時の試合を思い出せば期待はできない。 なので実質は簪さんとだけだ。 その簪さんも、俺が不特定多数の前では実力が出せないのを知っているので、楽しい試合にはなるだろうが、実力のぶつかり合いにはならないと思う

 

「難しそうなことを考えている顔ね」

 

「ままならない、と思いましてね」

 

そのまま会話をしつつ、寮まで歩いた

 

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「こんなところに居て大丈夫なんですか?」

 

アリーナ近くのベンチに座って空を見ていれば、後ろから声をかけられる。 声的に学園長のようだ。 俺は空を見上げながら答える

 

「試合までは時間がありますしね、今は自由時間ですから」

 

「そうですか」

 

俺がそう答えれば、納得したように箒の掃く音が聞こえる。 その音を聞きつつ、お礼を言っていないことを思い出した

 

「そう言えば、会うことがなかったので言えませんでしたが、部屋の件ありがとうございました。 おかげで過ごしやすいです」

 

「いえ、元々はこちらの手違いであの倉庫になりましたから。 本当は掃除をして、部屋を整えてから渡したかったのですが」

 

「まぁ、そこは気にしなくても。 元々掃除は得意ですし」

 

それからまた沈黙。 まぁ、もともと喋ることがあるわけじゃないしな。 そのまま俺が空を見上げていれば、箒の掃く音が止まった

 

「今回の試合、どうするつもりですか?」

 

「どう、とは?」

 

質問の意味はなんとなく分かるが、あえて聞き返してみた

 

「今回の相手、更識簪さんは」

 

「重腕さん、でしょう?」

 

「・・・・・・知っていたのですね」

 

「本人も俺が白い閃光ってことは知ってますよ」

 

まぁ、色々と驚いたがそこはそれ。 もう知っていることを言うと、どこか声が残念そうなものになった。 もしかして驚かすつもりだったのか?

 

「なら話は早いですね。 ()()()()として戦うつもりですか?」

 

「そんなわけないでしょう」

 

視線を空から地上に戻し、学園長に顔を向ける

 

「俺は面倒ごとが嫌いだ、って言ったじゃないですか。 こんな不特定多数の見てる前で愛機(ホワイトグリント)なんか使ったら、女性利権団体もうるさいですし、俺をモルモットにしたい連中もうるさいでしょう?」

 

「そうなったらなったで手をうつから私は構いませんけどね」

 

ニコニコと何もない風に言い放つ学園長だが、よくないから。 騒がれても面倒だし、楯無先輩にも迷惑かかるから。 ともかく、強引に話をしめる

 

「ともかく、今回は本気を出しません。 程よく戦って、程よく負けます。 ある程度の結果を出せば女性利権団体はどうせ騒ぐでしょうけど、モルモットは避けられるでしょう?」

 

「えぇ、そうですね」

 

相変わらずニコニコしているため表情は読めない。 時計を見れば、そろそろ控室に向かわないといけない時間になっていた

 

「それじゃあ、そろそろ」

 

「えぇ、また」

 

学園長に背を向け走り出そうとすると

 

「あぁ、そう言えば」

 

「なんでしょう?」

 

走り出そうとすれば、声をかけられる。 一応返事はしたが、長話はちょっと勘弁してほしい。 まぁ、学園長もわかっているとは思うが

 

「試合は何時になりそうですか? Unknown対重腕の試合は」

 

「あぁ、そういえば言っていませんでしたね。 近日中には」

 

「そうですか....... 呼び止めてしまって申し訳ありませんでした」

 

今度こそ学園長に背を向けて走り出す。 それにしても、近日中に試合と言ったときの学園長の顔、まるで子供みたいだったな。 すぐ近くで休んでいたということもあり、アリーナの更衣室、もちろん男子更衣室にはすぐについた。 中に入れば、何故か一夏が肩を組んできた。 いや、入るなりなぜ肩を組むんでしょうかねぇ......

 

「黒夜遅かったな、こないんじゃないかってヒヤヒヤしたぜ?」

 

「俺は第一試合じゃないからな、急いで着替える必要もないから外で休んでた」

 

「はー、いいよなー。 俺なんて第一試合だぜ?」

 

一夏の話に適当に相槌をうちながら、着替え始める。 流石に着替えるときは離れてもらっている。 俺にそっちのけはないからな。 何故か、第一試合の一夏も俺の横で着替えているのだが

 

「まぁ、頑張ってくれ」

 

「おう!終わったら今度は黒夜との試合だしな!」

 

「? これ、総当たりじゃなくてリーグ戦だぞ?」

 

「そうなのか!?」

 

どうもこのクラス対抗戦のことを何も知らないやつがいたようだ。 まぁ元々、この大会の趣旨自体、ISをどのくらい動かせるようになったか、自分の実力や相手の実力に触れ向上を目指すという趣旨で開催されているらしいがな。 ここら辺は楯無先輩の受け売りだが

 

「あぁ。 ほら行ったほうがいいぞ、もうすぐ開始だぞ」

 

更衣室についている時計を見ると、もう試合まであと少しになっていた。 それを見て青い顔になる一夏。 ちなみに俺はもう着替え終わっており、備え付けのベンチで試合を見る準備をしていたりする

 

「や、ヤバイ!それじゃあな!」

 

「はー、ようやく一人になった」

 

モニターを見ながらつぶやく。 モニターには一夏対戦相手である凰鈴音がISを展開して待っていた。 なんかイライラしているように見えるが、何かあったのだろうか? 待ったと言っても少しだろうし、それくらいで怒るとは思えないが

 

『まぁ色々あったんだよ、色々』

 

白が笑いをこらえながら言っているのは気になったが、モニターに動きがあった。 一夏がようやく入場したようだ。 話し合っているようだが、一夏が構え、凰さんも武器である青龍刀を構える。 試合開始のアナウンスと同時に、二人はアリーナの中央で斬りあう

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