もしかしたらあったかもしれない、そんな未来   作:サクサクフェイはや幻想入り

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第二十八話

~簪視点~

 

ホワイトグリントを展開し、OBで外に出た彼を見送り、私は弐式の待機状態である指輪に話しかける

 

「行こうか、弐式」

 

機体の状態を確認、すべてオールグリーン。 アナハイムでの起動以来、初めての起動だったから少し念入りに確認する。 夢現を展開する。 こっちも大丈夫みたいだ。 準備も整い、外に出ると通信が

 

『更識さん!? どうして!?』

 

声を聞いても誰だかわからない。 たぶん通信をいれてきているということは先生、何だろうけど...... ともかく、通信を

 

『援護しに来ました』

 

『さっきも不明機がもう一機の襲撃してきたISを外に連れ出しましたけど、危険です!教師部隊もそちらに向かってますから!』

 

『それはどのくらいできますか?』

 

『え?』

 

『それはどのくらいで来るんですか? 目の前の二人が倒される前に来るんですか?』

 

私は別に学園がどうこうとかではなく、冷静に判断をしているつもりだ。 教師部隊が来るのだったらもうとっくにきているだろうし、目の前にいる二人がこんな状況にもなっていないような気がする。 いまだに来ていないのは準備に手間取っているか、それとも何らかの邪魔があったか。 どっちにしろ、表示されている二人のSEは試合もやっていた影響もあり残り僅かだ。 救援に入るなら早めに入ったほうがいい

 

『小娘、貴様ならあれを倒せるというのか?』

 

別の人の声。 その声は厳しく、まるで私にはそんなことができないと言っているような感じだ。 でも

 

『できます』

 

出来る。 私の勘が、そう言っている

 

『いいだろう、好きにしろ。 ただし、二人は無事に帰せよ』

 

私は無事じゃなくてもいい、捉えようによってはそう言われているようなものだった。 アレだけ大きい口をたたいたのだから、そう言われても仕方がないのかもしれない。 どっちでもいい、許可が取れたのならやるだけだから

 

「行こう、弐式」

 

通信を切り、弐式に声をかける。 弐式は私に答えるかのようにスラスターを吹かし始める。 ありがとう。 心の中でお礼を言い、一気に加速し敵のISに肉薄する。 すると、それまでは二人に向いていたISは私をロックし始める。 次の行動は、右腕をあげる。 その右腕は砲門のようなものがあり、多分武器腕。 それも、ビーム。 その予想は当たり、ビームが撃ちだされる。 他の二人は驚いて声をあげ、織斑一夏はこちらに来ようとするけど、もう一人に止められていた。 別にそんな必要ないのに

 

「・・・・・・」

 

ビームの範囲は予想外だったが、減速するどころか加速して、ビームの範囲をよけ、肉薄する

 

「はぁっ!!」

 

薙刀である夢現を振るうけど、簡単によけられてしまう。 でも、別に問題はない。 あくまで本命は。 ミサイルポットのミサイルなのだから。 ロックは肉薄しているときにやっておいたし、元から夢現の一撃で決まるとは思っていなかった。 飛び上がった相手のISに山嵐の一斉射。 48発のミサイルをお見舞いする。 必死によけようとしているようだが、追尾式だ。 避けるのが無理と判断したようで、両腕のビームで対応しようとしているみたいだけど。 そこに荷電粒子砲を撃ち込み、狙いを付けさせない。 今度はこっちを狙ってくるけど、ミサイルが着弾。 爆発を起こす

 

「お、おい!あそこまでしなくても!」

 

「あの異常に硬いISの装甲なら耐えられる。 それよりも早く退避してほしいんだけど」

 

織斑一夏が焦っているようだけど、それには目もくれず着弾したところを見る。 どうなったかわからない以上、油断はできない。 山嵐に新たなミサイルをセットしつつ、そう言う

 

「なっ!? 女の子を置いて、自分だけ逃げれるかよ!!」

 

「実力もないのに?」

 

片目でチラリと見れば、酷く慌てた様子だった。 そう言うのは、自分より実力があって言ってほしい。 夢現を構えれば、ロックの警告が。 やっぱり、あれじゃ仕留められなかった。 ビームが発射され、それを避けつつ空に上がる。 そこにはボロボロになったISの姿が。 だがおかしい。 片腕が取れているが、人の腕などが見えない。 接近しつつ、ズームして注意深く見るが、砕けた装甲の隙間にはやはりどこにも人の体らしきものがない。 ありえないが、無人機。 それなら別に調整する必要もなく、春雷を起動し、腕に向かって撃ちまくる。 そして、頭から真っ二つにする。 ふぅ、終わった。 白石君の方はどうなったのだろうか?

 

~簪視点 end~

 

目が覚めればそこは知らない天井だった。 入ってくる光は茜色で、もう夕方らしい。 おかしい。 目が覚めた最初の感想はそれだった。 確か俺は人気のないところに着地して、ベンチに倒れ込んだはず。 誰かがいたみたいだが、その誰かが保健室に連れ込んだのか? 考えても仕方ないので、その問題をいったん考えるのをやめ、体を起こす。 すると激痛が走るが、我慢できないほどではない

 

「おや? 起きたみたいですね」

 

まさか目が覚めて一番最初に会うのが学園長とは、この学園美少女の方が多いんだから、そっちの方がよかった。 なんてキャラじゃないことを考えつつ、学園長に返事をする

 

「えぇ、今覚めたところですが」

 

サイドテーブルにあった眼鏡をかけつつ、返事をする

 

「せっかくの目覚めですから、美少女のほうがよかったですかな?」

 

「キャラじゃないでしょう、そういうの。 お互いに」

 

「そうですね」

 

おかしそうにに笑う学園長に、思わず苦い顔をする。 同じようなことをさっき思ったが、俺も学園長も、そう言うのはキャラじゃない。 それまでニコニコしていた学園長は鳴りを潜め、いきなり真面目な表情をする。 俺もそれに合わせ、背筋を正す

 

「さて、おふざけはここまでです。 まずいことになりました」

 

「まずいこと?」

 

俺が学園長の言葉を復唱すれば、重々しく頷き、タブレットを手渡してくる。 そこには動画が映っており、俺は中身を見る。 あぁ、確かにまず状況になった。 内容は、俺と無人機との戦い。 学園長が真面目なのも頷ける。 その動画を見つつ、俺はスマートフォンで検索する。 どうやら大手掲示板、動画サイトに同時配布されたそれは、大きく話題になっているようだ。 白い閃光の復活。 掲示板によっては、スレッドに大きくそう書かれているところもあった。 詳しく見れば、動きが二人とも同じだとか、本当の白い閃光だとか、色々詳しく書かれていた。 なかには。 あの時できなかった世界大会が、ISで実現するのでは? そんな書き込みも。 俺が寝ている間に色々と大変な事態になったようだ

 

「この動画は何時?」

 

「あの無人機襲来の後、数時間後。 我々が調べてみれば、宇宙にある人工衛星の一つから録画されたみたいですね。 当然、ハッキングの後はなし」

 

「暇な人もいたもんだ......」

 

そう言ってため息をつく。 本当に暇な()がいたものだ。 こんなことができるのは、この世で一人しかいない。 白からの情報、そして技術的に一人だ。 篠ノ之束博士。 ISの生みの親。 スレッドにも動きがあり、こんなのは偽物、ビルドファイターズ? 何それ美味しいの? という輩まで出てきている。 それに、女性利権団体(うるさい輩)まで。 この映像も、何処のものかなんて特定も安易だろう。 これは俺の予想、いや確信か。 近いうちに、面倒なことが起こる。 いよいよ俺も覚悟が必要、というわけだ

 

「今回の件は流石に私たちでも手の打ちようがありません。 警護等は強化するつもりですが、貴方もお気を付けください」

 

「肝に銘じておきます」

 

話は終わりなのか、学園長が背を向け、扉の方に歩いていく。 部屋を出るのかと思いきや、そのまま止まり声をかけてくる

 

「あぁ、そうでした」

 

「?」

 

「簪さんにはお礼を言っておいてください、貴方を保護して楯無さんの方に連絡したようですから」

 

「あー、なるほど。 わかりました」

 

「それと、有澤さんから連絡が。 機体の修理とジェネレーターの交換をするから、近いうちに会社の方に来てほしいと」

 

「了解です」

 

「日程が決まったら私に連絡お願いします。 楯無さんを護衛として同行させる都合もありますので。 それでは今度こそ」

 

その言葉を最後に今度から部屋を出て行く学園長。 俺はその背を見送り、ベッドに横になる。 今日はいろいろありすぎた、考えるのは明日にしようと目を閉じる

 

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