もしかしたらあったかもしれない、そんな未来 作:サクサクフェイはや幻想入り
あんな騒ぎがあった次の日でも、学園は通常通りに運営だ。 と言っても被害なんか、基本アリーナのシールドだけだし、校舎なんかには被害はない。 確かに、そんな状態では休校になんかならないか。 しかも、生徒は寮暮らしなので関係もないし。 と言っても、警備なんかは強化されたようだが。 ISを展開した教師部隊の人たちが、交代で見回りをしているらしい。 アリーナ内から現れた
「白石君、この問題を答えなさい」
「・・・・・・○○です」
「正解よ、チッ」
舌打ちしたようだが、聞こえてますからね。 この頃本当に露骨になってきた。 ため息をつきたくなるのをぐっとこらえ、そのまま授業を受けるのだった
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午後、昨日ほどの盛り上がりはないが、アリーナの観客席は人が多かった。 どこを見ても、人、人、人。 おなか痛いから帰りたい気分だ
『そんなわけないでしょ、パイロット保護機能が働いてるんだから』
『気持ち的に、だ白』
俺があほなことを言えば、白がツッコミを入れてきた。 アリーナの中央、俺と簪さんは向かい合って立っていた。 ISは展開済み。 ISを展開したことで悪口もよく聞こえるようになったが、意識的にシャットアウトしておいた
「あ、昨日はありがとう」
「ううん、気にしないで」
昨日は結局あのまま保健室で寝てしまい、起きたら朝。 部屋に戻れば楯無先輩の姿はなく、そのまま食堂にという感じだったので、お礼を言っていなかったのだ。 お礼を言えば、気にしないでとのこと
「そう言えば、気になったけどさ。 昨日の無人機はどうだった?」
「弱かった」
聞けば、かなり威力のあるビームを撃ってくる敵だったようだが、簪さん曰く弱いらしい。 まぁ、容赦ないからね
「弱かったからすぐ終わって、白石君を回収できたぐらいだった」
「その件は、感謝しています」
俺がそう言って頭を下げれば、クスリと笑う簪さん
「私も気になったけど、
どうのところが強調されているが、いろんな意味で聞いてきているのだろう。 俺はそれに迷いなく答える
「強かったね」
「そっか」
言葉にすれば短いものだが、色々なものが詰まっている。 簪さんは分かるのか、静かに頷いていた。 そこからは互いに無言。 そして、試合開始のブザーが鳴る。 開幕、俺は逃げに徹する。 どのくらいの実力かわからない以上、様子見だ。 なんせ、本気は出せないからな。 だが、簪さんはすさまじいスピードで薙刀を振るってくる。 それを紙一重で避けつつ、打鉄標準装備のアサルトライフル、焔火をフルオートで撃ち込む。 今回、実力を出せば面倒なことになるのは分かっているし、この機体自体もいじってある。 打鉄の皮を被ったナニカと言うのをバレるわけにはいかない。 なのに、簪さんは本気のようだ
「随分、攻撃が鋭いね!」
「あの動画を見て、本気で戦いたくなった」
「昨日のあの動画ね!でも、無理!!」
元々打鉄は防御特化で、足はそこまででもない。 対して打鉄の後継機である打鉄弐式は機動力もある。 逃げようとしても、追いつかれる。 左手のアサルトライフルはフルオートで打ちつつ、右手のライフルはほぼ打てていない。 右手のライフルは、ほぼ薙刀をはじくのに使っている。 受ければ、多分真っ二つだしな。 それにしても、なんつー機動力だ。 近距離でフルオートで撃っているのに、少ししか当たらないとは。 流石重腕さんだが、今回は楽しめたものじゃない。 ちょっと気分が乗って本気を出そうものなら、たぶん昨日の今日だ、ばれる
「本気は、出さないの!」
「さっきから言ってるけど、出さない!」
今度は大きく飛びのき、フルオートで両手の焔火を撃ちだす。 だが、それを後退することで銃弾の雨を避ける。 距離は開けたが、事態は一向に好転しない。 好転するどころか
「っ!?」
ミサイルポットからミサイルを、砲門を展開し、一斉射してくる。 やはり打鉄の機動性では、対処が遅れる。 荷電粒子砲を何発か貰ってしまったようだ
『ボーっとしてる場合じゃないよ、ミサイル来てるよ』
『何発?』
『96...... じゃなくて48!』
『なんだよその間違い......』
迫ってくるミサイルを数えるが、48基。 本当に何の間違いだったんだよ......
『情報より少ない、楽勝です!』
そう、白が言った瞬間、追加のミサイルが
『リアル、だまして悪いが、やるんじゃない!!』
焔火で弾幕を張るが、弾切れで処理をしきれずあっけなくSEが底をついた
「むぅ......」
頬を膨らませる簪さんだが、苦笑するしかない
「いやいや、不完全燃焼かもしれないけど、本気出さないって宣言してたから」
「それでも、本気を出してほしかった」
「なら、また今度だね。
「・・・・・・」
返事を聞かず、背を向けて歩き出す。 闘志は収まったようだが、やはり不完全燃焼が抜けないのか、不穏な気配だ。 俺はそのまま、更衣室に歩きだす
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「負けちゃったな」
「そうだな」
更衣室に行けば、一夏がいた。 次の試合は、インターバルをはさみ凰さん対簪さん。 その次は、俺対凰さん、その次の試合が簪さん対一夏。 最後は男子対決となる。 まぁ、俺はどの戦いもいいとこまで行って負けるつもりだから、関係ないのだが。 簪さんは別だ。 こっちは諸事情により本気を出せないのに、本気ではないにしろ結構力入れてたみたいだし
「あの更識さん? だったか? 容赦なかったな?」
「そうか?」
別にそんなことは思わなかったのだが、一夏的には不服らしい
「だって、動きが止まったところにミサイルだぞ? しかも、着弾も確認してないのに次のミサイル撃ってただろ?」
「・・・・・・」
まぁ、現役時代を知っている身としては、別にあれぐらいのミサイル量では驚きはしない。 彼女、重腕を知っているのなら、なおさらだ。 それに、別に着弾を確認しないでミサイルを撃ったところで、別にそれはいいと思うのだが。 どこまでもヒートアップしていく一夏に、何処か冷ややかな感想を持ちつつ聞いていた
「なんか、反応薄くないか? 負けて悔しくないのかよ?」
「まぁ、本気でやって負けたら悔しいだろうな」
「だろ!」
別に本気でやってないので悔しくない、そう言ったつもりだが一夏はいい風に勘違いしてくれたようだ。 まぁ、それはそれで失礼な話なのだが。 モニターを見れば、次の試合が始まりそうだ
「一夏、次の試合が始まるぞ」
「おう、サンキュー」
一夏が勝手にヒートアップしてうるさかったから声をかけただけなのだが...... まぁいいか。 そして、何故か近い位置で二人で試合を見る羽目になった