もしかしたらあったかもしれない、そんな未来 作:サクサクフェイはや幻想入り
GW初日、俺の姿は学園の外にあった。 本来なら外に出るという選択はしないのだが、用事があるから仕方がない。 ホワイトグリントの修理は学園ではできず、有澤重工本社でやるしかない。 学園でもやろうと思えばできることはできるが、調整など細かいことは有澤重工でやったほうが早い。 それに機密保持、と言う観点からでも有澤重工のほうが安心だ。 なので俺は外出をしている。 まぁ、そこはいい、そこはいいが
「なんで腕なんて組んでるんですか俺は?」
「気にしない気にしない」
妙に上機嫌に俺の腕をとっている女性、更識楯無先輩に声をかけるがとりあってくれない。 そもそも、こうして外を出歩くことになったのも、楯無先輩のせいである。 学園近くに有澤重工の車を向かわせると有澤さんは言ってくれたのだが、それではバレる可能性がある、そう言うことで途中までは徒歩、学園から離れたところで車に乗る手はずになった。 俺としても別にそれはよかったのだが、何故かこうやって腕を組んでくる始末。 それに、何時もの伊達眼鏡も外し、髪を少し整えて外出しているため周りの目がうざい。 それに、腕を組んでいるのが美女ということで、ヤローからもやっかみの視線が。 本当に面倒だ
「まったく、こんな美女と腕を組んでるんだから、もうちょっと嬉しそうにしたらどうなのかしら?」
ちょっと怒ったふうに言う楯無先輩だが、貴女のせいなんですけどねぇ......
「確かに楯無先輩みたいな美女と腕を組めるのは嬉しいですが、それによる視線がねぇ...... それにいつもの服装じゃないので、他の視線も感じますし。 正直言って、凄く面倒なんですが」
「・・・・・・そう言うことはすらすら出てくるのね。 視線なんか気にしててもしょうがないわよ?」
腕を組んでる関係上、小声で言っても聞こえるのだが。 ともかく、妙に赤い顔でぼそぼそいう楯無先輩をスルーし、視線なんか気にしても仕方ないねぇ...... 確かに一理あるし、気にしないで周りの景色を楽しむ。 こうやって学園の周りの景色など見たことなかったし、ちょうどいいかもしれない。 と言っても、おいそれと学園の外に出れる気はしないが
「どう? 気晴らしにはなるでしょ?」
そう言って笑顔を向けてくる楯無先輩。 なるほど。 俺に気を使ってくれたわけか。 昨日のこともあって、気晴らしが必要だと思ったのだろう。 急な予定変更はこういうことだったわけか。 まぁ、確かに気晴らしにはなる
「・・・・・・ありがとうございます」
「? 何か言ったかしら?」
聞こえなかったのか、不思議そうにこちらを見る楯無先輩だが、二度も言うことはない。 そのまま何も言わず、歩き続ける
「ちょっとー? 何か言ったー?」
「別に何も? それよりも離れてほしいんですが?」
「い、や、よ!」
楯無先輩の答えを聞き、俺はため息をつきつつそのまま歩く。 何故か楯無先輩は終始楽しそうだったが
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「来たか」
「今日はよろしくお願いします、有澤さん」
アレから少し歩き、車に乗ってきたのは有澤重工本社。 何故か玄関には社長である有澤さんがいるのだが、そこまでしなくてもと思う。 とりあえず有澤さんに挨拶をすると、有澤さんは返事をして歩き始める。 俺と楯無先輩はそのまま有澤さんについて行く
「それにしても」
「どうかしました?」
何故かこちらを見て、ふっと笑った有澤さん。 それが気になり聞いてみると、あっさり答えてくれた
「なに、お前もそう言う年頃だと思ってな」
「そう言う年頃?」
俺がオウム返しのように言うと、俺と楯無先輩の組んでる腕を指す。 あぁ、そういうことね......
「離してくれと口を酸っぱく言ってるんですが、離してくれなくてですね......」
「そう言う関係ではないと?」
「なんでそんなに残念そうなんですかね?」
少し頭が痛くなりつつ、そう返すと今度は楯無先輩が騒ぎ始める
「えぇー、あの時言ってくれた言葉はうそだったの?」
「あの時ってどの時ですかね? あまりふざけたことばっかり言ってると、後でえらい目合わせますからね」
「あ、あははー......」
そう言うと、苦笑いを浮かべながら離れる楯無先輩。 ようやく離れてくれたか。 最初からこういえばよかったらしい。 そんな俺と楯無先輩の様子を、どこか嬉しそうに見る有澤さん。 しばらく歩けば、重厚そうな扉が。 有澤さんがセキュリティーのキーを読み込ませれば、扉が開く。 中には、懐かしい面々が。 チームラインアークのみんなが集まっていた。 まさかいるとは思わず、驚いた表情をしていたのが面白かったのか、みんなが笑いだす。 どこか、懐かしく感じる。 みんなに挨拶をすれば、撫でられるわ、生意気だとか軽く小突かれるわ。 本当にみんな変わっていないようだ
「さて、再会を懐かしむのはいいが仕事だ。 黒夜、ホワイトグリントを」
「はい。 それじゃあ、みなさんお願いします」
ホワイトグリントを展開し、みんなに見せる。 すると険しい顔をするが、それも一瞬のことで、みんなが仕事に取り掛かる。 その間暇な俺と楯無先輩は、有澤さんと話していた。 まぁ俺の場合、ちょこちょこみんなから聞かれることを入るのだ答えているのだが
「それにしても、あの機体、そんなに強かったのか?」
「有澤さんも動画見たんじゃないですか? 見ればわかるでしょ?」
「それもそうか......」
そう言って考え込む有澤さん。 まぁ、俺の現役時代を知っている有澤さんだ。 よくわかっているのだろう。 ホワイトグリントの損傷具合を確認し、頷いているし。 楯無先輩は気になったのか、聞いてくる
「あの機体、貴方が使ってるホワイトグリントに似ていたけど」
「似ている、じゃなくて同じ機体です。 完成度はあちらの方が上ですが」
「なるほどね...... でも、貴方があそこまでてこずるなんて、相当無人機の性能が良かったのね」
「性能、と言うよりも腕ですね。 アレに勝てたのは、運もありますしね」
「運、か。 確かに現役を離れて久しくないお前に、現役時代のお前の相手はつらいか」
「ちょ、ちょっと待って!それって」
俺や有澤さんの言葉を聞き、妙に焦ったような声を出す楯無先輩。 まぁ、言いたいことは分かる
「
俺の言葉に、考え込む楯無先輩。 まぁ、今回の犯人は誰かは分かっている。 ちょうど今はジェネレーターの交換作業のようだ
「そういえば有澤さん、あのジェネレーターは?」
「匿名で届いたものでな」
そう言って、紙切れを渡す有澤さん。 そこには。
「さて、あらかたは終わった。 この後は起動試験だ」
「了解です」