もしかしたらあったかもしれない、そんな未来   作:サクサクフェイはや幻想入り

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第三十四話

GW最終日、アリーナを生徒会名義で貸し切りにし、関係者以外立ち入り禁止と言う徹底した管理のおかげで、このアリーナにはほぼ人がいない。 いるのはのほほんさんとその姉である布仏先輩のみ。 そんな中、俺の姿はアリーナではなくその観客席。 つまりのほほんさんと布仏先輩とこれから行われる試合の観戦と言うわけだ

 

「かんちゃん、この休みずっとアナハイム社行ってたみたいだけど、何か知ってる~?」

 

「さてね。 俺は知らないかな」

 

「簪様のことですから悪いことではないでしょうが......」

 

どうもこの休み中。 と言うよりも、あの総当たり戦以後、アナハイムの方に行っていたようだが、その理由までは知らなかった。 でも、これが終わったら俺と試合ということはある程度は予想ができる。 それよりも今は、目の前に集中だ。 二人はもうアリーナにISを展開した状態で立っており、後は試合開始の合図を行うだけ。 その試合開始の合図は、布仏先輩が行う

 

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~簪視点~

 

「それでは、始めてください!」

 

虚さんの合図とともに、試合を開始する。 お姉ちゃんは油断なく蒼流旋を構え、私は夢現を構える。 お姉ちゃんに隙はない。 だが、このまま硬直状態が続くのも好ましくない。 クリアパッション。 お姉ちゃんと戦うなら警戒しなければならない。 ならば。 春雷を展開し、距離を離しながら撃ち込む。 その隙に山嵐を起動し、発射体制を整える。 だがお姉ちゃんは焦ることなく春雷をよけ、蒼流旋についているガトリングで攻撃してくる。 でも、私だってそんなものには当たらない。 ある程度距離を離し、山嵐を全弾発射する。 48発のミサイルがお姉ちゃんに向かっていくけど、お姉ちゃんは焦ることなくスラスターを使い後方に回避する。 その際にガトリングで数を減らしていた。 次弾を装填しつつ、春雷でお姉ちゃんを狙うも、やはり避けられる

 

「やっぱり、手の内をわかっているから近づいてこないわね簪ちゃん」

 

「・・・・・・」

 

お姉ちゃんが私のことを()として認識してくれるのは嬉しい。 今まではどちらかと言えば、私のことを視界に入れないようにしていたから。 でも、今のままじゃ足りない。 お姉ちゃんを倒すには、その先の白石君を倒すには!!山嵐を撃ちだすと同時に、私は春雷を撃ちつつお姉ちゃんに接近する。 お姉ちゃんは真剣な表情を崩さず、迎撃してくる。 春雷を撃つがことごとく避けられるが、そこに山嵐のミサイル48発が到達する。 でも、クリアパッションで全部爆発させられてしまう。 そこまでは計算通りで、煙が立ち込めると同時にイグニッションブーストを使う。 煙に紛れてお姉ちゃんに接近したけど、回り込んだはずの私に蒼流旋を突き出してくる。 だが、その攻撃でも勢いは止まらず夢現を振り下ろす。 切ったものは槍ではなく、水。 水で受け止められてしまった。 でも、春雷がある。 春雷を向けた瞬間、春雷が爆発する。 クリアパッション。 武器は夢現以外使用不可

 

「できれば降参してほしいのだけど、簪ちゃん」

 

「・・・・・・やっぱりお姉ちゃんは強いね」

 

「・・・・・・」

 

お姉ちゃんを見れば真剣な表情でこちらを見ていた。 少し疎遠になっていたけど、お姉ちゃんの本質は変わってないみたいだった。 これ以上私を傷つけたくないんだと思う。 だけど

 

「だけど、私はその上をいくよ」

 

「っ!?」

 

お姉ちゃんは何かを感じ取ったのか、私から距離をとりつつクリアパッションを発動する。 装甲はボロボロ、SEもほとんどない状態だけどそれは関係ない。 だって

 

()()()の私じゃ勝てない。 だから弐式、力を貸して」

 

~簪視点 end~

 

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「かんちゃん!」

 

立ち上がり、観客席を出ようとするのほほんさんを手で制す

 

「シロクロ!」

 

「まだ試合は終わってないよ。 いや、むしろこれから始まる」

 

「何を言ってるんですか!クリアパッションが直撃ですよ!? お嬢様も何もあそこまで!」

 

二人が何か言っているが、気にせずアリーナの方を見る。 クリアパッションの爆発のおかげで見えはしないが、問題ないだろう。 それにしても、楯無先輩もよく反応できたものだ。 最後の口撃、容赦なく見えたがそうじゃない。 たぶん、俺と模擬戦しているからよくわかっているのだろう、簪さんの()()()()()()()()のが。 徐々に煙も晴れ、アリーナ内の様子が見えてきた。 そこには、見覚えがある(見覚えがない)姿の簪さんが

 

『おー!アレが重腕さんの愛機、ヘビーアームズ?』

 

『いや、少し違うな。 お前も見てたからわかるだろう?』

 

重腕さんの愛機、ヘビーアームズとは少し違う。 ベースは打鉄弐式だろう。 だが、各所につけられた追加装甲のせいで、せっかくの機動性が殺されている。 まぁ、スラスターは大型のものに換装されているので、機動性が少し下がったくらいだろうが。 胸部も追加装甲あるみたいだし、武装も増えたようだ。 両手には二連ガトリング、春雷も大型化され数も増えて四基に。 そして、一番目が行くのが8基のミサイルポットだ。 しかも大型化されている

 

「なに、あれ......」

 

「セカンドシフト? いやでも、そんな数値......」

 

「たぶん、アレがアナハイムに行ってた理由、じゃないか?」

 

俺がそう言うと、驚いた顔をしてみる二人。 いや、そんなに驚くことじゃないと思うけど

 

「行ってた理由?」

 

「まさか改修を?」

 

「たぶんそう言うことじゃないかな?」

 

アリーナ内に動きはないが、簪さんが一瞬こっちを見た気がした。 目と目が合った瞬間、俺は立ち上がる

 

「シロクロ?」

 

「俺も試合の準備をね」

 

「お嬢様の試合は終わっていないようですが......」

 

そう言って、いまだに動きのないアリーナを見る布仏先輩。 だが俺はそれに短く答える

 

「終わりますよ、すぐに」

 

そう言い残し、俺は観客席を後にした

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