もしかしたらあったかもしれない、そんな未来   作:サクサクフェイはや幻想入り

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第三十五話

~楯無視点~

 

前々から言っていた、簪ちゃんとの対戦。 なんで戦うことになるのかは不思議だったけど、前に比べれば会話が増えたことで私は嬉しかった。 GW最終日、前々から完成はしていたけど、細かい調整が済まない打鉄弐式の調整が済んだということで、あまり予約のなかったアリーナを生徒会名義で貸し切りにして対戦をしていた。 確かに簪ちゃんは強かった。 クラス対抗戦が中止になり、後から行った総当たり戦。 その時の映像を後から見させてもらったけど、強くなっていた。 私は嬉しく思う反面、複雑だった。 あんな風に言った簪ちゃんは強くなった、それがもし私への強い恨みから来るなら、そう思うと怖くなった。 でも、瞳を見ればそんなものはなく、それどころか私を見ていないような気がした。 だからつい本気でやったけど、結果は私の勝利。 いくら強くなったとはいえ、私は国家代表。 そう簡単に負けは許されない。 唯一の例外いるけど。 そして、負けを認めるように言ったけど聞いてくれなかった。 それどころか、彼と同じ目をしていた。 強者の目。 それに圧倒されそうになるが、すぐに気持ちを切り替えクリアパッションを広範囲で発動する。 虚ちゃんや本音ちゃんが立ち上がるけど、許してほしい。 何をしてくるかはわからないけど、アレはまずい。 だが、クリアパッションは通じず、そこには打鉄弐式のようで、弐式じゃないISを展開している簪ちゃんが。 セカンドシフト? でもそんなんじゃない気がする

 

「惜しかったね、お姉ちゃん」

 

「・・・・・・」

 

簪ちゃんからの言葉は気にしていられない。 私の警戒心は、今や彼と戦う時と同じぐらいだ。 打鉄弐式は機動性重視だと聞いていたが、今や見る影もない。 ミサイルポットは数を増やし、大型化。 荷電粒子砲である春雷も大型化し、砲門も四門になっている。 各所には追加装甲、両手には二門で一つのガトリング。 全体的に重装甲になり、機動性は見るからに落ちていた。 だが、私の警戒心は上がるばかりだ

 

「こないの、お姉ちゃん? なら、こっちから行くよ!!」

 

「!?」

 

計四門から発射されるガトリングの物量は流石に防ぎきれず、避けながら蒼流旋に搭載されているガトリングを放つが、簪ちゃんには効果がない。 それどころか、ダメージを受けているようにも見えない。 装甲が硬いなら、爆発ダメージでとも思うが、簪ちゃんはクリアパッションの効果範囲を掴んでいるのか、ガトリングの物量で近づくことすらできない。 それどころか。 追加装甲が動き、中からはミサイルが放たれる。 クリアパッションで一気に処理するが、それが悪手だと気が付かされる。 ガトリングが正確に飛んでくるのだ。 何故とか考える前に水で防ぐが、防ぎきれずにSEが削られていく。 なおも飛んでくるミサイルに、防戦一方だ

 

「これが私、重腕としての私。 お姉ちゃんには昔から何をやっても敵わなかったけど、彼が私に勝ってるって言ってくれた。 だから私は、重腕に戻った。 お姉ちゃんに勝つために」

 

「別に私は、簪ちゃんをおざなりに思ったことは!」

 

「知ってる。 お姉ちゃんが優しいのは。 あの時、と言うよりもこの間まではショックだったけど、食堂でお姉ちゃんの姿を見ていろいろ吹っ切れて、考えたから」

 

簪ちゃんはその場から一歩も動かず、ガトリングを撃ち続けている。 こうして会話をしている間も撃っているのだから、弾切れは近いはず。 ただ気になるのが、使っていない山嵐。 それに春雷も

 

「でもこれはけじめ。 重腕に戻るなら、強くならなくちゃいけないから。 だから、お姉ちゃんを倒す!」

 

狙っていた弾切れだが、山嵐を撃ちだしてきたため隙を狙えない。 でも、爆発させれば関係ない。 クリアパッションの範囲内に入った瞬間、爆破しようと考えていたがそれすらも甘かった。 彼のミサイルと同じ様に、()()したのだ。 分裂数は四と彼の半分だが、八基のミサイルポットから八門の分裂ミサイル。 64個のミサイルからさらに分裂したのだ。 彼との比較にならないし、クリアパッション範囲の手前で分裂したため動揺して、爆破も甘かった。 何とか自分の目の前に来るまでに全部の処理は終えたけど。 またも煙で、簪ちゃんの姿が見えないけど

 

「どうして!!」

 

簪ちゃんは私が見えてるかのように、ガトリングを撃ってくる。 射角から考えて、さっきの位置から動いていないのはわかるけど、どうして!

 

「勘、だよお姉ちゃん」

 

今度は春雷まで撃ちだされる。 直撃はかろうじてないけど、それにしたって!

 

「お姉ちゃんならわかるでしょ? 白石君と戦っているんだもの」

 

勘。 時々彼もそう言って、理不尽に攻撃を当ててくることが多々ある。 野生の勘と言うのもあるんだろうけど、それは実力が裏打ちされた勘。 ISの搭乗時間は確かに短い。 でも、ビルドファイターズの時間では圧倒的にわたしがまけている。 戦績で負けているのもそうだ。 だからって言って!

 

「だからって言って負けられないわ!私は簪ちゃんのお姉ちゃんで、国家代表よ!意地があるわ!」

 

多少の被弾、と言うよりも被弾覚悟で近づく。 追加装甲分のミサイルは撃ちだしているのか、撃たれる気配はない。 ガトリングは避けられないが、荷電粒子砲だけでも避け、簪ちゃんに確実に近づいていく。 重くて動けないのか、それとも動かないのか。 どちらにしても、確実に距離は近づいていく

 

「それだけの武装を積んでいるなら!」

 

「・・・・・・」

 

クリアパッション。 火薬に引火したのか大爆発が起こる。 残りのSEはあと少しだが、大ダメージは与えられたはずだ。 そう思っていたけど

 

「進化した弐式、ううん、弐式改はその程度の爆発じゃびくともしないよ。 元々装甲は切り離すつもりだったし、手間が省けたかな?」

 

無傷とは言わなくても、SEが多少削れたぐらいでピンピンしている簪ちゃん。 簪ちゃんの言う通り、爆発の影響で吹き飛んだ装甲はあれど、次の装甲が現れていた。 リアクティブアーマーも考えはしたけど、多分違う。 装甲を追加し、その装甲に搭載された武装が使い終われば武装をパージして次の装甲で戦う。 簪ちゃんのISはそう言う機体。 こんなの

 

「・・・・・・」

 

「お姉ちゃん、私も同じことを言うよ? 出来れば降参してほしい」

 

装甲を展開し、春雷も構える簪ちゃん。 ミサイルポットも開き、いつでも全弾発射できる体制だ。 状況は絶望的だ

 

「・・・・・・」

 

でも、私は諦めることをしない。 姉として、国家代表として。 蒼流旋を支えにして立ち上がり、前を見る。 簪ちゃんの顔色は変わることはない。 まるで戦っているときの彼みたいだ。 クリアパッションを発動させようとした一瞬、その一瞬で近づかれた

 

「ぐっ......」

 

「油断大敵だよ、お姉ちゃん。 弐式改は動けないわけじゃない。 ましてや、追加装甲を付けたことで重くなったわけでもない。 確かに普通に移動する分には重いかもしれなけど、それだけ」

 

一瞬で近づかれ、薙刀の刃とは反対側で突かれる。 加速の乗った一突き。 だが、捕えきれないスピードで突かれたその一撃は軽くはない。 その一撃で私のSEはそこを尽きる

 

「私の勝ちだね、お姉ちゃん」

 

「えぇ......」

 

~楯無視点 end~

 

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