もしかしたらあったかもしれない、そんな未来 作:サクサクフェイはや幻想入り
今日は朝以外は平和だった。 結局担任もうまいこと騙し、それ以上追及はなかった。 それからは何時もの通り、こそこそ陰口をたたかれながら授業と言いうわけだ。 昼は昼で、何故か楯無さんに生徒会室に呼ばれて食べたし。 あぁ、そう言えばその時転校生が来たとか言っていたな。 転校生は二人、一人はシャルル・デュノア。 もう一人はラウラ・ボーデヴィッヒと言うらしい。 シャルル・デュノアは男らしく、これで世界で三人目の男が見つかったわけだ。 だが、どうにもきな臭い。 午前中はしょうがないにしても、午後から女尊男卑の連中の巣窟であるウチのクラスの女子が珍しく騒がなかった。 俺は
「ちょっと面貸しなさい」
凰さんに捕まった。 いや、道具を詰めていたとは言え、結構早く教室から出てきた。 それなのに俺よりも早いって...... まぁいいか、そんなことは。 顔を見れば真剣な話と言うのは分かる、用件は...... この間の総当たり戦のことだろうか? 疑っている、気に入らないという顔だったし。 それはともかく
「えっと、どういう用件で?」
「わかってるんでしょ、この間の総当たり戦の時のことよ。 色々と話したいことがあるの、一夏との戦いも見たことだし」
「・・・・・・」
絶対に逃がさない、表情がそう語っている。 逃走は簡単だが、ところかまわず声をかけられるのもよろしくない。 あることないこと吹聴するとは思えないが、人の噂というものは情報が正しく回るとも限らないからな
「わかった、屋上でもいいか?」
「ええ」
先に歩き始めた凰さんについて行く。 本当にどうしてこうなったのやら。 自分がしでかしたことだ、自分でけつふけということだろう。 屋上につき人気を確認。 どうやら誰もいないようだ。 鈴さんがこちらを振り返る
「用件は分かってるわよね」
「休み前に行われた総当たり戦。 それについてでしょ?」
「わかってるならいいわ。 私、回りくどいの嫌いだから単刀直入に聞くけど、なんで手を抜いたの?」
「・・・・・・」
やはり、と言う感想だった。 最後の反撃は怪しんでいたのだ、一夏との試合を見れば手を抜いていたというのもわかるか。 クラスの女子は素人ばかりだから何とか誤魔化せたが、凰さんは国家代表候補だ。 それなりに経験を積んできているから誤魔化しようがない
「最後の龍砲つぶし、偶然にしては出来すぎよ。 あの時はまぁそう言うことがあるかとも思ったけど、一夏とアンタの試合を見て確信したわ。 アンタは手を抜いている、ってね。 それで、理由は?」
「お見事、と言うべきかな。 ちなみに一夏には?」
「手を抜いたってこと? 言ってないわよ。 言ってたらアンタのところに飛んでいくでしょうからね」
「確かに」
安易に想像できるところが嫌だ。 さて、雑談はここまでにしよう
「手を抜いた理由、ね。 俺は目立ちたくないんだよ。 総当たり戦で
「・・・・・・へぇ、全勝ね。 随分自信満々じゃない」
プライドが高いのか、それとも負けず嫌いなのか、凰さんは目を細め、こちらの真意を見抜こうとしている
「実際、本気の簪さんに勝ったからね」
「うっ......」
簪さんの名前を出すと、途端に表情が曇る凰さん。 どうやら、簪さんとの試合はトラウマのようだ。 うんうん、現役時代と寸分たがわず、トラウマを生み出してるみたいだな簪さん。 結構簪さんのプレイスタイルにあこがれる人は多々いたらしいが、機体の重量、ミサイルの誘爆などでやめる人は多数いた。 後は対戦してトラウマを植え付けられる人が多数
「あともう一つは、俺が勝つと色々と角が立つからね」
「角?」
「例えば、女性利権団体の息のかかった人間。 くだらない考えに共感し、自分が偉いと思い込んでる馬鹿な奴ら、とかね」
「・・・・・・」
凰さんも思い当たるところがあるのか、押し黙る。 別に全体的な割合が多いわけではないが、それでも女性が偉いと思ってる人は大多数いる。 この学園でもな。 おかげで肩身が狭いこと狭いこと
「まぁ、そう言う理由もあって、俺は本気を出さなかった。 そう言うわけだ。 癪に障ったのなら謝る、すまない」
「別に、謝ってほしかったわけじゃないけど......」
理由を知ってしまえばなんてことなく、しょうもない理由だ。 どこか納得していない凰さんだが、それで納得してもらうしかない。 さて、話も終わったことだし帰ろう。 そう思い、凰さんに背を向ける
「あ、ちょっと!」
「あれ? まだ何か話し合った? 終わったから帰ろうかと思ったんだけど」
「確かに話は終わったけど、納得できない。 だから、私と勝負しなさい!」
「・・・・・・簪さんとの勝負に勝った俺と?」
「そんなの相性の問題かもしれないじゃない!」
なーんか、かなりめんどくさいことになった気がする。 こういう人って言っても諦めないし、受けるしかないかぁ......
「わかった。 アリーナの許可が取れたらこっちから連絡する」
「わかったわ!いい? 今度は本気でやりなさいよ!!」
そう言って扉から出て行く凰さんに、俺は一人大きなため息をついた
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「黒夜」
「一夏か」
屋上からの帰り道、一夏とばったり会ってしまった。 会ったのはいいが、後ろに誰か連れていた。 制服は男のだが、男装か? 男と女では骨格や線の細さで大体わかるが、何故か女が男の制服を着ていた。 かなりの厄介ごとだな、かかわらないほうが吉だ
「この間の総当たり戦だけど」
「あぁ、その話な。 あの日は調子悪くてな、ちょっと受け答えとかボーっとしていた時があったんだが、俺ナニカしたか?」
調子など悪くなくある意味絶好調だったが、白々しく聞く。 別に一夏からどう思われようがどうでもいいのだが、一般的にはフォローが必要だろう。 そして人がいい一夏のことだ
「あぁ、何だそうだったのか。 だからいつもと雰囲気が違ったのか。 でも、そういう時は無理しないほうがいいぜ?」
「あぁ、まぁ気を付ける」
こうやって騙される。 人がいいのは聞こえがいいが、だまされやすいということだ。 もうちょっと人を疑うことを覚えたほうがいい
「あの一夏、この人は?」
「あぁ、シャルルにも紹介しないとな。 こっちは二人目の男性操縦者で、別のクラスの白石黒夜」
「白石黒夜だ、よろしく頼む」
「それでこっちが、シャルル・デュノア。 転校生で、驚くことに三人目らしい」
「シャルル・デュノアです。 よろしくね、白石君」
「あぁ、よろしく頼むデュノア」
互いに一夏の紹介で自己紹介を済ませる。 それにしても、三人目、ね。 よく今までメディアが騒がなかったこと。 まぁいいか、俺には関係ないしな
「それで? 一夏とデュノアは何をしてたんだ?」
「ほら、シャルルって転校してきたばかりで学校は不慣れだろ? だから案内しようと思ってな。 あ!黒夜もどうだ?」
「悪いがパスさせてもらう。 休み明けの学校ってことで、少し疲れた」
「そう言うことなら仕方がないな」
「デュノアもそう言うことだ。 悪いな」
「ううん、気にしないで」
「そういうことで、またな」
「おう!」
「うん、またね」