もしかしたらあったかもしれない、そんな未来 作:サクサクフェイはや幻想入り
「またすごいことに巻き込まれてたみたいね」
そう笑いながら扉から姿を現したのは、楯無さんだった。 少し楽しそうにしているのは気のせいということにしておこう。 ひとしきりクスクスすると、真面目な表情を作る楯無さん。 それにつられて俺は姿勢を正す
「さて、ここからは真面目なお話よ。 その子のことだけど、どうするつもり?」
「答えなんて、分かってるでしょう?」
「えぇ、分かってるわ。 だからこそ、聞くのよ」
そう言う楯無さんの顔は、生徒会長としての顔ではなかった。 なるほど、楯無としての件も絡むと。 まぁ、妹を保護するというのは簡単だ。 だが、具体的にどうするのかという話はまた別だ。 一応、俺の今の肩書は二人目というものだけだ。 なんの後ろ盾もない一般人。 それが今までのうのうとIS学園で生活していられたのは、学園のサポートと楯無のサポートがあったからだ。 答えようによっては楯無のサポートがなくなるということだろうが
「俺は
「なぜ?」
「こいつのこと待たせましたからね。 それに、いい加減兄としての責任を果たさないと、そう思ったからですよ」
「・・・・・・」
「それに......」
そこでいったん言葉を切り、掛けていた眼鏡をはずし楯無さんを見る
「今回の一件で、俺の正体を隠す意味はなくなりましたしね」
「白い閃光」
「それは譲ったままにしますが、知れ渡ってしまったからにはそれ相応の対処が必要でしょう?」
そう言って肩をすくめる。 すると、楯無さんの表情も苦笑に変わる
「まぁ、そうよねぇ...... そうなると、企業連に?」
「これから話を通すつもりですが」
「まぁ、貴方は分かってるだろうけど日本政府から命令が来たわ。 端的に言えば、厄介なものは消せってね」
「どうします?」
そう言って、わざと両手をあげる。 それでも楯無さんは何かをやってくることはなく、苦笑してるだけだった
「わかってるくせに。 まぁ、長という立場もあるけど、その前に生徒の長だもの。 生徒は守る義務があるわ」
「甘いですねぇ」
「本当よね」
何て二人で笑い合う。 ひとしきり笑い合った後、真面目な表情になる楯無さん
「さて、ついてきて頂戴。 もちろん、妹さんもつれてね」
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いつか来たことがあった用務員室、そこから通じる通路を歩きセキュリティーカードを通し、前にホワイトグリントを受け取った部屋にたどり着いた。 そこには前回と同じように有澤さんがいて、違うことがあるとすればシャルル・デュノアがいることだろうか
「来たか」
「どうも、有澤さん。 で?」
「ん? あぁ、娘になった」
「・・・・・・」
説明を省きすぎである。 この人口下手なところがあるからなぁ....... なんて俺が思っていると、見かねてシャルル・デュノアが説明に入る
「えっと、ね。 あの日、電話番号受け取ったでしょ? その電話番号にかけたらそこの楯無さんにつながって」
「なるほど、自分で選んだか」
「うん。 だから、白石君には感謝してる。 ありがとう」
真正面からお礼を言われるのはこそばゆい感じがするが、それを表には出さずに続きを促す
「それで楯無さんにデュノアのことや今回のことを話したんだけど」
「一応この学園の生徒だし、さっき貴方に言ったようなことを彼女に言ったの。 それで、デュノアを調べるにあたってウチの人員と有澤さんを頼ったというわけ」
「同業、とは言い難いがそういう情報に詳しいものに心当たりはあった。 それで調べさせてみたら、意外な事実が分かってな」
有澤さんが言うには、デュノアの件はあくまでもデュノアを
「相変わらず口下手というか、なんというか」
「・・・・・・すまん」
「さて、デュノアさんの事情はそんな感じです。 白石君、今回の事ですが」
それまで黙っていた学園長が不意に口を開く
「ご苦労様でした」
「いえ、どちらにしろ遅かれ早かれこうなっていたでしょうし。 それは」
「それで、彼女をなぜここに?」
学園長は視線を細めつつ、俺に背負われている妹を見る
「そのことですが...... 白い閃光は、妹に譲ったままにします。 それを言いたくて。
「・・・・・・」
学園長は厳しい視線のままだが
「ならば、私から言うことはない」
昔から俺や、後ろについてきていた妹のことを知っている有澤さんはそう返事をした。 学園長はふっと厳しい視線を緩めて、苦笑いする
「当人たちの問題ですからね、私から言うことはないですよ。 ですが、同じことを繰り返すようなら」
「そうなれば.......」
気まずい沈黙が流れるが仕方ない。 俺は空気を換えるために、有澤さんに話しかける
「有澤さん、テストパイロットの話ですが、正式に公表してください」
「それは今回の事を受けて、か?」
「はい。 どちらにしろ、今回の件で俺が白い閃光ということは知れ渡った。 なら、何らかのアクションが必要になってくる」
「手配する」