もしかしたらあったかもしれない、そんな未来 作:サクサクフェイはや幻想入り
「あら、珍しいわね」
「随分早いもんですね、楯無さん」
朝、何時ものようにランニングをしていれば楯無さんが合流する。 と言っても、何時もより合流するのが速いような気がするが。 そして俺の顔を見るなり、驚いたように言ったのだ。 まぁ、それもそのはずだ。 いつもならかけている眼鏡を外したまま走っているのだから
「おはよう」
「簪さんもおはよう」
前まではランニングが終わるころにはぜえぜえ言っていた簪さんも、いつの間にやら息が上がらなくなっていた。 なれって怖いよな
「まぁ、もうかける必要もなくなりましたからね」
そう、昨日有澤さんに頼んだ企業連のテストパイロット発表の件はもとから準備してあったのかすぐに行われた。 これで俺は晴れて姿を隠す必要がなくなり、眼鏡等もお役御免となったわけだ。 まぁ、公表した分表立ってのやらせ等はなくなるだろうが、裏ではどうなることやら。 まぁ、学園長ももしもの時には備えると言っていたし、楯無さんもいるので安心は安心なのだが。 一人でいる時は気を付けないとな
「なんか難しそうなことを考えてる顔ね」
「まぁ、これからのことを少し」
「そう言えば、学園に入るんだっけ彼女」
少しむすっとした顔で言う簪さんに苦笑しながら、俺たちはランニングを続けたのだった
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「今日は編入生の紹介です、入ってきてください」
「はい」
そう言って入ってきたのは、俺の妹でもある白石桃華。 今回、妹のISに搭載に搭載されていたVTシステム。 その搭載がどこでされたのか、そういうのを調査するためにISとその身柄を一時学園預かりとしたのだ。 まぁ、十中八九搭載元は日本であり、その首謀者は女性利権団体の幹部ということで調べはついているのだが。 それをあえて公表せず、こちらの学園に入学させた、そういう絡繰りだ。 そもそも、昨日の件があった時点で桃華は日本代表の座から降ろされたのだが。 トカゲのしっぽ切、そう言うことだ
「席は...... 黒夜君の隣でいいわね」
「はい」
黒夜君、ね。 まるで腫物を扱うかのような担任の言葉に、思わず笑ってしまいそうになる。 昨日までの態度はどこに行ったのやら、そう思わずにはいられなかった。 朝のHRも終わり、次の準備時間としての短い時間、桃華が遠慮がちに話しかけてくる
「あの、お兄ちゃん」
「授業は大丈夫なのか? 一個上になるんだから」
「えっと、大丈夫」
俺が普通に返事をすれば、少しぎこちないが返事を返してくれる。 ・・・・・・まぁ、昔のようには行かないな、当たり前だが
「教科書は?」
「見せてもらえる?」
「あぁ」
こんな会話をしているが、クラスの雰囲気は最悪だ。 大きく言って二つに分かれる。 担任と同じ様に腫物でも見るかのような視線か、恨みがましく見る視線か。 まぁ、どうでもいいか
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放課後になり、今回は生徒会名義でアリーナを貸し切りにしてもらった。 と言っても、いるのは俺と桃華だけなのだが。 今回は、流石に簪さんは遠慮してもらった。 毎日毎日やるのも流石にというわけだ。 それに
「ふぅ...... やっぱりか」
「一応、病み上がり......」
「一日安静にしてれば大丈夫だって知ってるぞ」
元々、気にはなっていたのだ。 桃華の素の実力というものを。 なんというか、機体に頼りっぱなしだというのは分かった。 打鉄を借りて試しにやってみたが、基本からなっていなかった。 そもそも、教えたのもかなりスパルタだったから仕方ないと言えば仕方ないのかもしれない。 だが、あのスパルタと自分のセンスで勝っていたのだから、ちゃんと教えれば化けるかもしれない
「これから特訓だな」
「うん。 お兄ちゃんに迷惑かけるわけにはいかないから」