もしかしたらあったかもしれない、そんな未来   作:サクサクフェイはや幻想入り

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第五十三話

旅館に戻った俺たちに説明されたのは、アメリカの軍用ISシルバリオゴスペルの破壊指令だった。 起動試験中に暴走、そのまま人の手を離れまっすぐとこの旅館に向かっているらしい。 しかもこのIS、驚くことに無人機だそうだ。 まさかと思い関係者以外立ち入り禁止なのにもかかわらずこの場に居る篠ノ之束博士に視線を向けるが、コアの停止作業で忙しいらしい。 にしても、このタイミングでの無人ISの暴走...... どうにもきな臭い。 まさかこのことを予見して篠ノ之束博士は俺にこの機体を預けたのだろうか

 

「ふぅ...... やっぱり駄目だね。 こっちの操作は一切受け付けない。 たぶん、暴走したら外部の操作は一切受け付けないようにしたんだろうね」

 

「やはり迎撃するしかない、ということか」

 

迎撃、その言葉で雰囲気が重くなる。 俺を除いて、いや、俺と桃華、簪さんを除いて他のISは競技用だ。 出力や装甲など、色々なものが違いすぎる。 桃華の使っているホワイトグリントに関しては、リミッターの解除を行えば装甲面などを除いてそれ以上の出力となるが。 これは簪さんの方も同様だが、その際体にかかる負担は想像できないものとなる。 そして俺のISは篠ノ之束博士が戦闘用に作ったものだ、多分勝負にならないだろう。 まぁそもそも、()()()()()()()()()()()()()()()()()のか、というのがそもそもの問題だが。 確かこの近くにはISを配備した基地があったはずだし、そもそもその逃げ出してきた基地が協力すれば撃破も出来るはずだ。 なのになぜ、()()()()()()()()()

 

「はい」

 

「なんだ白石桃華」

 

「この近くにはISを配備した基地があったはずです。 そこから緊急出動させれば、私たちが出撃しなくても間に合うはずです。 なのになぜそれをしないんですか?」

 

「そういえば......」

 

そう言ってキーボードを操作する山田先生。 だが、その顔は厳しいものだった

 

「オーバーホール? このタイミングで?」

 

「ということだそうだ」

 

織斑先生はそれを知っていたのか、淡白な返事だった。 オーバーホール、全機一気にか? 近くで起動実験を行うというのに? いよいよきな臭くなってきた。 となると今回の件、かかわっているのは日本政府か? 女性利権団体の連中が動いているのは確実だろうが、それだけか? そんな風に考えていると、視線を感じる。 見ていたのは篠ノ之束博士で、その顔はすべてを解っているかのように微笑んでいた。 ・・・・・・考えても無駄だな

 

「それで、作戦は」

 

「シルバリオゴスペルの推力的に参加できる機体は限られるわよ。 一夏に簪、それとアンタの妹ってところかしら」

 

「後は箒ちゃんの紅椿もかなー」

 

ぎょっとして凰さんと共に篠ノ之束博士の方を向けば、にこにことしているだけだった。 本気なのか、篠ノ之束博士は? 自らの妹を死地に向かわせるようなものだぞ? そして視線は、俺の方を向く

 

「後は黒い鳥君の機体、かな?」

 

「それは許可できない。 お前の作った戦闘用の機体だぞ? そんなよくわからないものを」

 

「ふふっ、まぁちーちゃんの好きにしたらいいんじゃないかな?」

 

篠ノ之束博士は特に怒りもせず、織斑先生の言葉を受け流す。 それはどこか結果を解りきっているようなものだった

 

「・・・・・・誰がやるにしても、まずはシルバリオゴスペルの詳細なデータが欲しいです」

 

「構わんが、これをみだりに誰かに話したりすれば...... わかるな」

 

全員が頷き、データを見る。 やはりと言っていいのか、競技用のISより全体的に高水準だ。 まぁ、倒せないこともないが

 

「これを見る限り長期戦は不利ね。 そもそも軍用のISだもの、出力が違いすぎるわ」

 

「一撃で沈めないとこっちが不利になりますわ...... ということは」

 

全員の視線が一夏に向く。 だが当の本人の一夏はポカンとした顔をしていた

 

「お、俺か?」

 

「他に誰がいる。 貴様のワンオフである零落白夜は相手の絶対防御すら切り裂く。 それを利用せずしてどうする」

 

「た、確かに」

 

ラウラ・ボーデヴィッヒに言われて気が付く一夏だが、本当にこれは大丈夫なのだろうか

 

「いっくんのワンオフは燃費が悪いから、運ぶ役を作ったほうがいいんじゃないかなー。 それなら失敗して立て直して二撃目も出来るだろうしー」

 

さらっと作戦立案に参加している篠ノ之束博士だが、本来なら関係者以外立ち入り禁止では?

 

「私的には紅椿、箒ちゃんがおすすめかなー」

 

「篠ノ之束博士、それは危険だと思うんですが」

 

「・・・・・・」

 

簪さんがそう言っても、篠ノ之束博士はニコニコと笑うだけだ。 もはや決まりと言っても過言ではないだろう。 織斑先生も考えているようだが、決まったようなものだ。 まぁ、そもそもこの作戦で俺が出ることはないのだから見物させてもらうとしよう

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