もしかしたらあったかもしれない、そんな未来   作:サクサクフェイはや幻想入り

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第五十四話

出撃準備も整い、一夏と篠ノ之箒は飛び立っていった。 俺たちはそれを見送り、再び旅館の作戦指令室に戻ってきた。 セシリア・オルコットが一夏たちが映ったモニターを祈るように見ているが、俺は興味がないのでそれを眺めていた

 

「お兄ちゃん」

 

「どうした桃華?」

 

よっぽど暇そうに見えたのか、桃華は俺の横に腰を下ろし話しかけてきた。 その際、織斑先生がこちらを見たが気にせず話しかけてくる桃華

 

「今回の作戦、どう思う?」

 

「どうって?」

 

「成功するかしないか」

 

「ふむ...... そもそも作戦と呼べるようなものじゃないからなこれ」

 

そう言った瞬間、部屋の温度が下がったような錯覚を受けるが構わず続ける

 

「オーバーホール中とはいえ基地にはISが残ってるはずだし、逃げ出した基地からISを引っ張ってくればそこそこの戦力になるはずだ。 俺たちに協力を求めるならまだしも一任だしな。 そして、出撃は二人。 かたや新しいおもちゃが与えられて勘違いしてる人間と、片や実力が半端者。 不意打ちということを考えても、成功する確率は低いと思うぞ」

 

「おお、毒舌だね黒い鳥君。 なら君なら成功すると?」

 

ここで話に加わってきたのは篠ノ之束博士で、何が楽しいのかニコニコとしている

 

「あの機体を作った貴女なら、分かりきってるんじゃないですか?」

 

「さて、どうだろうね? 君次第じゃないかな?」

 

「まぁ、そうですね」

 

「織斑君、篠ノ之さん、もう少しでシルバリオゴスペルと接敵します。 そろそろ準備を」

 

その山田先生の声に、俺たちはいったん話をやめモニターを注視する。 位置が記されているモニターを見れば、言われた通りシルバリオゴスペルとの距離は縮まっていた

 

「接触まであと五秒」

 

一夏が雪片弐型を変形させ、ワンオフを使うと同時に雄たけびを上げる

 

『うおぉぉぉぉぉ!!』

 

「何やってるのよあのバカ!?」

 

「アレじゃあ気づかれるよ!」

 

「ふん」

 

それをシルバリオゴスペルが気付かないはずもなく、一夏の攻撃は宙を切る

 

「あのバカ.......」

 

織斑先生は拳を握っているが、それどころではないと思うのだが?

 

「織斑先生」

 

「なんだ更識」

 

「彼等を後退させて次の攻撃部隊を編成すべきです。 織斑一夏のワンオフはSEを大量に消費します、それは彼を使い続けています。 なら補給をして次につなげれば」

 

「確かにそれはそうだが、だが一夏がいない間誰がアレを相手する」

 

「私、白石兄弟が先に向かい足止めと後退を支援して、第二部隊としてシャルロット・デュノア、セシリア・オルコット、ラウラ・ボーデヴィッヒを向かわせれば戦力的には十分だと思います」

 

「ダメだ」

 

「何でですか!」

 

「白石黒夜は認められない」

 

あくまで冷静に言い放つ織斑先生に違和感を感じる。 確かに篠ノ之束博士が作った戦闘用のISは危険だが、この状況撤退支援にはもってこいのはずだ。 なのにもかかわらず、ここまで否定するということは...... 日本政府から何か言われたか、それとも俺を出したくない何かがあるのか。 そんなときでも状況は刻一刻と進んで行く

 

「織斑先生!!」

 

「今度は何だ?」

 

「戦闘海域に船が!」

 

「なに!?」

 

見れば戦闘海域、それも一夏達が戦っているすぐそこに船がいた。 一夏はそれに気が付いたのか、船を守りながら戦っているが...... SEの残量を見れば、もう数分も戦えば切れてしまうところまで来ていた。 通信ログを見る限り、篠ノ之箒は船を気にせず戦うことを言っているようだが、一夏は譲らないようだ。 それにしても、船の進みが遅い。 よく見れば、船は後方から黒煙をあげているような気がする

 

「山田先生、あの船から救援信号って出てます?」

 

「えっと、少し待ってください。 信号を確認、あの船からです」

 

「たぶんあそこ等の海域に出てたけど、エンジントラブルかなんかか」

 

「そんな冷静に!」

 

山田先生は俺を泣きそうな顔で見るが

 

「申し訳ないですけど、指揮権を持っているのは織斑先生なので俺にはどうにもできませんよ? さっきから俺は出撃出来ないって言ってますし」

 

「織斑先生!!」

 

山田先生にそう言えば、織斑先生は俺のことを殺さんばかりに睨んできたが俺は肩をすくめる。 さて、船はおろか一夏の命まで見殺しにするかが見ものだな

 

「・・・・・・貴様なら、あの状況をどうにかできるのか?」

 

「当たり前でしょう。 ぶっつけ本番にはなりますが、あの機体の特性は理解していますし」

 

「・・・・・・いいだろう、とっとと行け!!」

 

「了解です」

 

『白』

 

『いやー、ぶっつけ本番とは黒夜らしくないね!』

 

『事情が事情だ、仕方ない』

 

 

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