もしかしたらあったかもしれない、そんな未来   作:サクサクフェイはや幻想入り

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第五十五話

「これは!? 思っていたより!」

 

『これでもPA発動してるし、パイロット保護は最高クラスだよ?』

 

「本当に、何て機体を作ってるんだ!!」

 

『それを乗りこなしてる君に言われたくないな黒い鳥君』

 

旅館から飛び立ったのはいいものの、最高速度を維持したまま戦域に向かっているので体にかかる負荷が半端じゃない。 この頃あのホワイトグリントに慣れたとはいえ、かかる負荷はそれ以上だ。 加えてこいつの操縦はホワイトグリント以上に繊細だ。 白にも出力調整はしてもらっているが、ピーキーすぎる。 そしてナビゲーターは篠ノ之束博士だ。 俺が文句を言えば、それを軽口で返してくる。 本当に冗談じゃない

 

『目標戦域まであと少しだよ、戦闘の準備を』

 

「簡単に言ってくれる!!」

 

専用装備であるアサルトライフル051ANNR、063ANARを拡張領域から出す。 型式は同じだがホワイトグリントで使ったものよりも大型化され、口径も大きくなっている。 取り回しは少し悪いが、与えるダメージは向上した。 シルバリオゴスペルは一夏に夢中なのか、俺が目視できるところまで近づいてきているのだがアラートが出ない。 まぁ、好都合だけどな。 スピードを落とさず接近し、アサルトライフルの有効射程内に入った瞬間二丁のアサルトライフルをフルオートで撃ちまくる。 無防備な背中に当たったそれは背中のスラスターを壊し、シルバリオゴスペルは海に落ちていく。 アイツの回収もあるが、まずは

 

「そこの二人は撤退だ」

 

「なっ!?」

 

「なんでお前がここに?」

 

二人の反応はそれぞれで、一夏は心底ほっとしたように、篠ノ之箒は俺のことが言ったことが信じられないような感じで睨みつけている

 

「お前たちと、あそこの救難信号出してる船の撤退を支援するためだ」

 

そう言って船を差すと、船はもう完全に止まっていた。 ふむ、やはりエンジントラブルか

 

「救難信号? ふん、犯罪者も都合のいいものだな」

 

「箒!」

 

「犯罪者かどうかなんてどうでもいいだろう。 ISと普通の人間が対峙すれば結果は分かりきっている。 そういう力のないものを守るのが、力があるやつの務めだ。 それとも何か、通信で言っていたように()()()()()()その命はどうでもいいと? 確認もしていないのに?」

 

「貴様!!」

 

「どうでもいいから撤退しろ。 俺はあれの回収もかねて」

 

『黒夜、沈黙していたシルバリオゴスペル、出力再上昇したよ』

 

「チッ」

 

その白の声と共に破壊されたスラスターはそのままに、新たな翼を持ったシルバリオゴスペルが浮上してきた

 

「な、何だあれ!?」

 

「どうでもいいからお前らは撤退しろ、邪魔だ」

 

「貴様の世話にはならん!!はああああ!!」

 

雄たけびと共に切りかかる篠ノ之箒だが、その刀は掴まれビームの砲撃を食らってしまう篠ノ之箒。 近距離ではあったが、流石第四世代と言った所か。 本人は無傷だった。 それでも、気絶したようだが

 

「箒!!」

 

一夏も一夏で、周りを気にせず一直線で篠ノ之箒を助けに行っていた。 それをシルバリオゴスペルが予想していないはずもなく、その一夏を狙ってさっきの砲撃を放とうとしていた。 正直言って助ける義理はないのだが、織斑先生に文句を言われても面倒なので一瞬でシルバリオゴスペルに近づく。 俺が動いたのによほど驚いたのか、一瞬動きが止まった。 動きが人間臭いが、どうでもいい。 一夏も爆発範囲から脱出したみたいだしな

 

『白』

 

『はいはーい!AA起動!』

 

大爆発がシルバリオゴスペルを包み込む。 閃光が晴れれば、シルバリオゴスペルは少し離れたところに滞空していた。 動きはないみたいだし、今のうちに

 

「おい一夏、何をボーっとしてる。 早くそれと船をこの海域から脱出させろ」

 

「お前、俺たちも巻き込むつもりで......」

 

「爆発範囲から離脱していたのは確認していた。 それより.......」

 

一瞬で一夏の横に移動し、頭を掴んで放り投げる

 

「早くあの船を牽引して、この海域から離脱しろ!戦えないやつがいても足手纏いだ」

 

「うお!?」

 

流石にこの短時間では再展開するはずもなく、移動には体にかなりの負荷がかかる。 むせながらも、一夏に指示を出しシルバリオゴスペルに向き直る。 一夏はわめいているが、気にせずにシルバリオゴスペルに近づく。 たぶん、今ならシステムに何らかの障害が起きているはずだ。 この隙に...... そう思ったのだが、あと一歩のところでシルバリオゴスペルは動き出す。 俺は両手にアサルトライフルを構え撃ちながら距離を離す。 俺を掴もうとしていた片手はこれで破壊した。 ビーム砲を躱しながら、周囲の状況を確認する。 周囲に人影や、生物の反応はなし、と

 

『白、PAの効果範囲を広げろ』

 

『うん? そんなことしたら、防御の意味がなくなるよ?』

 

『もう一つの効果を試す。 篠ノ之束博士』

 

『うん、何かな?』

 

映されたモニターには、相変わらず笑顔の篠ノ之束博士

 

()()を試します』

 

『りょうかーい!私はこっちのモニターを誤魔化せばいいんでしょ?』

 

『・・・・・・ええ』

 

この機体のもう一つの武器、それは

 

『ジェネレーター出力上昇!』

 

ジェネレーターの出力を急上昇させ、P()A()()()()の敵を攻撃する

 

『機体温度上昇してるけど、こっちで調整しておくから後はご自由にね、黒夜』

 

『助かる。 と言っても、シルバリオゴスペルはそこまでもたないようだがな』

 

シルバリオゴスペルは自分の体に何が起きているのかわかっていないのか、戸惑うばかりだった。 だがその間にも、()()()()()は上がり続ける。 そう、この機体の完成したジェネレーターだからできたことだ。 PAを広範囲に展開し、ジェネレーターの出力をあげることによって過剰に散布。 過剰に散布された粒子はなぜか発熱を起こす。 それがこの機体発熱の絡繰りだ。 この機体は温度上昇に対する対抗策を持っているが、普通のISにはそんなものはない。 いや、あるにはあるがこの機体ほどではない。 これがこの機体を戦闘用と言わせる要素だ。 他にも細かな要素はあるものの、割愛させてもらうが。 そろそろ装甲も融解して来たようで、近づく。 そしてこれの凶悪なところは、この機体に近づけば近づくほど温度が高くなるということだ。 シルバリオゴスペルは抵抗らしい抵抗をせず、そのまま飛んでいる。 俺は直前でジェネレータの出力を普通の状態に戻し、コアを回収した

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