もしかしたらあったかもしれない、そんな未来 作:サクサクフェイはや幻想入り
Q.主人公は?
A.でません
2018.7.8 誤字報告ありがとうございます。 修正しました
とある女生徒は学園に呼び出され、整備棟に来ていた。 その女生徒はできる秘書のような雰囲気で、振る舞いや歩き方を見れば優秀なのがにじみ出ていた。 その女生徒はとある扉の前で立ち止まり、中に声をかける
「布仏虚です」
「あ、虚ちゃん、どうぞ~」
中から軽快そうな声が聞こえると同時に、虚ちゃんと呼ばれた女生徒は顔をしかめる。 それも一瞬の事で、すぐに部屋の中へと入る。 その中には水色の髪をした女生徒と、用務員の恰好をした初老の男性並んで二機のISを見ていた。 一機は水色の髪の少女、更識楯無のISでもあるミステリアス・レイディ。 そして、もう一機は純白のカラーリングになってはいるが打鉄だった。 だが、その純白の打鉄を見た瞬間、布仏虚は驚きの声をあげた。 パッと見ただけでも、スラスター関連は全部破損し、装甲も所々ひび割れているのだ
「これ、は?」
「
「たった一回で!? この機体が貸し出されるにあたって、整備等も完璧にやったんですよ? それが......」
「それだけじゃないわ、虚ちゃん」
更識楯無がタブレットを渡す。 そこには純白の打鉄の状態が示されており、とてもじゃないが整備なしでは使える状態じゃなかった。 オーバーホールはもちろんのこと、内部フレームの交換等、無事なところがないくらいの損傷だった。 驚くべきは、整備してからの稼働時間。 試運転を抜かせば、
「何を、何をすればこんなに......」
思わず、なのだろう。 この惨状を見て、布仏虚がつぶやく。 そのひとりごとに答えたのは、更識楯無だった
「彼自身が異常なのよ」
「お嬢様?」
「私も戦ったわ、
整備されたミステリアス・レイディを触りながら、悔しそうに顔をゆがめている更識楯無。 その言葉に、布仏虚はさらに驚くことになる。 更識楯無はIS学園の生徒会長で、IS学園の生徒会長は代々最強がなることになっている。 つまりその最強ですら、そこが見えないと言っているのだ。 これを驚かないはずがない。 いや、一人だけ驚いていない人物がいる。 用務員の恰好をした初老の男性。 学園の創始者にして、本当の学園長、轡木十蔵だ。 会話中ずっとニコニコして表情は読めないが、だが、彼はどこか誇らしそうだった
「さて、お話もいいですが本題に入りましょう」
手をたたくことで注目を集める学園長。 二人の視線が学園長に向くと、満足そうに頷き続きを話す
「布仏虚さん、貴女にはこのISの修理をお願いしたい」
「修理、ですか? それは構いませんが、何故私だけに?」
布仏虚の疑問はもっともだが、学園長はあっけらかんと言い放つ
「
布仏虚が更識楯無を見れば、真剣な表情で頷いていた。 布仏虚が学園長を見れば、変わらずニコニコしていた。 布仏虚が了承をすれば、学園長は早速と言わんばかりに改造の仕様書のデータが入っているタブレットを渡す。 それを見た布仏虚はさらに驚くことになる
「なっ!? こんな異常なスラスター出力の機体に乗るんですか!?」
「えぇ、彼なら簡単に乗りこなすでしょう」
それもそのはずだ。 その仕様書の内容は、これまた異常だった。 内部フレームは異常なスラスター出力に耐えるために、企業連のものを使用。 そのスラスターも小型で大出力のものに変更、などなど...... もはや、外見は打鉄だが、中身、スペック、使用コンセプトまで打鉄ではないものになっている。 そして極めつけが、超小型スラスターによる旋回速度の底上げ等だ。 これは、使おうと思えばイグニッションブースト時の弱点、直線機動を解消するものではあるが、肉体や機体に大幅な負荷がかかる。 それのことを指して布仏虚は学園長に言ったのだが、ニコニコしたままそれを受け流す。 横から更識楯無はこの仕様書を見たようだが、苦い顔をしながら学園長の言葉に賛同していた
「えぇ、彼なら
「こんなもの、身体が!」
「実際、これよりもはやい速度で旋回、瞬間的に避けるのを確認しているもの」
試合のことを思い出しているのか、さらに苦々しい顔になるが、布仏虚は信じられないものを見るような目で見ていた。 彼女のこの感覚は間違いではない。 実際、布仏虚は整備課でも優秀な人材だ。 ISの整備のことを知っているのは当たり前だが、IS学園の生徒ならISの基本的な事は知っている。 その常識が打ち砕かれているのだから、無理もない
「さて、試合の方の詳しい話は楯無さんから聞いてください。 それで布仏虚さん、この依頼受けていただけますね?」
「・・・・・・」
布仏虚は考えているようだが、答えは決まっていた
「やらせていただきます」
彼女は技術者でもある。 ならば、この異常ともいえる機体を改修するのは二つ返事で受けるだろう