そして、ファースト・アラートがついに発生する。
少しして、俺達はデバイスルームへと向かった。
「これが……」
「私達の新デバイス……ですか?」
「そーでーす! 設計主任あたし! 協力、なのはさん、フェイトさん、レイジングハートさんとリイン曹長!」
スバルとティアナの前にあるのは、青い宝石を模したペンダント上のデバイスと、白地に赤いXマークを円が囲み、中央に真っ直ぐ縦線が伸びているカード上のデバイスだ。
「ストラーダとケリュケイオンは変化無し……かな?」
「うん、そうなのかな?」
「俺のもか?」
エリオとキャロの前にあるのは、紫色の腕時計と桃色の宝玉を模したブレスレット。
俺もデスティニーを見る限り、変化はないように見える。
「違いまーす!」
エリオとキャロが首を傾げていると、急にリインが出てきて俺の頭の上に乗って叫んだ。
「変化無しは外見だけですよ!」
「リインさん!」
「はいです! エリオとキャロの2人はちゃんとしたデバイスの使用経験は無かったですから、感触に慣れてもらうために基礎フレームと最低限の機能だけで渡してたです! 望さんも魔法自体初めてでしたからそれに慣れてもらうため、最低限の機能に設定しておいたんですよ」
「あ、あれで最低限……?」
「ほんとに……?」
「そうなのか……あれでねぇ……」
自分達がさっきまで使っていたデバイスが最低限の機能しか持っていなかったことにキャロとエリオは驚く。俺も結構驚いた。あれで最低限なのか……。
「皆が使うことになる5機は、望さんのは違いますが、六課の前線メンバーとメカニックスタッフが、技術と経験の粋を集めて作った最新型! 部隊の目的に合わせて、そしてエリオやキャロ、スバルにティア、個性に合わせて作られた文句無しに最高の機体です!」
リインがそう言うとデスクの上にある4機のデバイスがリインの周りに集まり始める。
「この子達はみんなまだ生まれたばかりですが、色んな人の思いや願いが込められてて、
いっぱい時間をかけてやっと完成したです」
そしてリインはティアナ達にデバイスを渡していく。
「だから唯の道具や武器と思わないで、大切に。だけど性能の限界までおもいっきり、全開まで使ってあげて欲しいです」
「うん、この子たちもね。きっとそれを望んでるから」
「ゴメンゴメン、お待たせ~」
そのとき、部屋になのはが入って来た。
「なのはさ~ん!」
「ナイスタイミングです。丁度これから機能説明をしようかと」
「そう。もうすぐに使える状態なんだよね?」
「はい!」
なのはの問いにリインが元気よく答える。
「まず、その子たちみんな何段階かに分けて出力リミッターを掛けてるのね。一番最初の段階だと、そんなにびっくりするほどのパワーが出るわけじゃないからまずはそれで扱いを覚えて行って」
「で、各自が今の出力を扱いきれるようになったら、私やフェイト隊長、リインやシャーリーの判断で解除していくから……」
「ちょうど、一緒にレベルアップしていくような感じですね」
「あっ、出力リミッターって言うと、なのはさんたちにも掛かってますよね?」
「あぁ~私達はデバイスだけじゃなくて、本人にもだけどね」
「「「えっ!?」」」
「リミッターが、ですか?」
「本人にも……?」
みんなが驚く中、俺はよくわからなかったが、さっき言ってたデバイスのリミッターと似たようなものだと解釈した。
「能力限定って言ってね、うちの隊長と副隊長はみんなだよ。私とフェイト隊長、シグナム副隊長にヴィータ副隊長……」
「はやてちゃんもですね」
「うん」
「えっと……」
なのはが出力リミッターのかかっているメンバーの名前を挙げていく。ティアナはすぐに理由を理解したのだが、隣のスバル、エリオ、キャロの3人はまだ唸っていた。
そこへシャーリーが追加の説明をする。
「ほら、部隊ごとに保有できる魔導師ランクの総計規模って決まってじゃない?」
「あ……え…そうですね………」
「1つの部隊で優秀な魔導師を多く保有したい場合は、そこに上手く収まるよう魔力の出力リミッターをかけるんですよ」
「まぁ、裏技っちゃあ裏技なんだけどね」
「うちの場合だと、はやて部隊長が4ランクダウンで、隊長達は大体2ランクダウンかな」
「4つ!? 八神部隊長ってSSランクのはずだから……」
「Aランクまで落としてるんですか」
「はやてちゃんも色々と苦労しているです」
リインが少し暗い声で言う。
「私は元々S+だったから、2.5ランクダウンでAA。だからもうすぐ、1人でみんなの相手をするのは辛くなってくるかな」
「隊長さん達ははやてちゃんの、はやてちゃんは直接の上司のカリムさんか、部隊の監査役のクロノ提督の許可がないとリミッター解除が出来ないですし……許可は滅多なことでは出せないそうです」
「……そうだったんですね」
その話を聞いたメンバーは暗い表情をする。つまり、今までは手加減していたということになる。……ますます勝てる見込みが薄くなってきた。
そこへ、いきなり周りが赤く点滅し、警報が鳴り響いた。
「このアラートって……」
「一級警戒態勢!?」
「グリフィス君!!」
『はい! 教会本部から出動要請です!』
『なのは隊長、フェイト隊長、グリフィス君。こちらはやて!!』
デバイスルームにあるモニターでグリフィスとは反対側の聖王教会にいるはやてから連絡が入る。空間モニターでフェイトの顔も映し出された。
「うん」
『状況は?』
隊長達は即座に状況の確認や情報の共有を始める。経験を積んだだけあって対応が早いな。
『教会調査団で追っていたレリックらしきものが見つかった。場所は、エイリム山岳丘陵地帯。対象は山岳リニアレールで移動中』
『移動中って……!』
「まさか……!」
『そのまさかや……内部に進入したガジェットのせいで、車両の制御が奪われてる。リニアレール車内のガジェットは最低でも30体。大型や飛行型の未確認タイプも出ているかもしれへん。いきなりハードな初出動や……なのはちゃん、フェイトちゃん、いけるか?』
『私はいつでも!』
「私も!」
隊長2人は頷く。
『スバル、ティアナ、エリオ、キャロ、望君、みんなもオッケーか?』
「「「「「はい!」」」」」
こういう時のために頑張ってきたんだ。その答えは決まってる。
『よーし、良いお返事や。シフトはA-3。グリフィス君は隊舎での指揮。リインは現場管制』
「『はい!!』」
『なのはちゃんとフェイトちゃんは現場指揮!!』
「うん!」
『ほんなら……機動六課フォワード部隊、出動!』
「「「「「はい!」」」」」
『……了解、みんなは先行して。私もすぐに追いかける!!』
『うん!』
この会話を最後に、フェイトとはやてからの通信が切れた。
望「とうとう実戦に入るのか……」
走行中の列車という限られたフィールドで、望達はどうやって立ち回るのか?
望「次回も、よろしく頼む」