さぁ、風呂に入るぞっと、その前にまずは着替えだ。
おや? エリオがキョロキョロしてる。なるほど、初めて来たから勝手がわからないのか。
そうと決まれば―――
「エリオ、ちょっとこっちに」
エリオを手招きして呼ぶ。
「あの、望さん。ご指導よろしくお願いします」
「そこまで堅くならなくてもいいって。まずはここに着替えを置いておくんだ。次に鍵を閉めて、鍵は持ったまま風呂に行くんだ」
「なるほど、そうなんですか」
「わかったら、早く入って楽しもう」
「はい!」
せっかくだから、いっぱい楽しんでくれたら嬉しいな。
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
ん、今の声は番台さんと……
「あ、エリオ君、平田さん」
「…………キャロ?」
「そ、それよりも! ふっ、ふっ、服!!」
「うん、女性用更衣室の方で脱いで来たの。だからほら、タオル……」
「見せなくて良いから!!」
あ、ありのまま今起こったことを話すぜ……俺は男湯に来たと思ったら、いつの間にか女の子が入ってきていた……頭がどうにかなりそうだ。幻覚とか見間違いとか、そんなチャチなもんじゃ断じて―――
「あの、こっち男性用!」
「女の子の11歳以下は男性用の方にも入っていいんだって。係の人が教えてくれたから」
「あ、あぅ、その……」
ハッ!? 俺は一体何を……ってこうしてる場合じゃない。
(エリオ、こうなったら諦めろ)
(望さん!?)
(俺がフォローするから安心しろ。早くしないと、キャロが風邪引くぞ)
(あっ!)
ちょいと強引だが、こうでもしないと先へ進めないんでな。悪く思わないでくれよ。
「じゃあキャロ、一緒に入ろうか。ただ、俺達は服脱いでないから、少し待ってくれるか?」
「はい!」
キャロの笑みが後押しになったのか、エリオも恥ずかしがりながら脱いでいった。
腰にタオルを巻いて、浴場に入る。
「わぁ……」
「広~い!」
「ほぉ…」
初めてみる銭湯に2人は驚き、俺自身も感嘆していた。
なんせ定番の薬草湯の他に電気風呂やジェットバス、打ち湯まであるからだ。
「2人とも、まずは風呂に入る前に体を洗おう。こっちに来てくれ」
「「は~い」」
いつもより声が高いな……それほど楽しみなんだろう。
「じゃ、そこに並んで座って」
「「は~い」」
「じゃあエリオ、髪を洗うぞ」
「お願いします」
俺はいつもエリオとシャワーを浴びていて、エリオの髪は俺が時折洗っているんだ。
「お湯掛けるから目を閉じてろよ。それっ」
ザバーン
湯を掛けた後、シャンプーを使って髪を洗っていく。
「キャロは後で洗うから、先に体を洗っといてくれるか?」
「あ、はい」
「待てよ、キャロは女の子だから、俺がやるのはまずいか?」
髪の洗い方は女と男で違うという。やらない方がいいのか?
「い、いえ……わ、私もやってくれませんか?」
「いいのか?」
「は、はい…」
「わかった。ちょっと待っててくれ。エリオ、お湯掛けるぞ」
ザバーン
「これで終わり。次はエリオが体で、キャロが頭だな」
エリオと同じようにお湯をかけ、髪を優しく洗うが……キャロの髪の毛は思ってたより柔らかいな。やっぱ髪質が違うのか?
「うわぁ、気持ちいい♪」
「ならよかった。かゆい所とかがあったらいつでも言ってくれ。そうしてくれるとこっちも助かる」
「あ、はい。今のところは大丈夫です」
「よし、お湯かけるぞ」
「は~い」
ザバーン
「これでよしっと。2人は先に風呂入ってていいぞ。俺も身体洗ったら行くから」
「あ、あの…」
「どうした?」
「平田さんの背中、洗ってもいいですか?」
「ぼ、僕も洗いたいです。日頃のお礼じゃないですけど」
「そうか……ならお願いするぜ。あ、少し待っててくれ」
俺は髪をささっと洗い、2人に背を向けた。
「じゃ、頼むぞ」
俺が言うと、2人で一緒に洗ってきてくれた。
「できれば、もう少し強めでやってくれないか?」
「「あ、はい!!」」
お、動きが速くなってきたな。なんだろうな、こう、癒やされるっていうのか?
和むな。
「ん、ありがとう。さてと、お待ちかねのお風呂だ」
「「はいっ!」」
「ただし、走ると危ないから気をつけること。後、入る前にかけ湯をしよう」
「かけ湯ですか……?」
あ、知らないのか。
「かけ湯というのはだな、先にお湯を掬って身体に掛けることなんだ。こうすることで、風呂の温度に慣らすんだ。わかったか?」
「「は~い!」」
仲良く返事して湯船に向かっていった。俺も入るか……
「ふぅ~気持ちいいねエリオ君」
「うん、気持ちいいねキャロ」
「あ~、気持ちいい……」
これまでの疲れが抜けてく感じがする……良い息抜きだな……任務なんざさっさと終わらせて、もっと休憩したいぞ。
どうも、平田望です。ただ今、任務より帰還しました。
ん? 話が飛びすぎだって?
…………いや実はだな、あの後何故か先に出ていた女性陣がロストロギアを見つけて封印してくれたらしいんだ。それだけならよかったが、風呂出る時に俺らに連絡すんのを忘れてたみたいなんだよ。で、お前ら慌てやさんだなぁ。とからかってやったら、すっっっごい恨めしい目で見られた。理由を聞いたら、「自分らだけ満喫できててずるい」とのこと。
いや、そんなこと俺に言われても……。
まぁとにもかくにも、こうして派遣任務は無事に(?)終わった。
望「最後思いっ切り端折っただろ……」
すいません、短くしようとした結果がこれなんです……(土下座)
望「そこまでせんでも……それより、次回はどうなんだ?」
あ、次回はですね、完全オリジナルの回になります。
望「そうなのか。で、予告は?」
任務で違法研究所へと侵入した望。そこで彼は、六課のある2人に関する重大な資料を目にする―――!
望「え、俺何かやらかすの?」