原作と大幅に違うところがありますけどね。
望「どこなんだ、それは……?」
「はい、お待ちどう様」
数時間後、俺は起きて早々アルフが買ってきた食材で料理を作っていた。作る時にアルフから「インスタントと冷凍食品があるからいいんじゃないか?」と言われたが、それじゃダメだと返した。育ち盛りの女の子に冷凍食品はいかんだろ、普通に考えて。
ちなみに内容は、ご飯と味噌汁にさんまの塩焼きという和食である。こう見えて、簡単なものなら作れるのだ。で、完成した料理をたった今テーブルに運んだところだ。
「おいしそう……」
「食べてもいいかい?」
「もちろん。遠慮無く食べてくれ」
「じゃあ―――」
3人で「いただきます」と言い、夕食を食べ始めた。
うん……我ながらいい出来だな。久しぶりだから腕が鈍ってるかと思ったが、安心だ。だが、問題はフェイト達の評価だ。さっきから無言で食ってるけど、どうなんだ?
「フェイト、アルフ。味はどうだ?」
俺が言うと、2人は我に返ったようにこちらを向いた。
「望の料理、凄いおいしいよ」
「特に、このさんまが一番だね!」
「え? 私は味噌汁が一番だと思う」
「いや、さんまだろ?」
「絶対味噌汁だよ」
「ま、まあまあ喧嘩しないで。おいしければそれでいいじゃないか」
何とかその場を修めつつ、再び食べ始めた。
喜んでくれたなら、それで十分だ。
それから3日後。俺達はジュエルシードの反応があった場所に向かっていた。もちろん俺はエターナルに変身している。
なぜすぐに行こうとしなかったかって? それは、ちょっとした考えがあるからさ。
ややあってその場所についたが―――
「あれ? 結界が張ってある……」
「本当だ……」
「それはつまり、他にも魔導士がいるってことか?」
わざと尋ねるように言うが、実はこのことは知っていた。時期的に、今日ならもう1人の魔導士―――高町なのはと出会えるだろうと予測したのだ。これがすぐ行こうとしなかった理由だ。なら、知ってて何故回避しようとしないかだって? それにも考えがあるのさ。今は秘密だけどな。
「もしかしたら管理局の人間かも……」
「じゃあそっちはフェイトとアルフに任せてもいいか? 俺はジュエルシードを何とかする」
「うん。気をつけて」
そう言ってフェイト達は離れて行った。
「さて、早めに見つけますか」
辺りを見回し、それらしきものがあるかを探す。すると、
「にゃ~」
何やら、巨大な猫がいた。
「…………ジュエルシードの影響とはいえ、これはデカすぎじゃないか?」
ぼやきながら、どうやって取るかを考える。ジュエルシードの位置は猫の額なうえに、こちらとは距離は離れている。
「だったら、これで決まりだな」
即決し、あるメモリを取り出す。
『NASCA!』
そして腰のスロットに入れる。
『NASCA! MAXIMUM DRIVE!!』
「よし……行くぜ!」
ナスカメモリの力で高速飛翔能力を得て、猫の額へと向かい、手を伸ばす。
だがここで、問題が発生した。
パシッ
「しまった!?」
思った以上にスピードが出過ぎた為、ジュエルシードを弾き飛ばしてしまったのだ。猫はすぐに元に戻ったが、落ちた場所は……フェイトとなのはの割と近くか。
急いで方向転換し、拾いに向かうが―――
ドシュッ!
どちらかのはわからないが、流れ弾であろう魔力弾が飛んできた。
それは狙い違わずジュエルシードに向かい―――直撃した。
「な、何だとぉ!?」
完全に予想していなかった事態に、声を上げる。そして直後、膨大な魔力が溢れだした。
「ちっ、このタイミングで暴走するとは……!」
本来なら、ジュエルシードの暴走は先の筈だった。だから今の時期なら手を打てると確信したのに、何故だ? ただの偶然? それともまさか、歴史が変わらないように時代そのものが抑止力を働かせているのか?
「ってそれより、こいつをなんとかしなければ!」
魔力の暴走は止まらない。フェイトとなのは達も気づいたようで、こちらを見ている。次の瞬間だった。
「っ!」
「「フェイト!?」」
俺とアルフの驚く声を余所に、フェイトはジュエルシードに近づくとそれを握りしめた。
「何やってるんだ! 危険だぞ!?」
声を張り上げるが、フェイトは構わず握りしめ続ける。
(このままだと、フェイトは確実にケガをする……そんなこと、させるものか!!)
ナスカメモリをスロットから引き抜き、代わりに別のメモリを入れる。
『VIOLENCE! MAXIMUM DRIVE!!』
「うおおおおおおおおお!!」
バイオレンスメモリで腕力をパワーアップさせると、俺はフェイトを押しのけジュエルシードを押さえ込んだ。
「ぐっ…!」
これは……思っていた以上にきついな……! バイオレンスメモリを使ってもここまで衝撃がくるとは!
「望、何をしているの!? 早く手を―――」
「俺のことはいい! 早くこいつを封印しろ!!」
フェイトの声を遮り、啖呵を切る。
「止まって、お願い……お願いだから、止まって……!」
懇願しながら、フェイトは封印を開始する。ジュエルシードは次第に落ち着き始め、やがて魔力の流れが完全に止まった。
「はぁ……はぁ……何とか、なったな」
少しよろけながらも、ジュエルシードを握りながら呟く。
「望! 大丈夫!?」
「どこもケガはないかい!?」
心配したのか、フェイトと狼形態のアルフが近寄ってくる。
「大丈夫だ。心配しなくていいよ」
「よかった……」
「あ、あの……」
「ん?」
聞こえた声に振り返ると、どこか戸惑った表情でなのはとフェレット―――おそらくユーノが、こちらを見ていた。
「悪い、いきなり現れたから混乱してるんだな?」
「え…その……」
「望、そんな奴ほっといて早く帰ろう」
「いや、こうなった以上せめて自己紹介はしとくべきだろ」
アルフの催促を無視し、なのはに向き直る。そして、ドライバーからエターナルメモリを引き抜き、変身を解除した。
「の、望!? 何やってるの!?」
「敵に正体を見せるとか、正気かい!?」
「……俺は平田望だ。君達の名前は?」
2人の声を聞き流し、なのは達に問いかける。
「あ……えっと、私はなのは。高町なのはっていいます」
「僕は……ユーノ。ユーノ・スクライアです」
「そうか。おい、2人も早く自己紹介しろ」
フェイト達の方を見て、そう言う。
「はぁ? アンタ何言って―――」
(いいか? これは作戦だ。相手の名前を聞いておけば、今後の情報収集に役立つ筈だ)
俺は念話を使って会話する。
(だからって、こっちの名前まで言わなくてもいいじゃんか!)
(向こうだけ言わせておいて、こっちが言わないと不信感を持たれるだろ?)
(それは……)
(こういった物事はできるだけ穏便に済ませた方がいい。わかったなら、後は頼むぞ)
「さ、早く」
「……フェイト・テスタロッサ」
「……アルフだ」
しぶしぶと言った感じで、フェイトとアルフは自己紹介をした。
「これで互いの情報は伝えた訳だ。さあ、帰ろう」
俺は再びエターナルに変身し、なのはに背を向けた。
「ま、待って下さい!」
が、すぐに呼び止められた。
「望さん達は、どうしてジュエルシードを集めているんですか?」
「……今は言うことはできない。時が来るまで、待っててくれ」
それだけ言い残すと、バードメモリのマキシマムを発動して立ち去った。
「…………行っちゃったね」
「うん……」
「…………(なんだろう、悪い人達には見えなかったな……)」
「2人とも、すまなかった」
部屋のリビングで、俺は頭を下げた。
「いきなりどうしたの?」
「俺は……2人の意見を無視して、勝手に正体晒して、名前まで教えて……しかも、無理強いまでさせてしまった。本当に、すまない」
今後の為とはいえ、さすがに罪悪感がわいてきた。おそらく、謝っても許しては―――
「……別に、いいよ」
「えっ?」
「望のお陰でジュエルシードがたくさん集まったし、あれくらいなら」
「よく考えると、名前ぐらいなら教えてもいいかなって思えてきたよ。それに、過ぎたことを気にしても仕方ないさ」
「フェイト……アルフ……ありがとう」
思いがけない言葉に、涙が出そうな程嬉しくなり、ほっと息をつく。
だが、油断はできない。今の次元震で、いずれ管理局が来ることがほぼ確定した。少し予想外の事態になったが、一応こうなった時のプランを考えてある。まあ、それを実行する前に、フェイトの母親への対策をなんとかしないといけないが。
望「なるほど、確かに異なる点がいくつかあるな」
そうでしょう?
望「具体的には、ジュエルシード暴走のタイミングと、なのは達への印象……か?」
大当たりです、望さん。
望「どうしてこう変えたのか、理由を聞かせてくれないか?」
ジュエルシードの件は、単純に短期間で終わらせる為です。この方が後の展開で便利なんですよ。
ちなみに、これの原因はただ単に運が悪かっただけです。
望「ふうん」
なのは達への印象については、これも後で必要だからです。名前を教えたことで、多少なりともフェイト達への不信感は原作より薄くなった筈ですから。
望「そりゃ原作に比べればな……ま、アンタがどんなことを考えてるかは知らないが、その時が来るまで待ってるよ。で、次回は?」
次回はプレシアとの対面です。
望「展開がまた早いな。別にいいけど」