魔法少女リリカルなのは 運命を変える者   作:レイブラスト

32 / 59
いよいよ時の庭園に入ります。

望「どうなることやら……」

どうぞ。



第29話

(とうとうこの日が来たか……)

 

心の中でため息をついた。俺達は今、マンションの屋上にいる。これからフェイトの母親であるプレシア・テスタロッサのところへ行き、これまでの報告をするのだ。無論、俺のことも。

フェイトの手にはケーキの入った箱がある。お土産のようだ。

 

「あの女がこんなもの、食べるかね?」

 

……そこまで言うのか?

 

「わかんないけど……こういうのは、気持ちだから」

 

母親思いの良い子だな、フェイトは。

ここまでで集めたジュエルシードの数は10個か……聞いた情報だと、この時期で集めたのは3個程らしいので、それに比べたらかなり集めただろう。これなら、体罰を受ける心配もない筈だ。

 

「それじゃあ、行くよ」

 

フェイトは魔法陣を展開し、転送魔法を発動させた。

 

 

俺達は、屋上から消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!」

 

転移が終わった時、何故か猛烈な吐き気に襲われた。いや、何で!?

 

「大丈夫……?」

 

「転移に酔ったみたいだねえ。望は初めてだし、仕方ないか」

 

いやいやいや! 俺既に未来で経験してるんですけど!! 何で酔って……あ、あのときデバイス展開してたんだった!! あれって関係あったのか……あ、やべ、吐き気が……

 

「す、すまないが、先に行っててくれ。落ち着いたら俺も行……うぇ」

 

「え、う、うん」

 

「迷わないように気をつけてるんだよ」

 

(ごめ、最後何言ってたのか……お゛ぼろ゛ろ゛ろ゛ろ゛ろ゛ろ゛ろ゛!!!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よ……ようやく……落ち着いた……」

 

どうにか吐き気が収まり、周囲を一瞥する。

 

「……何か魔王が出てきそうな雰囲気だな。正確には魔女だが」

 

絶対に初見で家とは思えない。

 

「行くか」

 

俺は建物―――時の庭園に入っていくが、ここで大変な事実に気がついた。

 

「2人はどこにいるんだ……?」

 

時の庭園の中までは俺も把握してなかった。はて、どうしよう。

 

「とにかく、歩くしかないか」

 

とりあえず、奥に向かって歩くことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらく進んでいくと、やたら大きな扉の前でアルフを見つけた。が、どうも様子がおかしい。両手で頭を抱え、うずくまっている。

 

(これはまさか……!?)

 

嫌な予感がした俺は、アルフに近づいた。

 

「アルフ、どうしたんだ?」

 

声に気づいたのか、アルフは顔を上げ、こちらを見てきた。

 

「望……」

 

そして素早く立ち上がると、俺の肩を掴んできた。

 

「あ、アルフ!? どうし「望……お願いだ……フェイトを、あの子を助けて……!」何?」

 

アルフの言葉を聞いた瞬間、俺の中の疑念が確信に変わった。

俺は扉を押し開け、中に入った。

そこで見たのは、衝撃の光景だった。

 

フェイトが、広い部屋の中央辺りに倒れていた。体中に傷をつくった、フェイトが。

 

「フェイトォォォ!!」

 

急いでフェイトの元へ駆け寄り、抱き起こす。

 

「のぞ…む……?」

 

「いきなり入ってきて、どういうつもり?」

 

前から聞こえてきた声に顔を上げると、1人の女性が立っていた。紫の長髪で、手には鞭を持っている。

 

「アンタが……プレシア・テスタロッサか?」

 

「そうよ」

 

冷めた口調で、彼女はそう答えた。

 

「貴方はフェイトが言ってた、ガイアメモリの力を使う仮面ライダーね」

 

どうやら俺の事は、フェイトから既に聞いているようだ。

 

「何で、こんなことをした?」

 

「この子は、ジュエルシードをたったの10個しか集めてこなかった。だから躾けたのよ」

 

「何だと……!?」

 

ちっ、考えが甘かったか! プレシアのジュエルシードへの執着心は想像以上だ。くそ、完全に俺のミスだ!!

…………だが、まだだ。まだ終わりじゃない。

 

「アルフ!」

 

「フェイト!」

 

俺の声にアルフが飛び込んで来ると、フェイトを抱きかかえた。

 

「アルフ、別の部屋に移動してフェイトの手当てを」

 

「望は…?」

 

「俺は少し、話をしてくる」

 

「な、何を言って「早くしろ!」っ、わかったよ」

 

フェイトを抱え、アルフは部屋を出た。今ここには、俺とプレシア以外誰もいない。

 

「さて……少し話をしようぜ」

 

ゆっくりとプレシアに近づきながら、語りかける。

 

「話、ですって?」

 

「そうだ。話というよりは、交渉だがな」

 

「交渉?」

 

「そうだ」

 

歩みを止め、相手の目を見る。

 

「今後のジュエルシード集めについてだが、俺に任せてもらいたい。そうすれば、確実に全てのジュエルシードが手に入る」

 

「随分自信があるみたいね」

 

「……ああ」

 

よし……ここからが本題だ。

 

「ジュエルシードを早く集めれば、アンタの願い……『アリシア・テスタロッサ』を生き返らせることができる」

 

「っ!?」

 

その言葉を言った時、プレシアが動揺しだした。そりゃそうだろうな。娘のアリシアのことを、何故管理局でもない人間が知っているのかと思ってる筈だからな。

 

「……何が、狙いなの?」

 

「狙い? そうだな……俺の狙いと言うか、条件は1つ。フェイトを、アンタの家族として認めてもらうことだ」

 

「……何ですって?」

 

プレシアは目を細めた。おそらく、出来損ないの人形を家族として接しろだと? と思っているだろう。

 

「アンタにとってフェイトは、出来損ないの人形かもしれない」

 

「!?」

 

更に驚きの表情を見せる。俺は構わず話を続ける。

 

「だけどフェイトはな、アンタの為に一生懸命頑張ってるんだよ。自分が傷つくのも我慢して、アンタに喜んでもらう為に……」

 

そこで一旦間を開け、呼吸を整える。

 

「プレシア。アンタは何でフェイトが嫌いなんだ? 気に入らないところがあるのか?」

 

「……あの娘が、出来損ないだからよ」

 

「そう。それこそが間違いなんだ」

 

「え?」

 

「考えてもみろ。同じ人間の代わりなんて、作れる訳がないんだ。仮にできたとしても、それはよく似た別人。決して本人じゃない。……言わば、兄弟みたいなものだ。今回の場合だと、フェイトはアリシアの妹……ということになるな」

 

「妹…………?」

 

俺が『妹』と言った瞬間、プレシアは大きく目を見開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時、プレシアの脳裏には、以前アリシアと交わした約束が映し出されていた。

 

『アリシア。今度のお誕生日、何が欲しい?』

 

『う~ん………妹!」

 

『えっ!?』

 

『私、妹が欲しい! 母さん、私お姉ちゃんになりたい!』

 

『え、え~~っと、それは……』

 

『ダメなの?』

 

『いや、その……分かったわ』

 

『うん! 約束だよ! 私と、母さんと、私の妹、3人でいっぱい幸せになろうね!』

 

『ええ、約束よ』

 

埋もれた記憶が浮かび上がった瞬間、プレシアの中でアリシアへの、フェイトへの……本当の想いが、溢れ出てきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ……あ…あ…………」

 

何だ? まだ話は終わってないが……説得に失敗したか?

 

「あ…あ…あああああああああああああああああ!!!!」

 

お、おい! 一体どうしたんだ!? 混乱のあまり、精神が錯乱でもしたか!?

 

「私は……私は……私は……!」

 

何が起きてるというんだ……? 訳がわからないぞ。

 

「っ!ゴホッ、ゴホッ!」

 

突然、口元に手を当て、苦しそうに咳き込んだ。

 

「だ、大丈夫か!?」

 

急いで駆け寄り、背中をさする。プレシアが手を離すと、血がついていた。

 

「これは……」

 

「ふふ、大魔導師と言えど……不治の病には勝てないのよ」

 

どこか皮肉そうにプレシアは笑った。

 

「ありがとう……あなたのお陰で、大切なことに気づけたわ」

 

「え?」

 

「フェイトはアリシアの妹……こんな簡単なことを、今まで忘れていたなんて……私って、大バカね……」

 

うまくいった……のか?

 

「でも……全て遅すぎたわ。今更フェイトに、どう顔向けしたらいいっていうの」

 

「それは……」

 

「娘を痛めつける母親なんて、いなくなった方が―――」

 

「っ、バカ野郎!!」

 

大声で叫び、プレシアの顔をこちらに向ける。

 

「遅すぎることなんてない! 今ならまだ…まだ間に合う!! 自分の今の気持ちを、フェイトに伝えるんだ!!」

 

「だけど……」

 

「アリシアとアンタのことは、俺がなんとかする!! だからフェイトのことは、アンタがやるんだ! それが……母親としての、アンタのけじめだ」

 

一気に捲し立てた後、プレシアをじっと見つめる。

 

「……あなた、変わってるわね。初対面の人に、ここまで啖呵を切るなんて」

 

「こうでもしなきゃ、アンタの意志は変えられないと思ったからな」

 

「そう……」

 

「……俺の言ったことを、よく覚えておいてくれ。絶対に、死のうとするんじゃない」

 

念には念をと、言っておく。

 

「大丈夫よ……もうそんなことはしないわ」

 

「本当だな。なら、俺はもう行く」

 

そう言ってプレシアの元を立ち去ろうと―――

 

「待ちなさい」

 

―――して、呼び止められた。

 

「何だ?」

 

「あなたがどうしてアリシアのことを知っていたのかは、聞かないでおくわ。だから、一言だけ言わせて頂戴」

 

ブレシアは俺をまっすぐ見つめ、

 

「本当に、ありがとう……望」

 

優しい微笑みで、そう言ってきた。

 

「……俺は礼を言われるような人間じゃない。だけど、その言葉はありがたく受け取っておく……プレシア」

 

そして俺は、部屋を出た。





望「少し展開が急な気がするが、それは置いといて、劇場版設定が出てきたな」

はい。前に言っていた、プレシアさんの過去です。

望「娘との約束か……プレシアを気づかせるには十分だな」

むしろ十分すぎるぐらいですけどね。

望「それもそうか。……ところで、俺が吐いた原因って何?」

あれはですね、未来の転送装置には転送酔いしない為の機能がついている……ということにしといて下さい。

望「いまいち釈然としないが、ま、いいか。さて、雑談はここまでにしといて、次回は?」

次回はジュエルシードの回収と、なのはとの二度目の会合です。

望「だそうだ。読者のみんな、楽しみにしていてくれ」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。