魔法少女リリカルなのは 運命を変える者   作:レイブラスト

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望「今回はいつもより更新早いのな」

休みなんで、一日2話ずついきますよ。

望「なるほど」

では32話です。どうぞ。



第32話

公園での話し合いの後、望達はマンションに戻った。そしてすぐに、ジュエルシードを取り出した。部屋の中心に21個全てのジュエルシードが佇む。

 

「これで、全てのジュエルシードが集まった」

 

宙に浮かぶジュエルシードを見て、フェイトが言った。

それからフェイトは、アルフ達に顔を向けた。

 

「ありがとう、2人とも。2人のお陰で、ジュエルシードを全部集める事が出来たよ」

 

微笑みを浮かべ、フェイトは2人にお礼を言った。

 

「フェイトー!」

 

アルフは嬉しさのあまり、フェイトに抱き付いた。これでフェイトは、辛い日々から解放される。そう思うと、アルフの目から涙が流れてきた。フェイトは、そんなアルフの頭を優しく撫でた。

 

「ありがとう、アルフ」

 

いつも一緒にいて、支えてくれた大切なパートナーにフェイトは感謝の言葉をかける。

 

「無事に集まって、よかったな」

 

「望、ありがとう」

 

フェイトは、望に心から感謝した。彼のお陰で管理局に介入されることも、これといった戦闘もなくジュエルシードを集めることができたからだ。

後はプレシアに渡しに行くだけだ。が、ここで望はある問題に気づいた。

 

(アリシアのこと、フェイトにどうやって伝えればいいんだ?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フェイトの転移で、俺達は時の庭園に到着した。フェイトの顔は微笑んでいるが、俺の中には不安が広がっていた。どうにかしてフェイトにショックを与えずにアリシアのことを伝える方法を考えるが、何も思いつかない。地球の本棚で探すことも考えたが、タイミング的に断念せざるをえなかった。

結局何も思いつかず、プレシアがいる部屋の前に辿り着いた。フェイトが手を伸ばし、扉をゆっくり開く。

 

王座に座るプレシアが、俺達を迎えた。部屋に入り、俺達はプレシアの前で立ち止まる。

 

「母さん。ジュエルシードを全部揃えました」

 

フェイトは、バルディッシュの黄色い球体から、21個のジュエルシードを取り出した。

そして、プレシアをゆっくり見上げた。

 

「フェイト、アルフ。話があるから、私についてきて」

 

「え?」

 

プレシアは、宙に佇むジュエルシードを一瞥すると、フェイトとアルフについてくるように言った。予想外の言葉に、俺達は少し戸惑った。プレシアは席を立ち、すぐ後ろの壁へ歩いていく。壁の前に立つと、そこが横にスライドして隠し部屋が現れた。隠し部屋の存在に、フェイトとアルフは驚きを隠せないでいた。

 

「いらっしゃい」

 

プレシアは振返り、フェイトとアルフに部屋に入るよう促す。2人は戸惑いながらも、プレシアの言う通りにして歩き出した……って、確かその部屋は!?

 

中に何があるのか知っている俺は、慌ててフェイトとアルフを呼び止めようとしたが―――

 

「望。貴方はここで待っていなさい」

 

プレシアに声をかけられ、待つように『口』で言われた後、今度は『念話』で別のことを言われる。

 

(お願い…私に任せてちょうだい)

 

(プレシア……)

 

どうやらプレシアは、アリシアの事をフェイトとアルフに教えるつもりらしい。止めよう

と思ったが、有無を言わせぬ視線に圧され、言えなくなった。

それに、プレシアは最初のときと比べると随分雰囲気が柔らかくなっていた。多分、改心したからだろう。

 

プレシア、フェイト、アルフの3人が隠し部屋に入ると、扉が閉じた。

 

(うまく行ってくれるといいが……)

 

一応プレシアに任せてはいるが、一抹の不安を拭い取れずにいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

隠し部屋に入ったフェイトとアルフは、驚愕して目を見開いた。驚きのあまり、声を発することも出来ない。

2人の目の前には、1つのポッドがあった。緑色の液体で満たされており、中に金髪の少女が漂っている。その少女は、フェイトと瓜二つだった。

 

「フェ…フェイトが……もう1人……?」

 

フェイトとポッドの中の少女を交互に見て、ようやくアルフは声を出せた。

 

「その娘の名前はアリシア。私の研究の事故で死なせてしまった、私の娘よ」

 

フェイト達の後ろに立っているプレシアが、静かに口を開いた。

 

「アリ……シア……?」

 

ポッドに漂う少女―――アリシア・テスタロッサを見つめ、フェイトは呆然と呟く。

 

「……フェイト。貴女はね……アリシアの代わりにしようと、私が造ったアリシアのクローンなのよ」

 

プレシアの口から驚愕の事実が話され、フェイトは信じられないといった表情になる。

 

「使い魔を超えた……人造生命の生成……その研究の当時の開発コードが『F.A.T.E』」

 

目を見開くフェイトの体が、小刻みに震えている。

 

「アリシアの代わりにしようと、貴女を造った……けど、見た目は同じでも……アリシアの記憶をあげても……貴女はアリシアではなかった」

 

「プレシア……アンタの目的って……まさか……!」

 

プレシアの目的を理解し、アルフが震えた声を出す。

 

「私の目的は、ジュエルシードを使ってアリシアを生き返らせる事よ」

 

プレシアの目的を聞いた瞬間、フェイトはビクンッと体を大きく揺らした。自分はアリシアの代わり。ジュエルシードは全て集まったから、そのアリシアを生き返らせる準備が出来た。

 

(なら、私は……私は……)

 

フェイトの体がガタガタと震え、目には涙が浮かんでいる。

 

「アンタ……! フェイトは……フェイトはアンタの為に、傷つきながら一生懸命頑張ったんだ! それなのに、こんなのって……あんまりじゃないか……!」

 

目に涙を浮かべて、アルフはプレシアの胸倉を掴み、いつになく鋭い目つきで睨む。アルフの言葉を聞いて、プレシアはフェイトに視線を向けた。

 

「フェイト」

 

体を震わせるフェイトの背中に、プレシアが声をかけた。

 

「私はね……貴女を造ってからずっと……貴女の事が大嫌いだったの」

 

フェイトの目が大きく見開かれた。目から大粒の涙が零れ、床に落ちていく。プレシアの言葉が心に突き刺さり、精神が限界に達しようとしていた。

 

「プレシアァァァ!! お前ぇ……!」

 

アルフの纏っていた怒気は殺気へと変わり、今にも噛みつきそうな勢いになる。

そんなアルフに構わず、プレシアは言葉を続ける。

 

「そう……私は貴女が大嫌いだった……ついこの間までは、ね」

 

「えっ!?」

 

続けられたプレシアの言葉に、驚いたアルフは殺気を消した。アルフだけでなく、フェイトもピクリと反応した。

 

「何故私は貴女を嫌っていたのか……やっとわかったわ。私は今まで、貴女を『アリシアの代わり』としてしか見てなかった」

 

フェイトはプレシアに背を向けたまま、黙って彼女の話を聞いている。

 

「でもある日、アリシアと交わした約束を思い出したの。そして、気づいたの。大切なモノの代わりなんて造れないと。貴女はアリシアじゃないし、アリシアの代わりでもない」

 

望の言葉で気づいたことを、2人に話す。アルフは、自然とプレシアの胸倉から、手を離した。プレシアはゆっくりと歩きだし、フェイトの後ろで立ち止まった。フェイトは振り返らず、プレシアに背を向けている。

 

「フェイト……今まで、よく頑張ってくれたわね」

 

後ろから聞こえたプレシアの言葉に、フェイトは弾かれたように振り返った。

 

プレシアは、フェイトが始めて見る顔……母が子へ向ける優しい微笑みを浮かべて、フェイトを見つめていた。

 

「母……さん……」

 

「フェイト。貴女は、『アリシアの代わり』なんかじゃない……アリシアの妹で私のもう1人の娘、『フェイト・テスタロッサ』よ」

 

そう言って、プレシアはフェイトの頭に手を置いた。初めて感じる母親の手の感触に、フェイトは動揺を隠せなかった。

 

(母さんが、私を褒めてくれてる。嬉しい……でも―――)

 

「わ、私は……」

 

今だ不安があり、フェイトは表情を曇らせ、顔を俯ける。

 

「私は……貴女の娘で、いいんですか?」

 

震える声で、フェイトは不安を口にした。するとプレシアは、屈んでフェイトを抱きしめた。不安に支配されていたフェイトの心を、温かい気持ちで包んであげた。

 

「言ったでしょ? 貴女は私のもう1人の娘。そして私は、貴女の母親」

 

フェイトの耳元で、プレシアは優しく言葉を繋ぐ。

 

「フェイト。貴女さえよければ……これからも私の傍に居てちょうだい」

 

プレシアの言葉で、フェイトは再び目に涙を浮かべる。悲しみからではなく、嬉しさからだ。自分を、『アリシアの代わり』ではなく、『フェイト・テスタロッサ』として必要としてくれている。

 

「か……母……さん……」

 

「フェイト……」

 

目から零れる涙が、頬を伝う。

 

「母……さん」

 

「フェイト」

 

お互いに名前を呼び合う。

 

「母さん!」

 

「フェイト!」

 

フェイトは泣きながら抱き付き、プレシアも受け止める。離れぬように、しっかりと力強く抱き合っていた。

 

「母さん! 母さん!」

 

「フェイト! ごめんなさい……! ごめんなさい……!」

 

プレシアは、愛おしい娘を抱きしめた。

望に言われた通り、彼女はけじめをつけ、ようやく―――本当の『親子』になれた。

 

「うぐっ……えっく……! フェイトォ……よかったぁ……フェイトォ……!」

 

抱き合う2人を見て、アルフは感動し嬉し涙を流していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プレシアとフェイトは泣き止んだ後、少し照れたような感じで離れた。

 

「ところで母さん。どうやってアリシアを生き返らせるの?」

 

「本来ならアルハザードという所へいく筈だったんだけど、望が、『俺がなんとかする』って……」

 

ポッドの中のアリシアを見つめて、プレシアは答えた。

 

「望が?」

 

「方法はわからないけど、でも、どこか信用できる気がするのよ」

 

「確かに望だったら何とかしてくれそうだね」

 

どこか納得したように、アルフが頷く。

 

「アルフ」

 

「ん?」

 

プレシアに声をかけられ、アルフは顔を向けた。

 

「その……ごめんなさい……今までフェイトに酷い事をして……」

 

頭を下げ、プレシアは心から謝った。アルフはフェイトの使い魔だ。主人であるフェイトを散々酷い目に遭わされて、怒っているのは間違いない。アルフは表情を険しくし、プレシアを見据える。

 

「……正直、アタシはまだアンタの事を許しちゃいない」

 

「……」

 

「ア…アルフ……」

 

プレシアは黙り、フェイトは戸惑いの表情を見せる。

 

「けど……アンタがこれからフェイトを娘として大事にするなら、あたしはアンタの力になるよ」

 

「アルフ……ありがとう」

 

プレシアが礼を言うと、アルフは照れ隠しするようにソッポを向いた。そんなアルフの様子を見て、フェイトは微笑んだ。プレシアとフェイト達の間にあったわだかまりは、もう完全に消えていた。

 

「それじゃあ、望を呼びに行こうか」

 

「うん」

 

「ええ、そうね」

 

アルフの言葉に2人は頷き、部屋の扉へ向かう。扉を開け、3人は王座の間へ出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして、フェイト達が出てきた。

 

「っ、フェイト……その、だな……」

 

アリシアのことでフェイトがショックを受けていないか心配する。だが、見たところショックを受けてる様子は無い。それどころか、嬉しそうな様子をしていて、プレシアとのわだかまりも消えているようにも見える。

突然、プレシアから念話が送られた。

 

(フェイトなら大丈夫よ)

 

(プレシア!? 大丈夫って、それは本当か?)

 

(ええ)

 

プレシアの表情は、穏やかなものになっていた。どうやら、フェイト達と解り合えたみたいだ。ふぅ、と一安心する。

 

「それでアリシアの件だけど……どうするつもり?」

 

「ん、そうだな。具体的にはメモリの力を使うが……」

 

そこで一旦、プレシアを見つめる。

 

「プレシア、アンタにも協力してもらう」

 

「私も?」





望「よかったな……フェイト……」

望さん、涙が……

望「う、うるせぇな。誰だってあの場面を見れば感動して涙出るだろ?」

それについては否定しません。自分だって涙が出ましたもの。

望「だよなぁ。ところで、次回はアリシアの蘇生になるのか?」

はい。プレシアさんの協力が何故必要かも明かされます。

望「ハッピーエンドを期待してるぜ」

次回もお楽しみに。
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