そうなんですけどね……
望「何だ? その奥歯にものが引っかかるような言い方は」
読めばわかりますよ。それでは、どうぞ。
生体ポッドからアリシアを出し、別の部屋のベッドに寝かせた。裸のままでいさせる訳にもいかないので、白のワンピースを着せてあげた。見れば見るほどフェイトとそっくりだな。若干幼く見えるのが唯一の違いか。
アリシアが横になっているベッドの隣には俺を初め、プレシア、フェイト、アルフがいる。
「まずは下準備だ」
ロストドライバーを装着し、エターナルメモリを持つ。
『ETERNAL!』
「変身!」
『ETERNAL!』
仮面ライダーエターナルに変身する。初めて見るプレシアは、まじまじと見つめてきた。
「これが仮面ライダーなのね……」
「正確には仮面ライダーエターナルというがな。さて、これからアリシアの蘇生をするが……その前に、プレシア。アンタの病気を治させてもらう」
「ええ、お願いするわ」
同意するプレシアの肩に左手を置き、右手で1つのメモリを出す。
『KEY!』
それを腰のマキシマムスロットに差し込む。
『KEY! MAXIMUM DRIVE!!』
まずはキーメモリのマキシマムを使い、身体のどこが悪いのかを探る。すると―――
(うわ、体のあちこちにガンが転移してる……これは確かに現代医学じゃ治せそうにないな。ま、今の俺なら楽勝だが)
そう思いつつ、もう1つ必要なメモリを取り出す。
『GENE!』
今度は胸のスロットに差し込む。
『GENE! MAXIMUM DRIVE!!』
キーメモリで探りつつ、ジーンメモリの遺伝子操作能力でガンに侵されている部分を治していく……のだが、これが意外と難しかった。
(この、調整がシビアだな……ならここをこうして、ここを……あっ)
結果的に病気は治ったが、俺は1つミスをしてしまった。
「体が軽くなってる……本当に治ったのね」
「ま、まあな」
「どうしたの?」
「そのよ……少しミスしてな」
「ミス?」
望の言葉に、フェイト達も耳を傾ける。
「別に死ぬとかそういう話じゃないんだが、その……簡単にいうと、肉体の老化を遅らせちまった」
「へ?」
「つまり、今の外見が保たれるってことだよ。嫌だったか?」
「い、いいえ。むしろ少し嬉しいような……」
女性であるプレシアにとって、老化防止は予期せぬサプライズ(?)だったらしい。
他の女性であっても嫌と言う人はいないと思うが。
「では改めて、アリシアの蘇生に入るぞ」
「そういえば望、確か私の協力が必要と言っていたわよね?」
「ああ」
俺が地球の本棚で検索した結果、死んだ人間を生き返らせるには、死んだ人間の詳細をよく知っている人物が強く念じないとダメだとわかった。この場でアリシアのことを覚えているのはプレシアだ。だから彼女の協力が必須なのだ。
このことを伝えると、プレシアは納得して頷いた。
「望」
ここで、フェイトが遠慮がちに手を上げた。何やら不安そうな顔をしている。
「ソレって、母さんにも何か負担がかかるの?」
「いや、それはない。あくまで念じるだけだからな。俺が保証する」
「わかった。望も、無理はしないでね」
「おう。ありがとな」
仮面の下でフェイトに微笑むと、俺はあるメモリを取り出した。
『ZONE!』
腰のスロットに差し込む。
『ZONE! MAXIMUM DRIVE!!』
ゾーンメモリのマキシマムの発動により、全てのメモリが宙に浮くと俺に向かって飛んでくる。そして―――
『ACCEL! BIRD! CYCLONE! DUMMY! FANG! GENE! HEAT! ICEAGE! JOKER! KEY! LUNA! METAL! NASCA! OCEAN! PUPPETEER! QUEEN! ROCKET! SKULL! TRIGGER! UNICORN! VIOLENCE! WEATHER! XTREME! YESTERDAY! MAXIMUM DRIVE!!』
締めにエターナルメモリをエターナルエッジのスロットに入れる。
『ETERNAL! MAXIMUM DRIVE!!』
全マキシマムの発動により、俺の体に緑色のエネルギーが貯まる。
「の、望……その姿は?」
「ん、ああ…アリシアを蘇生させるのに必須なんでな。詳しいことは後だ。フェイト、ジュエルシードを用意してくれ。プレシアは、俺の背中に手を置いてくれ」
「うん」
「わかったわ」
おっかなびっくり尋ねてきたアルフに軽く返答すると、テキパキと指示を出した。
フェイトはバルディッシュからジュエルシード全てを取り出し俺に渡してきた。プレシアは、俺の背中にそっと手を置いた。
さっきアルフの質問を流してしまったが、最強形態の姿になったのにはちゃんとした理由がある。死人を蘇生する際には、ジュエルシード以外に、強力なエネルギー供給源が必要となる。そこで使うのが『これ』だ。全マキシマムの発動により俺自身が供給源となることで、この問題は解決された。
(よし……始めるか)
「プレシア、今から蘇生を始める。アリシアのことを強く念じろ」
「ええ……!」
プレシアに指示を送ると、彼女は強く念じ始めた。同時に、右手に持つジュエルシードが青い輝きを増していく。
全ては順調かと思われたが、
「ぐっ…!」
まずい。思ってたより負担がかかる……!
エネルギー供給源でもあり、プレシアとジュエルシードを繋ぐバイパスでもある俺には、強い負荷がかかってきていた。
蘇生開始から10分経過した。体力は半分近く消耗し、息が荒くなる。
辛い。痛い。苦しい。そんな気持ちが溢れ出る。
(だが、こんなところで諦めたりはしない! 仮面ライダーは人々の笑顔を守る希望だ。だから俺は……フェイト達の笑顔を守る!!)
「うぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおお!!!!」
その瞬間、ジュエルシードの輝きが一層強くなり、思わず目を閉じた。室内は青色の輝きに包まれ、しばらく目を開ける事が出来なかった。
「う~ん……あれ? ここは……?」
1人の少女が今、目を覚ました。
「っ! アリシアッ!!」
「わっ、ちょっ、お母さん!?」
「本当に……生き返ったのね」
喜びのあまり、アリシアを強く抱きしめるプレシア。
「……そうだ、アリシアに紹介したい人達がいるの」
「私に?」
「ええ」
そこでプレシアは、フェイト達を見やった。
「紹介するわね。あなたの妹の、フェイトよ」
「は、初めまして……アリシア、姉さん」
「私の……妹?」
緊張しながら自己紹介するフェイトを、きょとんとした顔で見つめるアリシア。そして、
「ありがとう、お母さん! 約束守ってくれたんだね!」
ぱぁっ、と笑みを浮かべると、立ち上がりフェイトに歩み寄った。
「初めまして。私の妹……フェイト!」
「あ、う、うん。その、えと……」
「大丈夫? 緊張しすぎじゃない?」
「だ、大丈夫だよ、姉さん」
「アリシア」
「え?」
「私のことはアリシアって呼んでよ」
「じ、じゃあ……アリシア」
「うん、よろしい!」
再び笑みを浮かべる。それを見て、プレシアも頬を緩めた。
と、ここで、アリシアが周りを見渡しプレシアを見上げた。
「お母さん、この人達は?」
「紹介が遅れちゃったわね。そこにいるのは、フェイトの使い魔のアルフ」
「よろしくね、アリシア」
「よろしく!」
「こっちにいるのが、平田望……私達を助けてくれた人よ」
「お母さんを?」
プレシアが変身を解いた望を指す。
「初めまして、アリシア」
「望さんが…お母さん達を助けてくれたの?」
「そうなる、かな」
「ありがとう! 望さん!」
そう言うと、アリシアは望に抱きついた。
「っと……元気がいっぱいだな」
望はアリシアを優しく撫でながら、微笑んだ。
(これで、家族が戻った……)
暖かい気持ちに包まれ、望はほっと息をついた。
本来、未来にまで残る事件を起こさずに阻止し、更に家族の絆も取り戻した。
これで全てが丸く収まる……かに思えた。
「まさかあいつが、ここまでやるとはな」
時の庭園の別室で、1人の怪人―――ユートピア・ドーパントは驚嘆の声を出した。
「管理局を地球から追い返し、なのはとの対決を避け、親子の絆を取り戻し……更にはアリシアを生き返らせた。完璧だな」
フフ、と笑みを浮かべる。
「……だが、俺がその幸せを絶望に変えてやる。以前の決意を、ようやく果たすのだ」
そう言うと、ユートピアは目の前にある、時の庭園の動力ユニットに向けて、『それ』を放った。
「ククク……貴様の目の前でフェイト達をゾンビ兵に変え、絶望させてやる!」
動力ユニットが、取り込まれてゆく。
「その満身創痍の状態でデビルガンダム……いや、デビル時の庭園に勝てるかどうか、見物しているぞ。平田望」
ユートピアは、姿を消した。
望「あの野郎、しばらく音沙汰ないと思ったら、時の庭園にまで来ていたとは……」
しかも、思い切りやらかしましたね。
望「アンタがそういう展開にしたからだろうが! ……まあ今はいいとして、いくつか聞きたいことがあるぞ」
何ですか?
望「プレシアを治す時とアリシア蘇生の時だが、あれってどうやって考えた?」
ジーンとキーの同時使用ですか? あれはですね、ガイアメモリの設定を見てたら偶然思いついたんですよ。
中々相性がいいと思いません、あの2本?
望「確かに……」
アリシアの蘇生シーンは、ただジュエルシードだけで復活させるのも何だかなぁ、と思いまして。
望「アンタって結構考えてるのな」
そんなことはないと思いますよ? 名だたる作者様達に比べれば、月とスッポンですよ……
望「そこまで言わなくても……それより、予告は?」
あ、次回はですね、デビルガンダムとの戦闘になります。消耗した状態で、勝てるのでしょうか?
望「勝負というのは、最後まで諦めない方が勝つんだ。戦いの結末がどうなるか、その時まで待っていてくれ」