望「早いんだからいいんじゃね?」
そうですね……では、色々と衝撃的な35話です!
望「おい、何だそれは?」
数日後。遠見市にある公園。
ここの小さな丘にとある家族の姿があった。
2人の金髪の少女とオレンジ色の髪の女性が、走り回ってはしゃいでいる。
「フェイト! 早く早く!」
「待ってよ、アリシア!」
「待て〜!」
一番先を走っているのは、アリシア・テスタロッサだ。その後を少々遅れてフェイト・テスタロッサが走っていく。そして2人の後ろをアルフが追いかける。3人で追いかけっこをしているようだ。
少し離れたところにシートを敷き、楽しそうに遊ぶ3人の様子を見ている2人が居た。
プレシア・テスタロッサと平田望だ。最初の時のような刺々しい雰囲気は完全に消えて、プレシアは穏やかな表情でフェイト達を見つめている。服装も露出の高いモノでなく、落ち着いた印象がある恰好をしていた。望も、3人を微笑ましく見ていた。
「ここ数日で、3人とも仲良しになったな」
「ええ」
望の言葉にプレシアは頷いた。
「初めて見たわ。あの娘のあんな楽しそうな顔」
フェイトの表情を見て、プレシアは呟いた。アリシアとアルフと遊んでるフェイトは、生き生きとして本当に楽しそうな顔をしている。
この幸せを、絶対に手放さない。ここからやり直して、みんなと新しい時間を作っていこうと、プレシアは心に決める。
「これも全部、あなたのお陰ね」
「全部って程じゃないと思うがな」
そう言ってポリポリと頭をかく望。
デビルガンダムとの戦いの後、望は遠見市に移住することを決めた。時の庭園がボロボロになってしまったのもあるが、今後管理局が介入しないという裏付けがあったからこそだからだ。戻って来てからは、フェイトは約束通りなのはと友達になった。また、アリシアもなのはと友達になった。今では家族同士で、すっかり仲良くなっている。翠屋の常連になった位だ。
「でも、貴方のお陰なのは違いないわ。……ありがとう、望」
にっこりと、プレシアは望に微笑む。その姿を見て、望はドキッとした。
「どうしたの?」
「な、なんでもない」
が、言葉とは裏腹に顔はどんどん熱くなる。心臓の鼓動も早くなっていく。
(一体どうしたんだよ、これ……何でプレシアを見たら、こんなにドキドキするんだ? 美人だからか? いや、確かに最近血行がよくなってきたみたいで、以前にも増してそう見えるが、それでもこれはおかしい)
そこで望は、あることを思いだした。
(そういえば、大学の友人が言ってたな。人は恋をすると、胸が締め付けられるような思いがするって。ひょっとして俺……プレシアのことが好きなのか?)
思った瞬間、更に顔が熱くなる。
(……どうやらそうらしいな。はぁ、恋愛にあまり興味はなかったが、こうなるとは予想できなかったぜ)
ふぅ、と一息つく。
(告白すべき……だよな。いつまでも言わないのはダメだって聞いたことがあるし……当たって砕けろで言ってみるか)
「なぁ、プレシア」
「何かしら?」
望の声にプレシアは振り向く。その顔を見て、望の顔がより熱くなる。
「え、えっと、だな、その……」
「?」
「お、俺……」
(言うんだ! 今言わないと、絶対後悔する! だから言うんだ、俺!!)
「俺……アンタのことが好きだ!」
「えっ!?」
(い、言っちまったぞ……後は知らねぇ!!)
望とプレシアの顔が一気に赤くなる。少しして、プレシアが口を開いた。
「の、望……それって、本気なの?」
「本気だ。俺はアンタに惚れたんだ」
「で、でも私、もうおばさんだし……」
「何を言ってるんだ! アンタがおばさんなら、世の中の他のおばさん達はミイラじゃないか!!」
「ええっ!?」
自分の年齢を心配すると、望は即座に喝破した。
「プレシア……アンタ、ぶっちゃけ今いくつなんだ?」
「え? わ……私の年齢?」
年齢を聞かれて恥ずかしさが増し、顔の熱が上がっていく。
「……歳よ」
「もう少し大きな声で言ってくれないか?」
望は体を寄せ、尋ねた。近づいたことで、プレシアの心臓の鼓動が早くなる。
そして、半分やけくそ気味に年齢を教えた。
「ご、5○歳よ!!」
「ぶっっっ!?!?」
衝撃のあまり、望は思い切り吹き出した。
「う、嘘だろ!? だって全然5○歳に見えないし! さば読んでるんじゃないのか?」
「……本当なのよ」
それを聞いて、望は愕然とした。
「マジかよ……俺より30も年上だったとは。てっきり俺の少し上かと……ん? てことは俺、そんな人生の先輩にタメ口きいた挙げ句呼び捨てにしてたのか!? やっちまったぁぁぁぁぁぁ!!」
頭を抱える望。そんな彼に、プレシアは尋ねる。
「ねぇ、望」
「は、はい!?」
「私なんかで、本当にいいの?」
「え……? いや、それは俺のセリフというか、その……プレシア…さんだから、付き合いたいというか……」
プレシアは望の告白を聞き、考えていた。自分なんかが、もう一度恋をしていいのだろうか? でも、望の気持ちは素直に嬉しいし……
しばらく考え、プレシアは答えを出した。
「望」
「は、はい」
「……私も……好きよ」
「………………え? そ、それって、本当か?」
「ええ、もちろん」
「マジで? ………や、やったぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!」
人生初の恋が実り、望は飛び上がらんばかりに喜んだ。そんな望を見て、プレシアは嬉しそうに笑った。
「あ、そ、その、プレシア……さん」
「ふふ、前みたいに呼び捨てでいいわよ」
「じ、じゃあ……プレシア。これからも、その……よろしく」
「ええ、こちらこそよろしくね」
互いに顔を赤くし、恋人同士になったことを実感する。
「おめでとう、お母さん! 望さん!」
「「…………ん?」」
突然聞こえた声に首を傾げ、その方向を見ると―――
「ち、ちょっとアリシア! そんな大きな声出したら見つかるよ!」
「いや、もう遅いと思うよ……」
アリシア、フェイト、アルフの3人が少し離れたところからこちらを見ていた。
「もしかして……全部、聞いてたの?」
「あ、それは、その、あはは……」
「ぜ、全部って訳じゃないよ!? 途中からで……」
「ちなみにどこから?」
「えっと、『俺……アンタのことが―――』」
「アリシア!?」
「最初からじゃねーかァァァァァァァ!! 死にてェェェェェェェ!!」
告白を見られたことに望は悶絶し、プレシアは顔を真っ赤にして固まっていた。
(ま、まあでも、公認だからいいのか……な?)
望は悶絶しつつも、そう考えていた。そして、プレシアとフェイト達を見つめる。
(……ちょっとハプニングがあったが、できればこういう毎日が、いつまでも続くといいな)
恋人になった女性と、大切な『家族』を見て、望は願った。
「……あの状況から逆転するとはな。こちらの詰めが甘かったか」
望達の様子を見ていたユートピア・ドーパントは、忌々そうに呟いた。
「しかも、プレシア・テスタロッサを恋人にするとは……絶望を与えるどころか、より幸せになってしまったな」
そう言った後、彼は背を向けた。
「だが、考えればこれも一興だ。幸せを高め、それが頂点になった時……俺は貴様を絶望させてやる。『闇の書事件』で、また会おう」
ユートピアは、再び姿を消した。
望「…………俺に彼女ができただと?」
はい。そういうことです。
望「しかもこの組み合わせって、誰が想像したよ?」
少しはいた……らいいなぁ。ていうか、嫌でした?
望「嫌っていう訳ではないがよ……美人で、俺の好みだし……」
恥ずかしがってる所悪いですが、次回予告をします。次回は、ちょっとしたおまけ話を挟みます。
望「おまけ?」
ええ。楽しみにしていて下さい。